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第71巻(戌の巻)
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天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
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第8巻(未の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 智利の都
01 朝日丸
〔351〕
02 五十韻
〔352〕
03 身魂相応
〔353〕
04 烏の妻
〔354〕
05 三人世の元
〔355〕
06 火の玉
〔356〕
第2篇 四十八文字
07 蛸入道
〔357〕
08 改心祈願
〔358〕
09 鏡の池
〔359〕
10 仮名手本
〔360〕
第3篇 秘露より巴留へ
11 海の竜宮
〔361〕
12 身代り
〔362〕
13 修羅場
〔363〕
14 秘露の邂逅
〔364〕
15 ブラジル峠
〔365〕
16 霊縛
〔366〕
17 敵味方
〔367〕
18 巴留の関守
〔368〕
第4篇 巴留の国
19 刹那心
〔369〕
20 張子の虎
〔370〕
21 滝の村
〔371〕
22 五月姫
〔372〕
23 黒頭巾
〔373〕
24 盲目審神
〔374〕
25 火の車
〔375〕
26 讃嘆
〔376〕
27 沙漠
〔377〕
28 玉詩異
〔378〕
29 原山祇
〔379〕
第5篇 宇都の国
30 珍山峠
〔380〕
31 谷間の温泉
〔381〕
32 朝の紅顔
〔382〕
33 天上眉毛
〔383〕
34 烏天狗
〔384〕
35 一二三世
〔385〕
36 大蛇の背
〔386〕
37 珍山彦
〔387〕
38 華燭の典
〔388〕
第6篇 黄泉比良坂
39 言霊解一
〔389〕
40 言霊解二
〔390〕
41 言霊解三
〔391〕
42 言霊解四
〔392〕
43 言霊解五
〔393〕
余白歌
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(B)
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第三七章
珍山彦
(
うづやまひこ
)
〔三八七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第8巻 霊主体従 未の巻
篇:
第5篇 宇都の国
よみ(新仮名遣い):
うづのくに
章:
第37章 珍山彦
よみ(新仮名遣い):
うづやまいこ
通し章番号:
387
口述日:
1922(大正11)年02月10日(旧01月14日)
口述場所:
筆録者:
東尾吉雄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年6月15日
概要:
舞台:
ウヅの館
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
大蛇に乗った宣伝使たちは、ものすごい勢いで山麓に降ってきた。気がつけば、一同は広い芝生の上に下ろされており、大蛇は影も形も見えなくなっていた。
大蛇を使う蚊々虎の神力に、淤縢山津見、正鹿山津見、五月姫は驚き感心している。淤縢山津見は、これは蚊々虎という名を宣り直さなければ、と言う。
正鹿山津見は、大蛇を使ったから大蛇彦という名を提案した。蚊々虎は珍山彦という名を自ら提案し、一同は賛成した。
正鹿山津見はもうすぐ珍の都が近いことから、神言を奏上して宣伝歌を歌いながら行きましょう、と促した。正鹿山津見は節面白く宣伝歌を歌いながら進んで行く。
ようやく一行は、正鹿山津見の館に着いた。主の正鹿山津見が到着すると、中からは数多の僕が走り出て迎えた。淤縢山津見らは館に世話になることにした。
一同は湯船で旅の疲れを癒し、また珍味佳肴を振舞われ、正鹿山津見の厚意に感謝した。その夜は正鹿山津見を中心に、国魂の神を祀る神前に向かって天津祝詞を奏上し、宣伝歌を歌った。一同は疲れて熟睡し、あくる朝目が覚めると、また旅の四方山話にふけっていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-06-07 15:51:07
OBC :
rm0837
愛善世界社版:
258頁
八幡書店版:
第2輯 243頁
修補版:
校定版:
262頁
普及版:
115頁
初版:
ページ備考:
001
大蛇
(
をろち
)
の
背
(
せ
)
に
乗
(
の
)
りたる
宣伝使
(
せんでんし
)
一行
(
いつかう
)
は、
002
一瀉
(
いつしや
)
千里
(
せんり
)
の
勢
(
いきほひ
)
で
山麓
(
さんろく
)
に
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
きたり。
003
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は
得意顔
(
とくいがほ
)
にて、
004
駒山彦
『ヤア、
005
馬
(
うま
)
には
乗
(
の
)
つて
見
(
み
)
い、
006
人
(
ひと
)
には
添
(
そ
)
うて
見
(
み
)
い、
007
大蛇
(
だいじや
)
には
跨
(
またが
)
つて
見
(
み
)
いだな。
008
杏
(
あんず
)
よりも
桃
(
もも
)
が
易
(
やす
)
い。
009
割
(
わ
)
りとは
楽
(
らく
)
に
来
(
き
)
たよ。
010
コンナ
事
(
こと
)
なら、
011
これから
大蛇
(
をろち
)
に
遇
(
あ
)
うても
一寸
(
ちよつと
)
も
怖
(
こは
)
くは
無
(
な
)
い。
012
この
行
(
ゆ
)
く
先々
(
さきざき
)
に、
013
山
(
やま
)
へかかれば
的
(
てき
