霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一三章 修羅場(しゆらぢやう)〔三六三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻 篇:第3篇 秘露より巴留へ よみ(新仮名遣い):ひるよりはるへ
章:第13章 修羅場 よみ(新仮名遣い):しゅらじょう 通し章番号:363
口述日:1922(大正11)年02月07日(旧01月11日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
清彦の日の出神は秘露の都で宣伝に努め、都の中央の高地に広大な館を造り、国魂である竜世姫命の御魂を鎮祭した。その名声は四方にとどろき、国人は徳を慕い教えを聞くために集まってきた。
ある日、清彦が大広前で三五教の教理を説き始めると、末席から眼光鋭い黒い顔の男、弓のように腰が曲がり、酔っ払ってねじ鉢巻をしながら、腕をまくって高座に現れた。
清彦に向かって、蚊々虎と名乗るこの男は悪態をつくと、人々に向かって清彦の昔の悪事を暴きたて始めた。
清彦の説教を聴きに来ていた人々は、蚊々虎の暴露話に去就に迷い、あちらこちらで論争が始まり、喧嘩が始まり、収拾のつかない状態になってしまった。
するとそこへ、涼しい宣伝歌の声が聞こえてきた。場内の騒ぎは、この声にぴたりと止んでしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-04 17:50:02 OBC :rm0813
愛善世界社版:84頁 八幡書店版:第2輯 181頁 修補版: 校定版:86頁 普及版:36頁 初版: ページ備考:
001(こころ)(きよ)清彦(きよひこ)
002朝日(あさひ)夕日(ゆふひ)のきらきらと
003智利(てる)(みやこ)(あと)にして
004(よる)はあるとも秘露(ひる)(くに)
005秘露(ひる)(みやこ)(すす)()く。
006 清彦(きよひこ)(かり)()出神(でのかみ)は、007昼夜(ちうや)間断(かんだん)なく三五教(あななひけう)宣伝(せんでん)(つと)め、008(みやこ)中央(ちうあう)なる高地(かうち)(えら)んで宏大(くわうだい)なる(やかた)(つく)り、009国魂(くにたま)(かみ)なる竜世姫(たつよひめの)(みこと)御魂(みたま)鎮祭(ちんさい)し、010その名声(めいせい)四方(よも)喧伝(けんでん)され、011あまたの国人(くにびと)(あり)(あま)きに(つど)ふが(ごと)く、012四方(しはう)八方(はつぱう)より(その)(とく)(した)うて高遠(かうゑん)なる教理(けうり)聴問(ちやうもん)()るもの、013()()()有様(ありさま)なりける。
014 (かり)()出神(でのかみ)大広前(おほひろまへ)(あら)はれ、015数多(あまた)国人(くにびと)(むか)つて三五教(あななひけう)教理(けうり)()(はじ)めたるに、016末席(まつせき)より眼光(ぐわんくわう)烱々(けいけい)として(ひと)()(くろ)(かほ)017しかも(ゆみ)(やう)(こし)(まが)つた(をとこ)018(さけ)()(ぱら)つて捻鉢巻(ねぢはちまき)をしながら、019渋紙(しぶかみ)(ごと)(うで)(まく)りて高座(かうざ)(あら)はれ、020清彦(きよひこ)(むか)大口(おほぐち)()けて、
021男(蚊々虎)『ウワハヽヽヽー、022貴様(きさま)よく(ばけ)よつたなあ、023コラ(おれ)(つら)()つて()るか』
024(くろ)(かほ)清彦(きよひこ)(まへ)ぬつ()()し、025(めう)腰付(こしつき)して(みぎ)()無性(むしやう)矢鱈(やたら)()りながら、
