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第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
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第8巻(未の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 智利の都
01 朝日丸
〔351〕
02 五十韻
〔352〕
03 身魂相応
〔353〕
04 烏の妻
〔354〕
05 三人世の元
〔355〕
06 火の玉
〔356〕
第2篇 四十八文字
07 蛸入道
〔357〕
08 改心祈願
〔358〕
09 鏡の池
〔359〕
10 仮名手本
〔360〕
第3篇 秘露より巴留へ
11 海の竜宮
〔361〕
12 身代り
〔362〕
13 修羅場
〔363〕
14 秘露の邂逅
〔364〕
15 ブラジル峠
〔365〕
16 霊縛
〔366〕
17 敵味方
〔367〕
18 巴留の関守
〔368〕
第4篇 巴留の国
19 刹那心
〔369〕
20 張子の虎
〔370〕
21 滝の村
〔371〕
22 五月姫
〔372〕
23 黒頭巾
〔373〕
24 盲目審神
〔374〕
25 火の車
〔375〕
26 讃嘆
〔376〕
27 沙漠
〔377〕
28 玉詩異
〔378〕
29 原山祇
〔379〕
第5篇 宇都の国
30 珍山峠
〔380〕
31 谷間の温泉
〔381〕
32 朝の紅顔
〔382〕
33 天上眉毛
〔383〕
34 烏天狗
〔384〕
35 一二三世
〔385〕
36 大蛇の背
〔386〕
37 珍山彦
〔387〕
38 華燭の典
〔388〕
第6篇 黄泉比良坂
39 言霊解一
〔389〕
40 言霊解二
〔390〕
41 言霊解三
〔391〕
42 言霊解四
〔392〕
43 言霊解五
〔393〕
余白歌
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第一〇章
仮名
(
かな
)
手本
(
てほん
)
〔三六〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻
篇:
第2篇 四十八文字
よみ(新仮名遣い):
しじゅうはちもじ
章:
第10章 仮名手本
よみ(新仮名遣い):
かなてほん
通し章番号:
360
口述日:
1922(大正11)年02月06日(旧01月10日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
鏡の池の声はようやく鎮まり、狭依彦に対して、知らないことは知らないとへりくだって宣伝をするように、とたしなめた。そして、いろは歌で教えを説き始めた。
まずは、へりくだって理屈に走らず、生まれ赤子の心で祈れ、と狭依彦を諭した。狭依彦は神の説教に泣き言を言うが、鏡の池の声はさらに説教を続ける。
そして狭依彦に心底の改心を促し、自ら月照彦神であると名乗った。またこの高砂洲は金勝要大神の分霊・竜世姫神が守護する土地であると告げ、この国の司となって世界のために尽くせ、分からないことがあればまた尋ねに来い、と宣言した。
狭依彦ら一同は腰が立つようになり、喜び勇んで神言を鏡の池に奏上した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm0810
愛善世界社版:
62頁
八幡書店版:
第2輯 173頁
修補版:
校定版:
64頁
普及版:
28頁
初版:
ページ備考:
001
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
の
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
は
漸
(
やうや
)
く
静
(
しづ
)
まりぬ。
002
此
(
この
)
度
(
たび
)
は
荘重
(
さうちよう
)
なる
重
(
おも
)
みのある
声
(
こゑ
)
にて、
003
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
より
又
(
また
)
もや
大
(
だい
)
なる
言葉
(
ことば
)
、
004
次
(
つ
)
ぎ
次
(
つ
)
ぎに
聞
(
きこ
)
え
来
(
き
)
たる。
005
『
猿
(
さる
)
の
人真似
(
ひとまね
)
を
致
(
いた
)
す
俄
(
にはか
)
宣伝使
(
せんでんし
)
の
猿世彦
(
さるよひこ
)
、
006
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
も
最
(
い
)
と
清
(
きよ
)
く、
007
智利
(
てる
)
の
国
(
くに
)
へと
渡
(
わた
)
り
来
(
き
)
て
性
(
しやう
)
に
合
(
あ
)
はぬ
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
とは、
008
よくもよくも
吐
(
ほざ
)
いたなあ、
009
汝
(
なんぢ
)
の
祈
(
いの
)
りは、
010
実
(
じつ
)
に
立派
(
りつぱ
)
なものだぞ。
011
これからは
大法螺
(
おほぼら
)
を
吹
(
ふ
)
くなよ、
012
知
(
し
)
らぬことを
知
(
し
)
つた
顔
(
かほ
)
を
致
(
いた
)
すと、
013
今
(
いま
)
のやうな
