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第73巻(子の巻)
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第75巻(寅の巻)
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第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第72巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 水波洋妖
01 老の高砂
〔1810〕
02 時化の湖
〔1811〕
03 厳の欵乃
〔1812〕
04 銀杏姫
〔1813〕
05 蛸船
〔1814〕
06 夜鷹姫
〔1815〕
07 鰹の網引
〔1816〕
第2篇 杢迂拙婦
08 街宣
〔1817〕
09 欠恋坊
〔1818〕
10 清の歌
〔1819〕
11 問答所
〔1820〕
12 懺悔の生活
〔1821〕
13 捨台演
〔1822〕
14 新宅入
〔1823〕
15 災会
〔1824〕
16 東西奔走
〔1825〕
第3篇 転化退閉
17 六樫問答
〔1826〕
18 法城渡
〔1827〕
19 旧場皈
〔1828〕
20 九官鳥
〔1829〕
21 大会合
〔1830〕
22 妖魅帰
〔1831〕
筑紫潟
余白歌
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> 第3篇 転化退閉 > 第22章 妖魅帰
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第二二章
妖魅
(
よみ
)
帰
(
がへり
)
〔一八三一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第72巻 山河草木 亥の巻
篇:
第3篇 転化退閉
よみ(新仮名遣い):
てんかたいへい
章:
第22章 妖魅帰
よみ(新仮名遣い):
よみがえり
通し章番号:
1831
口述日:
1926(大正15)年07月01日(旧05月22日)
口述場所:
天之橋立なかや別館
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1929(昭和4)年4月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7222
愛善世界社版:
270頁
八幡書店版:
第12輯 699頁
修補版:
校定版:
283頁
普及版:
108頁
初版:
ページ備考:
001
スガの
宮
(
みや
)
の
神司
(
かむつかさ
)
玉清別
(
たまきよわけ
)
を
初
(
はじ
)
め、
002
天人
(
てんによ
)
のやうな
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
美人
(
びじん
)
が
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
と
問答
(
もんだふ
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
003
放逐
(
はうちく
)
されたと
云
(
い
)
ふ
評判
(
ひやうばん
)
が、
004
スガの
町
(
まち
)
を
初
(
はじ
)
め
近在
(
きんざい
)
近郷
(
きんがう
)
迄
(
まで
)
電
(
いなづま
)
の
如
(
ごと
)
く
俄
(
にはか
)
に
拡
(
ひろ
)
がつて
了
(
しま
)
つた。
005
それ
故
(
ゆゑ
)
スガの
神館
(
かむやかた
)
は
押
(
おす
)
な
押
(
おす
)
なの
大繁昌
(
だいはんじやう
)
、
006
立錐
(
りつすゐ
)
の
余地
(
よち
)
なき
迄
(
まで
)
参詣者
(
さんけいしや
)
が
集
(
あつ
)
まつて
来
(
き
)
た。
007
宗教
(
しうけう
)
問答所
(
もんだふどころ
)
の
看板
(
かんばん
)
は
矢張
(
やは
)
り
以前
(
いぜん
)
のまま
掲
(
かか
)
げられ、
008
唯
(
ただ
)
違
(
ちが
)
つた
所
(
ところ
)
はヨリコ
姫
(
ひめ
)
の
名
(
な
)
が
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
と
書
(
か
)
き
替
(
か
)
へられた
許
(
ばかり
)
である。
009
智仁勇
(
ちじんゆう
)
の
三徳
(
さんとく
)
を
備
(
そな
)
へたと
許
(
ばか
)
り
町人
(
まちびと
)
の
評判
(
ひやうばん
)
になつて
居
(
ゐ
)
たヨリコ
姫
(
ひめ
)
を、
010
説
(
と
)
き
伏
(
ふ
)
せるやうな
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
は、
011
どんな
偉
(
えら
)
い
奴
(
やつ
)
かも
知
(
し
)
れないと
云
(
い
)
ふので、
012
看板
(
かんばん
)
はあつても
問答
(
もんだふ
)
せうと
云
(
い
)
ふものは
一人
(
ひとり
)
もなかつた。
013
妖幻坊
(
えうげんばう
)
は
例
(
れい
)
の
如
(
ごと
)
く
離棟
(
はなれ
)
の
室
(
ま
)
に
固
(
かた
)
く
錠
(
ぢやう
)
を
卸
(
おろ
)
して
昼
(
ひる
)
の
中
(
うち
)
は
眠
(
ねむ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
014
コオロ、
015
コブライの
二人
(
ふたり
)
は
偵察隊
(
ていさつたい
)
として
朝
(
あさ
)
未明
(
まだき
)
より
