霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第九章 欠恋坊(かくれんばう)〔一八一八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第72巻 山河草木 亥の巻 篇:第2篇 杢迂拙婦 よみ(新仮名遣い):もくうせっぷ
章:第9章 欠恋坊 よみ(新仮名遣い):かくれんぼう 通し章番号:1818
口述日:1926(大正15)年06月30日(旧05月21日) 口述場所:天之橋立なかや別館 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1929(昭和4)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
アリスは二人の子供が帰ってきたのに狂喜し、逆に病は重くなってしまう。ダリヤはそれを憂いて、スガ山の山王神社に夜、ひそかに参詣して父親の平癒を祈る。
そこへ玄真坊が神素盞嗚大神の化身と偽ってやってきて、たぶらかして連れ去ったのであった。そして二人はタニグク山の岩窟へやってくる(このお話は、第六十七巻の第十四章へと続きます)。
一方、長者の宅では、兄のイルクが妹の行方不明に心を痛め、ヨリコ姫に善後策を相談していた。すると、それまですやすやと眠っていた花香姫が目を覚まし、夢を報告する。
夢の中で、ダリヤはオーラ山の玄真坊にかどわかされたが、汚されることなく、二ヵ月後に立派な人に送られて戻ってくる、と知らされたのであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-12-20 00:48:12 OBC :rm7209
愛善世界社版:106頁 八幡書店版:第12輯 643頁 修補版: 校定版:110頁 普及版:42頁 初版: ページ備考:
001(わが)()行衛(ゆくゑ)如何(いか)にぞと
002()(こが)れたる父親(てておや)
003アリスの親爺(おやぢ)両人(りやうにん)
004三五教(あななひけう)梅公別(うめこうわけ)
005(かみ)(つかさ)(おく)られて
006二人(ふたり)ニコニコ(かへ)りしゆ
007狂喜(きやうき)のあまり逆上(ぎやくじやう)
008(いよいよ)(やまひ)(おも)りつつ
009(あたま)(いた)むと()(なが)
010財産(ざいさん)全部(ぜんぶ)()()して
011(おく)()(ふか)(かく)れけり
012ダリヤの(ひめ)(おどろ)いて
013(こひ)しき(ちち)(やまひ)をば
014(いや)さむ(ため)にスガ(やま)
015山王(さんわう)神社(じんじや)(よる)(ひそ)
016(しの)(しの)びに()(まう)
017真心(まごころ)()めて(いの)()
018(とき)しもあれや薄暗(うすやみ)
019ぼかしてヌツと(あら)はれし
020白髪(はくはつ)異様(いやう)物影(ものかげ)
021(ほこら)(まへ)悠々(いういう)
022(ちか)より(きた)(おごそ)かに
023(こゑ)(しづ)めて()ぐるやう
024(われ)(たふと)三五(あななひ)
025(みづ)(はしら)(きこ)えたる
026(かむ)素盞嗚(すさのを)(みこと)ぞや
027(なんぢ)(いへ)(むかし)より
028スガの(みなと)(かく)れなき
029百万(ひやくまん)長者(ちやうじや)(きこ)えたる
030(よろづ)(たみ)怨府(ゑんぷ)ぞや
031その(つみ)(いま)(むく)()
032(なんぢ)(はは)逸早(いちはや)
033この()(なか)()(かく)
034()山里(やまざと)(すく)はれて
035(ほそ)(けむり)()(なが)
036尼僧(にそう)生活(せいくわつ)(いとな)みつ
037(なんぢ)(いへ)冥福(めいふく)
038(いの)()るこそ(あは)れなる
039しかのみならず()(ちち)
040アリスは(いま)重病(ぢうびやう)
041(かか)りて生命(せいめい)危篤(きとく)なり
042()難関(なんくわん)(つつが)なく
043()()けなむと(おも)ふなら
044(われ)(をしへ)(したが)ひて
045大谷山(おほたにやま)谷間(たにあひ)
046神代(かみよ)(むかし)(くだ)()
047(さか)えの(かみ)(おん)(まへ)
048一日(ひとひ)(はや)(まう)()
049(われ)(なんぢ)案内(あない)して