苦
(
くる
)
しき
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
ふて、
014
耻
(
はぢ
)
を
曝
(
さら
)
さねばならぬぞ、
015
何
(
なに
)
も
理屈
(
りくつ
)
は
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
要
(
い
)
らぬ。
016
ただ
私
(
わたくし
)
は
阿呆
(
あはう
)
で
御座
(
ござ
)
います、
017
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
祈
(
いの
)
りをする
事
(
こと
)
より
外
(
ほか
)
には、
018
いろは
の
い
の
字
(
じ
)
も
存
(
ぞん
)
じませぬと
謙遜
(
へりくだ
)
つて
宣伝
(
せんでん
)
を
致
(
いた
)
すがよいぞよ。
019
生兵法
(
なまびやうはふ
)
は
大怪我
(
おほけが
)
の
基
(
もと
)
だ。
020
知
(
し
)
らぬと
云
(
い
)
うても
汝
(
なんぢ
)
はあまり
非道
(
ひど
)
いぞ、
021
ちつと
は
後学
(
こうがく
)
のために
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いて
置
(
お
)
け。
022
いろは
四十八
(
しじふはち
)
文字
(
もじ
)
で
開
(
ひら
)
く
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
ぢや』
023
猿世彦
(
さるよひこ
)
『もしもし、
024
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
025
私
(
わたくし
)
は
腰
(
こし
)
が
立
(
た
)
ちませぬ。
026
腰
(
こし
)
を
立
(
た
)
たして
下
(
くだ
)
さいな』
027
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
から、
028
『いヽヽ
祈
(
いの
)
らぬか、
029
祈
(
いの
)
らぬか、
030
祈
(
いの
)
りは
命
(
いのち
)
の
基
(
もと
)
ぢや。
031
万劫
(
まんご
)
末代
(
まつだい
)
生通
(
いきどう
)
しの
命
(
いのち
)
が
欲
(
ほ
)
しくば、
032
いつもかも
祈
(
いの
)
れ
祈
(
いの
)
れ。
033
ろヽヽ
碌
(
ろく
)
でもない
間抜
(
まぬ
)
けた
理屈
(
りくつ
)
を
捏
(
こ
)
ねるより、
034
身
(
み
)
の
行
(
おこなひ
)
を
慎
(
つつし
)
みて
人
(
ひと
)
の
鏡
(
かがみ
)
となれ。
035
はヽヽ
早
(
はや
)
い
改心
(
かいしん
)
ほど
結構
(
けつこう
)
は
無
(
な
)
いぞよ。
036
裸
(
はだか
)
で
生
(
うま
)
れた
人間
(
にんげん
)
は、
037
生
(
うま
)
れ
赤子
(
あかご
)
の
心
(
こころ
)
になれよ。
038
にヽヽ
俄
(
にはか
)
の
信心
(
しんじん
)
は
間
(
ま
)
に
合
(
あは
)
ぬ。
039
信心
(
しんじん
)
は
常
(
つね
)
から
致
(
いた
)
せよと
教
(
をし
)
へてやれ。
040
ほヽヽ
仏
(
ほとけ
)
作
(
つく
)
つて
眼
(
まなこ
)
の
入
(
い
)
らぬ
汝
(
なんぢ
)
の
宣伝
(
せんでん
)
、
041
発根
(
ほつこん
)
から
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
して、
042
本当
(
ほんたう
)
の
神心
(
かみごころ
)
になれよ。
043
へヽヽ
下手
(
へた
)
な
長談義
(
ながだんぎ
)
は
大禁物
(
だいきんもつ
)
だ。
044
屁理屈
(
へりくつ
)
を
云
(
い
)
ふな、
045
途中
(
とちう
)
で
屁太張
(
へたば
)
るな、
046
屁古垂
(
へこた
)
れな。
047
とヽヽ
トコトン
までも
誠
(
まこと
)
を
貫
(
つらぬ
)
き
通
(
とほ
)
せ。
048
神
(
かみ
)
の
守
(
まも
)
りは
遠
(
とほ
)
い
近
(
ちか
)
いの
隔
(
へだ
)
てはないぞ、
049
徳
(
とく
)
をもつて
人
(
ひと
)
を
治
(
をさ
)
めよ。
050
ちヽヽ
智慧
(
ちゑ
)
、
051
学
(
がく
)
を
頼
(
たよ
)
りに
致
(
いた
)
すな。
052
力
(
ちから
)
となるは
神
(
かみ
)
と
信仰
(
しんかう
)
の
力
(
ちから
)
ばかりだ。
053
近欲
(
ちかよく
)
に
迷
(
まよ
)
ふな、
054
畜生
(
ちくしやう
)
の
肉
(
にく
)
を
喰
(
く
)
ふな。
055
りヽヽ
理屈
(
りくつ
)
に
走
(
はし
)
るな、
056
利欲
(
りよく
)
に
迷
(
まよ
)
ふな。
057
吾身
(
わがみ
)
の
立身
(
りつしん
)
出世
(
しゆつせ
)
ばかりに
魂
(
たましひ
)
を
抜
(
ぬ
)
かれて、
058
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
踏
(
ふ
)
