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[86]神聖無比の皇国
[87]天立君主立憲国
[88]皇国の姿に還れ
[89]宗教と政治
[90]天国の国体や如何
[91]ダニエルの予言と神国日本
[92]霊の本の力
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[94]皇典の奥義に徹せよ
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昭和神聖の意義
インフォメーション
題名:
昭和神聖の意義
著者:
出口王仁三郎
ページ:
316
概要:
備考:
出典不明
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B123900c097
001
この七月二十二日(昭和十年)は余が昭和神聖会を結成し、
002
東京九段の軍人会館においてその発会式を挙行してから一周年に相当する。
003
その一周年記念号を発行するに当って、
004
いささか余の所信を述べ、
005
昭和神聖会とは如何なるものであるかを述べたいと思ふのである。
006
○
007
昭和神聖会の「昭」といふ字は日を召すと書く。
008
「和」といふ字は
禾扁
(
のぎへん
)
に国と書く。
009
禾扁に国は、
010
豊葦原の瑞穂国即ち全世界といふ意味なのである。
011
故に「昭和」といふのは、
012
全世界の国々が太陽国の出現を待望し、
013
全地上の青人草が天日の大光明を
渇仰
(
かつがう
)
することを象徴したものである。
014
今日の世界はまことにこの「昭和」の文字の示す通りの状態にある。
015
地上の心ある人々は西欧の滅亡を叫んで「光は東方より」の予言が実現するのはまさに今の時であることを強調してゐる。
016
また心なき者といへどもこの暗黒無明のただ中に真理の光明を求めつつ苦悩し続けてゐるのである。
017
しかして豊葦原の中津国たる日本もまた天皇親政の正しき太陽国に更生しようと産みの苦患にあるのである。
018
神聖の「神」といふ字は和訓ではカムとよむ。
019
カムは噛むであって噛み締める意味である。
020
しかして仏教の「仏」といふ字はホトケと和訓をする。
021
ホトケは
解
(
ほど
)
ける意味であって、
022
仏教では特に「無」をか「解脱」といふことを強調するのである。
023
これに対して神の道は噛み締める道であって、
024
中心帰向の精神に
基
(
もと
)
を置き、
025
内容の充実に従って外方に進展する道なのである。
026
故に仏教はその発祥地たる印度で衰亡しても他の国で更生することが出来る。
027
自国の民を救済することが出来ずまた母国を滅ぼしてしまってゐても、
028
他の民族に流れ込むことが出来る。
029
だが神の道はさうではない。
030
神の道は先づ神国たる日本において健全に発達し、
031
その国土を安んじその国民を救ひ、
032
然る後始めて全世界にその正しき力を拡充することが出来るものである。
033
神の道は心に強く噛み締めて自ら深く体得しなくては、
034
決してこれを他の人に伝ふることの出来ない道である。
035
物の味はそれを実際に食べた者のみが知る境地である。
036
しかして他人にその味を知らしめようと思ったならば、
037
自分の持ってゐる物を現実に与へなくてはいけない。
038
如何に美しくても描いた果物では役に立たない。
039
如何に美辞麗句を列べても文字のみによる説明では何の味も判らない。
040
仏教には八万四千の経文がある。
041
しかし自らその真を体験しなくてはことごとく描いた果物であり説明の文字に過ぎないのである。
042
故にもし経文の多きを以て仏教の偉大性を説く者があったなら、
043
誤りこれよりはなはだしきは無い。
044
かかる者は正しき中心を忘れ、
045
自己の徳を修める根本問題を怠って、
046
末梢的教理の研究に堕した外道である。
047
神の道は、
048
描いた果物や現実を失った理想の文字ではない。
049
視よ! 神光輝く日本国を。
050
未だ
異寇
(
いこう
)
[
※
攻めてくる賊のこと
]
の汚れを受けしことなき金甌無欠の国体がここに現存するではないか。
051
皇統連綿、
052
天壌とともに窮まりなき宝祚がここに実在するではないか。
053
しかして挙国一致、
054
天津日嗣天皇を守護し奉る尽忠の民がここに存在するではないか。
055
現実を伴はざる理想は私物に過ぎない、
056
それは観念の遊戯である。
057
この死物に活を与へ、
058
万民の理想を現実化するのが神の道である。
