霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二四章 盲目(めくら)審神(さには)〔三七四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻 篇:第4篇 巴留の国 よみ(新仮名遣い):はるのくに
章:第24章 盲目審神 よみ(新仮名遣い):めくらさにわ 通し章番号:374
口述日:1922(大正11)年02月08日(旧01月12日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一行は夕食を振舞われた後、祝詞を奏上した。闇山津見は改めて宣伝使一向に向かい、黄泉国に行かれたはずの伊弉冊命が、ロッキー山に現れたということを巴留の国の棟梁・鷹取別(大自在天の部下)から聞いて、その真偽を確かめたいのだ、と切り出した。
淤縢山津見は竜宮から日の出神とともに伊弉冊命のお供をしてきた際、確かにロッキー山に行くということを聞いた、と話した。すると蚊々虎の身体はにわかに振動し始め、口を切り出した。
神懸りした蚊々虎は淤縢山津見の報告を否定し、ロッキー山に現れたのは大自在天・常世神王の妻、大国姫が化けたものだ、と託宣した。
淤縢山津見は審神にかかり、蚊々虎に懸った神を霊縛しようとしたが、一向に効果がない。淤縢山津見はこれは邪神であるして伊弉冊命はロッキー山にいらっしゃると請合うが、蚊々虎に憑いた神は言霊を使って淤縢山津見をしかりつけた。
淤縢山津見はたまらず神に許しを請うが、どうしても伊弉冊命がロッキー山にいることは確かであると主張した。蚊々虎に懸った神は呆れて立ち去った。
淤縢山津見は自身が見聞きしたこととして、伊弉冊命がロッキー山に鎮まりいますことを闇山津見に請合った。その世は一同は三五教の教えの話に世を明かした。
伊弉冊命は火の神を生みました後、黄泉国にお出でになられたのは、黄泉国から荒び来る曲津神を封じるご神策であった。そのため黄泉国の曲津神たちは海底の竜宮に居所を変えて、再び葦原の瑞穂の国を狙っていた。
そこで伊弉冊命は今度は竜宮にお出でになって曲津神たちを封じていた。乙米姫を身代わりとして曲津神たちを封じた伊弉冊命は、日の出神に迎えられてロッキー山に立て籠もると言い置き、その実は天教山にお帰りになって、伊弉諾大神と合流していたのである。
この間のご経綸を知らない世の神人たちは、伊弉冊命がロッキー山に現れたと思っていたが、その実これは常世神王の妻・大国姫に悪霊が憑依して、伊弉冊命の名を騙っていたのであった。
常世神王は自ら日の出神を偽称して、種々の作戦を立てていた。これが後に、黄泉比良坂の戦いにつながるのである。
ゆえに、黄泉比良坂の故事に伊弉冊命とあるは、真の伊弉冊命ではなく、大国姫の化身なのである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-08 16:55:12 OBC :rm0824
愛善世界社版:160頁 八幡書店版:第2輯 208頁 修補版: 校定版:162頁 普及版:71頁 初版: ページ備考:
001 闇山(くらやま)津見(づみ)奥殿(おくでん)(ひろ)一間(ひとま)は、002夕食(ゆふしよく)用意(ようい)調(ととの)へられ、003一応(いちおう)主客(しゆきやく)慇懃(いんぎん)なる挨拶(あいさつ)(をは)りて各自(かくじ)晩餐(ばんさん)(せき)()きぬ。
004 夕食(ゆふしよく)(ここ)相済(あひす)み、005淤縢山津見(おどやまづみ)二人(ふたり)(とも)神床(かむどこ)(むか)つて天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)する。
006 闇山(くらやま)津見(づみ)一行(いつかう)(むか)慇懃(いんぎん)にその(らう)(しや)し、007()つ、
008闇山津見()()つて宣伝使(せんでんし)にお(たづ)(まを)()(こと)があります。009何卒(どうぞ)()教示(けうじ)(ねが)ひます』
010()ふ。