み
外
(
はづ
)
すな。
059
ぬヽヽ
盗
(
ぬす
)
むな、
060
ぬかるな、
061
抜身
(
ぬきみ
)
の
中
(
なか
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
るやうな
精神
(
せいしん
)
で
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
を
歩
(
あゆ
)
めよ、
062
抜駆
(
ぬけが
)
けの
功名
(
こうみやう
)
を
思
(
おも
)
ふな。
063
るヽヽ
留守
(
るす
)
の
家
(
いへ
)
にも
神
(
かみ
)
は
居
(
を
)
るぞ。
064
留守
(
るす
)
と
思
(
おも
)
うて
悪
(
わる
)
い
心
(
こころ
)
を
出
(
だ
)
すな。
065
をヽヽ
恐
(
おそ
)
ろしいものは
汝
(
なんぢ
)
の
心
(
こころ
)
だ。
066
心
(
こころ
)
の
持
(
も
)
ちやう
一
(
ひと
)
つで
鬼
(
おに
)
も
大蛇
(
をろち
)
も
狼
(
おほかみ
)
も
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るぞ。
067
臆病
(
おくびやう
)
になるな、
068
お
互
(
たがひ
)
に
気
(
き
)
をつけて
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
渡
(
わた
)
れ。
069
わヽヽ
吾身
(
わがみ
)
を
後
(
あと
)
にして
人
(
ひと
)
のことを
先
(
さき
)
にせよ。
070
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
は
塵
(
ちり
)
程
(
ほど
)
もしてはならぬぞ。
071
吾儘
(
わがまま
)
を
止
(
や
)
めよ、
072
私
(
わたくし
)
をすな、
073
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
をして
笑
(
わら
)
はれるな』
074
猿世彦
(
さるよひこ
)
『わヽヽ
分
(
わか
)
りました。
075
分
(
わか
)
りました。
076
貴神
(
あなた
)
のお
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
くと
何
(
なん
)
ともなしに、
077
かヽヽ
悲
(
かな
)
しうなりました。
078
堪忍
(
かんにん
)
して
下
(
くだ
)
さいませ、
079
叶
(
かな
)
はぬ
叶
(
かな
)
はぬ。
080
よヽヽよく
分
(
わか
)
りました。
081
もう
よし
にして
下
(
くだ
)
さい、
082
欲
(
よく
)
な
事
(
こと
)
は
致
(
いた
)
しませぬ。
083
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
事
(
こと
)
ならドンナ
事
(
こと
)
でも
致
(
いた
)
します。
084
たヽヽ
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さい、
085
頼
(
たの
)
みます。
086
誰人
(
だれ
)
だつてコンナに
恐
(
こは
)
い
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
つたら、
087
起
(
た
)
つても
居
(
ゐ
)
ても
坐
(
ゐ
)
た
怺
(
たま
)
つたものぢやありませぬ。
088
れヽヽ
連続
(
れんぞく
)
して
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
から
屁
(
へ
)
を
こい
たやうな
六ケ敷
(
むつかし
)
い
説教
(
せつけう
)
を
聞
(
き
)
かされても、
089
そヽヽそれは
汲
(
く
)
みとれませぬ。
090
そつと
小
(
ちい
)
さい
声
(
こゑ
)
で
耳
(
みみ
)
の
傍
(
はた
)
で
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さいな、
091
ソンナ
破鐘
(
われがね
)
のやうな
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
したり、
092
竹筒
(
たけづつ
)
を
吹
(
ふ
)
いたやうな
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して
貰
(
もら
)
つては、
093
一寸
(
ちよつと
)
も
合点
(
がつてん
)
が
行
(
ゆ
)
きませぬ。
094
つヽヽつまらぬ、
095
つまらぬ、
096
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
か
何
(
なに
)
か
知
(
し
)
らぬが、
097
もうそれだけ
仰言
(
おつしや
)
つたら、
098
仰有
(
おつしや
)
る
事
(
こと
)
は
つきてる
筈
(
はず
)
だのに。
099
ねヽヽ
根
(
ね
)
つから、
100
葉
(
は
)
つから
合点
(
がつてん
)
が
行
(
ゆ
)
かぬ。
101
お
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はして