050人目(ひとめ)(しの)(よる)(みち)
051(たす)()かなむダリヤ(ひめ)
052(いらへ)如何(いかに)』と(おごそ)かに
053()ればダリヤは(くび)(かた)
054(あや)しみ(なが)言葉(ことば)なく
055思案(しあん)にくれて()たりしが
056パツと(かがや)()(ひかり)
057ハツと(おどろ)(なが)むれば
058(また)もや火影(ほかげ)はパツと()
059()不思議(ふしぎ)なる出来事(できごと)
060ダリヤの(こころ)(うご)きつつ
061(こころ)(さだ)めて(こた)へらく
062(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
063山王(さんわう)神社(じんじや)()化身(けしん)
064(わたし)にや(すこ)しも(わか)らねど
065人間離(にんげんばな)れのしたお(かた)
066仮令(たとへ)鬼神(きしん)であらうとも
067()かる妙術(めうじゆつ)ある(うへ)
068如何(いか)なる(ねがひ)もスクスクに
069(かな)はせ(たま)(こと)ならむ
070(おん)()(あと)(したが)ひて
071何処(どこ)々々(どこ)(まで)(まゐ)りませう
072(みちび)(たま)へ』と()(あは)
073(かむ)素盞嗚(すさのを)大神(おほかみ)
074()けたる妖僧(えうそう)はオーラ(さん)
075岩窟(いはや)(なか)立籠(たてこも)
076善男(ぜんなん)善女(ぜんによ)(あざむ)きて
077謀反(むほん)(たく)みし玄真坊(げんしんばう)
078偽天帝(にせてんてい)化身(けしん)なる
079(にせ)救主(きうしゆ)()れの(はて)
080山子(やまこ)坊主(ばうず)()られたり
081玄真坊(げんしんばう)(むね)(うち)
082雀躍(こをど)りし(なが)言霊(ことたま)
083いと荘重(さうちよう)()らすらく
084善哉(ぜんざい)々々(ぜんざい)ダリヤ(ひめ)
085(なんぢ)(はは)三年前(みとせまへ)
086この()(すで)()りし(ごと)
087(おも)()れども()にあらず
088(わが)眷族(けんぞく)(つか)はして
089墓場(はかば)(つち)()(いだ)
090甦生(よみがへ)らせて山奥(やまおく)
091(いほり)(むす)(かく)しあり
092()第一(だいいち)()(はは)
093面会(めんくわい)させた(その)(うへ)
094(なんぢ)(ちち)重病(ぢうびやう)
095(すく)はむ(ため)(わが)仕組(しぐみ)
096(したが)(きた)れと()(なが)
097(やみ)山道(やまみち)スタスタと
098ダリヤの(ひめ)()()いて
099人跡(じんせき)(まれ)なる大野原(おほのはら)
100(あや)しき(こゑ)(しぼ)りつつ
101般若(はんにや)心経(しんぎやう)波羅蜜(はらみつ)(きやう)
102普門品(ふもんぼん)(まで)(とな)へつつ
103タラハン城下(じやうか)をさして()く。
104 ダリヤ(ひめ)稀代(きたい)売僧(まいす)105オーラ(さん)悪党(あくたう)玄真坊(げんしんばう)とは(ゆめ)にも()らず、106(わが)(いへ)にヨリコ(ひめ)107花香(はなか)逗留(とうりう)()(こと)(わす)れて(しま)ひ、108()んだと(おも)うた母上(ははうへ)は、109(ある)山奥(やまおく)()きて()ますと()きしより虚実(きよじつ)調(しら)ぶる余裕(よゆう)もなく、110(この)妖僧(えうそう)(かむ)素盞嗚(すさのを)(かみ)化身(けしん)(ふか)(しん)じて、111夜陰(やいん)にまぎれタラハン城下(じやうか)()して()()たのである。112玄真坊(げんしんばう)(くち)から出任(でまか)せの(こと)()つて(うはさ)(たか)薬屋(くすりや)(むすめ)(この)美人(びじん)を、1121うまく、113ちよろまかして自分(じぶん)(なび)かせ女房(にようばう)()()かば、114百万(ひやくまん)長者(ちやうじや)財産(ざいさん)二人(ふたり)(あに)はあつても、115そこは(なん)とか、116(かん)とか文句(もんく)をつけ、117自分(じぶん)一人(ひとり)のものにせむと(いろ)(よく)との二道(ふたみち)かけ、118此処(ここ)(まで)つり()して()るは()たものの、119さて何処(いづこ)()れて()かうか……と(こころ)(うち)(なや)んでゐた。
