霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一九章 旧場皈(きうばがへり)〔一八二八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第72巻 山河草木 亥の巻 篇:第3篇 転化退閉 よみ(新仮名遣い):てんかたいへい
章:第19章 旧場皈 よみ(新仮名遣い):きゅうばがえり 通し章番号:1828
口述日:1926(大正15)年07月01日(旧05月22日) 口述場所:天之橋立なかや別館 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1929(昭和4)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2019-02-14 14:41:40 OBC :rm7219
愛善世界社版:237頁 八幡書店版:第12輯 687頁 修補版: 校定版:248頁 普及版:92頁 初版: ページ備考:
001 千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)002キユーバーの両人(りやうにん)意気(いき)衝天(しようてん)003猛火(まうくわ)燎原(れうげん)()くが(ごと)(あら)つぽい鼻息(はないき)で、004玉清別(たまきよわけ)以下(いか)005スガの(みや)関係者(くわんけいしや)一人(ひとり)(のこ)らず(たた)()し、006(てん)から()つて()いたる(まうけ)ものに、007(うれ)しさ(あま)つて(うつつ)三太郎(さんたらう)となり、008杢助(もくすけ)北町(きたまち)のウラナイ(けう)本部(ほんぶ)()てゐる(こと)(うち)(わす)れ、009あまり(むし)()かねども、010言霊戦(ことたません)大勝利(だいしようり)()せしめた原動力(げんどうりよく)とも()ふべき天然坊(てんねんばう)のキユーバーを此上(こよ)なきものと()めそやし、011聖場(せいぢやう)立籠(たてこも)つて天下(てんか)併呑(へいどん)(ゆめ)をむさぼつてゐた。
012キユ『モシ、013生宮(いきみや)(さま)014キユーバーの(はたら)きはチツト(ばか)(うで)()えてゐるでせう、015(けつ)して生宮(いきみや)(さま)()一人(いちにん)のお手柄(てがら)ぢや御座(ござ)りますまい』
016(たか)『そら、017さうだとも、018(くるま)両輪(りやうりん)なければ運転(うんてん)しない、019人間(にんげん)二本(にほん)(あし)がなけりや(ある)けない道理(だうり)だからな』
020キユ『そら、021さうでせうとも、022(まんま)()べる(とき)でも片手(かたて)ぢや駄目(だめ)ですからな。023(はし)だつて二本(にほん)なくちや、024(かう)(もの)だつて、025はさむ(こと)出来(でき)ませぬ。026神代(かみよ)(むかし)027那岐(なぎ)0271那美(なみ)二尊(にそん)天浮橋(あまのうきはし)()つて陰陽(いんやう)(いき)(あは)せて028いろいろの(かみ)(さま)をお(つく)(あそ)ばしたものですもの。029どうです、030ここで旧交(きうかう)(あたた)めて拙僧(せつそう)伊邪那岐(いざなぎの)(みこと)となり、031生宮(いきみや)(さま)伊邪那美(いざなみの)(みこと)となり、032トルマン(ごく)振出(ふりだ)しに印度(いんど)七千(しちせん)余国(よこく)(まを)すも(さら)なり、033(この)()のあらむ(かぎ)鵬翼(ほうよく)(のば)さうぢやありませぬか。034貴方(あなた)もトルマン(ごく)王妃(わうひ)となり(あそ)ばした、0341腕利(うでき)きだから、035その(くらゐ)(こと)は、036(かんが)へでせうな』