下
(
くだ
)
さいな』
102
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
から、
103
『なヽヽ
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふか、
104
泣
(
な
)
き
事
(
ごと
)
言
(
い
)
ふな、
105
汝
(
なんぢ
)
の
如
(
ごと
)
き
弱
(
よわ
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
106
もちつと
苦労
(
くらう
)
を
致
(
いた
)
さねば、
107
らヽヽ
楽
(
らく
)
にお
道
(
みち
)
は
開
(
ひら
)
けぬぞ。
108
むヽヽ
無理
(
むり
)
と
思
(
おも
)
ふか、
109
無理
(
むり
)
な
事
(
こと
)
は
神
(
かみ
)
は
申
(
まを
)
さぬぞ。
110
うヽヽ
迂濶
(
うか
)
々々
(
うか
)
聞
(
き
)
くな、
111
美
(
うる
)
はしき
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
になつて、
112
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
く
宣伝使
(
せんでんし
)
になれ』
113
猿世彦
(
さるよひこ
)
『ゐヽヽ
何時
(
いつ
)
までもお
説教
(
せつけう
)
は
結構
(
けつこう
)
ですが、
114
もう
好
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
止
(
や
)
めて
下
(
くだ
)
さつたらどうですか、
115
余
(
あま
)
り
つらく
て
骨
(
ほね
)
にびしびしこたへ、
116
此
(
こ
)
の
117
のヽヽ
喉
(
のど
)
から
血
(
ち
)
を
吐
(
は
)
くやうな
思
(
おもひ
)
が
致
(
いた
)
します』
118
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
より、
119
『
退引
(
のつぴき
)
ならぬ
釘
(
くぎ
)
鎹
(
かすがひ
)
、
120
おヽヽ
往生
(
わうじやう
)
いたせ。
121
よい
加減
(
かげん
)
に、
122
くヽヽ
苦
(
くる
)
しい
後
(
あと
)
には
楽
(
たの
)
しい
事
(
こと
)
があるぞよ。
123
やヽヽ
矢釜敷
(
やかまし
)
う
云
(
い
)
うて
聞
(
き
)
かすのも、
124
汝
(
なんぢ
)
を
可愛
(
かあい
)
いと
思
(
おも
)
ふからだ。
125
まヽヽ
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
言葉
(
ことば
)
をよく
聞
(
き
)
け、
126
神
(
かみ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
二言
(
にごん
)
は
無
(
な
)
いぞ。
127
いま
聞
(
き
)
き
外
(
はづ
)
したら
万古
(
まんご
)
末代
(
まつだい
)
聞
(
き
)
く
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬぞ。
128
人民
(
じんみん
)
の
暗
(
くら
)
い
心
(
こころ
)
で
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
は、
129
けヽヽ
見当
(
けんたう
)
は
取
(
と
)
れぬぞ、
130
毛筋
(
けすぢ
)
も
違
(
ちが
)
はぬ
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
、
131
汚
(
けが
)
してはならぬぞ。
132
ふヽヽ
深
(
ふか
)
く
考
(
かんが
)
へ、
133
魂
(
たま
)
を
研
(
みが
)
いて
御用
(
ごよう
)
に
立
(
た
)
てよ』
134
猿世彦
(
さるよひこ
)
『こヽヽこれで、
135
もう
結構
(
けつこう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
136
今日
(
けふ
)
はまあ
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
有難
(
ありがた
)
い、
137
苦
(
くる
)
しい、
138
結構
(
けつこう
)
なやうで
結構
(
けつこう
)
に
無
(
な
)
いやうで、
139
嬉
(
うれ
)
しいやうで、
140
嬉
(
うれ
)
しう
無
(
な
)
いやうで』
141
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
より、
142
『えヽヽまだ
分
(
わか
)
らぬか、
143
てヽヽ
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
伝
(
つた
)
ふる
宣伝使
(
せんでんし
)
では
無
(
な
)
いか、
144
あゝヽ
悪
(
あく
)
を
働
(
はたら
)
いて
来
(
き
)
た
猿世彦
(
さるよひこ
)
、
145
これから
