霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三八章 華燭(くわしよく)(てん)〔三八八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻 篇:第5篇 宇都の国 よみ(新仮名遣い):うづのくに
章:第38章 華燭の典 よみ(新仮名遣い):かしょくのてん 通し章番号:388
口述日:1922(大正11)年02月10日(旧01月14日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年6月15日
概要: 舞台:ウヅの館 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一同は神前に神言を奏上し、賛美歌を唱えて休息していた。正鹿山津見はふすまを開けて入り来た。そして御飯の用意ができたことを告げた。
蚊々虎は妻のない正鹿山津見の様子を見て、一国の守護職であり宣伝使でもある正鹿山津見に、女房を世話しよう、と申し出た。そして、候補に五月姫を挙げた。
淤縢山津見が正鹿山津見にこのことを伝えた。また、蚊々虎の説き諭しに五月姫は涙を流して感謝の意を表し、承諾した。
ここに一同は盛大な結婚の式を挙げた。直会の宴のさなか、番頭の国彦がやってきて、聖地エルサレムから正鹿山津見を訪ねて三人の娘、松代姫、竹野姫、梅ケ香姫がやってきた、と伝えた。正鹿山津見は嬉しいことは重なるものだと言って喜んだ。
正鹿山津見はかつて聖地の天使長・桃上彦であった。兄・広宗彦や行成彦の神政を奪って体主霊従の限りを尽くし、地の高天原は混乱の極みに陥った。妻は病死し、自分は常世彦・常世姫によって追放されたのである。
船に乗っていたところ暴風にあって船は転覆したが、琴平別の亀に救われて竜宮城にいたり、門番となって長い間艱難辛苦を嘗めたが、日の出神に救われて、珍の国の守護職となった。
正鹿山津見の三人の娘は、神夢に感じてはるばるここに訪ねて来た。黄泉比良坂の上で黄泉軍を待ち討った伊弉諾命の三個の桃の実とは、すなわち桃上彦の三人の娘の活動を示したものである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:梅ケ香姫(梅香姫) データ凡例: データ最終更新日:2020-06-07 15:55:39 OBC :rm0838
愛善世界社版:268頁 八幡書店版:第2輯 247頁 修補版: 校定版:272頁 普及版:119頁 初版: ページ備考:
001 一同(いちどう)国魂(くにたま)神前(しんぜん)神言(かみごと)奏上(そうじやう)し、002讃美歌(さんびか)(とな)(をは)つて休息(きうそく)してゐた。003正鹿山津見(まさかやまづみ)(ふすま)押開(おしあ)()(きた)り、
004正鹿山津見御飯(ごはん)出来(でき)ました。005どうぞ()(あが)(くだ)さいませ。006何分(なにぶん)(なが)らく留守(るす)(いた)して()きましたのと、007家内(かない)がないので不行届(ふゆきとど)き、008不都合(ふつがふ)だらけですけれど』
009挨拶(あいさつ)()べ、010この()()()りぬ。
011珍山彦(うづやまひこ)(蚊々虎)(みな)方々(かたがた)012(いま)(うけたま)はれば正鹿(まさか)山津見(やまづみ)(さま)女房(にようばう)()いと()(こと)だ。013一国(いつこく)守護職(しゆごしよく)として宣伝使(せんでんし)()ねられた(いそ)がしい身体(からだ)014肝腎(かんじん)女房(にようばう)()いとは()(どく)でないか。015(ひと)珍山彦(うづやまひこ)奥様(おくさま)()世話(せわ)しようと(おも)ふが如何(どう)でせうな』
016 駒山彦(こまやまひこ)(ひざ)をのり()し、
017駒山彦『それは結構(けつこう)だな。018適当(てきたう)候補者(こうほしや)見込(みこ)みがあるのかい』