059
神聖の「聖」といふ字はヒジリと
訓
(
よ
)
む。
060
ヒジリとは日を知ることである。
061
即ち太陽を覚ることである、
062
日本を認識することである。
063
ヒは一字であり
霊
(
ひ
)
であり日でありまた陽である。
064
万有の始原根本の意である。
065
即ち聖とは宇宙の本源たる「日」を覚悟することなのである。
066
然らば宇宙の本源とは何であらうか? それが如実に物質化したものが、
067
万物に生命を与ふる太陽なのである。
068
また地上の主、
069
師、
070
親として顕現し給ひしが天津日嗣の天皇にましまし、
071
万邦に秀で、
072
神州日本国となったのである。
073
しかしてこれらを一貫して宇宙精神の本源に合一するの道を日の本の大道といふのである。
074
以上の説明を以て明かなる如く、
075
昭和神聖といふことは、
076
日の丸を仰望することであり、
077
日本国の使命を覚ることであり、
078
全地上の青人草をして天津日嗣天皇の大御稜威に
順
(
まつろ
)
はしむることである。
079
昭和神聖会の主義も綱領もまた宣言も、
080
ことごとくこの精神を布衍したものであって、
081
本会の指導精神は実に「昭和神聖」の四字の中に総てが示されてゐるのである。
082
○
083
次に昭和神聖会の会章は、
084
緑の周囲に対して赤色の玉を以て中心づけたものである。
085
しかしてこの赤き中心緑の円周とは左の如き関係を示すものである。
086
中心の赤(火) 周囲の緑(水)
087
太陽………………瑞穂国(地球)
088
天皇………………青人草(人類)
089
日本………………大海原(五大洲)
090
霊系(精神)……体系(物質)
091
統一主義…………分裂主義
092
求心純化…………分析復化
093
陽電子(男)……陰電子(女)
094
天地間の事象はことごとくかくの如き関係によって存在するものである。
095
しかしてこの中心と円周とを調和し釣り合わせる方法をマツリ(真釣)或ひはムスビ(
結交
(
むすび
)
)といふのである。
096
地上の青人草が天皇に正しく帰向し奉ることをマツロフと云ひ、
097
陰と陽が互ひに結合することをムスブといふ。
098
故にムスビによって生ずるものが息子であり娘である。
099
そこに弥栄の道があり、
100
無限進展の生命が存在する。
101
伊邪那岐、
102
伊邪那美二神の修理固成の
神業
(
かむわざ
)
は、
103
陰陽のマツリを完成し給ふことである。
104
今日の世界は自然界においては完全に陰陽のマツリが
調
(
ととの
)
ってゐるが、
105
最も肝腎な人間界においてそのマツリが正しく行はれてゐないのである。
106
そこに世界苦の実相があるのであある。
107
例へば物質のみを認めて霊魂即ち精神界を否定する唯物主義の思想がある。
108
古
(
いにしへ
)
の聖賢は「人心正しからざれば水火調はず」と教へ、
109
人の魂は以て天地を動かすことが出来ると説いたものである。
110
然るに今日の自然科学者は「如何に人間の心が悪くなっても社会に虚偽が充満しても、
111
自然現象とは露いささかの関係もない」かの如く自ら信じまた人を導いてゐる。
112
これは結局今日の学者の無智を告白してゐるものであって、
113
人間の肉体がその人の精神の持ち方で重大なる影響を受けると同様に、
114
この宇宙もまた一個の人体と見ることが出来、
115
人類の魂の総和が天地の生成化育に深い関係を持ってゐるのである。
116
例へば水は血液であり、
117
河川は血管に相当し、
118
土は筋肉、
119
鉱物は骨、
120
植物は毛となり、
121
しかして万物の霊長として自然界の支配者たる人間は、
122
実に頭脳命令を全身に通じて肉体を働かす神経に相応するものなのである。
123
今日の医学でも人間の精神が直ちに肉体に影響を及ぼし、
124
また肉体がその精神に強く反応し来たるものなる事を認めてゐるが、
125
それと同時に人間の魂の清濁が天地の運行に密接不離なる関係を有するものなる事は絶対に否定してはならない真理なのであって、
126
恐らく科学が今一層進歩したならばその所以を窺ふことが出来るやうになるであらう。
127
最近我が国において天災地変が頻々として起こる。
128
余は直ちにこれを以て
天譴
(
てんけん
)
[
※
天罰のこと
]
であると断ずるものでは無いが、
129
地震とか洪水とか暴風とかいふやうなものは、
130
人間の肉体に譬ふればちゃうど発熱とか出血とかまた悪寒に相当するものであるといふ事に気が付かなくてはならないと警告するものである。
131
単に物質的の科学力のみに依頼すべきものでなく、
132
どうしても精神を正しく持つやうに努力しなくてはならないのである。
133
次に今日の世の中は、
134
陰陽の存在は肯定しつつも、
135
その主客を顛倒してゐる人々があまりにも多いやうである。
136
勿論、
137
陰と陽とは別々に存在することの出来ない相応の関係にあるのであるから、
138
その主客を人間的の理窟で定めることは、
139
あだかも鶏と卵の前後を決めるに等しい問題であるが、
140
一切の物の主客は神ながらに決定してゐるのであって、
141
皇典古事記の那岐、
142
那美二神の御子生みの段に、
143
陽を以て主とし陰を以て客とすべき所以が明示されてゐるのである。
144
然るに今日の世の中は、
145
総てが主客転倒、
146
陰陽逆転の状態にある。
147
その一つが今日の科学となって物質偏重主義を生じたのである。
148
物質を主として魂を従とする。
149
これを体主霊従の教といふのである。
150
例へば今日の政治はマツリゴトでなくして政略であり政策である。
151
徳を以てせずして機構を以て天下を治めようとするのである。
152
また法規万能主義の法律家がさうである。
153
人の善悪を
審
(
さば
)
く為にはどうしても裁判官となるべき人が人格の高潔なる公平無私の人でなくてはならぬ。
154
その立派なる人が法規に従って審きをするのが霊主体従の精神である。
155
反国体学説あるひは民主主義の思想がまさに主客転倒、
156
体主霊従の道である。
157
天皇は霊にして国民は体である。
158
火と水、
159
中心と円周の関係が君臣の関係である。
160
故に物質主義、
161
体主霊従の思想は必ず民主主義に陥るものである。
162
しかして陰陽逆転は天則に
悖戻
(
はいれい
)
する道であって、
163
その結果が必ず行き詰りに
逢著
(
ほうちやく
)
するものである事は皇典古事記に明示されてゐる所である。
164
全世界の国々が滅亡し、
165
その王達がことごとく断絶したのに、
166
独り我が国のみが皇統連綿として皇威弥栄えに栄えまし、
167
国運隆々として躍進の一途を辿るは、
168
我が国が天則に順応し霊主体従の大道を進んで来たからである。
169
しかして我が過去の歴史に徴するに、
170
我が国がこの霊主体従の大道を忘れて、
171
カラの教即ち体主霊従の道に傾いた時に国家の乱脈と国民の苦患が発生した。
172
昭和維新とは実に体主霊従より霊主体従に世を立直し、
173
以て天則に順応した弥栄の道に総てを更生せしむることである。
174
それからこの陰陽の関係を対立闘争的に見てゐる人が多い。
175
即ち君主と国民の利害は必ず相反するものである。
176
治者と被治者との関係は相互敵視の関係にあるといふ見方である。
177
この思想を称して覇道的愛悪主義といふのである。
178
自分と他人、
179
自国と他国の関係を律するのに、
180
他のためになることは必ず自己の不利益となる。
181
自分を幸福にするためには他人を犠牲にするのもやむを得ない、
182
といふ考へ方である。
183
根本にかかる闘争心をおいて作られたのが外国の憲法論であり議会制度であり経済学である。
184
しかし我が国の憲法、
185
議会及び経済の本旨は断じてかかる精神の上に立ってはならない。
186
皇道に立脚した陰陽の関係は共存愛善の関係にある。
187
君臣の道も、
188
父子夫婦の関係も、
189
決して排他的利己主義を基調とするものではない。
190
正しき愛の家族的精神を国家に拡大してそこに大家族精神に基づく輝く日本が生まれ、
191
それを全人類に押し及ぼし地上の万類に至らしめて、
192
ここに人類愛善の大理想が実現するのである。
193
今日の自然科学は陰陽電気の活動力を応用して大なる仕事をしてゐる。
194
これは物質の中にある「愛」の力を利用したものである。
195
しかして物質よりも偉大なる力を持ってゐる人間の「愛」の情動を活用する事が出来た時に、
196
始めてこの土に理想の世界が具現するのである。
197
科学がそこまで進歩した時に始めて科学そのものが完成されるのである。
198
しかしてそこに正しき科学と正しき信仰が合致することとなるのである。
199
皇道維新といひ真日本の建設といふも、
200
ことごとく幾千年間幾多の聖賢が説き来たりまた全人類が待望した最高理想の地上実現にあるのである。
201
釈迦の予言した弥勒浄土も、
202
耶蘇の絶叫した地上天国も、
203
みなそれであって、
204
いよいよ神定の時が来て皇道に基づくこの大転換が現下の世界的産みの苦悩なのである。
205
○
206