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り
玄関
(
げんくわん
)
に
立
(
た
)
ち
塞
(
ふさが
)
り、
016
「
頼
(
たの
)
まう
頼
(
たの
)
まう」と
呼
(
よば
)
はれば、
017
悠然
(
いうぜん
)
として
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
る
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
は、
018
『
玄関
(
げんくわん
)
に
頼
(
たの
)
むと
声
(
こゑ
)
をかけゐるは
019
誰
(
たれ
)
が
命
(
みこと
)
か
聞
(
き
)
かまほしさよ』
020
コオ『
吾
(
われ
)
こそはスガのお
宮
(
みや
)
に
詣
(
まう
)
で
来
(
き
)
て
021
看板
(
かんばん
)
を
見
(
み
)
て
問答
(
もんだふ
)
せむと
思
(
おも
)
ふ』
022
コブ『
吾
(
われ
)
とても
宗教
(
しうけう
)
問答所
(
もんだふしよ
)
の
看板
(
かんばん
)
を
023
見
(
み
)
て
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
ち
君
(
きみ
)
を
訪
(
と
)
ひけり』
024
高
(
たか
)
『
面白
(
おもしろ
)
し
睡
(
ねむ
)
けさましに
汝
(
なれ
)
二人
(
ふたり
)
025
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
に
薙
(
な
)
ぎふせて
見
(
み
)
む』
026
コオ『
偉
(
えら
)
さうに
仰有
(
おつしや
)
りますな
照月
(
てるつき
)
に
027
黒雲
(
くろくも
)
かかるためしこそあれ』
028
コ『
如何
(
いか
)
ほどに
智慧
(
ちゑ
)
さかしとも
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
029
太
(
いか
)
い
男
(
をとこ
)
に
勝
(
か
)
ち
得
(
う
)
べきかは』
030
高
(
たか
)
『
男
(
をとこ
)
てふ
衣
(
ころも
)
被
(
かぶ
)
りしこけ
女
(
をんな
)
031
なにかはあらむ
一時
(
いちとき
)
に
来
(
こ
)
よ』
032
コオ『
今
(
いま
)
暫
(
しば
)
し
待
(
ま
)
つて
御座
(
ござ
)
れよ
眩
(
めま
)
ひする
033
やうな
珍事
(
ちんじ
)
が
突発
(
とつぱつ
)
するぞや』
034
コ『
何
(
なん
)
なりと
吐
(
ほざ
)
いてござれ
今
(
いま
)
暫
(
しば
)
し
035
汝
(
な
)
が
断末魔
(
だんまつま
)
近
(
ちか
)
くありせば』
036
高
(
たか
)
『
見
(
み
)
る
影
(
かげ
)
もなき
木
(
こ
)
わつ
葉
(
ぱ
)
が
玄関
(
げんくわん
)
に
037
立
(
た
)
ちてたはごと
吐
(
ほざ
)
くをかしさ』
038
コオ『
高姫
(
たかひめ
)
よ
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
てよ
汝
(
なれ
)
こそは
039
見
(
み
)
る
影
(
かげ
)
もなきやうにしてやる』
040
コ『
偉
(
えら
)
さうに
云
(
い
)
つても
一寸先
(
いつすんさき
)
見
(
み
)
えぬ
041
曲津
(
まがつ
)
の
盲
(
めくら
)
哀
(
あは
)
れなるかな』
042
高
(
たか
)
『
朝
(
あさ
)
早
(
はや
)
く
神
(
かみ
)
の
館
(
やかた
)
に
乗
(
のり
)
込
(
こ
)
んで
043
縁起
(
えんぎ
)
の
悪
(
わる
)
い
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
くなよ』
044
コオ『
己
(
おの
)
が
尻
(
しり
)
つめつて
人
(
ひと
)
の
痛
(
いた
)
さをば
045
知
(
し
)
らぬ
愚
(
おろか
)
者
(
もの
)
あはれなりけり』
046
コ『
身
(
み
)
も
魂
(
たま
)
も
痺
(
しび
)
れ
果
(
は
)
てたる
曲津身
(
まがつみ
)
は
047
刃
(
やいば
)
にさすも
耐
(
こた
)
へざるらむ』
048
高
(
たか
)
『
訳
(
わけ
)
もなき
事
(
こと
)
をベラベラ
吐
(
ほざ
)
くより
049
便所
(
べんじよ
)
の
掃除
(
さうぢ
)
なりとせよかし』
050
コオ『スガ
山
(
やま
)
の
塵
(
ちり
)
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ふ
大掃除
(
おほさうぢ
)
051
日
(
ひ
)
のある
中
(
うち
)
に
初
(
はじ
)
めて
呉
(
く
)
れむ』
052
コ『
神々
(
かみがみ
)
がいよいよ
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
053
狸
(
たぬき
)
の
尻尾
(
しつぽ
)
露
(
あら
)
はして
見
(
み
)
む』
054
高
(
たか
)
『
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふ
狐
(
きつね
)
狸
(
たぬき
)
の
身魂
(
みたま
)
奴
(
め
)
が
055
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
前
(
まへ
)
恐
(
おそ
)
れぬか』
056
コオ『
間男
(
まをとこ
)
か
真
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
か
知
(
し
)
らねども
057
どこやら
臭
(
くさ
)
い
糞
(
くそ
)
の
香
(
か
)
ぞする』
058
コ『
臭
(
くさ
)
い
筈
(
はず
)
千草
(
ちくさ
)
の
姫
(
ひめ
)
と
云
(
い
)
ふぢやないか
059
鼻高姫
(
はなたかひめ
)
よ
鼻
(
はな
)
を
折
(
を
)
られな』
060
高
(
たか
)
『
吾
(
われ
)
こそは
高天原
(
たかあまはら
)
より
下
(
くだ
)
りしゆ
061
名
(
な
)
を
高姫
(
たかひめ
)
と
云
(
い
)
ふぞ
尊
(
たふと
)
き』
062
コオ『
何
(
なに
)
吐
(
ぬか
)
す
訳
(
わけ
)
も
知
(
し
)
らずに
偉
(
えら
)
さうに
063
頬桁
(
ほほげた
)
たたく
事
(
こと
)
のをかしさ』
064
コ『この
女郎
(
めらう
)
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
妖怪
(
えうくわい
)
に
065
現
(
うつつ
)
をぬかす
馬鹿
(
ばか
)
女
(
をんな
)
かも』
066
高
(
たか
)
『やかましい
玄関先
(
げんくわんさき
)
でつべこべと
067
恥
(
はぢ
)
を
知
(
し
)
らぬか
木
(
こ
)
わつ
葉武者
(
ぱむしや
)
共
(
ども
)
。
068
神館
(
かむやかた
)
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
奴
(
やつ
)
が
来
(
き
)
て
069
吾
(
わが
)
魂
(
たましひ
)
を
汚
(
け
)
がさむとぞする』
070
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
らスタスタと
踵
(
きびす
)
を
返
(
かへ
)
し
奥
(
おく
)
に
入
(
い
)
る。
071
コオ『これや
女
(
をんな
)
俺
(
おれ
)
が
怖
(
こは
)
くて
逃
(
に
)
げるのか
072
どこどこ
迄
(
まで
)
も
追
(
お
)
つて
往
(
ゆ
)
くぞや』
073
コ『
面白
(
おもしろ
)
い とうと
尻尾
(
しつぽ
)
をまきやがつた
074
奥
(
おく
)
の
一室
(
ひとま
)
にふるて
居
(
ゐ
)
るだろ』
075
二人
(
ふたり
)
は
執念深
(
しふねんぶか
)
くも
玄関
(
げんくわん
)
をつかつかと
上
(
あが
)
り、
076
問答席
(
もんだふせき
)
に
入
(
い
)
つて
見
(
み
)
ると
高姫
(
たかひめ
)
は
怪訝
(
けげん
)
な
顔
(
かほ
)
して
問答席
(
もんだふせき
)
に
控
(
ひか
)
へ
居
(
ゐ
)
しが、
077
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るより、
078
『どこ
迄
(
まで
)
も
礼儀
(
れいぎ
)
を
知
(
し
)
らぬ
馬鹿
(
ばか
)
男
(
をとこ
)
079
許
(
ゆる
)
しも
得
(
え
)
ずに
奥
(
おく
)
に
入
(
い
)
るとは』
080
コオ『
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
をば
知
(
し
)
らずして
081
図々
(
づうづう
)
しくも
聖地
(
せいち
)
に
居
(
ゐ
)
るとは。
082
魂消
(
たまげ
)
たよおつ
魂消
(
たまげ
)
たよ
千草姫
(
ちぐさひめ
)
083
見
(
み
)
ると
聞
(
き
)
くとは
大違
(
おほちが
)
ひなる』
084
高
(
たか
)
『
何
(
なん
)
なりと
勝手
(
かつて
)
な
熱
(
ねつ
)
を
吹
(
ふ
)
くがよい
085
分
(
わか
)
らぬ
奴
(
やつ
)
は
相手
(
あひて
)
にはせぬ』
086
コオ『
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
云
(
い
)
うて
逃
(
に
)
げるか
千草姫
(
ちぐさひめ
)
087
どこどこ
迄
(
まで
)
も
調
(
しら
)
べにやおかぬ』
088
コ『
今日
(
けふ
)
の
中
(
うち
)
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
正体
(
しやうたい
)
を
089
現
(
あら
)
はし
呉
(
く
)
れむあら
頼
(
たの
)
もしや』
090
高
(
たか
)
『
奴
(
やつこ
)
共
(
ども
)
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
れよ
神館
(
かむやかた
)
091
汚
(
けが
)
せば
神
(
かみ
)
の
冥罰
(
めいばつ
)
うけむ』
092
コオ『
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
云
(
い
)
うておどすか
千草姫
(
ちぐさひめ
)
093
尻
(
けつ
)
があきれる
雪隠
(
せんち
)
がおどる』
094
コ『
糞婆
(
くそばば
)
の
癖
(
くせ
)
にお
白粉
(
しろい
)
べつたりと
095
化
(
ば
)
けて
居
(
ゐ
)
やがる
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
奴
(
め
)
』
096
高
(
たか
)
『
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
は
館
(
やかた
)
を
汚
(
けが
)
しに
来
(
き
)
たのだろ
097
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
臭
(
くさ
)
い
香
(
か
)
がする』
098
コ『
知
(
し
)
れた
事
(
こと
)
道場破
(
だうぢやうやぶ
)
りをおつ
初
(
ぱじ
)
め
099
尻尾
(
しつぽ
)
出
(
だ
)
すまで
戦
(
たたか
)
ひ
止
(
や
)
めぬ』
100
高
(
たか
)
『
是
(
これ
)
はまた
困
(
こま
)
つた
奴
(
やつ
)
が
来
(
き
)
たものだ
101
青大将
(
あをだいしやう
)
奴
(
め
)
線香
(
せんかう
)
立
(
た
)
てよか』
102
コオ『
蛇
(
くちなは
)
が
蛙
(
かはづ
)
狙
(
ねら
)
つた
時
(
とき
)
の
如
(
ごと
)
く
103
呑
(
の
)
んで
仕舞
(
しま
)
はにや
帰
(
かへ
)
りやせないぞ』
104
コ『
山鳩
(
やまばと
)
が
豆鉄砲
(
まめでつぱう
)
を
食
(
く
)
つたよな
105
面
(
つら
)
してふるふ
高姫
(
たかひめ
)
をかし』
106
高
(
たか
)
『
何
(
なん
)
なりと
悪口
(
あくこう
)
雑言
(
ざふごん
)
つくがよい
107
言霊
(
ことたま
)
幸
(
さち
)
はふ
国
(
くに
)
と
知
(
し
)
らずに』
108
コオ『
言霊
(
ことたま
)
の
幸
(
さちは
)
ふ
国
(
くに
)
と
知
(
し
)
ればこそ
109
悪
(
あく
)
の
言霊
(
ことたま
)
打
(
う
)
ちやぶるなり』
110
コ『
言霊
(
ことたま
)
を
打
(
う
)
ち
出
(
いだ
)
しつつ
高姫
(
たかひめ
)
の
111
醜
(
しこ
)
の
肝玉
(
きもだま
)
うち
抜
(
ぬ
)
きて
見
(
み
)
む』
112
高
(
たか
)
『
笑
(
わら
)
はせる
線香
(
せんかう
)
のやうな
腕
(
うで
)
をして
113
打
(
う
)
つも
打
(
う
)
たぬもあつたものかい』
114
コオ『なかなかに
俺
(
おれ
)
は
容赦
(
ようしや
)
は
線香
(
せんかう
)
の
115
煙
(
けぶり
)
となつて
燻
(
くす
)
べてやらう』
116
コ『
煙
(
けむ
)
たげな
顔
(
かほ
)
して
慄
(
ふる
)
ふ
千草姫
(
ちぐさひめ
)
117
灸
(
やいと
)
すゑられ
汗
(
あせ
)
をぶるぶる』
118
高
(
たか
)
『
胡麻
(
ごま
)
の
蠅
(
はへ
)
見
(
み
)
たよな
奴
(
やつ
)
がやつて
来
(
き
)
て
119
酒手
(
さかて
)
貰
(
もら
)
をうと
息
(
いき
)
まいて
居
(
ゐ
)
る』
120
コオ『
汝
(
なれ
)
こそは
逆手
(
さかて
)
使
(
つか
)
うて
聖場
(
せいぢやう
)
を
121
奪
(
うば
)
い
取
(
と
)
つたる
曲者
(
くせもの
)
ぞかし』
122
コ『
逆
(
さか
)
さまになつて
謝
(
ことわ
)
る
所
(
ところ
)
まで
123
動
(
うご
)
きはせぬぞ
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
は』
124
高
(
たか
)
『
此
(
この
)
やうな
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
代物
(
しろもの
)
に
125
問答
(
もんだふ
)
するのは
嫌
(
いや
)
になつたり』
126
コオ『
否応
(
いやおう
)
を
云
(
い
)
はさず
館
(
やかた
)
につめかけて
127
荒肝
(
あらぎも
)
取
(
と
)
らねば
帰
(
かへ
)
るものかい』
128
コブ『それやさうぢやコオロお
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り
129
膏
(
あぶら
)
を
取
(
と
)
つて
誡
(
いまし
)
めてやらう』
130
高
(
たか
)
『
油虫
(
あぶらむし
)
朝
(
あさ
)
も
早
(
はよ
)
から
這
(
は
)
うて
来
(
き
)
て
131
神
(
かみ
)
の
燈明
(
とうみやう
)
消
(
け
)
さむとぞする』
132
コオ『お
前
(
まへ
)
こそ
神
(
かみ
)
の
燈明
(
とうみやう
)
消
(
け
)
す
奴
(
やつ
)
よ
133
暗
(
くら
)
い
心
(
こころ
)
の
醜神司
(
しこかむつかさ
)
』
134
コ『
此
(
この
)
やうな
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
妖婆
(
えうば
)
をば
135
相手
(
あひて
)
にせずにもう
去
(
い
)
のうかい』
136
高
(
たか
)
『これや
奴
(
やつこ
)
たうとう
往生
(
わうじやう
)
しよつたな
137
高姫
(
たかひめ
)
さまの
威勢
(
ゐせい
)
に
怖
(
お
)
ぢて』
138
コオ『もう
帰
(
い
)
のと
思
(
おも
)
へば
又
(
また
)
も
貴様
(
きさま
)
から
139
小言
(
こごと
)
云
(
い
)
ふ
故
(
ゆゑ
)
又
(
また
)
一戦
(
ひといくさ
)
せむ』
140
コ『
瓢箪
(
へうたん
)
で
鯰
(
なまづ
)
おさへるやうな
奴
(
やつ
)
141
いつ
迄
(
まで
)
居
(
ゐ
)
ても
果
(
はて
)
しあるまい』
142
高
(
たか
)
『そろそろと
奴
(
やつこ
)
が
弱音
(
よわね
)
吹
(
ふ
)
きかけた
143
智慧
(
ちゑ
)
の
袋
(
ふくろ
)
の
底
(
そこ
)
も
見
(
み
)
えたり』
144
コオ『
何
(
なに
)
吐
(
ぬ
)
かす
智慧
(
ちゑ
)
は
幾何
(
いくら
)
もあるけれど
145
受取
(
うけと
)
る
力
(
ちから
)
汝
(
なれ
)
にない
故
(
ゆゑ
)
』
146
コ『
相応
(
さうおう
)
の
道理
(
だうり
)
によつて
馬鹿者
(
ばかもの
)
には
147
馬鹿
(
ばか
)
を
云
(
い
)
ふより
道
(
みち
)
もなければ』
148
高
(
たか
)
『
負
(
ま
)
け
惜
(
をし
)
み
強
(
つよ
)
いと
云
(
い
)
つても
程
(
ほど
)
がある
149
餓鬼
(
がき
)
畜生
(
ちくしやう
)
さへ
呆
(
あき
)
れて
逃
(
に
)
げむ』
150
斯
(
か
)
く、
151
くだらぬ
掛合
(
かけあひ
)
をやつて
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
へ、
152
大勢
(
おほぜい
)
の
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
が
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
して
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
153
神前
(
しんぜん
)
に
奉
(
たてまつ
)
ると
称
(
しよう
)
し
山車
(
だし
)
を
曳
(
ひ
)
いて
登
(
のぼ
)
つて
来
(
く
)
る。
154
高姫
(
たかひめ
)
は
此
(
この
)
光景
(
くわうけい
)
を
見
(
み
)
て
鼻
(
はな
)
動
(
うご
)
めかし、
155
得意
(
とくい
)
満面
(
まんめん
)
の
体
(
てい
)
で
表
(
おもて
)
を
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
ると、
156
一昨日
(
おととひ
)
叩
(
たた
)
き
出
(
だ
)
したヨリコ
姫
(
ひめ
)
、
157
玉清別
(
たまきよわけ
)
、
158
花香
(
はなか
)
、
159
ダリヤ、
160
アル、
161
エス
及
(
および
)
イルク、
162
其
(
その
)
他
(
た
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
一行
(
いつかう
)
が、
163
美々
(
びび
)
しく
衣服
(
いふく
)
を
着
(
き
)
かざり、
164
鬱金
(
うこん
)
の
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
をしながら、
165
問答所
(
もんだふどころ
)
の
広庭
(
ひろには
)
へ
山車
(
だし
)
を
留
(
とど
)
め、
166
どやどやと
玄関口
(
げんくわんぐち
)
に
上
(
あが
)
り、
167
ヨリコ『これはこれは
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
168
一昨日
(
おととひ
)
は
妾
(
わらは
)
に
取
(
と
)
つて
終生
(
しうせい
)
忘
(
わす
)
るべからざる
結構
(
けつこう
)
な
御
(
ご
)
教訓
(
けうくん
)
を
賜
(
たま
)
はり、
169
翻然
(
ほんぜん
)
として
蓮
(
はちす
)
の
花
(
はな
)
の
開
(
ひら
)
くが
如
(
ごと
)
く、
170
天地
(
てんち
)
の
道理
(
だうり
)
を
悟
(
さと
)
らして
貰
(
もら
)
ひました。
171
汚
(
けが
)
れ
果
(
は
)
てたる
身
(
み
)
で
御座
(
ござ
)
いますがお
礼
(
れい
)
の
為
(
ため
)
、
172
この
通
(
とほ
)
り
山車
(
だし
)
に
供物
(
くもつ
)
まで
満載
(
まんさい
)
して
参
(
まゐ
)
りました。
173
花香
(
はなか
)
もダリヤもどうか
妾
(
わらは
)
から
宜
(
よろ
)
しく
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げて
呉
(
く
)
れとの
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
います』
174
高姫
(
たかひめ
)
は
傲然
(
がうぜん
)
として、
175
『
善哉
(
ぜんざい
)
々々
(
ぜんざい
)
、
176
改心
(
かいしん
)
が
何
(
なに
)
より
結構
(
けつこう
)
ですよ。
177
お
前
(
まへ
)
さまも
折角
(
せつかく
)
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
聖場
(
せいぢやう
)
を
造
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げ
178
おつ
放
(
ぽ
)
り
出
(
だ
)
されて、
179
嘸
(
さぞ
)
残念
(
ざんねん
)
で
御座
(
ござ
)
いませうが、
180
一旦
(
いつたん
)
創
(
きず
)
のついた
体
(
からだ
)
は
至粋
(
しすゐ
)
至純
(
しじゆん
)
な
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
は
出来
(
でき
)
ませぬから、
181
お
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
とは
思
(
おも
)
へ
共
(
ども
)
、
182
これも
前世
(
ぜんせ
)
の
因縁
(
いんねん
)
でせう』
183
ヨ『
重
(
かさ
)
ね
重
(
がさ
)
ねの
御
(
ご
)
教訓
(
けうくん
)
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
184
一寸
(
ちよつと
)
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
をお
尋
(
たづ
)
ね
申
(
まを
)
しますが
185
貴女
(
あなた
)
はこの
聖地
(
せいち
)
の
神司
(
かむつかさ
)
とおなり
遊
(
あそば
)
した
以上
(
いじやう
)
、
186
一点
(
いつてん
)
の
身
(
み
)
に
曇
(
くも
)
りは
御座
(
ござ
)
いますまいね』
187
高
(
たか
)
『お
尋
(
たづ
)
ねにも
及
(
およ
)
びますまいよ。
188
この
高姫
(
たかひめ
)
の
身
(
み
)
に
兎
(
う
)
の
毛
(
け
)
で
突
(
つ
)
いた
程
(
ほど
)
でも
悪事
(
あくじ
)
欠点
(
けつてん
)
があつたら、
189
此
(
この
)
聖地
(
せいち
)
に
安閑
(
あんかん
)
と
御用
(
ごよう
)
をして
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
190
それは
天地
(
てんち
)
の
規則
(
きそく
)
ですからねえ』
191
ヨ『
失礼
(
しつれい
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まをし
)
上
(
あげ
)
ますが、
192
人間
(
にんげん
)
と
云
(
い
)
ふものは
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らずに
罪
(
つみ
)
を
犯
(
をか
)
して
居
(
ゐ
)
るものです、
193
もし
貴女
(
あなた
)
に
欠点
(
けつてん
)
を
発見
(
はつけん
)
した
時
(
とき
)
は、
194
この
聖場
(
せいぢやう
)
をお
立
(
た
)
ち
退
(
の
)
き
遊
(
あそば
)
すでせうね』
195
高
(
たか
)
『
神
(
かみ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
二言
(
にごん
)
はありませぬ。
196
どうか
妾
(
わたし
)
の
素性
(
すじやう
)
に
欠点
(
けつてん
)
があるならお
調
(
しら
)
べ
下
(
くだ
)
さい。
197
何時
(
いつ
)
でもこの
聖場
(
せいぢやう
)
を
立
(
た
)
ち
退
(
の
)
きますから』
198
ヨ『そのお
言葉
(
ことば
)
を
承
(
うけたま
)
はつて、
199
百万
(
ひやくまん
)
の
味方
(
みかた
)
を
得
(
え
)
たやうな
心地
(
ここち
)
がします。
200
ホヽヽヽ、
201
花香
(
はなか
)
、
202
ダリヤさま、
203
玉清別
(
たまきよわけ
)
さま、
204
アルさま、
205
エスさまイルクさま、
206
又
(
また
)
再
(
ふたた
)
び
此
(
この
)
お
館
(
やかた
)
に
勤
(
つと
)
めてもらはねばなりますまい、
207
オホヽヽヽヽヽ』
208
と
飽
(
あく
)
迄
(
まで
)
大胆
(
だいたん
)
不敵
(
ふてき
)
な
態度
(
たいど
)
をして
見
(
み
)
せる。
209
照国別
(
てるくにわけ
)
はつかつかと
高姫
(
たかひめ
)
の
傍
(
そば
)
に
寄
(
よ
)
り、
210
『ヤ、
211
高姫
(
たかひめ
)
さま、
212
暫
(
しばら
)
くお
目
(
め
)
に
掛
(
かか
)
りませぬ、
213
私
(
わたくし
)
は
照国別
(
てるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
で
御座
(
ござ
)
います』
214
高
(
たか
)
『ナニ
照国別
(
てるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
。
215
ヤアお
前
(
まへ
)
はウラル
教
(
けう
)
から
脱走
(
だつそう
)
して
来
(
き
)
た、
216
ヘボ
宣伝使
(
せんでんし
)
の
梅彦
(
うめひこ
)
さまぢやないか。
217
マアマアマア、
218
出世
(
しゆつせ
)
したものだなア。
219
腐
(
くさり
)
縄
(
なは
)
でも
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
すりや
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
つ、
220
乞食
(
こじき
)
の
子
(
こ
)
でも
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
すりや
三
(
みつ
)
つになる。
221
お
前
(
まへ
)
と
別
(
わか
)
れてから
最早
(
もう
)
十三四
(
じふさんよ
)
年
(
ねん
)
にもなるだらう。
222
まあ
結構
(
けつこう
)
々々
(
けつこう
)
223
これから
改心
(
かいしん
)
して
神妙
(
しんめう
)
に
御
(
お
)
勤
(
つと
)
めなさい。
224
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
が
弟子
(
でし
)
に
使
(
つか
)
つて
上
(
あ
)
げまいものでもない』
225
梅公
(
うめこう
)
『ヤ、
226
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
さま、
227
トルマン
城
(
じやう
)
でお
目
(
め
)
にかかりました
者
(
もの
)
ですよ』
228
高
(
たか
)
『ハイ、
229
如何
(
いか
)
にもお
前
(
まへ
)
さまは
梅公別
(
うめこうわけ
)
とか
云
(
い
)
ふ
方
(
かた
)
だつたな、
230
いつ
見
(
み
)
ても
綺麗
(
きれい
)
だこと、
231
どうかお
前
(
まへ
)
さまは
何処
(
どこ
)
へも
行
(
ゆ
)
かずこの
神館
(
かむやかた
)
の
役員
(
やくゐん
)
となつて
勤
(
つと
)
めて
下
(
くだ
)
さいな』
232
梅公
(
うめこう
)
『ハイ、
233
思召
(
おぼしめし
)
は
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います、
234
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しうお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します。
235
湖上
(
こじやう
)
でお
目
(
め
)
にかかりました
貴方
(
あなた
)
の
夫
(
をつと
)
、
236
杢助
(
もくすけ
)
さまはどちらに
居
(
ゐ
)
られますか、
237
一寸
(
ちよつと
)
お
目
(
め
)
にかかり
度
(
た
)
いもので
御座
(
ござ
)
います』
238
高
(
たか
)
『ハイ
杢助
(
もくすけ
)
さまは
一寸
(
ちよつと
)
お
疲
(
くたぶ
)
れて
239
離棟
(
はなれ
)
の
別館
(
べつくわん
)
でお
寝
(
やす
)
みになつて
居
(
ゐ
)
られます』
240
梅公
(
うめこう
)
『
実
(
じつ
)
は
貴女
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
成功
(
せいこう
)
を
祝
(
しゆく
)
し
御
(
お
)
祝
(
いはひ
)
を
持
(
も
)
つて
参
(
まゐ
)
りました。
241
この
沢山
(
たくさん
)
の
箱包
(
はこづつみ
)
は
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
へのお
土産
(
みやげ
)
、
242
この
葛籠
(
つづら
)
は
高姫
(
たかひめ
)
さまへの
土産
(
みやげ
)
ですから
243
何卒
(
どうぞ
)
受取
(
うけと
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
244
高
(
たか
)
『ヤアどうも
有難
(
ありがた
)
う、
245
マア
何
(
なん
)
と
沢山
(
たくさん
)
のお
土産
(
みやげ
)
だこと。
246
随分
(
ずいぶん
)
沢山
(
たくさん
)
のお
金
(
かね
)
がかかつたでせうなア』
247
梅公
(
うめこう
)
『いやどう
致
(
いた
)
しまして、
248
サア、
249
イルクさま、
250
玉清別
(
たまきよわけ
)
さま、
251
この
箱包
(
はこつつみ
)
は
全部
(
ぜんぶ
)
皆
(
みな
)
の
方
(
かた
)
に
手伝
(
てつだ
)
つて
貰
(
もら
)
ひ、
252
杢助
(
もくすけ
)
さまの
別館
(
べつくわん
)
の
前
(
まへ
)
迄
(
まで
)
運
(
はこ
)
んで
置
(
お
)
いて
下
(
くだ
)
さい。
253
そして
合図
(
あひづ
)
をしたら
一斉
(
いつせい
)
に
蓋
(
ふた
)
を
開
(
あ
)
けるのですよ』
254
『ハイ
畏
(
かしこま
)
りました』
255
と
256
村
(
むら
)
の
若者
(
わかもの
)
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
はイルクが
監督
(
かんとく
)
の
下
(
もと
)
に
別館
(
べつくわん
)
にエチエチ
運
(
はこ
)
んで
仕舞
(
しま
)
つた。
257
梅公別
(
うめこうわけ
)
は、
258
高姫
(
たかひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
葛籠
(
つづら
)
を
置
(
お
)
き、
259
『サア、
260
高姫
(
たかひめ
)
さま、
261
この
葛籠
(
つづら
)
を
開
(
あ
)
けてお
目
(
め
)
にかけませう、
262
貴女
(
あなた
)
に
取
(
と
)
つて
大変
(
たいへん
)
な
意味
(
いみ
)
あるものかも
知
(
し
)
れませぬ』
263
と、
264
意味
(
いみ
)
ありげに
笑
(
わら
)
ひながらパツと
蓋
(
ふた
)
を
取
(
と
)
れば
265
太魔
(
たま
)
の
島
(
しま
)
にて
真裸
(
まつぱだか
)
となし、
266
追剥
(
おひはぎ
)
をなし、
267
蟻
(
あり
)
の
巣
(
す
)
に
投
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
んだフクエ、
268
岸子
(
きしこ
)
の
両人
(
りやうにん
)
が
白装束
(
しろしやうぞく
)
を
着
(
き
)
て
矗
(
すつ
)
くと
立上
(
たちあが
)
つた。
269
高姫
(
たかひめ
)
は
打
(
う
)
ち
倒
(
たふ
)
れむばかり
驚
(
おどろ
)
いたが、
270
遉
(
さすが
)
は
曲者
(
くせもの
)
、
271
気
(
き
)
を
取
(
と
)
り
直
(
なほ
)
し、
272
度胸
(
どきよう
)
を
据
(
す
)
ゑ、
273
『オー、
274
何
(
なに
)
かと
思
(
おも
)
へば
白鷺
(
しらさぎ
)
が
一番
(
ひとつがひ
)
、
275
妾
(
わたし
)
の
為
(
ため
)
には
此
(
この
)
上
(
うへ
)
もない
贈
(
おく
)
り
物
(
もの
)
、
276
今晩
(
こんばん
)