019珍山彦(蚊々虎)『あらいでか、020(たしか)にあるのだ。021吾々(われわれ)()世話(せわ)したいのは、022(をんな)宣伝使(せんでんし)五月姫(さつきひめ)だよ。023ナア五月(さつき)さま、024貴方(あなた)珍山峠(うづやまたうげ)(ふもと)(いは)(うへ)で、025正鹿山津見(まさかやまづみ)さまは(まこと)(をとこ)らしい、026立派(りつぱ)()顔付(かほつ)きの(かた)だと()うて()ましたね、027()異存(いぞん)はありますまい』
028 五月姫(さつきひめ)(だま)つて(そで)(かほ)(かく)す。029駒山彦(こまやまひこ)言葉(ことば)せはしく、
030駒山彦『そらいかぬ。031(ひと)(ちが)ふではないかな。032貴様(きさま)はあれ()()れてゐたではないか。033(おれ)貴様(きさま)(おく)さまに世話(せわ)したいと(おも)つてゐたのだ。034ソンナ遠慮(ゑんりよ)()らぬ。035(とほ)(ところ)からくすぐるやうに(なぞ)かけをせずに、036五月姫(さつきひめ)殿(どの)037珍山彦(うづやまひこ)女房(にようばう)になつて(くだ)さい」と、038(をとこ)らしくキツパリと()()したら如何(どう)だい。039奥歯(おくば)(もの)(つま)つたやうな(こと)()ひよつて、040何処(どこ)までも図々(づうづう)しう(しら)ばくれる(をとこ)だな』
041珍山彦(蚊々虎)このはなさまは(ゆゑ)あつて女房(にようばう)(もた)ぬのだ。042それ(だけ)(こら)へて()れ。043(あんま)(おれ)洒落(しやれ)るものだから、044本当(ほんたう)にし()つて(いた)うない(はら)(さぐ)られて迷惑(めいわく)だよ。045さうぢやと()つて、046()可愛(かあい)らしい五月姫(さつきひめ)(きら)ひだと()ふのでは()い。047()きの()きの大好(だいす)きだが、048女房(にようばう)(もた)れぬ因縁(いんねん)があるのだよ』
049駒山彦『オイ蚊々虎(かがとら)050ドツコイ珍山彦(うづやまひこ)051その因縁(いんねん)()かうかい』
052珍山彦(蚊々虎)『お(まへ)()かせるやうな、053因縁(いんねん)なら()(かく)さう。054こればかりは(こら)へて()れ。055(おれ)()()重大(ぢうだい)なる任務(にんむ)があるのだから』
056 淤縢山津見(おどやまづみ)は、
057淤縢山津見『ヤア珍山(うづやま)さま、058貴方(あなた)(こと)()うしても吾々(われわれ)合点(がつてん)()かない。059丸切(まるき)天空(てんくう)(かけ)蛟竜(かうりう)(ごと)く、060千変(せんぺん)万化(ばんくわ)捕捉(ほそく)すべからずだ。061もう何事(なにごと)()ひませぬ。062貴方(あなた)()意見(いけん)(まか)して五月姫(さつきひめ)さまを、063此家(ここ)主人(しゆじん)奥様(おくさま)推薦(すゐせん)したいものですな』
064 珍山彦(うづやまひこ)は、
065珍山彦(蚊々虎)『どうか貴方(あなた)()同意(どうい)ならば、066正鹿山津見(まさかやまづみ)さまに(ひと)掛合(かけあ)つて()(くだ)さいな』
067 淤縢山津見(おどやまづみ)は『よろしい』といつて()()()一室(ひとま)()つた。
068 五月姫(さつきひめ)(かほ)(あか)らめて俯向(うつむ)いてゐる。069駒山彦(こまやまひこ)は、
070駒山彦『これこれ五月(さつき)さま、071(をんな)にとつて一生(いつしやう)一大事(いちだいじ)072俯向(うつむ)いてばかり()つては(こと)(わか)らぬ、073珍山(うづやま)さまにするか、074正鹿山津見(まさかやまづみ)さまにするか、075(みぎ)(ひだり)返答(へんたふ)しなさい。076()意見(いけん)あらば吾々(われわれ)に、077(へだ)ても(なに)もない(なか)だ、078キツパリ()つて(くだ)さい。079万々一(まんまんいち)両人(ふたり)()(かた)()()らねば、080(ほか)候補者(こうほしや)()いことはありませぬよ。081コーと()頭字(かしらじ)のついた(ひと)()世話(せわ)(いた)しませうか』
082 珍山彦(うづやまひこ)駒山彦(こまやまひこ)(かほ)(なが)めて、
083珍山彦(蚊々虎)『ウフヽヽヽ』
084 五月姫(さつきひめ)(やうや)くに(おもて)()げて、
085五月姫『ハイハイ、086正鹿山津見(まさかやまづみ)さまさへ()異存(いぞん)()くば』
