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第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
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第8巻(未の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 智利の都
01 朝日丸
〔351〕
02 五十韻
〔352〕
03 身魂相応
〔353〕
04 烏の妻
〔354〕
05 三人世の元
〔355〕
06 火の玉
〔356〕
第2篇 四十八文字
07 蛸入道
〔357〕
08 改心祈願
〔358〕
09 鏡の池
〔359〕
10 仮名手本
〔360〕
第3篇 秘露より巴留へ
11 海の竜宮
〔361〕
12 身代り
〔362〕
13 修羅場
〔363〕
14 秘露の邂逅
〔364〕
15 ブラジル峠
〔365〕
16 霊縛
〔366〕
17 敵味方
〔367〕
18 巴留の関守
〔368〕
第4篇 巴留の国
19 刹那心
〔369〕
20 張子の虎
〔370〕
21 滝の村
〔371〕
22 五月姫
〔372〕
23 黒頭巾
〔373〕
24 盲目審神
〔374〕
25 火の車
〔375〕
26 讃嘆
〔376〕
27 沙漠
〔377〕
28 玉詩異
〔378〕
29 原山祇
〔379〕
第5篇 宇都の国
30 珍山峠
〔380〕
31 谷間の温泉
〔381〕
32 朝の紅顔
〔382〕
33 天上眉毛
〔383〕
34 烏天狗
〔384〕
35 一二三世
〔385〕
36 大蛇の背
〔386〕
37 珍山彦
〔387〕
38 華燭の典
〔388〕
第6篇 黄泉比良坂
39 言霊解一
〔389〕
40 言霊解二
〔390〕
41 言霊解三
〔391〕
42 言霊解四
〔392〕
43 言霊解五
〔393〕
余白歌
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(B)
(N)
身魂相応 >>>
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第二章
五十韻
(
ごじふゐん
)
〔三五二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻
篇:
第1篇 智利の都
よみ(新仮名遣い):
てるのみやこ
章:
第2章 五十韻
よみ(新仮名遣い):
ごじゅういん
通し章番号:
352
口述日:
1922(大正11)年02月06日(旧01月10日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
同じ船に乗っていた日の出神は、雑談をそ知らぬふりに聞き流していた。自称宣伝使・清彦は諄々として三五教の宣伝歌を歌い始めた。
駒山彦と猿世彦は、それに対してウラル教の宣伝歌を歌ってまぜっかえす。どういうわけか船中の人々は、三五教の教えを聞きたがって、清彦の肩を持って説教を求める。
清彦は知らぬものはない、と大法螺を吹くが、猿世彦が茶々を入れる。清彦が猿世彦・駒山彦を罵り返すと、猿世彦・駒山彦は怒って清彦に飛びかかった。
清彦は一度だけ反撃するが、その後は猿世彦・駒山彦を罵りながらも、殴られる一方になっている。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-30 19:48:01
OBC :
rm0802
愛善世界社版:
11頁
八幡書店版:
第2輯 155頁
修補版:
校定版:
13頁
普及版:
6頁
初版:
ページ備考:
001
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
雑談
(
ざつだん
)
を
床
(
ゆか
)
しげに、
002
世道
(
せだう
)
人心
(
じんしん
)
の
傾向
(
けいかう
)
を
探
(
さぐ
)
る
羅針盤
(
らしんばん
)
として
耳
(
みみ
)
を
澄
(
す
)
まして
船
(
ふね
)
の
小隅
(
こすみ
)
に
屈
(
かが
)
み、
003
素知
(
そし
)
らぬ
振
(
ふ
)
りに
聞
(
き
)
き
流
(
なが
)
しゐたり。
004
清彦
(
きよひこ
)
の
自称
(
じしよう
)
宣伝使
(