)
さんがやつて
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れると、
014
本当
(
ほんたう
)
に
重宝
(
ちようほう
)
だね』
015
蚊々虎
(
かがとら
)
は、
016
蚊々虎
『
大蛇
(
をろち
)
どの、
017
もうよろし、
018
ここでオロチて
下
(
くだ
)
さい』
019
見
(
み
)
れば
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
020
広
(
ひろ
)
き
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
下
(
おろ
)
され
居
(
ゐ
)
たり。
021
そして
大蛇
(
をろち
)
は
影
(
かげ
)
も
形
(
かたち
)
も
見
(
み
)
えなく
成
(
な
)
り
居
(
ゐ
)
たりける。
022
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『なんだ、
023
夢
(
ゆめ
)
だつたらうかな。
024
現
(
げん
)
に
今
(
いま
)
、
025
大蛇
(
をろち
)
に
乗
(
の
)
つた
積
(
つも
)
りだつたのに、
026
此
(
こ
)
の
様
(
やう
)
な
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
坐
(
すわ
)
つて
居
(
を
)
るとは、
027
一体
(
いつたい
)
全体
(
ぜんたい
)
駒山
(
こまやま
)
には
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬわい』
028
蚊々虎
『
神変
(
しんぺん
)
不可思議
(
ふかしぎ
)
の
神業
(
かむわざ
)
だ。
029
三五
(
あななひ
)
の
教
(
をしへ
)
には、
030
ドンナ
結構
(
けつこう
)
なお
方
(
かた
)
が
落魄
(
おちぶ
)
れて
御座
(
ござ
)
るかも
知
(
し
)
れぬから、
031
必
(
かなら
)
ず
侮
(
あなど
)
ることは
成
(
な
)
らぬとあるだらう。
032
この
蚊々虎
(
かがとら
)
さまは
此
(
この
)
様
(
やう
)
に
粗末
(
そまつ
)
に
見
(
み
)
えても
立派
(
りつぱ
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だぞ。
033
化
(
ば
)
けて
御座
(
ござ
)
るのだよ。
034
それだから
大蛇
(
をろち
)
で
有
(
あ
)
らうが、
035
何
(
なん
)
であらうが、
036
宇宙
(
うちう
)
一切
(
いつさい
)
のものは、
037
この
蚊々虎
(
かがとら
)
さまの
一言
(
ひとこと
)
で
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
になるのだ。
038
風雨
(
ふうう
)
雷霆
(
らいてい
)
を
叱咤
(
しつた
)
し、
039
天地
(
てんち
)
を
震動
(
しんどう
)
させるのも、
040
吾々
(
われわれ
)
が
鼻息
(
はないき
)
一
(
ひと
)
つで
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
だぞ』
041
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『また
始
(
はじ
)
まつた。
042
オイ、
043
もう
吹
(
ふ
)
くのは
止
(
や
)
めて
呉
(
く
)
れぬか。
044
お
前
(
まへ
)
の
二百十
(
にひやくとを
)
日
(
か
)
には
駒山彦
(
こまやまひこ
)
だよ』
045
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
はアフンとして、
046
淤縢山津見
『
合点
(
がつてん
)
の
往
(
ゆ
)
かぬは
蚊々虎
(
かがとら
)
の
神力
(
しんりき
)
だ。
047
ヒヨツとしたら、
048
此奴
(
こいつ
)
はお
化
(
ば
)
けかも
判
(
わか
)
らないぞ』
049
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
『お
化
(
ば
)
けでも
何
(
なん
)
でも
宜
(
い
)
いぢやありませぬか。
050
あの
様
(
やう
)
な
大
(
おほ
)
きな
大蛇
(
をろち
)
を
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
使
(
つか
)
ふなんて
吾々
(
われわれ
)
は
到底
(
たうてい
)
、
051
目
(
め
)
から
火
(
ひ
)
を
出
(
だ
)
して
気張
(
きば
)
つた
処
(
ところ
)
で、
052
石亀
(
いしがめ
)
の
地団太
(
ぢだんだ
)
だ。
053
物
(
もの
)
には
成
(
な
)
らない、
054
偉
(
えら
)
い
方
(
かた
)
ですね。
055
正鹿
(
まさか
)
も
感心
(
かんしん
)
しましたよ』
056
五月姫
(
さつきひめ
)
も、
057
五月姫
『ほんたうに
感服
(
かんぷく
)
しましたわ』
058
駒山彦
(
こまやまひこ
)
はシヤシヤリ
出
(
い
)
で、
059
駒山彦
『「
妾
(
わたし
)
、
060
ほんたうに
感服
(
かんぷく
)
しましたわ」と、
061
仰有
(
おつしや
)
りますワイ。
062
蚊々虎
(
かがとら
)
さま、
063
お
目出度
(
めでた
)
う』
064
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