087 珍山彦(うづやまひこ)()()つて、
088珍山彦(蚊々虎)『お()でたお()でた、089願望(ぐわんもう)成就(じやうじゆ)090(とき)(いた)れりだ。091ヤア、092さすがは五月姫(さつきひめ)殿(どの)093天晴(あつぱ)天晴(あつぱ)れ、094よう()()いた。095()れでこそ天下(てんか)宣伝使(せんでんし)だ。096(おも)()つたを吉日(きちにち)に、097今日(けふ)婚礼(こんれい)(しき)()げませう』
098 駒山彦(こまやまひこ)は、
099駒山彦『コラコラ、100珍山彦(うづやまひこ)101一方(いつぱう)承知(しようち)したつて、102一方(いつぱう)()()ふか(わか)りはしない、103(あはび)片想(かたおも)ひかも()れないのに、104よく周章(あわ)てる(やつ)だな』
105珍山彦(うづやまひこ)『なに大丈夫(だいぢやうぶ)だよ。106(ねこ)鰹節(かつをぶし)だ、107(きつね)(ねずみ)油揚(あぶらあげ)だ、108(ふた)返事(へんじ)()ひつき(あそ)ばす(こと)は、109請合(うけあ)ひの西瓜(すゐくわ)だ、110(なか)まで真赤(まつか)だ。111コレコレ五月姫(さつきひめ)さま、112貴方(あなた)(いま)までは()しも()されもせぬ一人前(いちにんまへ)(をんな)だ、113(をとこ)(をんな)(おな)権利(けんり)だつた、114()はば男女(だんぢよ)同権(どうけん)115しかし今日(けふ)から結婚(けつこん)したが最後(さいご)116(をつと)(したが)はねばならぬ。117夫唱(ふしやう)婦従(ふじゆう)天則(てんそく)(まも)り、118主人(しゆじん)によう(つか)へ、119(いへ)(なか)(をさ)めて()くのが貴女(あなた)(やく)だよ。120男女(だんぢよ)同権(どうけん)でも、121夫婦(ふうふ)同権(どうけん)でないから、122それを(わす)れぬやうに良妻(りやうさい)賢母(けんぼ)(かがみ)()して、123三五教(あななひけう)(ひかり)天下(てんか)(あら)はすのだ。124(ひろ)()(なか)(をつと)となり(つま)となるのも(ふか)(ふか)因縁(いんねん)だ、125(かみ)(さま)()引合(ひきあは)せだから、126(けつ)して気儘(きまま)()してはいけませぬぞ。127(わたし)珍山峠(うづやまたうげ)()(はな)ししたやうに、128どうぞこの(はな)婿(むこ)大切(たいせつ)にして(はす)(うてな)末永(すゑなが)う、129(かなら)祝姫(はふりひめ)()(まひ)()まぬやうにして(くだ)さい。130(たの)みます』
131 五月姫(さつきひめ)(なみだ)をボロボロと(こぼ)しながら、
132五月姫『ハイ、133(なに)から(なに)まで、134貴方(あなた)()親切(しんせつ)孫子(まごこ)時代(じだい)(おろ)か、135五六七(みろく)()まで(けつ)して(わす)れは(いた)しませぬ。136貴方(あなた)()教訓(けうくん)(かなら)(かた)(まも)ります。137()安心(あんしん)して(くだ)さいませ』
138駒山彦『ナント珍山(うづやま)139貴様(きさま)(へん)(をとこ)だねー。140ホンニ合点(がつてん)のゆかぬ(をとこ)だ。141コンナ別嬪(べつぴん)(ひと)にやるなどと、142ナントした変人(へんじん)だらう。143(しか)感心(かんしん)だ。144この駒山(こまやま)だつたら(とて)其処(そこ)まで身魂(みたま)(みが)けて()らぬからなー』
145 ()(はな)(をり)しも、146正鹿山津見(まさかやまづみ)淤縢山津見(おどやまづみ)(ともな)はれ、御校正本・愛世版では「淤縢山津見は正鹿山津見を伴ひ」だが、校定版・八幡版では「正鹿山津見は淤縢山津見に伴はれ」に修正されている。後に続く「御一同様~」のセリフは正鹿山津見のセリフであるため、御校正本は主語が間違っている。そのため霊界物語ネットでは校定版に準拠して文章を修正した。147この()(あら)はれ叮嚀(ていねい)辞儀(じぎ)をしながら、
148正鹿山津見()一同(いちどう)(さま)149いろいろと()世話(せわ)になつた(うへ)150今度(こんど)結構(けつこう)()世話(せわ)(くだ)さいまして有難(ありがた)う。151御恩(ごおん)(かへ)(やう)は、152もう御座(ござ)りませぬ』
