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第三七章 珍山彦(うづやまひこ)〔三八七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻 篇:第5篇 宇都の国 よみ(新仮名遣い):うづのくに
章:第37章 珍山彦 よみ(新仮名遣い):うづやまいこ 通し章番号:387
口述日:1922(大正11)年02月10日(旧01月14日) 口述場所: 筆録者:東尾吉雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年6月15日
概要: 舞台:ウヅの館 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
大蛇に乗った宣伝使たちは、ものすごい勢いで山麓に降ってきた。気がつけば、一同は広い芝生の上に下ろされており、大蛇は影も形も見えなくなっていた。
大蛇を使う蚊々虎の神力に、淤縢山津見、正鹿山津見、五月姫は驚き感心している。淤縢山津見は、これは蚊々虎という名を宣り直さなければ、と言う。
正鹿山津見は、大蛇を使ったから大蛇彦という名を提案した。蚊々虎は珍山彦という名を自ら提案し、一同は賛成した。
正鹿山津見はもうすぐ珍の都が近いことから、神言を奏上して宣伝歌を歌いながら行きましょう、と促した。正鹿山津見は節面白く宣伝歌を歌いながら進んで行く。
ようやく一行は、正鹿山津見の館に着いた。主の正鹿山津見が到着すると、中からは数多の僕が走り出て迎えた。淤縢山津見らは館に世話になることにした。
一同は湯船で旅の疲れを癒し、また珍味佳肴を振舞われ、正鹿山津見の厚意に感謝した。その夜は正鹿山津見を中心に、国魂の神を祀る神前に向かって天津祝詞を奏上し、宣伝歌を歌った。一同は疲れて熟睡し、あくる朝目が覚めると、また旅の四方山話にふけっていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-07 15:51:07 OBC :rm0837
愛善世界社版:258頁 八幡書店版:第2輯 243頁 修補版: 校定版:262頁 普及版:115頁 初版: ページ備考:
001 大蛇(をろち)()()りたる宣伝使(せんでんし)一行(いつかう)は、002一瀉(いつしや)千里(せんり)(いきほひ)山麓(さんろく)(くだ)()きたり。
003 駒山彦(こまやまひこ)得意顔(とくいがほ)にて、
004駒山彦『ヤア、005(うま)には()つて()い、006(ひと)には()うて()い、007大蛇(だいじや)には(またが)つて()いだな。008(あんず)よりも(もも)(やす)い。009()りとは(らく)()たよ。010コンナ(こと)なら、011これから大蛇(をろち)()うても一寸(ちよつと)(こは)くは()い。012この()先々(さきざき)に、013(やま)へかかれば(てき)さんがやつて()()れると、014本当(ほんたう)重宝(ちようほう)だね』
015 蚊々虎(かがとら)は、
016蚊々虎大蛇(をろち)どの、017もうよろし、018ここでオロチて(くだ)さい』
019 ()れば()(にん)宣伝使(せんでんし)は、020(ひろ)芝生(しばふ)(うへ)(おろ)され()たり。021そして大蛇(をろち)(かげ)(かたち)()えなく()()たりける。
022駒山彦(こまやまひこ)『なんだ、023(ゆめ)だつたらうかな。024(げん)(いま)025大蛇(をろち)()つた(つも)りだつたのに、026()(やう)芝生(しばふ)(うへ)(すわ)つて()るとは、027一体(いつたい)全体(ぜんたい)駒山(こまやま)には(わけ)(わか)らぬわい』
028蚊々虎神変(しんぺん)不可思議(ふかしぎ)神業(かむわざ)だ。029三五(あななひ)(をしへ)には、030ドンナ結構(けつこう)なお(かた)落魄(おちぶ)れて御座(ござ)るかも()れぬから、031(かなら)(あなど)ることは()らぬとあるだらう。032この蚊々虎(かがとら)さまは(この)(やう)粗末(そまつ)()えても立派(りつぱ)(かみ)(さま)だぞ。033()けて御座(ござ)るのだよ。034それだから大蛇(をろち)()らうが、035(なん)であらうが、036宇宙(うちう)一切(いつさい)のものは、037この蚊々虎(かがとら)さまの一言(ひとこと)自由(じいう)自在(じざい)になるのだ。038風雨(ふうう)雷霆(らいてい)叱咤(しつた)し、039天地(てんち)震動(しんどう)させるのも、040吾々(われわれ)鼻息(はないき)(ひと)つで自由(じいう)自在(じざい)だぞ』