037(たか)『そんなことア、038キユーバーさま、039()()野暮(やぼ)だよ。040三千(さんぜん)世界(せかい)救世主(きうせいしゆ)041底津(そこつ)岩根(いはね)大弥勒(おほみろく)ぢやないか、042(この)生宮(いきみや)(てん)(かま)へば()(かま)ふ、043五十六(ごじふろく)(おく)七千万(しちせんまん)小宇宙(せううちう)をも統一(とういつ)する天来(てんらい)神柱(かむばしら)だもの、044このチツポケな地球(ちきう)(ぐらゐ)045統一(とういつ)したつて、046広大(くわうだい)無遍(むへん)宇宙(うちう)(くら)ぶれば(しらみ)眉毛(まゆげ)()いた(むし)()つた(くそ)()いた(むし)の、047その(むし)(くそ)()いた(むし)()つた(くそ)(くらゐ)のものだよ』
048キユ『(なん)とマア(おほ)きな(こと)仰有(おつしや)るかと(おも)へば049(ちひ)さい(こと)(まで)()説法(せつぽふ)(あそ)ばすのですな』
050(たか)『きまつた(こと)だよ、051至大(しだい)無外(むぐわい)052至小(しせう)無内(むない)弥勒(みろく)()神権(しんけん)具備(ぐび)してゐる救世主(きうせいしゆ)ですもの』
053キユ『生宮(いきみや)さまの広大(くわうだい)無遍(むへん)抱負(はうふ)には、054いかな(この)キユーバーも(した)をまきましたよ。055このキユーバーだつてハルナの(みやこ)権勢(けんせい)(なら)びなき七千(しちせん)余国(よこく)大棟梁(だいとうりやう)056大黒主(おほくろぬし)(さま)片腕(かたうで)ですもの』
057(たか)『これこれキユーバーさま、058大弥勒(おほみろく)さまの(まへ)でそんな()つぽけな(こと)はやめて(くだ)さい。059(この)(かみ)(ちひ)さい(こと)(きら)ひであるぞよ。060(おほ)きな(こと)(いた)(かみ)であるぞよ、061(むかし)からまだ(この)()にない(こと)(いた)(かみ)であるぞよ』
062キユ『三五教(あななひけう)のお筆先(ふでさき)そつくりぢやありませぬか、063フツフヽヽヽ。064(とき)生宮(いきみや)さま、065あの杢助(もくすけ)とか()第二号(だいにがう)をどうするつもりですか』
066(たか)『ア、067あまり(うれ)しくつて、068時置師(ときおかし)(かみ)(さま)念頭(ねんとう)から遺失(ゐしつ)して()つた。069ヤアこりやかうしては()られませぬ、070キユーバーさま、071(まへ)さま、0711ここに()つて()つて(くだ)さい。072(この)成功(せいこう)(をつと)()かして(よろこ)ばすため、073一寸(ちよつと)北町(きたまち)(まで)()つて()ますから』
074キユ『モシモシ高姫(たかひめ)さま、075(わたし)(まへ)で、0751あまりひどいぢやありませぬか、076第一号(だいいちがう)をほつたらかしておいて、077第二号(だいにがう)秋波(しうは)(おく)るなんて、078チツト(ばか)(きこ)えませぬな、079(なん)()かうと仰有(おつしや)つても、080(この)キユーバーが(はな)しませぬよ』
081(たか)『お(まへ)さま、082自惚(うぬぼれ)もいい加減(かげん)にしておきなさい、083一号(いちがう)(どころ)か、084八号(はちがう)ですよ、085(えう)するに天保銭(てんぽせん)だからな』
086キユ『此奴(こいつ)アひどい、087二文(にもん)()らぬと仰有(おつしや)るのですか、088貴女(あなた)()には、089それほど(この)キユーバーが馬鹿(ばか)()えますかい』