153感謝(かんしや)()(もら)した。
154 珍山彦(うづやまひこ)は、
155珍山彦(蚊々虎)『あゝ結構(けつこう)々々(けつこう)156それで安心(あんしん)して吾々(われわれ)宣伝(せんでん)(まゐ)ります。157どうぞ幾久(いくひさ)しく夫婦(ふうふ)仲好(なかよ)くして()神国(かみくに)永遠(ゑいゑん)(をさ)めて(くだ)さい。158一朝(いつてう)(こと)ある(とき)は、159夫婦(ふうふ)諸共(もろとも)神界(しんかい)御用(ごよう)()つて(くだ)さい』
160()ごろ快活(くわいくわつ)(をとこ)()ず、161(こゑ)(くも)らして(うれ)(なみだ)(こぼ)()たり。
162 淤縢山津見(おどやまづみ)は、
163淤縢山津見『ヤア、164()(はなし)(まと)まつた(うへ)は、165善事(ぜん)(いそ)げだ。166(はや)神前(しんぜん)結婚(けつこん)用意(ようい)にかかりませうか』
167 (ここ)一同(いちどう)(いへ)()郎党(らうたう)(とも)に、168盛大(せいだい)なる結婚(けつこん)(しき)()げける。169一同(いちどう)直会(なほらい)(えん)にうつり、170(おのおの)()()(うた)(うた)ひ、171感興(かんきよう)()くが(ごと)(をり)しも、172番頭(ばんとう)国彦(くにひこ)(ふすま)(ひら)いて、
173国彦()主人(しゆじん)(さま)申上(まをしあ)げます。174只今(ただいま)ヱルサレムの聖地(せいち)から松代姫(まつよひめ)175竹野姫(たけのひめ)176梅香姫(うめがかひめ)(さん)(にん)()(ぢやう)(さま)が、177()(とう)(さま)住家(すみか)此処(ここ)か」と()つて、178一人(ひとり)(とも)()れて()()でになりました。179如何(いか)取計(とりはか)らひませうか』
180 正鹿山津見(まさかやまづみ)(おどろ)きながら、
181正鹿山津見『あゝ(うれ)しいことが(かさ)なるものだな』
182 一同(いちどう)()()つて、183ウローウロー。
184   附言(ふげん)
185 正鹿山津見(まさかやまづみ)は、186聖地(せいち)ヱルサレムの天使長(てんしちやう)であつた桃上彦(ももがみひこの)(みこと)である。187(あに)広宗彦(ひろむねひこの)(みこと)188行成彦(ゆきなりひこの)(みこと)神政(しんせい)(うば)ひ、189体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)(かぎ)りを(つく)し、190()高天原(たかあまはら)(ため)混乱(こんらん)紛糾(ふんきう)(きよく)(おちい)り、191その(つま)病死(びやうし)し、192自分(じぶん)常世彦(とこよひこ)193常世姫(とこよひめ)のために、194(ある)(いち)()失敗(しつぱい)より追放(つゐはう)され、195(さん)(にん)(むすめ)(あと)(のこ)して()()れし(みやこ)(あと)に、196(ひと)(じま)(すす)(をり)しも、197暴風(ばうふう)()(ふね)(たちま)顛覆(てんぷく)し、198琴平別(ことひらわけ)(かめ)(すく)はれ竜宮城(りうぐうじやう)にいたり、199門番(もんばん)となり()てし(をり)しも、200()出神(でのかみ)(すく)はれ、201この(うづ)(みやこ)守護職(しゆごしよく)となれるなり。
202 この(こと)(さん)(にん)(むすめ)は、203神夢(しんむ)(かん)じて遥々(はるばる)此処(ここ)(たづ)()たり。204黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)(さか)(うへ)(おい)て、205黄泉軍(よもついくさ)()()(たま)ひし伊弉諾(いざなぎの)(みこと)三個(さんこ)(もも)()は、206(すなは)桃上彦(ももがみひこの)(みこと)(さん)(にん)(むすめ)活動(くわつどう)(しめ)されたるなり。
207大正一一・二・一〇 旧一・一四 外山豊二録)
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