041駒山彦(こまやまひこ)『また(はじ)まつた。042オイ、043もう()くのは()めて()れぬか。044(まへ)二百十(にひやくとを)()には駒山彦(こまやまひこ)だよ』
045 淤縢山津見(おどやまづみ)はアフンとして、
046淤縢山津見合点(がつてん)()かぬは蚊々虎(かがとら)神力(しんりき)だ。047ヒヨツとしたら、048此奴(こいつ)はお()けかも(わか)らないぞ』
049正鹿山津見(まさかやまづみ)『お()けでも(なん)でも()いぢやありませぬか。050あの(やう)(おほ)きな大蛇(をろち)自由(じいう)自在(じざい)使(つか)ふなんて吾々(われわれ)到底(たうてい)051()から()()して気張(きば)つた(ところ)で、052石亀(いしがめ)地団太(ぢだんだ)だ。053(もの)には()らない、054(えら)(かた)ですね。055正鹿(まさか)感心(かんしん)しましたよ』
056 五月姫(さつきひめ)も、
057五月姫『ほんたうに感服(かんぷく)しましたわ』
058 駒山彦(こまやまひこ)はシヤシヤリ()で、
059駒山彦『「(わたし)060ほんたうに感服(かんぷく)しましたわ」と、061仰有(おつしや)りますワイ。062蚊々虎(かがとら)さま、063目出度(めでた)う』
064 淤縢山津見(おどやまづみ)も、
065淤縢山津見今日(けふ)まで蚊々虎(かがとら)々々々(かがとら)()つて()たが、066こりや()うしても()(なほ)さなくちやいけない。067(なん)とか()をあげませうかな』
068 正鹿山津見(まさかやまづみ)(あき)れて、
069正鹿山津見『さうだなあ、070大蛇(をろち)使(つか)つた神力(しんりき)()つて大蛇彦(をろちひこ)命名(なづけ)たら()うだらう』
071蚊々虎大蛇彦(をろちひこ)御免(ごめん)だ。072珍山彦(うづやまひこ)だ。073珍山彦(うづやまひこ)()つて(もら)ひたいね』
074 淤縢山津見(おどやまづみ)も、
075淤縢山津見『ヤア、076それは本当(ほんたう)にいい()だ。077それなら()れから、078珍山彦(うづやまひこ)(さま)申上(まをしあ)げるのだねー』
079蚊々虎(かがとら)(もつと)も、080(もつと)も。081蚊々虎(かがとら)改名(かいめい)しますよ』
082五月姫(さつきひめ)『ホヽヽヽヽ、083なんとはんなりとしたいいお()ですこと、084(わたし)085蚊々虎(かがとら)さまより、086珍山彦(うづやまひこ)(さま)(はう)気持(きもち)(よろ)しいわ』
087 駒山彦(こまやまひこ)(くち)(とが)らして、
088駒山彦『ホヽヽヽヽ、089「なんといい()だこと、090(わらは)091蚊々虎(かがとら)さまより、092駒山彦(こまやまひこ)()きだわ」とおいでたな、093とは()はぬ「珍山彦(うづやまひこ)(さま)(はう)()きだわ」ヘン、094馬鹿(ばか)にしてらあ』
095 正鹿山津見(まさかやまづみ)は、
096正鹿山津見()一同(いちどう)(さま)097(はなし)途々(みちみち)(うかが)ひませう。098はるか東方(とうはう)(あた)つて小高(こだか)(もり)がありませう。099そこに田螺(たにし)をぶちあけた(やう)(ちひ)さき(いへ)沢山(たくさん)(なら)んで()ませうがな。100()(へん)(うづ)(みやこ)です。101サアもう一息(ひといき)だ。102(わたくし)(うち)まで()足労(そくらう)になつて、103悠々(ゆるゆる)休息(きうそく)いたしませうかい。104(みやこ)(ちか)くなつた(いは)ひに、105此処(ここ)(ひと)神言(かみごと)奏上(そうじやう)し、106宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら(まゐ)りませう』
107一同(いちどう)芝生(しばふ)(うへ)端坐(たんざ)神言(かみごと)奏上(そうじやう)(をは)つて、108宣伝歌(せんでんか)(うた)ひつつ(みやこ)()して(すす)()く。