120 タラハン(がは)(きし)沿()ひたる常磐木(ときはぎ)の、121かなり(ひろ)森林(しんりん)がある。122(この)森林(しんりん)一方(いつぱう)川辺(かはべ)(こと)とて、123千畳敷(せんでふじき)(いは)(なら)んで()た。124二人(ふたり)(この)(いは)(うへ)()()め、125(かは)(なが)れを(なが)(なが)休息(きうそく)した。
126ダリヤ『モシ、127大神(おほかみ)化身(けしん)(さま)128(はは)()りまする(やま)はどの方面(はうめん)御座(ござ)いますか、129一寸(ちよつと)()らせ(くだ)さいませ』
130玄真(げんしん)『ウンウンヨシヨシ、131エー……コーツト……、1311あの(みね)がエー高満山(たかみつやま)132それから、133その(むか)ふが、134エー岸山(きしやま)135川並山(かはなみやま)136エー、137その(むか)ふがタニグク(やま)138ウンあのタニグク(やま)一寸(ちよつと)(うしろ)に、139コバルト(いろ)(かす)んで()(みね)()えるだらう。140あれが大谷山(おほたにやま)()つて、141あの(ふもと)に、142(なん)でエー、143(おまへ)のお(かあ)さまが()られるのだ。144そして、145其処(そこ)(さか)えの(かみ)(さま)(ほこら)がある。146その(かみ)(さま)(ねがひ)(ごと)(なん)でも()いて(くだ)さるのだ。147(いま)其処(そこ)案内(あんない)しようが、148何分(なにぶん)(みち)(わる)いから、149(まへ)難渋(なんじふ)すると(おも)つて、150(やす)(やす)()(こと)にしたのだ』
151ダリ『(なん)とマア(たか)(やま)御座(ござ)いますこと、152まだ彼処(あこ)(まで)大分(だいぶん)道程(みちのり)御座(ござ)いませうね』
153(げん)『さうだ、154一寸(ちよつと)三十(さんじふ)()(ばか)りあるだらう、155(をんな)足弱(あしよわ)()れて()くのだから156()三日(みつか)はかかる(こと)(おも)はねばならぬ』
157ダリ『アヽ左様(さやう)御座(ござ)いますか、158仮令(たとへ)三日(みつか)十日(とをか)(ぐらゐ)かかつてもお(かあ)さまに()へたり、159(とう)さまの病気(びやうき)()えましたら一寸(ちよつと)(いと)ひませぬ。160どうかお(ねがひ)(まを)します』
161(げん)『これ、162ダリヤさま、163(まへ)(わし)本当(ほんたう)(かみ)化身(けしん)(おも)つてゐるか、164それとも売僧(まいす)坊主(ばうず)だと(おも)つて()るか、165本当(ほんたう)(こと)()かして(もら)()いものだな』
166ダリ『ハイ、167大神(おほかみ)(さま)()化身(けしん)にしてはチツト(ばか)り……()(まを)すとすみませぬが、168(かる)いやうでもあり、169俗人(ぞくじん)にしては(すべ)ての(てん)(ひい)でて御座(ござ)るなり、170山子(やまこ)坊主(ばうず)では到底(たうてい)出来(でき)ない妙術(めうじゆつ)()つて御座(ござ)るなり、171とても(わらは)(ごと)凡眼(ぼんがん)では(りう)片鱗(へんりん)でも(つか)(こと)出来(でき)ませぬ。172仮令(たとへ)山子(やまこ)坊主(ばうず)にした(ところ)で、173暗夜(やみよ)(からだ)から(ひかり)()したり、174四辺(あたり)(かがや)かしたりなさる()神徳(しんとく)()つたお(かた)(ゆゑ)175言葉(ことば)(したが)つて()けばキツト(のぞ)みを(かな)へて(くだ)さるだらうと(しん)じまして、176()案内(あんない)(ねが)つたので御座(ござ)います』
177(げん)『ハハア、1771成程(なるほど)178其方(そなた)余程(よほど)才媛(さいゑん)だ。179拙者(せつしや)(かみ)化身(けしん)(しん)じて()いて()たのならば、180一向(いつかう)面白(おもしろ)くないが、181仮令(たとへ)山子(やまこ)坊主(ばうず)にもせよ、182不思議(ふしぎ)(じゆつ)()つて()(その)(てん)憧憬(どうけい)して、183()いて()たとあれや益々(ますます)(たの)もしい。184それぢや(ひと)(なに)()打明(ぶちあ)けて()ふが、185拙僧(せつそう)こそは天帝(てんてい)化身(けしん)186天来(てんらい)救世主(きうせいしゆ)187天下一(てんかいち)名僧(めいそう)知識(ちしき)自称(じしよう)する智謀(ちぼう)絶倫(ぜつりん)英僧(えいそう)だ、188(いや)マハトマの聖雄(せいゆう)だ、189どうぢやダリヤ姫殿(ひめどの)190(おどろ)いたであらうなア』
