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国際経済会議の雲行

インフォメーション
題名：国際経済会議の雲行 著者：出口王仁三郎
ページ：137
概要： 備考：「昭和」昭和八年八月号所収「出口王仁三郎氏に物を訊く座談会」を再編したものと思われる タグ： データ凡例： データ最終更新日： OBC ：B123900c044
001　日印の通商は断絶されたが、002これはホンの一時的の現象であるから、003とても長く続くものではない。004政府当局者は外交的解決に期待してゐるやうであるが、005無論これもやらねばならぬが、006大勢は放っておいてもいづれは印度の方から通商して来なければならぬやうになってくることは明かである。007これは英国が尻押しをしてゐるのである。008しかし、009印度の農民は日印通商断絶によって二重の大打撃をうけ、010それが印度の独立運動に拍車をかけるやうなことになるから、011とても長続きするものではない。
012　また今度ロンドンで開かれてゐる国際経済会議も、013結局は日本イヂメをやることになるであらうが、014別に驚くことはない。015日本は自給自足の出来る国である。016満州国があるのだから問題はない。017私は日本がむしろ経済封鎖をされた方がその間に本当の姿に立直ってくるのでかへってよいくらゐに考へてゐる。018決して困ることはないと思ふ。
019　今度の国際経済会議が導火線となって世界を相手に戦ふやうなことにならないにしても、020いづれは切迫した事情を生ずるであらう。021さうでなければ、022重爆撃機とか軽爆撃機とかいふものを国民が不景気に苦しんでゐるのに造る必要がないではないか。023ともかく日清、024日露戦争にしても国家経済の戦争になってゐるので、025すべてが生活問題からである。026経済問題がなかったら戦争は起らない。
027　今度の国際経済会議が決裂になっても、028国際連盟みたいなものである。029日本は国際連盟を脱退したところで何でもなかった。030それでまた手を変へ品を変へて日本を困らさうとしてゐるのであるが、031決して恐るるに足らない、032日本内地だけについて云っても、033北海道なぞは土地の二割より拓けてゐない。034あとの八割は遊んでゐるのである。
035　昔は政府が山を拓けといって金をくれたが、036金をもらっておいて、037樹だけ売ってあとは放(ほ)かしてしまふといふやうなことをやったので、038今では政府がなかなか金をくれないのである。039何にせよ、040さうした日本人が多いのだから困ったものである。
041　日本人が覚醒しない限りいつまで経ってもダメだ。042一時的に今しばらく経済のゴタゴタしてゐるのを圧(おさ)へる為に統制経済といふことが盛んにいはれてゐるやうであるが、043言ふだけで実行は出来ない。044手も足も出ないところまで行詰らぬと覚醒しないであらう。
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