109 正鹿山津見(まさかやまづみ)(うた)ふ。
110正鹿山津見巴留(はる)(みやこ)(あと)にして
111汗水(あせみづ)()らす(なつ)(やま)
112(すず)しき(かぜ)(あふ)られて
113(こころ)(あき)(ごと)くなり
114樹々(きぎ)(こずゑ)紅葉(もみぢば)
115(いろ)にも(まさ)村肝(むらきも)
116身魂(みたま)(きよ)宣伝使(せんでんし)
117珍山峠(うづやまたうげ)()()えて
118千引(ちびき)(いは)()(あか)
119(あふ)ぐも(たか)天雲山(てんうんざん)
120(たうげ)()えて五柱(いつはしら)
121大蛇(をろち)(ふね)()せられて
122(やうや)うここに(つき)(そら)
123月照彦(つきてるひこ)(しづ)まりし
124この高砂(たかさご)神島(かみしま)
125(かみ)(えら)みしうづの(くに)
126(はな)(みやこ)(ちか)づきて
127(こころ)(こま)(いさ)むなり
128(かみ)(おもて)(あら)はれて
129(ぜん)(あく)とを立別(たてわけ)
130この()(つく)りし神直日(かむなほひ)
131(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
132大野(おほの)(はら)右左(みぎひだり)
133(なが)めて(とほ)心地(ここち)よさ
134(むか)ふに()ゆる白壁(しらかべ)
135(うづ)(みやこ)のわが住家(すみか)
136ただ(なに)ごとも(ひと)()
137直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)
138蚊々虎(かがとら)さまの名前(なまへ)さへ
139珍山彦(うづやまひこ)()(なほ)
140天津(あまつ)御神(みかみ)(うづ)御子(みこ)
141大御宝(おほみたから)(あら)はれて
142世界(せかい)(ひら)宣伝使(せんでんし)
143淤縢山津見(おどやまづみ)五月姫(さつきひめ)
144(いさ)(こころ)駒山彦(こまやまひこ)
145(なつ)真盛(まさか)正鹿山(まさかやま)
146津見(づみ)(みこと)五人(ごにん)()
147(まこと)(かみ)(すく)はれて
148(やうや)(みやこ)()きにけり
149やうやう(みやこ)()きにけり
150朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
151(つき)()つとも()くるとも
152たとへ大地(だいち)(しづ)むとも
153(まこと)(かみ)(をし)へたる
154三五教(あななひけう)()(すく)
155(すく)ひの(かみ)(あら)はれし
156(いづ)御魂(みたま)五柱(いつはしら)
157(みづ)御魂(みたま)(つき)(かげ)
158()きぬは(かみ)御恵(みめぐみ)
159()きぬは(かみ)御恵(みめぐみ)ぞ』
160(ふし)面白(おもしろ)(うた)ひながら、161(やうや)一行(いつかう)宣伝使(せんでんし)正鹿山津見(まさかやまづみ)(やかた)()きにける。
162 駒山彦(こまやまひこ)は、
163駒山彦『ヤア、164宣伝使(せんでんし)住居(ぢうきよ)にしては贅沢(ぜいたく)(かま)へだね』
165珍山彦(うづやまひこ)(蚊々虎)(きま)つたことだよ。166(うづ)一国(いつこく)守護職(しゆごしよく)だもの、167当然(あたりまへ)だ』
168 門内(もんない)よりは、169数多(あまた)下僕(しもべ)蒼惶(あわただ)しく(はし)(きた)り、
170下僕『これはこれは()主人(しゆじん)(さま)171ようこそお(かへ)(くだ)さいました。172(みな)(もの)が、173もう今日(けふ)はお(かへ)りか明日(あす)はお(かへ)りかと、174(くび)()ばしてお()(まを)して()りました。175サアサアお疲労(くたび)れでせう、176(はや)くお(やす)(くだ)さいませ。177ヤア、178これはこれは、179(いづ)れの(かた)()りませぬが、180よく(おく)つて()(くだ)さいました。181何卒(どうぞ)(ゆつ)くりと()でも(あが)つて、182(くつろ)いで(くだ)さいますやうに』
183 正鹿山津見(まさかやまづみ)は、