心
(
こころ
)
を
入
(
い
)
れ
替
(
か
)
へて、
146
さヽヽさつぱり
身魂
(
みたま
)
の
洗濯
(
せんたく
)
いたして
さらつ
の
生
(
うま
)
れ
赤子
(
あかご
)
になり
変
(
かは
)
り、
147
きヽヽ
清
(
きよ
)
き
正
(
ただ
)
しき
直
(
なほ
)
き
誠
(
まこと
)
の
心
(
こころ
)
をもつて
世人
(
よびと
)
を
助
(
たす
)
け
導
(
みちび
)
け、
148
ゆヽヽ
夢々
(
ゆめゆめ
)
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
を
忘
(
わす
)
れなよ。
149
いつも
心
(
こころ
)
を
引
(
ひ
)
き
締
(
しめ
)
て
気
(
き
)
は
張
(
は
)
り
弓
(
ゆみ
)
、
150
めヽヽ
罪障
(
めぐり
)
の
深
(
ふか
)
い
汝
(
なんぢ
)
の
身魂
(
みたま
)
、
151
苦労
(
くらう
)
をさして、
152
みヽヽ
見
(
み
)
せしめを
致
(
いた
)
して
罪
(
つみ
)
を
取
(
と
)
つてやらねば、
153
しヽヽ
死
(
し
)
んでも
高天原
(
たかあまはら
)
へ
行
(
ゆ
)
けぬぞよ。
154
信心
(
しんじん
)
は
夢
(
ゆめ
)
の
間
(
ま
)
も
忘
(
わす
)
るなよ、
155
知
(
し
)
らぬ
事
(
こと
)
は
知
(
し
)
らぬと
明瞭
(
はつきり
)
云
(
い
)
へ、
156
尻
(
しり
)
の
掃除
(
さうぢ
)
も
清
(
きよ
)
らかにいたせ、
157
ゑヽヽ
偉
(
えら
)
さうに
云
(
い
)
うでないぞ、
158
この
世
(
よ
)
の
閻魔
(
えんま
)
が
現
(
あら
)
はれ
高
(
たか
)
い
鼻
(
はな
)
をへし
折
(
を
)
るぞ、
159
ひヽヽ
昼
(
ひる
)
も
夜
(
よる
)
も
神
(
かみ
)
に
祈
(
いの
)
れよ、
160
もヽヽもうこれでよいと
神
(
かみ
)
が
申
(
まを
)
すまで
身魂
(
みたま
)
を
磨
(
みが
)
け。
161
神
(
かみ
)
の
目
(
め
)
に
止
(
と
)
まつた
上
(
うへ
)
はドンナ
神徳
(
しんとく
)
でも
渡
(
わた
)
してやるぞ、
162
せヽヽ
狭
(
せま
)
い
心
(
こころ
)
を
持
(
も
)
つな、
163
広
(
ひろ
)
き、
164
温
(
あたた
)
かき
神心
(
かみごころ
)
になつて
世人
(
よびと
)
を
導
(
みちび
)
け、
165
すヽヽ
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
る
大空
(
おほぞら
)
の
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
、
166
無寐
(
むび
)
にも
忘
(
わす
)
れな
猿世彦
(
さるよひこ
)
、
167
吾
(
われ
)
こそは
元
(
もと
)
は
竜宮城
(
りうぐうじやう
)
の
天使長
(
てんしちやう
)
大八洲彦
(
おほやしまひこの
)
命
(
みこと
)
なるぞ。
168
汝
(
なんぢ
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
威張
(
ゐば
)
つたものだが、
169
これから
すつかり
心
(
こころ
)
を
改
(
あらた
)
めて
此
(
この
)
国
(
くに
)
の
司
(
つかさ
)
となり、
170
狭依彦
(
さよりひこの
)
司
(
かみ
)
となつて
世界
(
せかい
)
のために
尽
(
つく
)
せよ。
171
この
高砂島
(
たかさごじま
)
は
金勝要
(
きんかつかねの
)
大神
(
おほかみ
)
の
分霊
(
わけみたま
)
竜世姫
(
たつよひめの
)
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
なるぞ、
172
此
(
この
)
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
は
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
に
通
(
かよ
)
ふ
裏門
(
うらもん
)
、
173
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
があらばまた
尋
(
たづ
)
ねに
来
(
こ
)
よ』
174
うヽヽと
一声
(
ひとこゑ
)
呻
(
うな
)
ると
共
(
とも
)
に、
175
その
声
(
こゑ
)
は
パツタリ
止
(
や
)
みけり。
176
狭依彦
(
さよりひこ
)
および
一同
(
いちどう
)
の
腰
(
こし
)
は
始
(
はじ
)
めて
立
(
た
)
ちぬ。
177
一同
(
いちどう
)
は
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
みて
神言
(
かみごと
)
を
鏡
(
かがみ
)
の
池
(
いけ
)
に
向
(
むか
)
つて
奏上
(
そうじやう
)
したりける。
178
(
大正一一・二・六
旧一・一〇
加藤明子
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