せんでんし
)
は
諄々
(
じゆんじゆん
)
として
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めたり。
005
駒山彦
(
こまやまひこ
)
、
006
猿世彦
(
さるよひこ
)
はウラル
彦
(
ひこ
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
うて
混
(
ま
)
ぜ
返
(
かへ
)
しに
全力
(
ぜんりよく
)
を
注
(
そそ
)
ぐ。
007
されど
船中
(
せんちう
)
の
人々
(
ひとびと
)
は
何故
(
なにゆゑ
)
か
三五教
(
あななひけう
)
の
清彦
(
きよひこ
)
に
同情
(
どうじやう
)
し、
008
清彦
(
きよひこ
)
の
説教
(
せつけう
)
を
頻
(
しき
)
りに
求
(
もと
)
めて
止
(
や
)
まざりける。
009
清彦
(
きよひこ
)
は
得意
(
とくい
)
満面
(
まんめん
)
に
溢
(
あふ
)
れて
矛盾
(
むじゆん
)
脱線
(
だつせん
)
だらけの
講釈
(
かうしやく
)
を
始
(
はじ
)
め
且
(
か
)
つ
鼻高々
(
はなたかだか
)
と、
010
『
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
事
(
こと
)
は
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
この
方
(
はう
)
の
心
(
こころ
)
の
鏡
(
かがみ
)
に
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
つてゐる。
011
大
(
だい
)
は
宇宙
(
うちう
)
の
根本
(
こんぽん
)
より
小
(
せう
)
は
虱
(
しらみ
)
の
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
までよく
透
(
す
)
き
通
(
とほ
)
つてゐる。
012
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
清彦
(
きよひこ
)
とは
吾事
(
わがこと
)
である。
013
何
(
なに
)
を
問
(
と
)
はれても
知
(
し
)
らぬといふ
事
(
こと
)
はない。
014
三五教
(
あななひけう
)
の
一
(
ひと
)
つも
欠点
(
けつてん
)
のない、
015
いはゆる
穴
(
あな
)
の
無
(
な
)
い
宣伝使
(
せんでんし
)
だ』
016
と
大法螺
(
おほぼら
)
を
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
てける。
017
甲
(
かふ
)
『
貴郎
(
あなた
)
は
小野
(
をの
)
の
小町
(
こまち
)
の
再来
(
さいらい
)
か、
018
穴
(
あな
)
が
無
(
な
)
いと
仰有
(
おつしや
)
つたが
大小便
(
だいせうべん
)
はどうなさりますか』
019
清彦
(
きよひこ
)
『
夫
(
そ
)
れは
穴
(
あな
)
ではない、
020
筒
(
つつ
)
と
洞
(
ほら
)
とだ。
021
筒
(
つつ
)
と
洞
(
ほら
)
とはあつても
穴
(
あな
)
は
無
(
な
)
い』
022
猿世彦
(
さるよひこ
)
『
筒
(
つつ
)
ツ
洞
(
ぼら
)
を
吹
(
ふ
)
くない。
023
貴様
(
きさま
)
の
耳
(
みみ
)
、
024
鼻
(
はな
)
、
025
口
(
くち
)
はそりや
何
(
なん
)
だい。
026
夫
(
そ
)
れでも
穴
(
あな
)
が
無
(
な
)
いのか。
027
さうだらう、
028
麝香
(
じやかう
)
と
屁
(
へ
)
の
臭
(
にほひ
)
とを
一緒
(
いつしよ
)
にしたり、
029
酒
(
さけ
)
と
泥水
(
どろみづ
)
の
味
(
あぢ
)
を
一緒
(
いつしよ
)
にしたり、
030
鬼
(
おに
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
と
天人
(
てんにん
)
の
音楽
(
おんがく
)
とを
ごつちや
混
(
ま
)
ぜにする
宣伝使
(
せんでんし
)
だから
穴
(
あな
)
が
塞
(
ふさ
)
がつて、
031
三五教
(
あななひけう
)
だらうよ。
032
イヒヽヽヽ』
033
清彦
(
きよひこ
)
『
黙
(
だま
)
つて
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
宣伝
(
せんでん
)
を
聴
(
き
)
け、
034
酒喰
(
さけくら
)
ひ
教
(
けう
)
奴
(
め
)
が。
035
ウラル
彦
(
ひこ
)
の
唱
(
とな
)
へだした
大中教
(
だいちうけう
)
の
奴
(
やつ
)
は、
036
何時
(
いつ
)
も
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
つたやうな、
037
支離
(
しり
)
滅裂
(
めつれつ
)
な
説教
(
せつけう
)
を
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
てよつて
人
(
ひと
)
を
困
(
こま
)
らす
駒山彦
(
こまやまひこ
)
、
038
人真似
(
ひとまね
)
の
上手
(
じやうづ
)
な
猿
(
さる
)
の
尻笑
(
しりわら
)
ひの
猿世彦
(
さるよひこ
)
だよ』
039
猿
(
さる
)
、
040
駒
(
こま
)
二人
(
ふたり
)
は
烈火
(
れつくわ
)
の
如
(
ごと
)
く
怒
(
いか
)
つて
清彦
(
きよひこ
)
に
飛
(
と
)
びつくを、
041
清彦
(
きよひこ
)
は、
042
『
何
(
なに
)
を
小癪
(
こしやく
)
なツ』
043
と
云
(
い
)
ひながら
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
めて
二人
(
ふたり
)
の
頭
(
あたま
)
を
ぽかり
とブンなぐる。
044
二人
(
ふたり
)
は
左右
(
さいう
)
の
手
(
て
)
を
確
(
しつか
)
と
握
(
にぎ
)
り、
045
『コラ、
046
清彦
(
きよひこ
)
、
047
三五教
(
あななひけう
)
は
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
せ、
048
といふ
教
(
をしへ
)
ださうな。
049
俺
(
おれ
)
が
貴様
(
きさま
)
を
ブン
擲
(
なぐ
)
つても、
050
真
(
ほんま
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
なら
見直
(
みなほ
)
すのぢやぞよ』
051
と
云
(
い
)
ひながら、
052
『この
腰抜
(
こしぬけ
)
野郎
(
やらう
)
』
053
と
又
(
また
)
もや
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
めて
ポカツ
と
打
(
う
)
つ。
054
猿世彦
(
さるよひこ
)
『コラ
清彦
(
きよひこ
)
、
055
三五教
(
あななひけう
)
は
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
すのだぞ。
056
馬鹿
(
ばか
)
野郎
(
やらう
)
と
云
(
い
)
はれても
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
せ。
057
腰抜
(
こしぬけ
)
野郎
(
やらう
)
、
058
穴
(
あな
)
探
(
さが
)
し
野郎
(
やらう
)
』
059
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『
三五教
(
あななひけう
)
は
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
すのだ。
060
今
(
いま
)
まで
俺
(
おい
)
等
(
ら
)
の
欠点
(
あら
)
を
大勢
(
おほぜい
)
の
中
(
なか
)
で
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
てよつて、
061
これも
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
さぬか。
062
自分
(
じぶん
)
の
悪
(
わる
)
いことは
棚
(
たな
)
から
降
(
おろ
)
して
すつかり
ここで
白状
(
はくじやう
)
するのだ。
063
さうして
俺
(
おい
)
等
(
ら
)
の
悪口
(
わるくち
)
を
云
(
い
)
つたことを
残
(
のこ
)
らず
嘘言
(
うそ
)
でございましたと
船客
(
せんきやく
)
一同
(
いちどう
)
に
嘘言
(
うそ
)
吐
(
つ
)
きのお
詫
(
わび
)
をするのだ。
064
貴様
(
きさま
)
が
今
(
いま
)
ここで
大耻
(
おほはぢ
)
をかくのも
三五教
(
あななひけう
)
の
教理
(
けうり
)
からいへば
惟神
(
かむながら
)
だ、
065
御
(
お
)
経綸
(
しぐみ
)
だ』
066
清彦
(
きよひこ
)
『エヘン、
067
オホン、
068
アハン、
069
ウフン、
070
イヒン』
071
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『ソンナ
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
分
(
わか
)
るかい』
072
清彦
(
きよひこ
)
『カンカン』
073
猿世彦
(
さるよひこ
)
『カンカンぢやない、
074
堪忍
(
かんにん
)
して
呉
(
く
)
れと
云
(
い
)
へ』
075
清彦
(
きよひこ
)
『キンキンだ』
076
猿世彦
(
さるよひこ
)
『
謹慎
(
きんしん
)
すると
云
(
い
)
ふのか』
077
清彦
(
きよひこ
)
『
謹聴
(
きんちやう
)
せい、
078
この
方
(
はう
)
の
天来
(
てんらい
)
の
大福音
(
だいふくいん
)
を。
079
ケン、
080
ケン、
081
喧嘩
(
けんくわ
)
なら
何処迄
(
どこまで
)
も
行
(
ゆ
)
くぞ、
082
コンコンさまに
抓
(
つま
)
まれよつて、
083
クンクンと
苦
(
くる
)
しんで
吠面
(
ほえづら
)
かわいてサツサツと
鬼城山
(
きじやうざん
)
を
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
し、
084
シヽヽ
死物狂
(
しにものぐる
)
ひになつて、
085
スヽヽ
凄
(
すご
)
い
目
(
め
)
にあつて
煤煙
(
すす
)
のやうな
黒
(
くろ
)
い
顔
(
かほ
)
をして、
086
セヽヽ
雪隠虫
(
せつちんむし
)
奴
(
め
)
が
糞垂
(
ばばた
)
れ
腰
(
ごし
)
になつて、
087
ソヽヽ
其処
(
そこ
)
らあたりを、
088
タヽヽ
立
(
た
)
ちん
坊
(
ばう
)
の
乞食
(
こじき
)
姿
(
すがた
)
となり……』
089
猿世彦
(
さるよひこ
)
『
貴様
(
きさま
)
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬ
)
かす。
090
大勢
(
おほぜい
)
の
前
(
まへ
)
で
人
(
ひと
)
に
恥
(
はぢ
)
を
掻
(
か
)
かせよつてちつとは
前後
(
あとさき
)
を
考
(
かんが
)
へぬか』
091
清彦
(
きよひこ
)
『チヽヽちつとは
貴様
(
きさま
)
も
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
い。
092
恥辱
(
ちじよく
)
と
思
(
おも
)
ふなら
もちつと
智慧
(
ちゑ
)
を
光
(
ひか
)
らして、
093
人
(
ひと
)
の
欠点
(
あら
)
をなぜ
包
(
つつ
)
まぬか。
094
人
(
ひと
)
を
呪
(
のろ
)
へば
穴
(
あな
)
二
(
ふた
)
つだ。
095
三五教
(
あななひけう
)
には
穴
(
あな
)
は
無
(
な
)
いぞ。
096
ツヽヽ
聾
(
つんぼ
)
の
奴盲人
(
どめくら
)
の
大中教
(
だいちうけう
)
とは、
097
訳
(
わけ
)
が
違
(
ちが
)
ふのだ。
098
テヽヽ
天然棒
(
てんねんぼう
)
の
星当
(
ほしあた
)
り、
099
手癖
(
てくせ
)
の
悪
(
わる
)
い
猿駒
(
さるこま
)
の、
100
トヽヽ
徹底
(
とことん
)
どんづまりは
栃麺棒
(
とちめんぼう
)
の
頓珍漢
(
とんちんかん
)
の
蜻蛉返
(
とんぼがへ
)
りの……』
101
猿世彦
(
さるよひこ
)
『コラ
清彦
(
きよひこ
)
、
102
口
(
くち
)
に
関所
(
せきしよ
)
が
無
(
な
)
いと
思
(
おも
)
つてあまり
馬鹿
(
ばか
)
にすな。
103
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬ
)
かしよるのだ』
104
清彦
(
きよひこ
)
『ナヽヽ
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
吐
(
ぬ
)
かしよるので
情
(
なさけ
)
なからう。
105
情
(
なさけ
)
なくとも
何
(
なに
)
ほど
難儀
(
なんぎ
)
でも
泣面
(
なきづら
)
かわいても、
106
情容赦
(
なさけようしや
)
があつて
堪
(
た
)
まらうかい、
107
スペリオル
湖
(
こ
)
の
木乃伊
(
みいら
)
先生
(
せんせい
)
が。
108
ニヽヽ
憎
(
にく
)
まれ
子
(
ご
)
世
(
よ
)
に
覇張
(
はば
)
る。
109
憎
(
にく
)
まれても
睨
(
に
)
らまれても、
110
二進
(
につち
)
も
三進
(
さつち
)
も
口
(
くち
)
の
開
(
あか
)
ぬやうにしてやるのだよ、
111
ウフヽヽヽ』
112
猿世彦
(
さるよひこ
)
『
清彦
(
きよひこ
)
、
113
貴様
(
きさま
)
あまりぢやないか』
114
とまた
ボカン
となぐる。
115
猿世彦
(
さるよひこ
)
『サー
吐
(
ぬ
)
かすなら
吐
(
ぬ
)
かして
見
(
み
)
い、
116
また
拳骨
(
げんこつ
)
のお
見舞
(
みまひ
)
だぞ』
117
清彦
(
きよひこ
)
『ヌヽヽ
吐
(
ぬ
)
かさいでかい。
118
糠
(
ぬか
)
に
釘
(
くぎ
)
、
119
豆腐
(
とうふ
)
に
鎹
(
かすがひ
)
、
120
盗人
(
ぬすびと
)
猛々
(
たけだけ
)
しいとは
貴様
(
きさま
)
の
事
(
こと
)
だ。
121
人
(
ひと
)
の
家
(
いへ
)
へヌーと
這入
(
はいり
)
よつて、
122
人
(
ひと
)
の
物
(
もの
)
を
何
(
なに
)
しよつて、
123
スーと
出
(
で
)
て
来
(
き
)
よる
手癖
(
てくせ
)
の
悪
(
わる
)
いヌースー
人
(
びと
)
奴
(
め
)
が、
124
ネヽヽ
捻
(
ねぢ
)
け
曲
(
まが
)
つた
奴根性
(
どこんじやう
)
、
125
ノヽヽ
野太
(
のぶと
)
い
野良猫
(
のらねこ
)
奴
(
め
)
が、
126
ソコラぢうを
のさば
り
歩
(
ある
)
きよつて、
127
ハヽヽあまりをかしうて
笑
(
わら
)
ひが
止
(
と
)
まらぬ。
128
恥
(
はぢ
)
を
知
(
し
)
れ、
129
薄情者
(
はくじやうもの
)
、
130
禿頭
(
はげあたま
)
、
131
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つたら
もつと
もつと
擲
(
なぐ
)
れ、
132
俺
(
おれ
)
の
頭
(
あたま
)
は
鉄
(
てつ
)
で
作
(
つく
)
つてある。
133
終
(
しまひ
)
には
貴様
(
きさま
)
の
手
(
て
)
が
痺
(
しび
)
れるだけだ。
134
ヒヽヽ
非道
(
ひど
)
い
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
ふぞ。
135
僻
(
ひが
)
み
根性
(
こんじやう
)
の
非常識
(
ひじやうしき
)
の
ヒンダのかす
、
136
蟇蛙
(
ひきがへる
)
の
放尻腰
(
へつぴりごし
)
のヒンガラ
眼
(
め
)
、
137
フヽヽ
不思議
(
ふしぎ
)
な
猿
(
さる
)
のやうな、
138
面
(
つら
)
をふくらしよつて、
139
不足
(
ふそく
)
さうに
梟鳥
(
ふくろどり
)
の
宵企
(
よひだく
)
み、
140
昼目
(
ひるめ
)
の
見
(
み
)
えぬ
盲
(
めくら
)
ども、
141