神聖はまた「神声」である。
207
神聖会員は常に心の耳を清めて神の声を聴かねばならぬ。
208
しかして人が神の声を聴く耳を
閉
(
ふさ
)
いだ時に、
209
必ず悪魔の囁きが耳に
入
(
い
)
るものである。
210
また吾々の語る一言一句が、
211
ことごとく神の声であるべく
努
(
つと
)
めねばならぬ、
212
即ち吾々の発する言霊によって世界を清めて天地の生成を助けねばならないのである。
213
声は心の枝である。
214
心の樹が正しければその枝は自ら繁茂し、
215
しかして美しい花を咲かせ甘い果実を実らすことが出来るのである。
216
心の枝に棘があってはならぬ。
217
如何にその声が正義の叫びであっても、
218
もしその声に棘があったら人の心を言向和すことは出来ない。
219
神聖はまた「新成」であり「新政」である。
220
新成とは修理固成である。
221
海月
(
くらげ
)
の如く漂へる地球を固め、
222
五月蝿
(
さばへ
)
の如く騒げる世界を定めるために、
223
神命のまにまに勇往邁進するのが神聖会員の努めである。
224
しかして吾々の目指すところは、
225
実に我が国を
本
(
もと
)
とする「昭和神聖」の完成である。
226
明治維新は王政復古といはれた。
227
だが昭和の御維新は進んで神政復古であらねばならぬ。
228
全人類が天皇を顕津御神と仰ぎ奉り、
229
政事は即ちマツリゴトなる所以を悟り、
230
経済は産霊の大道なることを観ずる世界にせしめねばならない。
231
かくてこの大理想を実現して吾らに課せられたる大使命を達成するために、
232
神聖会員として終始一貫すべき根本精神は「信正」「真誠」である。
233
今日、
234
世界到る所に「正義、
235
正義」の声が挙げられてゐるが、
236
真の正義は神を畏れる信仰の正義であらねばならない。
237
即ち至純の愛であり最高の真である神の御目から見たる正義に合一したものであらねばならない。
238
例へば、
239
今日の支那の農村はまさに文字通り崩壊の深淵に臨んでゐる。
240
しかしてかく農村を塗炭の苦しみに導いたものは、
241
実に永年に亘る支那軍閥の
苛斂誅求
(
かれんちうきう
)
であったと云はれてゐる。
242
その軍閥を援助しその力をますます強大にならしめることが果して正義であるか、
243
或ひは洪徳の王者の慈愛に支那四億の民草を甦らしむべく誠心誠意力をつくすのが正義であるか。
244
前者を以て正義なりと叫ぶ国もある、
245
後者を以て真の正義なりと信ずる国もある。
246
問題はこれを行ふ者の心である、
247
そこに「信正」の尊さと偉大性がある。
248
荒ぶる今の世に信正を行ふには幾多の困難が横たはる。
249
しかし信正には必ず天佑神助が降る。
250
日本もこれからいよいよ多事多難の前途を予想しなければならない。
251
ただし日本が信仰に基づく正義に固く立つ時は、
252
如何なる艱難辛苦に遭遇するも、
253
終りまで信を貫き正を護れば、
254
必ずそこに偉大なる光明を仰ぐことが出来るのである。
255
この覚悟がまた昭和神聖会員の総てになければならない。
256
吾々の前途には
荊棘
(
いばら
)
が横たはる、
257
だが終りまで忍ぶ者は救はれる。
258
もし終りまで堪へ忍ぶことが出来なかったならば、
259
結局それは神に対する信仰が無かった証拠である。
260
然らばどうしたならば吾々が信仰に基づく正義に毅然として立つことが出来るか。
261
曰く、
262
吾々が「真誠」の心に立帰ることである。
263
真誠は神より発してまた神に帰するものである。
264
真誠は力の根元である。
265
内には不撓不屈の精力となり、
266
外には万有を化育する威力を発揮する。
267
かくて吾々が信仰の正義に立ち、
268
真誠より発する力を得ることによって始めて天下を動かすことが出来る。
269
神の国とは力と正義が並行する国である。
270
皇道国とはまた力と正義が列び存する国である。
271
吾々は日本を強くせねばならない、
272
世界一の強力なる国家とせねばならない、
273
と同時に我が国を正義の国即ち信正の国家となさねばならない。
274
だが力のみを養成して信正を立てず、
275
或ひは力を主として正義を従とすることがあるならば、
276
それは体主霊従の邪道で必ず「お出直し」をせねばならないこととなる。
277
余は昭和神聖会員が「昭和神聖」の真義に徹して、
278
以て皇業を翼賛し奉り神聖世界の完成に邁進せむことを祈るものである。
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