191ダリ『ホツホヽヽ、192まるつきり、193オーラ(さん)玄真坊(げんしんばう)()たいなお(かた)ですな』
194(げん)『オーサ、195さうぢや、196拙僧(せつそう)こそはオーラの(やま)年古(としふる)()大天狗(だいてんぐ)化身(けしん)197玄真坊(げんしんばう)御座(ござ)るぞや』
198ダリ『ホツホヽヽ、199(なん)とマア、200えらい馬力(ばりき)ですこと、201大変(たいへん)なメートルが(あが)つてゐますよ。202さうすると玄真(げんしん)さま、203(まへ)美人(びじん)()れば岩窟(いはや)引張(ひつぱ)()んで、204否応(いやおう)()しに獣欲(じうよく)()げる淫乱(いんらん)上人(しやうにん)でせう。205母上(ははうへ)()はしてやらうなんて、206うまく(わらは)(だま)かし、207何処(どつか)岩窟(いはや)()()算段(さんだん)でせうがなア。208もうこれから御免(ごめん)(かうむ)ります。209仮令(たとへ)(からす)にこつかせても売僧(まいす)坊主(ばうず)さまにやこつかせませぬワ。210エー、211マー、2111マア212(ひと)馬鹿(ばか)にして(くだ)さつた。213今時(いまどき)(をんな)に、214そんな(いつは)りを()馬鹿(ばか)御座(ござ)いませぬよ。215口惜(くや)しいと思召(おぼしめ)すなら、216()なつと()んで()になさい、217左様(さやう)なら』
218捨台詞(すてぜりふ)(のこ)()()さむとした。219玄真坊(げんしんばう)は、220ヒユーヒユーと口笛(くちぶえ)三四回(さんしくわい)()くや(いな)や、221七八(しちはち)(にん)覆面(ふくめん)した荒男(あらをとこ)222(もり)(しげ)みより(あら)はれ(きた)り、223()とり(あし)とり否応(いやおう)()はさず、224玄真坊(げんしんばう)(とも)野中(のなか)(みち)をトントンと、225タニグク(やま)方面(はうめん)目蒐(めが)けて(かつ)()く。この話の続きは第67巻第14章へ戻る。
226 スガの(みなと)のアリスの(うち)では、227ダリヤ(ひめ)山王(さんわう)(もり)夜中(やちう)参拝(さんぱい)した()り、228夜明(よあ)けになつても(かへ)つて()ないので、229門番(もんばん)のアル、230エスに(めい)じスガの(やま)()()(くま)なく捜索(そうさく)せしめたが、231何程(いくら)(さが)しても、232(かげ)(かたち)()えぬのに(ちから)(おと)し、233その()()(くれ)(ごろ)234(あを)(かほ)して(かへ)つて()た。235(あに)のイルクはこんな(こと)重病(ぢうびやう)(ちち)()かしては益々(ますます)(やまひ)(おも)(ばか)りと236召使(めしつかひ)(ども)によく()()かせ、237病父(びやうふ)のアリスにはダリヤ(ひめ)(こと)(すこ)しも(はな)さない(こと)口止(くちど)めをして(しま)つた。238イルクはヨリコ(ひめ)239花香姫(はなかひめ)居間(ゐま)(たづ)ね、
240『モシ、241ヨリコ(ひめ)(さま)242最早(もう)(やす)みで御座(ござ)いますか、243夜分(やぶん)(おそ)()邪魔(じやま)(いた)しますが』
244(うかが)へば(なか)より、245(やさ)しきヨリコ(ひめ)(こゑ)
246『ハイ、247()(やす)んで()りませぬ。248さう()(こゑ)はイルクさまで御座(ござ)いますか、249まづまづお這入(はい)(くだ)さいませ。250(いもうと)宣伝(せんでん)草臥(くたぶれ)(すで)(やす)んで()りますが、251(かま)ひなくお這入(はい)(くだ)さいませ』