011淤縢山津見何事(なにごと)()りませぬが、012(かみ)(さま)(うかが)つて()ませう』
013蚊々虎宇宙(うちう)万有(ばんいう)一切(いつさい)(こと)()(あか)宣伝使(せんでんし)014(だい)宇宙(うちう)より(せう)(しらみ)(はら)(なか)まで』
015淤縢山津見『コラコラ蚊々虎(かがとら)016(だま)りなさい』
017闇山津見(わたくし)高天原(たかあまはら)(まし)ましたる伊弉冊(いざなみの)(みこと)が、018黄泉(よもつ)(くに)へお(いで)ましになつたと()(こと)(うけたま)はつて()ました。019(しか)るに(この)ごろ常世(とこよ)のロッキー(ざん)伊弉冊(いざなみの)(みこと)(あら)はれ(たま)うたと()(こと)巴留国(はるのくに)棟梁(とうりやう)鷹取別(たかとりわけ)より(うけたま)はりました。020二人(ふたり)伊弉冊(いざなみの)(みこと)がおありなさるとすれば、021どちら真実(ほんたう)御座(ござ)いませうか。022吾々(われわれ)はその去就(きよしう)(まよ)ひ、023どうとかしてその真偽(しんぎ)(きは)()きものと、024日夜(にちや)祈願(きぐわん)をして()りました。025(しか)るに昨夜(さくや)(ゆめ)に「明日(みやうにち)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)がこの(くに)()るから、026五月姫(さつきひめ)(むか)ひに(つか)はせ」とのお()げでありました。027それ(ゆゑ)今日(こんにち)(わが)(むすめ)町端(まちはづ)れの国魂(くにたま)(もり)群衆(ぐんしう)(まぎ)れて()()ませ、028宣伝使(せんでんし)のお(いで)()たせて()りましたところ、029(ゆめ)のお()げの(とほ)り、030三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)に、031()(かか)つたのも、032(まつた)()神示(しんじ)(うご)かぬところと(ふか)(しん)じます。033この(こと)について何卒(どうか)()教示(けうじ)(ねが)ひます』
034淤縢山津見『サア(たし)かに吾々(われわれ)竜宮城(りうぐうじやう)より伊弉冊(いざなみの)(みこと)(さま)のお(とも)(いた)して(まゐ)りましたが、035途中(とちう)(わか)れました。036伊弉冊(いざなみの)(みこと)(さま)には()出神(でのかみ)()立派(りつぱ)生神(いきがみ)と、037面那芸(つらなぎの)(かみ)がお(とも)(いた)して()(はず)であります。038ロッキー(ざん)に、039これから()くと(あふ)せになりましたから、040それが真実(まこと)伊弉冊(いざなみの)(みこと)(さま)でありませう』
041 蚊々虎(かがとら)身体(しんたい)(にはか)振動(しんどう)(はじ)め、042(つひ)には(くち)()り、
043蚊々虎『オヽヽ淤縢山津見(おどやまづみ)044(なんぢ)(まを)(こと)(ちが)ふぞ(ちが)ふぞ。045伊弉冊(いざなみの)(みこと)(さま)は、046テヽヽ矢張(やつぱ)()はれぬ、047()はれぬ。048ロッキー(ざん)(あら)はれたのは、049常世(とこよ)神王(しんわう)(つま)大国姫(おほくにひめ)()(がみ)だぞよ』
050淤縢山津見(なんぢ)(いづ)れの曲津(まがつ)(かみ)ぞ、051(げん)吾々(われわれ)伊弉冊(いざなみの)大神(おほかみ)のお(とも)をして海上(かいじやう)(わか)れたのだ。052その(とき)のお言葉(ことば)に、053これよりロッキー(ざん)立籠(たてこも)ると(あふ)せになつた。054(その)(はう)(われ)(いつは)邪神(じやしん)であらう』
055 蚊々虎(かがとら)()()()げながら(くび)左右(さいう)()り、
056蚊々虎(ちが)(ちが)ふ、057サツパリ(ちが)ふ。058ロッキー(ざん)伊弉冊(いざなみの)(みこと)は、059大国姫(おほくにひめ)だ。060もつと(しつ)かり審神(さには)(いた)せ。061(この)(はう)(いづ)れの(かみ)(おも)うて()るか。062盲人(めくら)審神者(さには)063モーちつと霊眼(れいがん)(ひら)いて、064()正体(しやうたい)見届(みとど)けよ』