の
酒
(
さけ
)
の
肴
(
さかな
)
に
料
(
つく
)
つて
頂
(
いただ
)
きませう』
277
梅公
(
うめこう
)
はきつとなり、
278
『これ
高姫
(
たかひめ
)
殿
(
どの
)
279
お
呆
(
とぼ
)
けなさるな、
280
此
(
この
)
女
(
をんな
)
は
太魔
(
たま
)
の
島
(
しま
)
の
銀杏
(
いてふ
)
に
祈願
(
きぐわん
)
を
籠
(
こ
)
むる
折
(
をり
)
、
281
貴女
(
あなた
)
が
銀杏姫
(
いてふひめ
)
と
名乗
(
なの
)
り、
282
追剥
(
おひはぎ
)
なさつた
事
(
こと
)
があらうがな、
283
それのみならず
計略
(
けいりやく
)
をもつて
二人
(
ふたり
)
を
蟻
(
あり
)
の
森
(
もり
)
へ
追込
(
おひこ
)
み
284
喰
(
く
)
ひ
殺
(
ころ
)
させむと
計
(
はか
)
つたでせう。
285
まだ
其
(
その
)
上
(
うへ
)
此
(
この
)
梅公
(
うめこう
)
迄
(
まで
)
もたばかり、
286
蟻
(
あり
)
に
殺
(
ころ
)
させようとしたではありませぬか。
287
これでも
貴女
(
あなた
)
は
身
(
み
)
に
欠点
(
けつてん
)
がないと
云
(
い
)
はれませうか、
288
サア
返答
(
へんたふ
)
承
(
うけたま
)
はりませう』
289
高姫
(
たかひめ
)
は
答
(
こた
)
ふる
言句
(
ごんく
)
もなく
290
忽
(
たちま
)
ち
顔色
(
がんしよく
)
蒼白
(
まつさを
)
となり、
291
唇
(
くちびる
)
迄
(
まで
)
もふるはせて
居
(
ゐ
)
る。
292
ヨ『モシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
293
貴方
(
あなた
)
も
矢張
(
やつぱり
)
追剥
(
おひはぎ
)
強盗
(
がうたう
)
をなし、
294
謀殺
(
ぼうさつ
)
を
企
(
たく
)
らみ、
295
随分
(
ずゐぶん
)
善
(
よ
)
からぬ
事
(
こと
)
をなさいましたね、
296
サア
如何
(
いかが
)
です、
297
之
(
これ
)
でも
貴女
(
あなた
)
は
完全
(
くわんぜん
)
無欠
(
むけつ
)
の
身霊
(
みたま
)
と
仰有
(
おつしや
)
いますか』
298
梅公
(
うめこう
)
は
合図
(
あひづ
)
の
口笛
(
くちぶえ
)
を
吹
(
ふ
)
けば、
299
如何
(
いかが
)
はしけむ
数十頭
(
すうじつとう
)
の
猛犬
(
まうけん
)
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
で、
300
ワツウ ワツウ ワツウ ワツウと
百雷
(
ひやくらい
)
の
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
轟
(
とどろ
)
く
如
(
ごと
)
き
犬
(
いぬ
)
の
声
(
こゑ
)
、
301
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
は
耐
(
たま
)
り
兼
(
か
)
ね、
302
正体
(
しやうたい
)
を
現
(
あら
)
はし、
303
何処
(
いづこ
)
ともなく
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
消
(
き
)
え
去
(
さ
)
つて
仕舞
(
しま
)
つた。
304
高姫
(
たかひめ
)
は
進退
(
しんたい
)
これ
谷
(
きは
)
まり、
305
白衣
(
はくい
)
をパツと
脱
(
ぬ
)
ぐや
否
(
いな
)
や、
306
忽
(
たちま
)
ち
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
白面
(
はくめん
)
の
悪狐
(
あくこ
)
と
還元
(
くわんげん
)
し、
307
雲
(
くも
)
を
呼
(
よ
)
び
雨
(
あめ
)
を
起
(
おこ
)
し、
308
大高山
(
たいかうざん
)
の
方
(
はう
)
を
目
(
め
)
がけ
電
(
いなづま
)
の
如
(
ごと
)
く
中空
(
ちうくう
)
を
駆
(
かけ
)
り
姿
(
すがた
)
を
消
(
け
)
して
仕舞
(
しま
)
つた。
309
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
310
因
(
ちなみ
)
に
云
(
い
)
ふ。
311
玉清別
(
たまきよわけ
)
は
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
くスガの
宮
(
みや
)
の
神司
(
かむつかさ
)
を
勤
(
つと
)
め、
312
ダリヤ
姫
(
ひめ
)
は
大道場
(
だいだうぢやう
)
の
司
(
つかさ
)
となり、
313
アル、
314
エスの
両人
(
りやうにん
)
を
掃除番
(
さうぢばん
)
となし
置
(
お
)
き、
315
ヨリコ
姫
(
ひめ
)
、
316
花香姫
(
はなかひめ
)
は、
317
照国別
(
てるくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
と
共
(
とも
)
に
聖地
(
せいち
)
を
去
(
さ
)
つて
宣伝
(
せんでん
)
の
旅
(
たび
)
に
赴
(
おもむ
)
く
事
(
こと
)
となりける。
318
(
大正一五・七・一
旧五・二二
於天之橋立なかや別館
加藤明子
録)
319
(昭和一〇・六・二五 王仁校正)
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