252イルク『ハイ、253有難(ありがた)う、254(しか)らば御免(ごめん)(かうむ)ります。255エー突然(とつぜん)ながら、256一寸(ちよつと)智慧(ちゑ)()して(もら)ひに(まゐ)りました。257()ふのは(ほか)でも御座(ござ)いませぬ、258(いもうと)のダリヤ(ひめ)昨夜半(さくよなか)(ごろ)259(ちち)重病(ぢうびやう)()にして、260スガ(やま)山王(さんわう)(ほこら)参拝(さんぱい)(いた)しました()り、261今朝(けさ)になつても(かへ)()ず、262(わたくし)非常(ひじやう)心配(しんぱい)(いた)しまして門番(もんばん)のアル、263エスを(つか)はし、264山中(さんちう)(くま)なく捜索(さうさく)をさせましたが、265()べど(さけ)べど(なん)音沙汰(おとさた)もなしの(つぶて)266()暮頃(くれごろ)(ちから)なげに(かへ)つて(まゐ)りました。267()しや悪者(わるもの)にでも(かどはか)されたのぢや御座(ござ)いますまいかなア』
268ヨ『ヤ、269(はじ)めて(うけたまは)(じつ)(おどろ)きました、270さぞさぞ()心配(しんぱい)御座(ござ)いませう。271(わらは)()霊眼(れいがん)(ひら)けて()りませぬので、272()うの、273()うのと()ふお指図(さしづ)出来(でき)ませぬが、274コレヤ、275キツト(わる)(やつ)(たぶらか)され、276何処(どつか)山奥(やまおく)()れて()かれたのでせう。277(しか)(なが)ら、2771(かなら)()心配(しんぱい)なさいますな、278(かみ)(さま)のお守護(まもり)ある以上(いじやう)滅多(めつた)(こと)はありませぬからなア』
279イ『左様(さやう)御座(ござ)いませうかね、280折角(せつかく)梅公別(うめこうわけ)宣伝使(せんでんし)(さま)(たす)けられたと(おも)へば、281(また)悪者(わるもの)(さらは)れるとは、282よくよく(うん)(わる)(いもうと)御座(ござ)います』
283男泣(をとこな)きに()く。284(いま)(まで)スヤスヤ(ねむ)つて()花香(はなか)はフツと()()まし、
285『アヽ(ねえ)さまですか、286いやイルク(さま)287ようお()でなさいませ。288貴方(あなた)のお()ましとも()らずウツカリと()(しま)ひまして、289エライ失礼(しつれい)(いた)しました。290ダリヤ(ひめ)さまの行衛(ゆくゑ)(つい)て、291()相談(さうだん)して()られますやうですが、292(かなら)()心配(しんぱい)なさいますな。293ダリヤ(さま)屹度(きつと)()(げつ)(のち)にはお(かへ)りになります。294(わたし)(いま)(ゆめ)()ましたが、295あのオーラ(さん)立籠(たてこも)つて()つた玄真坊(げんしんばう)(かどはか)され、296何処(どこ)かの山奥(やまおく)()()かれ、297玄真坊(げんしんばう)自分(じぶん)女房(にようばう)にしようとして、298いろいろと(ほね)()つて()りますが、299ダリヤ(ひめ)(さま)(けつ)して(かれ)(けが)され(たま)ふやうな(こと)なく、300立派(りつぱ)(ひと)(おく)られてお(かへ)りになつた(ゆめ)()ました』
301イル『ヤア、302そのお(ゆめ)はキツト正夢(まさゆめ)御座(ござ)いませう、303六十(ろくじふ)(にち)()へば(なが)いやうですが、3031()ぐに()ちます。304どうか其時(それ)(まで)(ちち)()きて()つてくれれば(よろ)しいがな』
305ヨリ『一切(いつさい)(かみ)(さま)(まか)したお父上(ちちうへ)306仮令(たとへ)()病気(びやうき)でもお(いのち)別条(べつでう)御座(ござ)いませぬ。307(みや)普請(ふしん)立派(りつぱ)出来上(できあ)がつた(うへ)に、308ダリヤ(ひめ)さまはお(かへ)り、309父上(ちちうへ)()本復(ほんぷく)()(こと)になるでせう。310(みや)出来上(できあが)りとダリヤさまのお(かへ)りとお父上(ちちうへ)()全快(ぜんくわい)と「目出度(めでた)目出度(めでた)()(かさ)なつて(つる)御門(ごもん)()をかける」と()瑞祥(ずゐしやう)がやがて(まゐ)りませう。311何事(なにごと)(かみ)(さま)にお(まか)せして時節(じせつ)をお()(くだ)さいませ』
312 イルクは、
313『ハイ、314有難(ありがた)う、315夜分(やぶん)にお邪魔(じやま)(いた)しました、316何分(なにぶん)(よろ)しうお(ねがひ)(まを)します』
317(わが)居室(ゐま)さして(かへ)()く。
318大正一五・六・三〇 旧五・二一 於天之橋立なかや旅館 北村隆光録)
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki