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第二章 五十韻(ごじふゐん)〔三五二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻 篇:第1篇 智利の都 よみ(新仮名遣い):てるのみやこ
章:第2章 五十韻 よみ(新仮名遣い):ごじゅういん 通し章番号:352
口述日:1922(大正11)年02月06日(旧01月10日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
同じ船に乗っていた日の出神は、雑談をそ知らぬふりに聞き流していた。自称宣伝使・清彦は諄々として三五教の宣伝歌を歌い始めた。
駒山彦と猿世彦は、それに対してウラル教の宣伝歌を歌ってまぜっかえす。どういうわけか船中の人々は、三五教の教えを聞きたがって、清彦の肩を持って説教を求める。
清彦は知らぬものはない、と大法螺を吹くが、猿世彦が茶々を入れる。清彦が猿世彦・駒山彦を罵り返すと、猿世彦・駒山彦は怒って清彦に飛びかかった。
清彦は一度だけ反撃するが、その後は猿世彦・駒山彦を罵りながらも、殴られる一方になっている。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-30 19:48:01 OBC :rm0802
愛善世界社版:11頁 八幡書店版:第2輯 155頁 修補版: 校定版:13頁 普及版:6頁 初版: ページ備考:
001 ()出神(でのかみ)雑談(ざつだん)(ゆか)しげに、002世道(せだう)人心(じんしん)傾向(けいかう)(さぐ)羅針盤(らしんばん)として(みみ)()まして(ふね)小隅(こすみ)(かが)み、003素知(そし)らぬ()りに()(なが)しゐたり。004清彦(きよひこ)自称(じしよう)宣伝使(せんでんし)諄々(じゆんじゆん)として三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)(うた)(はじ)めたり。
005 駒山彦(こまやまひこ)006猿世彦(さるよひこ)はウラル(ひこ)宣伝歌(せんでんか)(うた)うて()(かへ)しに全力(ぜんりよく)(そそ)ぐ。007されど船中(せんちう)人々(ひとびと)何故(なにゆゑ)三五教(あななひけう)清彦(きよひこ)同情(どうじやう)し、008清彦(きよひこ)説教(せつけう)(しき)りに(もと)めて()まざりける。
009 清彦(きよひこ)得意(とくい)満面(まんめん)(あふ)れて矛盾(むじゆん)脱線(だつせん)だらけの講釈(かうしやく)(はじ)()鼻高々(はなたかだか)と、
010()(なか)(こと)一切(いつさい)万事(ばんじ)この(はう)(こころ)(かがみ)()(わた)つてゐる。011(だい)宇宙(うちう)根本(こんぽん)より(せう)(しらみ)(はら)(なか)までよく()(とほ)つてゐる。012三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)清彦(きよひこ)とは吾事(わがこと)である。013(なに)()はれても()らぬといふ(こと)はない。014三五教(あななひけう)(ひと)つも欠点(けつてん)のない、015いはゆる(あな)()宣伝使(せんでんし)だ』
016大法螺(おほぼら)()()てける。
017(かふ)貴郎(あなた)小野(をの)小町(こまち)再来(さいらい)か、018(あな)()いと仰有(おつしや)つたが大小便(だいせうべん)はどうなさりますか』
019清彦(きよひこ)()れは(あな)ではない、020(つつ)(ほら)とだ。021(つつ)(ほら)とはあつても(あな)()い』
022猿世彦(さるよひこ)(つつ)(ぼら)()くない。023貴様(きさま)(みみ)024(はな)025(くち)はそりや(なん)だい。026()れでも(あな)()いのか。027さうだらう、028麝香(じやかう)()(にほひ)とを一緒(いつしよ)にしたり、029(さけ)泥水(どろみづ)(あぢ)一緒(いつしよ)にしたり、030(おに)(さけ)(ごゑ)天人(てんにん)音楽(おんがく)とをごつちや()ぜにする宣伝使(せんでんし)だから(あな)(ふさ)がつて、031三五教(あななひけう)だらうよ。032イヒヽヽヽ』
033清彦(きよひこ)(だま)つて(この)(はう)宣伝(せんでん)()け、034酒喰(さけくら)(けう)()が。035ウラル(ひこ)(とな)へだした大中教(だいちうけう)(やつ)は、036何時(いつ)(さけ)()つたやうな、037支離(しり)滅裂(めつれつ)説教(せつけう)()()てよつて(ひと)(こま)らす駒山彦(こまやまひこ)038人真似(ひとまね)上手(じやうづ)(さる)尻笑(しりわら)ひの猿世彦(さるよひこ)だよ』
039 (さる)040(こま)二人(ふたり)烈火(れつくわ)(ごと)(いか)つて清彦(きよひこ)()びつくを、041清彦(きよひこ)は、
042(なに)小癪(こしやく)なツ』
043()ひながら拳骨(げんこつ)(かた)めて二人(ふたり)(あたま)ぽかりとブンなぐる。044二人(ふたり)左右(さいう)()(しつか)(にぎ)り、
045『コラ、046清彦(きよひこ)047三五教(あななひけう)直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)せ、048といふ(をしへ)ださうな。049(おれ)貴様(きさま)ブン(なぐ)つても、050(ほんま)三五教(あななひけう)信者(しんじや)なら見直(みなほ)すのぢやぞよ』
051()ひながら、
052『この腰抜(こしぬけ)野郎(やらう)
053(また)もや拳骨(げんこつ)(かた)めてポカツ()つ。
054猿世彦(さるよひこ)『コラ清彦(きよひこ)055三五教(あななひけう)()(なほ)すのだぞ。056馬鹿(ばか)野郎(やらう)()はれても()(なほ)せ。057腰抜(こしぬけ)野郎(やらう)058(あな)(さが)野郎(やらう)
059駒山彦(こまやまひこ)三五教(あななひけう)()(なほ)すのだ。060(いま)まで(おい)()欠点(あら)大勢(おほぜい)(なか)()()てよつて、061これも(いま)此処(ここ)()(なほ)さぬか。062自分(じぶん)(わる)いことは(たな)から(おろ)してすつかりここで白状(はくじやう)するのだ。063さうして(おい)()悪口(わるくち)()つたことを(のこ)らず嘘言(うそ)でございましたと船客(せんきやく)一同(いちどう)嘘言(うそ)()きのお(わび)をするのだ。064貴様(きさま)(いま)ここで大耻(おほはぢ)をかくのも三五教(あななひけう)教理(けうり)からいへば惟神(かむながら)だ、065()経綸(しぐみ)だ』
066清彦(きよひこ)『エヘン、067オホン、068アハン、069ウフン、070イヒン』
071駒山彦(こまやまひこ)『ソンナ(こと)()つて(わか)るかい』
072清彦(きよひこ)『カンカン』
073猿世彦(さるよひこ)『カンカンぢやない、074堪忍(かんにん)して()れと()へ』
075清彦(きよひこ)『キンキンだ』
076猿世彦(さるよひこ)謹慎(きんしん)すると()ふのか』
077清彦(きよひこ)謹聴(きんちやう)せい、078この(はう)天来(てんらい)大福音(だいふくいん)を。079ケン、080ケン、081喧嘩(けんくわ)なら何処迄(どこまで)()くぞ、082コンコンさまに(つま)まれよつて、083クンクンと(くる)しんで吠面(ほえづら)かわいてサツサツと鬼城山(きじやうざん)()()し、084シヽヽ死物狂(しにものぐる)ひになつて、085スヽヽ(すご)()にあつて煤煙(すす)のやうな(くろ)(かほ)をして、086セヽヽ雪隠虫(せつちんむし)()糞垂(ばばた)(ごし)になつて、087ソヽヽ其処(そこ)らあたりを、088タヽヽ()ちん(ばう)乞食(こじき)姿(すがた)となり……』
089猿世彦(さるよひこ)貴様(きさま)(なに)()かす。090大勢(おほぜい)(まへ)(ひと)(はぢ)()かせよつてちつとは前後(あとさき)(かんが)へぬか』
