霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二八章 玉詩異(たましい)〔三七八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻 篇:第4篇 巴留の国 よみ(新仮名遣い):はるのくに
章:第28章 玉詩異 よみ(新仮名遣い):たましい 通し章番号:378
口述日:1922(大正11)年02月09日(旧01月13日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一行は巴留の都の入口の森林に駱駝をつないて休息し、作戦を立てていた。淤縢山津見は大軍を持つ敵を言向け和す宣伝使の氏名について語り始めるが、蚊々虎が茶々を入れておかしな問答にしてしまう。
そこへ長剣を提げ甲冑に身を固めた荒武者数十名の駱駝隊が現れて、三五教の宣伝使を槍で突こうとする。
蚊々虎は自分は盤古神王の忘れ形見・常照彦であると名乗り、武者たちに向かって大音声で怒鳴り名乗りを上げた。
その権幕に恐れてか、一目散に逃げ帰ってしまった。一同はその場で神言を奏上し、宣伝歌を歌いながら城下に向かって進んで行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-07 15:03:03 OBC :rm0828
愛善世界社版:190頁 八幡書店版:第2輯 218頁 修補版: 校定版:192頁 普及版:84頁 初版: ページ備考:
001 一行(いつかう)巴留(はる)(みやこ)入口(いりぐち)の、002老木(らうぼく)(しげ)れる森林(しんりん)駱駝(らくだ)(つな)休息(きうそく)したりぬ。003淤縢山津見(おどやまづみ)一同(いちどう)車座(くるまざ)になり、004作戦(さくせん)計画(けいくわく)相談(さうだん)しゐたり。
005淤縢山津見此処(ここ)大自在天(だいじざいてん)006(いま)常世(とこよ)神王(しんわう)領分(りやうぶん)007鷹取別(たかとりわけ)管掌(くわんしやう)するところだから、008よほど注意(ちうい)をせなくてはならぬ。009大自在天(だいじざいてん)一派(いつぱ)は、010精鋭(せいえい)なる武器(ぶき)もあれば、011権力(けんりよく)()つて()知識(ちしき)もある。012(くは)ふるに(あま)磐船(いはふね)013鳥船(とりふね)など無数(むすう)準備(じゆんび)して、014併呑(へいどん)のみを唯一(ゆゐいつ)主義(しゆぎ)として()体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)015弱肉(じやくにく)強食(きやうしよく)政治(せいぢ)だ。016吾々(われわれ)はこの悪逆(あくぎやく)無道(むだう)(こら)さねばならぬのだ。017さうして吾々(われわれ)武器(ぶき)といつたら、018(ただ)(ひと)つの(たま)()つて()るのみだ。019その(たま)をもつて、020言向和(ことむけやは)すのだから、021大変(たいへん)(ほね)()れる。022()づこの(たたかひ)(かつ)のは忍耐(にんたい)(ほか)には()い。023()一同(いちどう)宣伝使(せんでんし)024この重大(ぢうだい)なる使命(しめい)(つと)まりますか』
025 蚊々虎(かがとら)は、
026蚊々虎勿論(もちろん)(こと)027武器(ぶき)もなければ爆弾(ばくだん)もない、028(ただ)(てん)から(もら)つたこの(たま)(ひと)つだ』
029握拳(にぎりこぶし)(かた)一同(いちどう)(まへ)突出(つきだ)し、030(かた)(いか)らしながら、
031蚊々虎(われ)天下(てんか)宣伝使(せんでんし)032(こし)三尺(さんじやく)秋水(しうすゐ)()けれども、033(てつ)より(かた)いこの拳骨(げんこつ)034()()(てき)片端(かたつぱし)から、035()つて()つて()ちのめし、036一泡(ひとあわ)()かして()れむ』
037淤縢山津見『コラコラ、038ソンナ乱暴(らんばう)(こと)をやつてよいものか。039ミロクの(をしへ)(いた)吾々(われわれ)は、040一切(いつさい)武器(ぶき)()(こと)出来(でき)ない。041(ただ)(たま)のみだ』
042蚊々虎『その(たま)はこれだ』
043握拳(にぎりこぶし)(まる)くして、044ニユツ突出(つきだ)して()せる。
045高彦(たかひこ)馬鹿(ばか)だなあ、046そりや(にぎ)(たま)だ。047(たま)(ちが)ふよ』
048蚊々虎(かがとら)『ソンナラ(おれ)(たま)(ふた)()つてゐる蚊々虎(かがとら)だ。049何方(どちら)使(つか)はうかな。050貴様(きさま)らの()つて()るのとは余程(よほど)(おほ)きい立派(りつぱ)なものだよ。051駱駝(らくだ)()つて(はし)(とき)には邪魔(じやま)になる。052(ある)(とき)にも大変(たいへん)邪魔物(じやまもの)だ、053(ひと)貴様(きさま)()してやらうか。054それはそれは立派(りつぱ)(きん)(たま)だぞ』
