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惟神の道
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[11]世界に範を示せ
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直感の力を養へ
インフォメーション
題名:
直感の力を養へ
著者:
出口王仁三郎
ページ:
339
概要:
備考:
「人類愛善新聞」昭和一〇年八月二三日号所収「直観力を養へ」と同じ)
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2019-03-15 04:09:37
OBC :
B123900c100
001
神とは隠身(カクリミ)といふ意味であつて、
002
人間の肉眼で見られない存在、
003
物質の尺度で測ることの出来ない世界をいふのである。
004
ところが世間にはよく余に向つて「神をこの目で見せて貰ひたい、
005
そしたら神の存在を信じよう」と云ふ人がある。
006
大体「信」といふ字は人扁に
言
(
ことば
)
と書いてあつて、
007
真人
(
しんじん
)
の
言
(
ことば
)
を尊重し聖人の
言
(
ことば
)
に従ふ心である。
008
ところが今の世の人々は「目に物を見せられ」なければ、
009
人の言を信ずることの出来ない強情な心になつてゐるが、
010
その心は既に「信」ではないといふことに気付かねばならぬ。
011
それで余は常にかかる人々に次のやうに答えてゐる。
012
「人々は鯨が大きな動物だといふが、
013
太平洋の真つただ中には脚の長さが二里もある大きな
烏賊
(
いか
)
が棲んでゐる。
014
しかしてその脚に触れて時々船が沈没することがあるが、
015
人々はそれが烏賊の所為だとは気が付かない。
016
また
西伯利亜
(
シベリア
)
の広野には、
017
雪や氷に
埋
(
うづ
)
もれて二万年も三万年も眠り続けてゐる巨獣がゐる。
018
しかして何も知らない人間達はその上へ鉄道をつけたり要塞を築いたりして気張つてゐるが、
019
その巨獣が一度目を醒まして
欠伸
(
あくび
)
をしたら、
020
どんな珍事が起きるか想像だに出来ない。
021
今かかる動物の頭をここに持つて来て君に見せたところが、
022
果して君にはそれが判るだらうか。
023
しかして神の御姿はモツトモツト大きなものだよ」
024
と。
025
肉眼や尺度で神を知らうとすることは群盲象評以上の愚かなことである。
026
だが「信」のある人、
027
聖人の言を信じ聖典の教を尊ぶ人には、
028
野に咲いてゐる一片の草花にも、
029
空を飛んでゐる一羽の鳥にも、
030
神の力と愛を有難く感得することが出来るものである。
031
神の存在を否定する人々に難しい理屈は禁物である。
032
野に咲いてゐる百合の花を見せて、
033
もしその人が「美しい」と言つたらそれでよいのだ。
034
その人は充分に神の存在を知つてゐる人である。
035
即ちその人は理屈で神を否定しながら直感で神の存在を知り、
036
肉眼で神を見ないが既に魂のドン底で神の
私語
(
ささやき
)
を感得してゐるのである。
037
しかして前に言つた如く、
038
神は理屈で論ずべきものでなく、
039
肉眼で見るべきものでなく、
040
直感で知り心の
私語
(
ささやき
)
で感ずべき存在なのであるから、
041
神を否定してゐる科学者や理論家達も、
042
結局科学や理論では神は判らないといふことを証明してゐるに過ぎないのである。
043
昔の人間は直感即ちいはゆる第六感が鋭かつた。
044
だが今日の科学は最低の直観を基礎として立てられたものであるがために、
045
段々とその第六感をも鈍らしめて来たのである。
046
それは人類にとつて大変な損失であつて、
047
どうしても今後の学問は科学的に人間の智慧を向上せしめると共に、
048
神より与へられた人間の直感力をいよいよ発達せしめて、
049
両々相まつて人類の福祉に貢献せしめるやうに努力せねばならぬ。
050
たとへば近代の建築家がただただ機械の精巧のみに頼らずして我が国伝来の
蟇目
(
ひきめ
)
の故実を修得して、
051
その両者を併用するうあうになつた暁は、
052
おそらく全世界を驚倒せしむべき建築界の革命をもたらすことが出来るであらう。
053
その他総ての方面に亘って機械の能力と共に、
054
我が日本人独特の直感力をますます発揮した時こそ、
055
初めて独自の超人的科学文明を日本から全人類に教示することが出来るのである。
056
日本の科学者達は一日も早く欧米の
糟粕
(
さうはく
)
に甘んぜず、
057
伝統的大精神に目醒めて一大奮起すべき日に到ってゐることに気が付かねばならぬ。
058
これが即ち吾人の称する皇道科学なのである。
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