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国防について
インフォメーション
題名:
国防について
著者:
出口王仁三郎
ページ:
102
概要:
備考:
出典不明
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B123900c032
001
吾々の希望とするところは世界の平和と幸福を永遠に持続して、
002
天人ともに和楽の黄金世界を現出せむとすることである。
003
社会主義者や道学者、
004
既成宗教家などの唱へる如くに武備を撤廃して、
005
真の幸福と和平が招来さるれば良いが、
006
それは困難であり、
007
不可能であると思ふ。
008
人間は造物主よりあまりに完全に、
009
あまりに自由に造られてゐるので、
010
つひに報恩感謝の念より遠ざかり、
011
天地の御恩を忘れて利に走り他を省みない獣性を持つやうになった。
012
故に、
013
我が皇祖は全世界統治の大権として三種の神器をお授けになったのである。
014
その主なるものは剣である。
015
璽
(
たま
)
も鏡もうしろに剣がなくては完全にその使命を遂行することは出来ない。
016
璽は平和を象徴し、
017
鏡は神威八紘開発の神宝であり、
018
剣は大にしては国防、
019
小にしては護身を意味する。
020
世界の各国が人文の発達につれ生存を競ふやうになり、
021
個人の生存競争は拡大して一郷の競争となり、
022
一国の競争となり、
023
現在では国は国、
024
郷は郷、
025
個人は個人同志で、
026
しのぎを削ってより大きく、
027
より高く、
028
より強く、
029
そして自己のものにといふ征服欲に燃えてゐる。
030
完全に全世界が皇威にまつろふやうになるまでは、
031
国を守る上に、
032
正しい政治を行ふ上に武備が必要となるのである。
033
精鋭なる武器を整へることが、
034
国防の第一義であり、
035
古来我が国を
細矛千足国
(
くはしほこちたるのくに
)
と称したその名にも敵ふ所以である。
036
また日本人の大和魂といふのは勇智親愛、
037
いはゆる四魂の中でも勇が中心になった直日の
霊
(
みたま
)
の活きである。
038
今日では日本は津軽海峡をへだてて四方環海の島国になってゐるが、
039
神代時代には現在の東洋一帯が葦原の国であって、
040
渤海湾からゴビの砂漠、
041
新彊
(
しんきやう
)
辺りまで入り海となってゐた。
042
現在の日本海はちやうど瀬戸内海ほどの大きさで小舟を以て交通してゐたものである。
043
そして葦原の国全部を日本が支配してゐたので「アジア」と言ふのは「葦原」の転化したものである。
044
現在の地形では想像も出来ないが日本はその厖大な土地の君主であり、
045
地上の総領国であった。
046
その後地殻の変動によって、
047
大陸とは分離し、
048
大陸の統一が出来なくなり、
049
言語も風俗も異なるやうになったのである。
050
我が国は神代時代においてかかる歴史を持ってをり、
051
また細矛千足国と云って武勇の勝れた国であった。
052
我が国は今日世界の状勢より見て、
053
まさに国防の時である。
054
ことに昭和八年は国防の年であると思ふ。
055
陸に海に空に充分な備へが必要であって、
056
むしろ国防より一足進んで制海、
057
制空に志さなければならない。
058
日本は国民皆兵の国である。
059
畏くも皇室を御本家として国民を家族と見做されてゐる国である。
060
たとへば身は軍人でなくとも老若男女ともに国防の完成に努力するのが当然である。
061
これは小にしては個人の平和幸福であり、
062
皇祖の御垂訓が世界全土に冠せられ、
063
服
(
まつ
)
ろはぬ者なき聖代には皇威の照り輝くところ、
064
総てが平和と幸福に満たされるのである。
065
我が国は忠と勇と孝とを以て建国の教とし安寧、
066
秩序を保ち温厚篤実なる風俗を続けて来たのであるが、
067
この忠孝の道を全うせむとするには国家を守るべき国防運動に全力を注ぐのが今日我が国民の一大義務である。
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