妖幻坊と高姫が湖上を進んでいくと、一艘の小船とすれ違った。高姫はその船に乗っている男を見て顔を赤くする。
妖幻坊はそれを見て、高姫が他の男に恋慕していると嫉妬し、小船を追いかける。
小船は、もと来た離れ小島に横付けとなっていた。妖幻坊は船に乗っていた男を追いかけていく。それは梅公別であった。
梅公別は高姫に「まんざら他人でもない」と挨拶して、妖幻坊の嫉妬をあおる。
妖幻坊は高姫に、梅公別を蟻の竹やぶに誘い込むように命令する。高姫は、竹やぶで蟻に責められている男女を救うように梅公別をそそのかす。
実は梅公別は、二人の男女が高姫にだまされて蟻に責められていることは、常磐丸の船内で透視して知っていた。そして二人を助けに小船でやってきたのであった。
すでに蟻の魔の森に鎮魂を修し、神霊を送って蟻を退けておいてあった。
また、高姫が自分を蟻の餌食にしようとしていることを知っていたが、だまされた振りをして、森に飛び込む。
妖幻坊と高姫はそれを見て満足し、船に乗って島を去っていく。
一方梅公別はフクエと岸子を救い出し、スガの港を指して進み行く。