184正鹿山津見『オー、185国彦(くにひこ)か、186よくまあ留守(るす)()()れた。187()苦労(くらう)であつたな。188イヤ、189()一同(いちどう)(さま)190見苦(みぐる)しき荒屋(あばらや)御座(ござ)いますが、191どうぞ()遠慮(ゑんりよ)なくお(あが)(くだ)さいませ』
192 淤縢山津見(おどやまづみ)も、
193淤縢山津見(あふ)せに(したが)遠慮(ゑんりよ)なく(やす)まして(もら)ひませう』
194と、195正鹿山津見(まさかやまづみ)(あと)()いて、196(おく)()にドツカと安坐(あんざ)したり。
197 国彦(くにひこ)(うやうや)しく()()かして()(きた)り、
198国彦『ヤー、199()一同(いちどう)(さま)200山道(やまみち)()ひ、201この(ごろ)(あつ)さと()ひ、202(さぞ)疲労(つかれ)でせう。203(うけたま)はれば、204主人(しゆじん)(えら)いお世話(せわ)になられたさうで御座(ござ)います。205よくまあ生命(いのち)(たす)けてあげて(くだ)さいました。206(いま)()がすぐに()きますから、207どうぞ(ゆつ)くりと湯浴(ゆあみ)でもして、208(くつろ)(くだ)さいませ』
209と、210挨拶(あいさつ)(をは)つて、211部屋(へや)(はう)姿(すがた)()す。
212 ()(にん)宣伝使(せんでんし)()()けて、213岩上(がんじやう)一夜(いちや)()かし、214悪戯(いたづら)をされた(こと)やら、215大蛇(をろち)出会(でつくは)した(とき)感想(かんさう)(かた)り、216面白(おもしろ)可笑(をか)しくさざめ()たり。
217 (ふすま)()けて、218正鹿山津見(まさかやまづみ)は、
219正鹿山津見『どうやらお()()きました(やう)です。220(みな)さま()うでせう。221一緒(いつしよ)這入(はい)りませうか』
222珍山彦(うづやまひこ)『そら面白(おもしろ)からう、223一緒(いつしよ)(ねが)はうかい』
224正鹿山津見『どうかこちらへ』
225と、226(さき)()つて()く。227一同(いちどう)浴槽(ゆぶね)(そば)衣服(いふく)()()て、228バサバサと一度(いちど)()()みぬ。
229 珍山彦(うづやまひこ)は、
230珍山彦(蚊々虎)『ヤアヤア、231()()つた気分(きぶん)はまた格別(かくべつ)だね。232湯々(ゆうゆう)自適(じてき)とはこのことだ。233はぬはふにいや(まさ)る。234うて()ようかはずにおこか。235はな矢張(やつぱ)(むし)ふ』
236駒山彦(こまやまひこ)『そら貴様(きさま)(なに)ふのだ。237湯快(くわい)さうに自分(じぶん)一人(ひとり)はしやいで』
238珍山彦(蚊々虎)『それでも湯快(くわい)だよ。239()ぐらゐ結構(けつこう)なものは()いぢやないか。240(まへ)(なん)ふことをふのだ』
241珍山彦(うづやまひこ)242駒山彦(こまやまひこ)二人(ふたり)()(なか)揶揄(からか)ひながら、243やや(しば)(あせ)(なが)して、244一同(いちどう)(とも)()(あが)り、245(もと)()()(かへ)()れば、246山野(さんや)河海(かかい)珍味(ちんみ)佳肴(かかう)(なら)べられてゐたり。247一同(いちどう)はその厚意(こうい)感謝(かんしや)しながら、248(やうや)夕餉(ゆふげ)()ませける。
249 正鹿山津見(まさかやまづみ)中心(ちうしん)に、250国魂(くにたま)(かみ)(まつ)れる神前(しんぜん)(むか)つて、251天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、252宣伝歌(せんでんか)(うた)(をは)つて(たの)しみ(ばなし)(ふけ)り、253その()疲労(くたび)れはて、254(いづ)れもよく熟睡(じゆくすゐ)し、255(あく)()()(どき)各自(かくじ)()()まし、256(また)もや四方山(よもやま)(はなし)(ふけ)()たり。
257大正一一・二・一〇 旧一・一四 東尾吉雄録)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
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