065淤縢山津見如何(いか)(たくみ)()()つるとも、066この審神者(さには)()(くら)ます(こと)出来(でき)まい。067(ほか)(こと)ならいざ()らず、068伊弉冊(いざなみの)大神(おほかみ)(おん)(こと)()いては(この)(はう)(たしか)見届(みとど)けてある。069(いつは)りを()ふな、070退(さが)退(さが)れ』
071蚊々虎(だん)じて退(さが)らぬ。072(なんぢ)霊眼(れいがん)(ひら)くるまで』
073 淤縢山津見(おどやまづみ)一生(いつしやう)懸命(けんめい)両手(りやうて)()み、074霊縛(れいばく)(くは)へむとす。075蚊々虎(かがとら)大口(おほぐち)()けて、
076蚊々虎『ウワハヽヽー小癪(こしやく)な、077やり()るワイ。078ウワハヽヽー(あま)可笑(をかし)うて(はら)(かは)()れるワイ。079ウワハヽヽー』
080淤縢山津見闇山(くらやま)津見(づみ)(さま)081この神懸(かむがか)りは(あて)にはなりませぬ。082大変(たいへん)大曲津(おほまがつ)(くつ)ついて()ます。083あの(とほ)(わら)()けて、084吾々(われわれ)嘲弄(てうろう)いたす強太(しぶと)悪神(あくがみ)085コンナ(やつ)()(こと)(しん)じなくても(よろ)しい。086吾々(われわれ)(いき)証拠人(しようこにん)087伊弉冊(いざなみの)大神(おほかみ)は、088この常世(とこよ)(くに)のロッキー(ざん)(たしか)()られます』
089 蚊々虎(かがとら)(また)もや大口(おほぐち)()けて、
090蚊々虎『アハヽヽ、091あかぬ、092あかぬ、093淤縢山津見(おどやまづみ)(めくら)審神者(さには)イヽヽ如何(いか)霊縛(れいばく)(くは)へても、094ウヽヽ(うご)かぬ(うご)かぬ。095(うるさ)いか倦厭(うんざり)したか。096エエヽ(えら)さうに審神者(さには)(づら)()げて(なん)(ざま)097(おれ)正体(しやうたい)(わか)らぬか。098可笑(をか)しいぞ可笑(をか)しいぞ、099ウワハヽヽ。100カヽヽ可哀(かはい)さうなものだ。101キヽヽ気張(きば)つて気張(きば)つて汗泥(あせみどろ)になつて、102両手(もろて)()んで、103ウンウンと霊縛(れいばく)(なん)(ざま)だ。104クヽヽ苦労(くらう)()らぬぞ。105コンナ審神者(さには)(くる)しいやうな(こと)で、106どうして宣伝使(せんでんし)がつとまるか。107ケヽヽ()しからぬ(やつ)だ、108見当(けんたう)()れまい、109権幕(けんまく)ばかりが(つよ)うても(かみ)には(かな)ふまいがな。110コヽヽこれでもまだ()()るか、111(こま)りはせぬか。112サヽヽ審神者(さには)のなんのと、113()くもほざいたものだ、114サツパリ霊眼(れいがん)()かぬ(さぐ)審神者(さには)115シヽヽ()らぬ(こと)()らぬと()へ、116強太(しぶと)(やつ)だ。117(かみ)(まを)(こと)敵対(てきた)うて、118この(かみ)邪神(じやしん)だの、119(あて)にならぬのとは、120それや(なに)囈言(たはごと)だ。121スヽヽ(すみ)から(すみ)まで()のつく審神者(さには)でないと、122霊界(れいかい)(こと)()()るやうには(わか)らぬぞ。123セヽヽ宣伝使(せんでんし)(づら)()げて、124(めくら)審神者(さには)(おれ)審神(さには)するなぞとは片腹痛(かたはらいた)い。125ソヽヽそんな(こと)世界(せかい)人間(にんげん)(みちび)かれるか』
126淤縢山津見『タヽヽ(たの)みます、127もう(わか)りました。128(こら)へて(くだ)さい、129(しか)貴神(あなた)はお(かんが)(ちが)ひではありませぬか。130(げん)(わたくし)伊弉冊(いざなみの)大神(おほかみ)(さま)のお(とも)して(おん)(くち)づからロッキー(ざん)()くと()(こと)(うけたま)はつたものですから、131この(こと)(ばか)りはどうしても真実(ほんたう)出来(でき)ませぬ』