091清彦(きよひこ)『チヽヽちつとは貴様(きさま)(かんが)へて()い。092恥辱(ちじよく)(おも)ふならもちつと智慧(ちゑ)(ひか)らして、093(ひと)欠点(あら)をなぜ(つつ)まぬか。094(ひと)(のろ)へば(あな)(ふた)つだ。095三五教(あななひけう)には(あな)()いぞ。096ツヽヽ(つんぼ)奴盲人(どめくら)大中教(だいちうけう)とは、097(わけ)(ちが)ふのだ。098テヽヽ天然棒(てんねんぼう)星当(ほしあた)り、099手癖(てくせ)(わる)猿駒(さるこま)の、100トヽヽ徹底(とことん)どんづまりは栃麺棒(とちめんぼう)頓珍漢(とんちんかん)蜻蛉返(とんぼがへ)りの……』
101猿世彦(さるよひこ)『コラ清彦(きよひこ)102(くち)関所(せきしよ)()いと(おも)つてあまり馬鹿(ばか)にすな。103(なに)()かしよるのだ』
104清彦(きよひこ)『ナヽヽ(なに)()()かしよるので(なさけ)なからう。105(なさけ)なくとも(なに)ほど難儀(なんぎ)でも泣面(なきづら)かわいても、106情容赦(なさけようしや)があつて()まらうかい、107スペリオル()木乃伊(みいら)先生(せんせい)が。108ニヽヽ(にく)まれ()()覇張(はば)る。109(にく)まれても()らまれても、110二進(につち)三進(さつち)(くち)(あか)ぬやうにしてやるのだよ、111ウフヽヽヽ』
112猿世彦(さるよひこ)清彦(きよひこ)113貴様(きさま)あまりぢやないか』
114とまたボカンとなぐる。
115猿世彦(さるよひこ)『サー()かすなら()かして()い、116また拳骨(げんこつ)のお見舞(みまひ)だぞ』
117清彦(きよひこ)『ヌヽヽ()かさいでかい。118(ぬか)(くぎ)119豆腐(とうふ)(かすがひ)120盗人(ぬすびと)猛々(たけだけ)しいとは貴様(きさま)(こと)だ。121(ひと)(いへ)へヌーと這入(はいり)よつて、122(ひと)(もの)(なに)しよつて、123スーと()()よる手癖(てくせ)(わる)いヌースー(びと)()が、124ネヽヽ(ねぢ)(まが)つた奴根性(どこんじやう)125ノヽヽ野太(のぶと)野良猫(のらねこ)()が、126ソコラぢうをのさば(ある)きよつて、127ハヽヽあまりをかしうて(わら)ひが()まらぬ。128(はぢ)()れ、129薄情者(はくじやうもの)130禿頭(はげあたま)131(はら)()つたらもつともつと(なぐ)れ、132(おれ)(あたま)(てつ)(つく)つてある。133(しまひ)には貴様(きさま)()(しび)れるだけだ。134ヒヽヽ非道(ひど)()()ふぞ。135(ひが)根性(こんじやう)非常識(ひじやうしき)ヒンダのかす136蟇蛙(ひきがへる)放尻腰(へつぴりごし)のヒンガラ()137フヽヽ不思議(ふしぎ)(さる)のやうな、138(つら)をふくらしよつて、139不足(ふそく)さうに梟鳥(ふくろどり)宵企(よひだく)み、140昼目(ひるめ)()えぬ(めくら)ども、141ヘヽヽ()なと()はしてやらうか、142屁古垂(へこた)()143返答(へんたふ)どうだ、144閉口(へいこう)したか。145ホヽヽ(はう)野郎(やらう)146ほろ年寄(としよ)つて(わか)(もの)(しり)()ひまはして肱鉄(ひじてつ)(くら)ひよつて、147マヽヽ真赤(まつか)(はぢ)(かき)へた148下手(へた)なことばかりして()つけられ大地(だいち)屁太張(へたば)つて屁古垂(へこたれ)(ごし)で、149閉口(へいこう)さらし猿世彦(さるよひこ)150マヽヽ間男好(まをとこずき)駒山彦(こまやまひこ)151(こま)つた腰抜(こしぬ)(こま)りもの、152ミヽヽ()(うへ)()らずの蚯蚓虫(みみづむし)153(くさ)つた(つち)(なか)から()()しよつて、154大地(だいち)我物顔(わがものがほ)のたくり(まは)り、155(きつ)日光(につくわう)(てら)されて、156(からだ)干乾(ひぼし)カンピンタン157駒山彦(こまやまひこ)カンピンタン猿世彦(さるよひこ)木乃伊(みいら)とはよく(そろ)つたものだワイ』