055高彦洒落(しやれ)どころかい、056千騎(せんき)一騎(いつき)正念場(しやうねんば)だ。057貴様(きさま)(たましひ)(もつ)(てき)(あた)れと()(こと)だよ』
058蚊々虎宣伝使(せんでんし)がそれ(くらゐ)(こと)()らぬで(つと)まるかい、059一寸(ちよつと)(なぶ)つてやつたのだよ。060敵地(てきち)(のぞ)んでも、061綽々(しやくしやく)として余裕(よゆう)のある、062蚊々虎(かがとら)さまの度胸(どきよう)()せてやつたのだよ。063高彦(たかひこ)064これ()よ、065だらり垂下(さが)つて()る。066度胸(どきよう)()(やつ)強敵(きやうてき)(まへ)()ると(ちぢ)(あが)ると()ふことだが、067貴様(きさま)(たま)(ふた)つとも臍下(さいか)丹田(たんでん)(あま)岩戸(いはと)(あたり)(しづ)まつて()るのだらう。068(いな)()(あが)つて()るのだらう』
069 五月姫(さつきひめ)は、
070五月姫『ホヽヽ蚊々虎(かがとら)さまのお元気(げんき)(こと)071(わらは)(はらわた)()れます』
072(はら)(かか)へて(しの)(わら)ひに(わら)ふ。
073蚊々虎『コレコレ、074姫御前(ひめごぜん)のあられもない(こと)075宣伝使(せんでんし)仰有(おつしや)(こと)を、076(わか)(をんな)分際(ぶんざい)として(わら)ふと()(こと)があつたものか。077(をんな)らしうもない、078ちとらしうしなさい』
079駒山彦淤縢山津見(おどやまづみ)(さま)080蚊々(かが)さまや、081(たか)さまのお(はなし)では一向(いつかう)要領(えうりやう)()ませぬ。082(ひと)大方針(だいはうしん)駒山彦(こまやまひこ)(しめ)して(くだ)さいな』
083 淤縢山津見(おどやまづみ)()つて(うた)(うた)ふ。
084淤縢山津見宣伝(せんでん)将軍(しやうぐん)雷声有(らいせいあり)
085進神兵(しんぺいをすすむ)万里(ばんりの)沙程(さてい)
086争知(いづくんぞしらん)臨敵城下地(てきじやうかちにのぞむ)
087大道(たいだう)(すぐれて)(おごれば)却虚名(かへつてなをむなしうせん)
088蚊々虎(なん)六ケ敷(むつかし)(うた)だのう。089宣伝使(せんでんし)(さま)090一遍(いつぺん)審神(さには)をして()げませうか、091蚊々虎(かがとら)が。092(めう)(こと)()ひますなあ、093(さる)寝言(ねごと)のやうにさつぱり(わけ)(わか)らぬじやないか』
094駒山彦『イヤ、095駒山彦(こまやまひこ)(わか)つてゐますよ』
096蚊々虎(わか)つてゐるなら()うて()れ、097ヘボ審神者(さには)誤託宣(ごたくせん)だ。098どうで(ろく)(こと)はあるまい。099蚊々虎(かがとら)さまを大将(たいしやう)とすれば、100(すべ)ての計画(けいくわく)キタリキタリ箱指(はこさし)たやうに()くのだが、101淤縢山津見(おどやまづみ)()があるから、102サツパリ()かぬのだ。103駒山彦(こまやまひこ)よ、104貴様(きさま)(いぬ)(さる)寝言(ねごと)みたやうな(こと)を、105()つとるの、106()らぬのと()うて、107貴様(きさま)(たち)()つて(たま)るか。108もう(をし)へて(もら)はぬわ。109脱線(だつせん)だらけの(こと)()いたつて仕方(しかた)がないからなあ』
110 ()談合(はなしあ)(ところ)へ、111長剣(ちやうけん)()甲冑(かつちう)()(まと)うた荒武者(あらむしや)数十(すうじふ)(めい)駱駝隊(らくだたい)(あら)はれ(きた)り、
112荒武者『ヤア、113その森林(しんりん)駱駝(らくだ)(つな)ぎ、114休息(きうそく)せる一行(いつかう)のものは、115三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)には(あら)ざるか、116(いさぎよ)名乗(なのり)()げて(われ)らが(やり)(さび)となれよ』
117()ばはりたり。
118蚊々虎『ヤアお(いで)たなあ、119日頃(ひごろ)力自慢(ちからじまん)(うで)(ため)すは(いま)この(とき)だ。120ヤア五月姫(さつきひめ)殿(どの)121この蚊々虎(かがとら)武勇(ぶゆう)御覧(ごらん)あれ。122オイオイ(さん)(にん)弱虫(よわむし)(ども)123この(はう)武者振(むしやぶり)()(きも)(つぶ)すな』
124 高彦(たかひこ)蚊々虎(かがとら)(むか)ひ、
125高彦貴様(きさま)三五教(あななひけう)教理(けうり)(わす)れたか』