090(たか)(なに)091馬鹿(ばか)(どこ)かいな、092八文(はちもん)()つたら大変(たいへん)立派(りつぱ)(ひと)だと()(こと)だよ、093ダンダン(すぢ)法被(はつぴ)()仲仕(なかし)労働者(らうどうしや)や、094旗持(はたも)ちを一文奴(いちもんやつこ)()ふだらう。095一文奴(いちもんやつこ)普通(ふつう)人間(にんげん)だ。096小説(せうせつ)(つく)つたり、097新聞(しんぶん)記事(きじ)()いたり、098雑誌(ざつし)(あらは)学者(がくしや)三文(さんもん)文士(ぶんし)()うだらう。099三文(さんもん)文士(ぶんし)にならうと(おも)へば大学(だいがく)(もん)をくぐつて()にや、100さう、1001安々(やすやす)とは、1002なれませぬからな。101それから、102ハルナの(みやこ)のお役所(やくしよ)にも諮問(しもん)四文(しもん)機関(きくわん)()ふものがあるだらう、103諮問(しもん)機関(きくわん)(あつ)まつて()(ひと)大黒主(おほくろぬし)さまのお(たづ)ねに一々(いちいち)(こた)へると()智者(ちしや)学者(がくしや)だ。104それから、105一文(いちもん)(うへ)顧問(こもん)五文(ごもん)(くわん)()ふのがある』
106キユ『モシモシ高姫(たかひめ)さま、107顧問(こもん)五文(ごもん)とは(ちが)ひますぜ』
108(たか)顧問(こもん)でも五文(ごもん)でも、109いいぢやないか、110(かふ)(おつ)(たがひ)勝敗(しようはい)111優劣(いうれつ)112高下(かうげ)のない相手(あひて)同志(どうし)()して五文(ごもん)五文(ごもん)()ふぢやないか、113さうだから五文(ごもん)人間(にんげん)(もつと)立派(りつぱ)なものだ。114(その)(うへ)六文(ろくもん)だ、115六文銭(ろくもんせん)は、116軍術(ぐんじゆつ)達人(たつじん)真田(さなだ)幸村(ゆきむら)旗印(はたじるし)だよ。117真田(さなだ)()人物(じんぶつ)後世(こうせい)(まで)()(とどろ)かした大阪陣(おほさかぢん)参謀長(さんぼうちやう)だ。118七文(しちもん)()ふのはなア、119昨日(きのふ)(わし)がヨリコ(ひめ)をこつぴどく()ひつめただらう、120あれが七文(しちもん)だ』
121キユ『そら、122質問(しつもん)(ちが)ひますか』
123(たか)質問(しつもん)でも七文(しちもん)でもとの(ちが)ひぢやないか、124そんな七六(しちむ)つかしい質問(しつもん)はやめて(くだ)さい。125その一文(いちもん)(うへ)八文(はちもん)だ、126八文(はちもん)一番(いちばん)結構(けつこう)だよ。127一文(いちもん)ふやすと、128苦悶(くもん)()つて(くるし)(もだ)えねばならぬからな、129一文(いちもん)ふやすと、130十文(じふもん)だ、131銃文(じふもん)()つたら鉄砲(てつぱう)(あな)だ、132(しり)(あな)もヤツパリ銃門(じうもん)(うち)だよ』
133キユ『(なん)とマアお(まへ)さまの(くち)にかかつたら(この)キユーバーも(たて)つけませぬワ、134(しか)しこの八文(はちもん)をどうして(くだ)さるつもりですか。135よもや八門(はちもん)遁甲(とんかふ)(じゆつ)(もつ)拙僧(せつそう)を、136埒外(らちぐわい)放逐(はうちく)するやうな(こと)はありますまいね』
137(たか)『マア心配(しんぱい)しなさるな。138今回(こんくわい)功労(こうらう)(めん)じてチヨイチヨイお(いど)(くらゐ)は、139ふかして、1391あげますワ、140大弥勒(おほみろく)さまのお(いど)をふかうと(おも)へば(なみ)大抵(たいてい)(こと)では()けませぬぞや。141ヨリコ女帝(によてい)のお(まへ)さまはお(いど)掃除(さうぢ)をやつて()つたさうだが、142あのやうな、143アタ(きたな)いお(しり)掃除(さうぢ)をしてゐるより、144大弥勒(おほみろく)さまの神徳(しんとく)のこもつた()肥料(こえ)さまの掃除(さうぢ)をさして(もら)(はう)145(なに)(ほど)光栄(くわうえい)だか出世(しゆつせ)だか()れませぬよ、146ホツホヽヽヽ』