ヘヽヽ
屁
(
へ
)
なと
吸
(
す
)
はしてやらうか、
142
屁古垂
(
へこた
)
れ
奴
(
め
)
。
143
返答
(
へんたふ
)
は
どう
だ、
144
閉口
(
へいこう
)
したか。
145
ホヽヽ
呆
(
はう
)
け
野郎
(
やらう
)
、
146
ほろ
年寄
(
としよ
)
つて
若
(
わか
)
い
者
(
もの
)
の
尻
(
しり
)
を
追
(
お
)
ひまはして
肱鉄
(
ひじてつ
)
を
喰
(
くら
)
ひよつて、
147
マヽヽ
真赤
(
まつか
)
な
恥
(
はぢ
)
を
柿
(
かき
)
の
へた
、
148
下手
(
へた
)
なことばかりして
見
(
み
)
つけられ
大地
(
だいち
)
に
屁太張
(
へたば
)
つて
屁古垂
(
へこたれ
)
腰
(
ごし
)
で、
149
閉口
(
へいこう
)
さらし
た
猿世彦
(
さるよひこ
)
、
150
マヽヽ
間男好
(
まをとこずき
)
の
駒山彦
(
こまやまひこ
)
、
151
困
(
こま
)
つた
腰抜
(
こしぬ
)
け
困
(
こま
)
りもの、
152
ミヽヽ
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
知
(
し
)
らずの
蚯蚓虫
(
みみづむし
)
、
153
腐
(
くさ
)
つた
土
(
つち
)
の
中
(
なか
)
から
這
(
は
)
ひ
出
(
だ
)
しよつて、
154
大地
(
だいち
)
を
我物顔
(
わがものがほ
)
に
のたくり
廻
(
まは
)
り、
155
酷
(
きつ
)
い
日光
(
につくわう
)
に
照
(
てら
)
されて、
156
体
(
からだ
)
は
干乾
(
ひぼし
)
の
カンピンタン
、
157
駒山彦
(
こまやまひこ
)
の
カンピンタン
に
猿世彦
(
さるよひこ
)
の
木乃伊
(
みいら
)
とはよく
揃
(
そろ
)
つたものだワイ』
158
猿
(
さる
)
、
159
駒
(
こま
)
、
160
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
めて、
161
『エヽやかましいワイ、
162
もつと
拳骨
(
げんこつ
)
をお
見舞
(
みまひ
)
申
(
まを
)
さうかい』
163
と
又
(
また
)
もや
打
(
う
)
ちかかる。
164
清彦
(
きよひこ
)
『ムヽヽ
むかづく
か、
165
無念
(
むねん
)
なか、
166
むかつ
腹
(
ぱら
)
が
立
(
た
)
つか、
167
俺
(
おれ
)
のいふことを
無理
(
むり
)
と
見
(
み
)
るか、
168
虫
(
むし
)
けら
同様
(
どうやう
)
の
駒猿
(
こまざる
)
奴
(
め
)
、
169
メヽヽ
眼
(
め
)
を
剥
(
む
)
きよつて
其
(
その
)
態
(
ざま
)
は
何
(
なん
)
だ。
170
迷惑
(
めいわく
)
さうな
面
(
つら
)
を
曝
(
さら
)
しよつて
面目玉
(
めんぼくだま
)
を
全潰
(
まるつぶ
)
しにされて、
171
めそめそ
と
泣
(
な
)
きだしさうな
其
(
その
)
態
(
ざま
)
、
172
面喰
(
めんくら
)
つたか
盲
(
めくら
)
ども、
173
モヽもうこれで
許
(
ゆる
)
してやらうと
思
(
おも
)
つたが
盲目
(
めくら
)
同様
(
どうやう
)
の
貴様
(
きさま
)
たちは
物
(
もの
)
が
分
(
わか
)
らぬから、
174
もつと
揉
(
も
)
んでやらう。
175
揉
(
も
)
んでやらうといつても
按摩
(
あんま
)
ぢやないぞ』
176
猿
(
さる
)
、
177
駒
(
こま
)
『
人
(
ひと
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にするない、
178
黙
(
だま
)
つて
聞
(
き
)
いてをりや
言霊
(
ことたま
)
の
練習
(
れんしふ
)
をしよつて、
179
ヤヤヽ
喧
(
やかま
)
しいワイ、
180
イヽヽ
何時
(
いつ
)
までもウヽヽ
迂闊者
(
うつけもの
)
の
狼狽者
(
うろたへもの
)
の
嘘言吐
(
うそつ
)
きの
言霊
(
ことたま
)
も
ウンザリ
してしまふワイ。
181
エヽヽ
偉
(