026男(蚊々虎)(みな)(もの)027眉毛(まゆげ)(つばき)をつけよ。028此奴(こやつ)()出神(でのかみ)(えら)さうに(まを)して()るが、029(いま)この蚊々虎(かがとら)(つら)(かは)引剥(ひきむ)いて()から()出神(でのかみ)にしてやらうぞ。030ウワハヽヽヽー』
031(はら)(かか)(こし)(たた)(あご)をしやくりて嘲弄(てうろう)(はじ)めたり。032清彦(きよひこ)一切(いつさい)(かま)はず三五教(あななひけう)(をしへ)諄々(じゆんじゆん)として()(すす)めゐたり。033蚊々虎(かがとら)蛮声(ばんせい)()()げて、
034蚊々虎万場(まんぢやう)人々(ひとびと)よ、035この(をとこ)(もと)()高天原(たかあまはら)鬼雲彦(おにくもひこ)(とも)謀反(むほん)(たく)み、036常世国(とこよのくに)鬼城山(きじやうざん)姿(すがた)(かく)し、037美山彦(みやまひこ)038国照姫(くにてるひめ)悪神(あくがみ)帷幕(ゐばく)(さん)じ、039常世(とこよ)(くに)会議(くわいぎ)(おい)泥田(どろた)泥狐(どろぎつね)(だま)され、040()きの(なみだ)(また)もや鬼城山(きじやうざん)()(かへ)り、041悪逆(あくぎやく)無道(むだう)(かぎ)りを(つく)し、042さしもの(あく)(つよ)美山彦(みやまひこ)さへ愛想(あいさう)()かして()()したる、043(おに)とも(じや)とも(たと)(がた)()人非人(にんぴにん)044数多(あまた)神人(しんじん)蚰蜒(げぢ)(ごと)(きら)はれて、045(つひ)には(なが)(なが)れて秘露(ひる)(みやこ)(わた)()たれる、046(ぜん)仮面(かめん)(かぶ)外面(ぐわいめん)(によ)菩薩(ぼさつ)047内心(ないしん)(によ)夜叉(やしや)048悪鬼(あくき)羅刹(らせつ)変化(へんげ)清熊(きよくま)変名(へんめい)清彦(きよひこ)()(やつ)049此奴(こやつ)智利(てる)(くに)(わた)つた(とき)050二人(ふたり)(とも)()れて()た。051其奴(そやつ)(おな)(あな)(きつね)052猿世彦(さるよひこ)駒山彦(こまやまひこ)053その猿世彦(さるよひこ)(いま)はアリナの(たき)(いほり)(むす)び、054三五教(あななひけう)(にはか)宣伝使(せんでんし)()(かは)り、055あまたの国人(くにびと)(たぶら)かす悪魔(あくま)変化(へんげ)056駒山彦(こまやまひこ)秘露(ひる)(みやこ)(あら)はれて、057これまた()らぬが(ほとけ)国人(くにびと)を、058縦横(じうわう)無尽(むじん)(たぶら)かす悪魔(あくま)再来(さいらい)059その親玉(おやだま)清熊(きよくま)()れの(はて)060(にせ)()出神(でのかみ)となつて秘露(ひる)(くに)をば(やみ)にする、061(わる)(たくみ)(あら)はれ(ぐち)062この蚊々虎(かがとら)()つけた(うへ)は、063もはや(かな)はぬ(うん)()き。064さあさあ清熊(きよくま)白状(はくじやう)いたせ、065返答(へんたふ)如何(どう)ぢや、066(この)()(のぞ)んで(なに)()はれまい。067道理(だうり)ぢや、068(もつと)もぢや。069(おれ)(かは)つて貴様(きさま)(たくみ)素破(すつぱ)()かうか。070智利(てる)(みやこ)町端(まちはづ)れ、071(やみ)()(なんぢ)(さん)(にん)(ささや)言葉(ことば)072すつかり()いたこの蚊々虎(かがとら)073二人(ふたり)(やつ)(やみ)谷間(たにま)()つときぼりを()はしよつて、074一人(ひとり)()げだし路傍(ろばう)芝生(しばふ)(こし)(おろ)し、075()りし(むかし)懺悔話(ざんげばなし)を、076(あと)から()ひつく二人(ふたり)(やつ)(かぎ)つけられて(かぶと)()ぎ、077(ここ)(さん)(にん)(はら)(あは)して(この)高