147キユ『エー、148(ひと)をお(まへ)さまは馬鹿(ばか)にしてゐるのだな』
149 かく(はな)してゐる(ところ)杢助(もくすけ)妖幻坊(えうげんばう)高姫(たかひめ)(かへ)りが(おそ)いので、150スガ(やま)のトロトロ(ざか)をエチエチ(のぼ)(なが)(やかた)(まへ)までやつて()た。
151 玄関口(げんくわんぐち)(たたず)んで様子(やうす)()けば、152境内(けいだい)はシンとして人影(ひとかげ)もなく、153(しづ)まり(かへ)り、154閑古鳥(かんこどり)()いてゐる。155(しか)(なが)(やかた)(おく)(はう)にコソコソと(ささや)(こゑ)(きこ)ゆるやうにもあるので、156ソツと(やかた)(うら)へまはり、157(まど)から(なか)(のぞ)いて()ると(さけ)(さかな)真中(まんなか)におき、158高姫(たかひめ)159キユーバーが意茶(いちや)ついたり揶揄(からか)つたり、160面白(おもしろ)さうに(はな)()つてゐる。161妖幻坊(えうげんばう)(はら)()つて(たま)らず162(らい)のやうな(こゑ)()して(まど)(そと)から、
163『コラツ』
164一声(いつせい)(さけ)ぶや(いな)や、165キユーバーは(おどろ)いて一間(いつけん)(ばか)りも()(あが)り、166天井裏(てんじやううら)禿頭(はげあたま)をカツンと()ち、167(ふたた)(いた)()(かはづ)をぶつつけたやうになつて、168手足(てあし)をピリピリとふるはせ、169ふんのびて(しま)つた。170流石(さすが)171高姫(たかひめ)はビクとも(うご)かず(しづか)(まど)(そと)(のぞ)き、
172『ホツホヽヽヽ(なん)ですか(もく)チヤン、173そんな(おほ)きな(こゑ)()したつて、174(つんぼ)はゐやしませぬよ。175高姫(たかひめ)(みみ)蚯蚓(みみづ)泣声(なきごゑ)でも(きこ)えるのですからね、176どうか(さわ)がないでゐて(くだ)さい。177(いま)この坊主(ばうず)をうまくちよろまかして、178三五教(あななひけう)(ひやく)(にち)百夜(ひやくや)丹精(たんせい)()らし、179()()げた(この)神館(かむやかた)を、180スツカリと証文(しようもん)つきで(もら)つたのですからね、181マアお這入(はい)りなさい、182(ひと)()たら、183()つともないから』
184平気(へいき)(かほ)(かま)へてゐる。185杢助(もくすけ)(おもて)にまはり玄関口(げんくわんぐち)より大手(おほて)()つて()(きた)り、
186一昨日(おととひ)()(くれ)に、187(この)坊主(ばうず)()たぎり、188今日(けふ)になつても(かへ)つて()ないものだから、189チツト(ばか)()がかりでならないので、190スガの町々(まちまち)(たづ)ねまはり、191もう(たづ)ねる(ところ)がないものだから、192此処(ここ)へやつて()れや193キユーバーの野郎(やらう)をつかまへて、194(なん)だか(めう)()つかひをやつてゐたぢやないか』
195(たか)(もく)チヤン、196そんな野暮(やぼ)(こと)()ふのぢやありませぬよ。197(この)(あひだ)貴方(あなた)()つた(とほ)り、198(この)キユーバーと()山子(やまこ)坊主(ばうず)は、199一寸(ちよつと)ばかり小利口(こりこう)(やつ)だから、200うまくちよろまかして使(つか)(たふ)し、201今日(けふ)成功(せいこう)()()たのですからね。202まだまだ此奴(こいつ)使(つか)はにやならぬ(よう)がありますので、203一寸(ちよつと)いやな(やつ)だけど色目(いろめ)(つか)つて、204つらくつてゐるのですよ。