えら
)
さうに
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
ぢやなんて、
182
オヽヽ
大
(
おほ
)
きな
法螺
(
ほら
)
ばかり
吹
(
ふ
)
きよつてお
尻
(
けつ
)
が
呆
(
あき
)
れるわ』
183
清彦
(
きよひこ
)
『コラ
貴様
(
きさま
)
らは
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
俺
(
おれ
)
のお
株
(
かぶ
)
を
占領
(
せんりやう
)
しよつて。
184
ヤイ
貴様
(
きさま
)
は
真似
(
まね
)
した
心組
(
つもり
)
だが、
185
ヤイウエオといふことが
何処
(
どこ
)
にある。
186
俺
(
おれ
)
の
云
(
い
)
ふことをもう
一度
(
いちど
)
聞
(
き
)
け、
187
ヤヽヽやいやい
吐
(
ぬ
)
かすな
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
乾児
(
こぶん
)
奴
(
め
)
。
188
イヽヽ
鼬
(
いたち
)
に
最後屁
(
さいごぺ
)
をひつかけられたやうな
面
(
つら
)
つきをしよつて、
189
ユヽヽ
言
(
ゆ
)
ひ
損
(
そこ
)
なひばかりしよつて、
190
エヽヽえい
加減
(
かげん
)
に
恥
(
はぢ
)
を
知
(
し
)
つたがよからう。
191
ヨヽヽようソンナ
馬鹿気
(
ばかげ
)
たことが
云
(
い
)
へたものだ、
192
ラヽヽ』
193
猿
(
さる
)
、
194
駒
(
こま
)
『もうこれで
耐
(
こら
)
へてやるから
後
(
あと
)
は
止
(
や
)
めてくれ。
195
云
(
い
)
はしておけば
終
(
しまひ
)
にはドンナことを
吐
(
ぬか
)
しよるか
分
(
わか
)
つたものぢやないワイ』
196
清彦
(
きよひこ
)
『ラヽヽ
埒
(
らち
)
もない、
197
リヽヽ
理屈
(
りくつ
)
を
並
(
なら
)
べよつて、
198
ルヽヽ
留守
(
るす
)
の
家
(
いへ
)
ばかり
狙
(
ねら
)
つて
歩
(
ある
)
きよつて、
199
レヽヽ
連子窓
(
れんじまど
)
を
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
に
覗
(
のぞ
)
いて
廻
(
まは
)
りよつて、
200
女
(
をんな
)
の
臭
(
くさ
)
い
尻
(
しり
)
をつけ
狙
(
ねら
)
ふ、
201
ロヽヽ
碌
(
ろく
)
でなし
奴
(
め
)
が、
202
論
(
ろん
)
にも
杭
(
くひ
)
にもかかつた
代物
(
しろもの
)
ぢやないぞ。
203
許
(
ゆる
)
すの
許
(
ゆる
)
さぬのつてワヽヽ
笑
(
わら
)
はしやがる、
204
己
(
おのれ
)
のことを
棚
(
たな
)
に
上
(
あ
)
げて
威張
(
ゐば
)
り
散
(
ち
)
らして、
205
ヰヽヽ
井戸
(
ゐど
)
の
底
(
そこ
)
の
蠑螈
(
ゐもり
)
奴
(
め
)
がウヽヽ
五月蠅
(
うるさ
)
いで、
206
もう
止
(
や
)
めてやらうか、
207
ヱヽヽ
遠慮
(
ゑんりよ
)
しといてやらうか、
208
ヱー
加減
(
かげん
)
に
甚
(
えら
)
う
俺
(
おれ
)
も
疲
(
つか
)
れたからな、
209
ヲヽヽ
終
(
をは
)
りだ』
210
猿
(
さる
)
、
211
駒
(
こま
)
『もう
貴様
(
きさま
)
そこまで
五十韻
(
ごじふゐん
)
を
並
(
なら
)
べよつたら
得心
(
とくしん
)
だらうかい、
212
それだけ
欠点
(
あら
)
を
探
(
さが
)
したらもう
探
(
さ
)
がさうたつて
有
(
あ
)
りはせまい。
213
さつぱり
穴無教
(
あなないけう
)
だ、
214
南無
(
なむ
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
215
アハヽヽヽイヒヽヽヽウフヽヽヽエヘヽヽヽオホヽヽヽ』
216
(
大正一一・二・六
旧一・一〇
加藤明子
録)
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