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敬神の観念
インフォメーション
題名:
敬神の観念
著者:
出口王仁三郎
ページ:
184
概要:
備考:
「神霊界」大正九年一月一五日号所収「随筆」の抜萃・再編
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B123900c062
001
「蓬莱に聞かばや伊勢の初便り」
002
皇祖天照皇大神の永遠に鎮り坐ます伊勢大神宮は実に我が国体の中心である。
003
「何事のおはしますかは知らねども
忝
(
かたじけ
)
なさに涙こぼるる」
004
と詠じた古人の歌は、
005
すなはち
臣子
(
しんし
)
の至情であつて、
006
我が国民としては実に当然の事である。
007
古来我が日本国の儀式典礼等は総てにおいて敬神尊皇の大道を基礎とし、
008
古往今来かつて変らざる所である。
009
中世以来仏教渡来して幾分かの影響は蒙つたけれども敬神の基礎は決して動揺してゐない。
010
古代にあつては敬神はすなはち政道であり、
011
祭政一致の政体であつた。
012
ここで云ふ敬神とは一部宗教家の云ふが如きただ単に「神を崇敬せよ」と云ふのではない。
013
「皇祖皇宗の大神即ち実在の神々を崇敬せよ」と云ふのである。
014
今日の世界思潮の大勢と、
015
この敬神の観念とは全くその根本から相違してゐるのである。
016
世界の大勢に順応する事はある一角から見て結構かも知れぬ。
017
しかしそれが為に尊厳無比なる我が国体を覆へすやうなことは断じて不可である。
018
神聖無比なる我が日本の国体については、
019
何物といへどもこれを云為することは許されぬ。
020
これ我が神国の世界に冠絶せる所以であって「元日や親の譲りの大刀
佩
(
は
)
かむ」とは、
021
我が国体精華の反映である。
022
祖先以来家宝として伝へられる神剣を佩いて
恭
(
うやうや
)
しく新春を迎ふる、
023
その意気
軒昂
(
けんかう
)
として千丈の光焔を吐く。
024
これぞ祖先崇拝を示現するもので、
025
大義は外国にその例を見ざる所である。
026
我が国の神は一部宗教家の唱ふる神とは大いに相違し、
027
現実の祖先を祭るのである。
028
一家の祖先、
029
一国の祖先、
030
天の祖先、
031
地の祖先を敬祭するのである。
032
故に敬神の観念と祖先崇拝心とは合致してゐる。
033
これが即ち日本神国の精華であつて、
034
万国に比類なき点である。
035
この精華が世界に卓越したる我が国体を創造したとも云へるが、
036
天地開闢の太初から特に天地の祖神より神定されたる大義明分に外ならぬ次第である。
037
故に日本神国の臣民は一日も祖先崇拝と敬神の道を忘れてはならぬ。
038
ことに新年の歳頭に際しては宗教の如何を問はず、
039
都会も田舎も押しなベて神祇を祭り、
040
祖先を礼拝するといふ事は日本人の当然の行事で、
041
永遠無窮に神を敬ふの大義を遺忘せざらむが為であり、
042
この森厳にして神々しき元旦の気分を平生に念頭に置く事は我が国民の切に留意せねばならぬところである。
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