205天下(てんか)無双(むさう)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)時置師(ときおかし)(かみ)さまのやうな立派(りつぱ)(をつと)があるのに、206どうしてこんな(かはづ)()(そこ)ねたやうな(つら)した売僧(まいす)坊主(ばうず)に、207(ゆび)一本(いつぽん)でも()へさす気遣(きづかひ)がありますか。208そこは貴方(あなた)()判断(はんだん)(まか)せますから、209マア()機嫌(きげん)(なほ)して一杯(いつぱい)()んで(くだ)さい。210今日(けふ)から(この)(やかた)時置師(ときおかし)(かみ)さまの領有権(りやういうけん)出来(でき)たのですからな、211高姫(たかひめ)腕前(うでまへ)随分(ずゐぶん)(すご)いものでせう。212ホツホヽヽヽ』
213(もく)『オイ、214このキユーバーをこの(まま)にしておけば縡切(ことき)れて(しま)ふぞ、215(まへ)得意(とくい)(くわつ)とかを()れて、216蘇生(そせい)さしてやつたらどうだい』
217(たか)(もく)チヤン、218そんな心配(しんぱい)()りませぬよ、219田圃(たんぽ)(かへる)(つか)んで大地(だいち)()げて御覧(ごらん)なさい。220丁度(ちやうど)(この)(とほ)手足(てあし)をのばしてビリビリとふるひ(いち)()()をまはかしますが、221(しばら)くすると()()222古池(ふるいけ)(なか)へドンブリコと()()り、223アナタガタ アナタガタ オレキ オレキと()くぢやありませぬか』
224(もく)『キユーバーも(かへる)(たと)へられや、225チツト(ばか)可愛想(かあいさう)だ。226(いのち)別条(べつでう)さへなけれや、227いいやうなものの、228あまり殺生(せつしやう)ぢやないか』
229(たか)(なに)殺生(せつしやう)ですか、230自分(じぶん)勝手(かつて)()(あが)つて勝手(かつて)にフン(のび)たのですもの、231チツトも吾々(われわれ)にかかり(あひ)はないのですからな。232キユーバーが自由(じいう)権利(けんり)()つて空中(くうちう)(まひ)(あが)りの(じゆつ)(えん)233吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)(さけ)(さかな)になつてゐるのですもの』
234 ()(はな)(をり)しも死真似(しにまね)をしてゐたキユーバーはムクムクと()(あが)り、235ワザと(そら)とぼけたやうな(かほ)して、
236キユ『アーア、237飛行機(ひかうき)()つて大空中(たいくうちう)巡行(じゆんかう)してゐたと(おも)へば、238(にはか)雷鳴(らいめい)(とどろ)暴風(ばうふう)()きまくり、239飛行機(ひかうき)諸共(もろとも)地上(ちじやう)転落(てんらく)し、240五体(ごたい)滅茶(めちや)々々(めちや)になつたと(おも)へばヤツパリ(ゆめ)だつたかな。241これも(まつた)生宮(いきみや)(さま)時置師(ときおかし)(かみ)(さま)恩頼(みたまのふゆ)だ、242南無(なむ)生神(いきがみ)大明神(だいみやうじん)帰命(きめう)頂礼(ちやうらい)謹請(ごんじやう)再拝(さいはい)謹請(ごんじやう)再拝(さいはい)
243(もく)『ウツフヽヽヽ(なん)とマア、244怪体(けたい)坊主(ばうず)だのう、245一種(いつしゆ)異様(いやう)奇病(きびやう)があると()える。246かう()病気(びやうき)(おや)のある(うち)(なほ)しておかぬと一生(いつしやう)不治(ふぢ)難病(なんびやう)になるかも()れないよ、247ワツハヽヽヽ』
248(たか)『ホツホヽヽヽこれキユーバーさま、249本当(ほんたう)にお(まへ)さまは()(かる)(かた)ですね。250(わたし)(また)251(かむ)がかりかと(おも)つて()りましたよ』
252 妖幻坊(えうげんばう)(ひざ)立直(たてなほ)し、253居直(ゐなほ)気味(ぎみ)になつて、