158 (さる)159(こま)160(いち)()拳骨(げんこつ)(かた)めて、
161『エヽやかましいワイ、162もつと拳骨(げんこつ)をお見舞(みまひ)(まを)さうかい』
163(また)もや()ちかかる。
164清彦(きよひこ)『ムヽヽむかづくか、165無念(むねん)なか、166むかつ(ぱら)()つか、167(おれ)のいふことを無理(むり)()るか、168(むし)けら同様(どうやう)駒猿(こまざる)()169メヽヽ()()きよつて(その)(ざま)(なん)だ。170迷惑(めいわく)さうな(つら)(さら)しよつて面目玉(めんぼくだま)全潰(まるつぶ)しにされて、171めそめそ()きだしさうな(その)(ざま)172面喰(めんくら)つたか(めくら)ども、173モヽもうこれで(ゆる)してやらうと(おも)つたが盲目(めくら)同様(どうやう)貴様(きさま)たちは(もの)(わか)らぬから、174もつと()んでやらう。175()んでやらうといつても按摩(あんま)ぢやないぞ』
176(さる)177(こま)(ひと)馬鹿(ばか)にするない、178(だま)つて()いてをりや言霊(ことたま)練習(れんしふ)をしよつて、179ヤヤヽ(やかま)しいワイ、180イヽヽ何時(いつ)までもウヽヽ迂闊者(うつけもの)狼狽者(うろたへもの)嘘言吐(うそつ)きの言霊(ことたま)ウンザリしてしまふワイ。181エヽヽ(えら)さうに三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)ぢやなんて、182オヽヽ(おほ)きな法螺(ほら)ばかり()きよつてお(けつ)(あき)れるわ』
183清彦(きよひこ)『コラ貴様(きさま)らは何時(いつ)()にか(おれ)のお(かぶ)占領(せんりやう)しよつて。184ヤイ貴様(きさま)真似(まね)した心組(つもり)だが、185ヤイウエオといふことが何処(どこ)にある。186(おれ)()ふことをもう一度(いちど)()け、187ヤヽヽやいやい()かすな八岐(やまた)大蛇(をろち)乾児(こぶん)()188イヽヽ(いたち)最後屁(さいごぺ)をひつかけられたやうな(つら)つきをしよつて、189ユヽヽ()(そこ)なひばかりしよつて、190エヽヽえい加減(かげん)(はぢ)()つたがよからう。191ヨヽヽようソンナ馬鹿気(ばかげ)たことが()へたものだ、192ラヽヽ』
193(さる)194(こま)『もうこれで(こら)へてやるから(あと)()めてくれ。195()はしておけば(しまひ)にはドンナことを(ぬか)しよるか(わか)つたものぢやないワイ』
196清彦(きよひこ)『ラヽヽ(らち)もない、197リヽヽ理屈(りくつ)(なら)べよつて、198ルヽヽ留守(るす)(いへ)ばかり(ねら)つて(ある)きよつて、199レヽヽ連子窓(れんじまど)(やみ)()(のぞ)いて(まは)りよつて、200(をんな)(くさ)(しり)をつけ(ねら)ふ、201ロヽヽ(ろく)でなし()が、202(ろん)にも(くひ)にもかかつた代物(しろもの)ぢやないぞ。203(ゆる)すの(ゆる)さぬのつてワヽヽ(わら)はしやがる、204(おのれ)のことを(たな)()げて威張(ゐば)()らして、205ヰヽヽ井戸(ゐど)(そこ)蠑螈(ゐもり)()がウヽヽ五月蠅(うるさ)いで、206もう()めてやらうか、207ヱヽヽ遠慮(ゑんりよ)しといてやらうか、208ヱー加減(かげん)(えら)(おれ)(つか)れたからな、209ヲヽヽ(をは)りだ』
210(さる)211(こま)『もう貴様(きさま)そこまで五十韻(ごじふゐん)(なら)べよつたら得心(とくしん)だらうかい、212それだけ欠点(あら)(さが)したらもう()がさうたつて()りはせまい。213さつぱり穴無教(あなないけう)だ、214南無(なむ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(さま)215アハヽヽヽイヒヽヽヽウフヽヽヽエヘヽヽヽオホヽヽヽ』
216大正一一・二・六 旧一・一〇 加藤明子録)
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