126蚊々虎危急(ききふ)存亡(そんばう)のこの()(あた)つて、127三五教(あななひけう)もあつたものか。128()(のぞ)み、129(へん)(おう)ずるはこれ(すなは)神謀(しんぼう)鬼策(きさく)130(なんぢ)らの(ごと)愚者(ぐしや)小人(せうにん)()るところで()い。131邪魔(じやま)ひろぐな』
132赭黒(あかぐろ)(うで)(まく)つて数十(すうじふ)(にん)(むれ)()()仁王立(にわうだち)となつて大音声(だいおんじやう)
133蚊々虎(われ)こそは、134(もと)(ただ)せば盤古(ばんこ)神王(しんわう)遺児(わすれがたみ)135常照彦(とこてるひこ)なり。136(いま)蚊々虎(かがとら)()(いつは)つて、137巴留(はる)(みやこ)天降(あまくだ)(きた)りし、138古今(ここん)無双(むさう)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)だぞ。139この鉄拳(てつけん)(ひと)(ふる)へば百千万(ひやくせんまん)(てき)一度(いちど)雪崩(なだれ)()つて、140ガラガラガラ。141(あし)(ひと)()(とどろ)かせば、142巴留(はる)(みやこ)一度(いちど)にガラガラガラ滅茶(めちや)々々(めちや)々々(めちや)143鬼門(きもん)金神(こんじん)国治立(くにはるたちの)(みこと)再来(さいらい)144蓮華台(れんげだい)(じやう)四股踏(しこふみ)()らせば、145巴留(はる)(くに)()つや()つ、146(ひやく)二百(にひやく)(たちま)海中(かいちう)にぶるぶるぶる、147見事(みごと)対手(あひて)になるなら、148なつて()よー』
149()()いて呶鳴(どな)りつけたり。
150 この権幕(けんまく)(おそ)れてか、151数十騎(すうじつき)駱駝隊(らくだたい)は、152駱駝(らくだ)(かしら)()(なほ)すや(いな)や、153一目散(いちもくさん)もと()(みち)(はし)()りぬ。154蚊々虎(かがとら)大手(おほて)()一同(いちどう)(まへ)(はな)ぴこつかせながら(かへ)(きた)り、
155蚊々虎『オイ、156どうだい、157(おれ)言霊(ことたま)(えら)いものだらう。158言霊(ことたま)伊吹(いぶき)によつて雲霞(うんか)(ごと)大軍(たいぐん)(またた)(うち)(くも)(かすみ)逃散(にげち)つたり』
159一同(いちどう)『ハヽヽヽヽ』
160駒山彦『イヤもうどうも駒山彦(こまやまひこ)(おそ)()つた。161随分(ずゐぶん)()いたものだね』
162蚊々虎()かいでか、163二百十(にひやくとを)()だ。164()いて()いて()(まく)つて巴留(はる)(みやこ)を、165(ふゆ)(みやこ)にして仕舞(しま)ふのだ』
166高彦(たかひこ)油断(ゆだん)大敵(たいてき)だぜ、167(にげ)たのは(ふか)計略(けいりやく)があるのだよ。168蚊々虎(かがとら)(かち)(じやう)じて()ひかけて()くと、169それこそどえらい陥穽(おとしあな)でもあつて(えら)()()はす(つも)りだよ。170それに(ちが)ひない、171さすがは淤縢山(おどやま)津見(づみ)(さま)だ。172最前(さいぜん)(うた)はつしやつたらう、
173争知(いづくんぞしらん)臨敵城下地(てきじやうかちにのぞむ)
174大道(たいだう)(すぐれて)(おごれば)却虚名(かへつてなをむなしうせん)
175だ。176オイ(てき)散乱(さんらん)した(うち)(なん)とか工夫(くふう)をしようではないか』
177五月姫(をんな)(にはか)宣伝使(せんでんし)差出口(さしでぐち)178(まこと)(おそ)(おほ)(こと)では御座(ござ)いますが、179此処(ここ)()(がた)神言(かみごと)奏上(そうじやう)して宣伝歌(せんでんか)(うた)つたらどうでせう。180蚊々虎(かがとら)さまの言霊(ことたま)よりも()神徳(しんとく)(あら)はれませう』
181 淤縢山津見(おどやまづみ)はやや感心(かんしん)(てい)にて、
182淤縢山津見『ヤア、183これは()いところへ()がついた。184ヤア一同(いちどう)方々(かたがた)185神言(かみごと)(ちから)(いつ)ぱい奏上(そうじやう)いたしませう』
186一同(いちどう)御尤(ごもつと)御尤(ごもつと)も』
187異口(いく)同音(どうおん)(こた)へながら、188芝生(しばふ)(うへ)端坐(たんざ)して神言(かみごと)奏上(そうじやう)し、189(をは)つて()(にん)宣伝使(せんでんし)蚊々虎(かがとら)真先(まつさき)宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら、190城下(じやうか)(むか)つて(すす)()く。
191大正一一・二・九校正本では「一・九」になっているが「二・九」が正しい 旧一・一三 加藤明子録)
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