254『オイ、255天然坊(てんねんばう)のキユーバー、256(おれ)女房(にようばう)(つか)まへて(なに)()つて()たのだ、257三文(さんもん)だの、258五文(ごもん)だの、259八文(はちもん)だのと、260(なん)(こと)だい。261其方(そつち)()やうによつては(おれ)にも(ひと)つの(むし)がある、262サアきつぱりとこの杢助(もくすけ)(まへ)白状(はくじやう)せい』
263キユ『メヽヽヽ滅相(めつさう)な、264(たふと)(たふと)265結構(けつこう)結構(けつこう)266生宮(いきみや)さまに(たい)し、267(わたし)のやうな下劣(げれつ)貧僧(ひんそう)(こひ)(ふな)のと、268そんな(だい)それた(こと)出来(でき)ますか、269言葉(ことば)(かは)すも(おそ)(おほ)いと(ぞん)忠実(ちうじつ)(つと)めてゐますよ。270何卒(どうぞ)(わる)くはとらないやうにして(くだ)さいませ。271(なに)()もあれ、2711千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)さまに、272うまくたらし使(づかひ)にされてゐるのですからな。273(いづ)行先(ゆくさき)はお(はらひ)(ばこ)だと覚悟(かくご)()めて()ります』
274(えう)『こりや、275高姫(たかひめ)276キユーバーの(まを)すことに、277間違(まちが)ひなけりや今日(けふ)(これ)(わす)れて(つか)はす。278(しか)(なが)279此奴(こいつ)此処(ここ)(おい)てはチツト(ばか)都合(つがふ)(わる)い。280(さいは)北町(きたまち)本部(ほんぶ)()(こと)になるから、281あれをキユーバーに()れてやつたらどうだ』
282(たか)杢助(もくすけ)さまさへ()承知(しようち)なら、283()れてやりませう、284(この)(やかた)占領(せんりやう)したのも(その)一部分(いちぶぶん)はキユーバーさまの斡旋(あつせん)努力(どりよく)(あづか)つて(こう)ありと()ふものですからな』
285(もく)『オイ、286キユーバー、287(まへ)功労(こうらう)(めん)じて(きた)(まち)神館(かむやかた)(あた)へるから、288(すぐ)(さま)(かへ)つて休息(きうそく)したが()からう。289神殿(しんでん)諸道具(しよだうぐ)一切(いつさい)()(あた)へるから有難(ありがた)頂戴(ちやうだい)せい』
290キユ『ハイ、291有難(ありがた)御座(ござ)います、292それでは頂戴(ちやうだい)(いた)しませう。293十分(じふぶん)念入(ねんいり)掃除(さうぢ)をしておきますから、294どうぞ、295時折(ときをり)はお(あそ)びにお()(くだ)さいませ』
296(えう)『いや、297これ(ほど)立派(りつぱ)神館(かむやかた)()()つた以上(いじやう)最早(もはや)必要(ひつえう)(みと)めぬ、298(また)()必要(ひつえう)もない、299(まへ)勝手(かつて)にしたが()からう』
300()へばキユーバーは(よろこ)んで
301(あたま)ペコペコ()(なが)
302『ウラナイ(けう)神館(かむやかた)
303有難(ありがた)頂戴(ちやうだい)(いた)します
304左様(さやう)御座(ござ)ればお二人(ふたり)さま
305(あと)でゆるゆるお(たのし)み』
306(など)言葉(ことば)(のこ)しつつ
307北町(きたまち)さしていそいそと
308大手(おほて)()つて(かへ)()く。
309大正一五・七・一 旧五・二二 於天之橋立なかや旅館 北村隆光録)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
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