砂島(たかさごじま)攪乱(かくらん)せむとする(あく)張本人(ちやうほんにん)078()出神(でのかみ)とは真赤(まつか)(いつは)り、079鬼城山(きじやうざん)棒振彦(ぼうふりひこ)参謀(さんぼう)清熊(きよくま)どうぢや、080往生(わうじやう)したか、081(はや)尻尾(しつぽ)()しよらぬか、082ヤアヤア(みな)人々(ひとびと)(いち)()(はや)くこの()()られよ、083(いま)本当(ほんたう)()出神(でのかみ)竜宮(りうぐう)(そこ)から()()たら、084アフンと(あき)れて馬鹿(ばか)()るぞよ。085この蚊々虎(かがとら)さまは勿体(もつたい)なくも大国彦(おほくにひこ)(いち)家来(けらい)醜国別(しこくにわけ)家来(けらい)の、086そのまた家来(けらい)のその家来(けらい)087沢山(たくさん)家来(けらい)()れて()るのは(おれ)ではなうて大国彦(おほくにひこ)(さま)088何処(どこ)から何処(どこ)まで、089(やま)谷々(たにだに)090(うみ)(そこ)まで、091谷蟆(たにぐく)のやうに()ぎつけ(さが)(まは)自在天(じざいてん)家来(けらい)の、092蚊々虎(かがとら)さまとは(おれ)のことだ、093ヤイ清熊(きよくま)まだ強太(しぶと)白状(はくじやう)せぬか、094ヤイ(みな)(やつ)まだ()(さめ)ぬか。095此処(ここ)()()秘露(ひる)(くに)096秘露(ひる)(みやこ)中央(まんなか)で、097(ゆめ)()馬鹿(ばか)があるものか、098(はや)()()ませ、099手水(てうづ)使(つか)へ、100腰抜(こしぬけ)野郎(やらう)屁古垂(へこた)野郎(やらう)()
101口汚(くちぎたな)高座(かうざ)より呶鳴(どな)りつけたるより、102数多(あまた)人々(ひとびと)喧々(けんけん)囂々(がうがう)その去就(きよしう)(まよ)ひ、103彼方(あちら)(すみ)にも、104此方(こちら)(すみ)にも(はげ)しき争論(そうろん)(はじ)まりきたり。105場内(ぢやうない)はあたかも(かなへ)()くが(ごと)く、106雷鳴(らいめい)(とどろ)くが(ごと)く、107(つひ)には鉄拳(てつけん)(あめ)処々(しよしよ)()(そそ)ぎ、108()く、109(わら)ふ、110(おこ)る、111(ののし)る、112叫喚(わめ)く、113(たちま)阿鼻(あび)叫喚(けうくわん)修羅場(しゆらぢやう)(くわ)()りぬ。114清彦(きよひこ)壇上(だんじやう)蚊々虎(かがとら)(とも)仁王立(にわうだち)となりて(この)光景(くわうけい)看守(みまも)()たり。
115声(日の出神)(かみ)(おもて)(あら)はれて
116(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
117この()(つく)りし神直日(かむなほひ)
118(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
119ただ何事(なにごと)(ひと)()
120直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)
121()(あやまち)()(なほ)せ』
122といふ(すず)しき宣伝歌(せんでんか)が、123場内(ぢやうない)喧騒(けんさう)(こゑ)(あつ)して、124()()るが(ごと)(ひび)きわたり、125それと同時(どうじ)に、126さしも激烈(げきれつ)なりし修羅(しゆら)光景(くわうけい)ぴたりとやみにける。127嗚呼(ああ)この宣伝歌(せんでんか)何人(なにびと)(こゑ)なりしか。
128大正一一・二・七 旧一・一一 加藤明子録)
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