132蚊々虎(なに)ほど()うても(わけ)(わか)らぬ宣伝使(せんでんし)133(かみ)はこれからタヽヽ()()るぞよ』
134 言葉(ことば)(をは)ると(とも)蚊々虎(かがとら)肉体(にくたい)は、135座敷(ざしき)仰向様(あふむけざま)打倒(うちたふ)れたり。136淤縢山津見(おどやまづみ)(ふたた)鎮魂(ちんこん)(ほどこ)し、137神言(かみごと)奏上(そうじやう)し、138(そう)して淤縢山津見(おどやまづみ)は、139ロッキー(ざん)伊弉冊(いざなみの)(かみ)(かく)()ます(こと)(たしか)(しん)闇山(くらやま)津見(づみ)(かた)く、140相違(さうゐ)ない(こと)()げけり。141闇山(くらやま)津見(づみ)(あつ)感謝(かんしや)してその()三五教(あななひけう)(はなし)()(あか)したり。
142   附言(ふげん)
143伊弉冊(いざなみの)(みこと)()(かみ)()みまして、144黄泉国(よもつのくに)(いた)りましたるその()神慮(しんりよ)は、145黄泉国(よもつのくに)より葦原(あしはら)瑞穂(みづほ)(くに)(むか)つて、146(すさ)(うと)()曲津神(まがつかみ)(たち)黄泉国(よもつのくに)(ふう)じて、147地上(ちじやう)(あら)はれ(きた)らざるやう牽制(けんせい)(てき)()神策(しんさく)()でさせられたるなり。148それより黄泉(よもつの)(かみ)(うみ)竜宮(りうぐう)居所(きよしよ)(へん)じ、149(ふたた)葦原(あしはら)瑞穂(みづほ)(くに)攪乱(かくらん)せむとする形勢(けいせい)()えしより、150(また)もや(うみ)竜宮(りうぐう)伊弉冊(いざなみの)大神(おほかみ)(いた)らせたまひ、151(ここ)牽制(けんせい)(てき)経綸(けいりん)(おこな)はせ(たま)ひつつありける。152乙米姫(おとよねひめの)(みこと)身代(みがは)りとなして黄泉(よもつの)(かみ)竜宮(りうぐう)(ふう)()き、153(みづか)らは()出神(でのかみ)(むか)へられて、154ロッキー(ざん)立籠(たてこも)るべく言挙(ことあ)げしたまひ、155(ひそか)()出神(でのかみ)156面那芸(つらなぎの)(かみ)とともに伊弉諾(いざなぎ)大神(おほかみ)(まし)ます天教山(てんけうざん)(かへ)りたまひぬ。157されど()神々(かみがみ)人々(ひとびと)も、158この(みづ)()らさぬ()経綸(けいりん)(ゆめ)にも()るものは()かりける。159ロッキー(ざん)(あら)はれたる伊弉冊(いざなみの)(みこと)はその(じつ)常世(とこよ)神王(しんわう)(つま)大国姫(おほくにひめ)金狐(きんこ)悪霊(あくれい)憑依(ひようい)して、160神名(しんめい)(かた)り、161常世(とこよ)神王(しんのう)大国彦(おほくにひこ)には八岐(やまた)大蛇(をろち)悪霊(あくれい)憑依(ひようい)し、162表面(へうめん)は、163()出神(でのかみ)偽称(ぎしよう)しつつ、164種々(しゆじゆ)作戦(さくせん)計画(けいくわく)(すす)め、165(つひ)黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)(たたか)ひを(おこ)したるなり。166(ゆゑ)黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)(おい)伊弉冊(いざなみの)(みこと)(むか)()たして事戸(ことど)(わた)したまうたる故事(こじ)は、167(しん)月界(げつかい)(まも)(がみ)なる伊弉冊(いざなみの)大神(おほかみ)にあらず大国姫(おほくにひめ)化身(けしん)なりしなり。
168大正一一・二・八 旧一・一二 加藤明子録)
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