も、
065
淤縢山津見
『
今日
(
けふ
)
まで
蚊々虎
(
かがとら
)
々々々
(
かがとら
)
と
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
たが、
066
こりや
何
(
ど
)
うしても
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
さなくちやいけない。
067
何
(
なん
)
とか
名
(
な
)
をあげませうかな』
068
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
も
呆
(
あき
)
れて、
069
正鹿山津見
『さうだなあ、
070
大蛇
(
をろち
)
を
使
(
つか
)
つた
神力
(
しんりき
)
に
依
(
よ
)
つて
大蛇彦
(
をろちひこ
)
と
命名
(
なづけ
)
たら
何
(
ど
)
うだらう』
071
蚊々虎
『
大蛇彦
(
をろちひこ
)
は
御免
(
ごめん
)
だ。
072
珍山彦
(
うづやまひこ
)
だ。
073
珍山彦
(
うづやまひこ
)
と
言
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
ひたいね』
074
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
も、
075
淤縢山津見
『ヤア、
076
それは
本当
(
ほんたう
)
にいい
名
(
な
)
だ。
077
それなら
是
(
こ
)
れから、
078
珍山彦
(
うづやまひこ
)
様
(
さま
)
と
申上
(
まをしあ
)
げるのだねー』
079
蚊々虎
(
かがとら
)
『
尤
(
もつと
)
も、
080
尤
(
もつと
)
も。
081
蚊々虎
(
かがとら
)
を
改名
(
かいめい
)
しますよ』
082
五月姫
(
さつきひめ
)
『ホヽヽヽヽ、
083
なんと
はんなり
としたいいお
名
(
な
)
ですこと、
084
妾
(
わたし
)
、
085
蚊々虎
(
かがとら
)
さまより、
086
珍山彦
(
うづやまひこ
)
様
(
さま
)
の
方
(
はう
)
が
気持
(
きもち
)
が
宜
(
よろ
)
しいわ』
087
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らして、
088
駒山彦
『ホヽヽヽヽ、
089
「なんといい
名
(
な
)
だこと、
090
妾
(
わらは
)
、
091
蚊々虎
(
かがとら
)
さまより、
092
駒山彦
(
こまやまひこ
)
が
好
(
す
)
きだわ」とおいでたな、
093
とは
言
(
い
)
はぬ「
珍山彦
(
うづやまひこ
)
様
(
さま
)
の
方
(
はう
)
が
好
(
す
)
きだわ」ヘン、
094
馬鹿
(
ばか
)
にしてらあ』
095
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
は、
096
正鹿山津見
『
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
、
097
話
(
はなし
)
は
途々
(
みちみち
)
伺
(
うかが
)
ひませう。
098
はるか
東方
(
とうはう
)
に
当
(
あた
)
つて
小高
(
こだか
)
き
森
(
もり
)
がありませう。
099
そこに
田螺
(
たにし
)
をぶちあけた
様
(
やう
)
に
小
(
ちひ
)
さき
家
(
いへ
)
が
沢山
(
たくさん
)
に
並
(
なら
)
んで
居
(
ゐ
)
ませうがな。
100
彼
(
あ
)
の
辺
(
へん
)
が
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
です。
101
サアもう
一息
(
ひといき
)
だ。
102
私
(
わたくし
)
の
宅
(
うち
)
まで
御
(
ご
)
足労
(
そくらう
)
になつて、
103
悠々
(
ゆるゆる
)
と
休息
(
きうそく
)
いたしませうかい。
104
都
(
みやこ
)
近
(
ちか
)
くなつた
祝
(
いは
)
ひに、
105
此処
(
ここ
)
で
一
(
ひと
)
つ
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
106
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら
参
(
まゐ
)
りませう』
107
と
一同
(
いちどう
)
は
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
端坐
(
たんざ
)
し
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
終
(
をは
)
つて、
108
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひつつ
都
(
みやこ
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
109
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
は
唄
(
うた
)
ふ。
110
正鹿山津見
『
巴留
(
はる
)
の
都
(
みやこ
)
を
後
(
あと
)
にして
111
汗水
(
あせみづ
)
垂
(
た
)
らす
夏
(
なつ
)
の
山
(
やま
)
112
涼
(
すず
)
しき
風
(
かぜ
)
に
煽
(
あふ
)
られて
113
心
(
こころ
)
は
秋
(
あき
)
の
如
(
ごと
)
くなり
114
樹々
(
きぎ
)
の
梢
(
こずゑ
)
の
紅葉
(
もみぢば
)
の
115
色
(
いろ
)
にも
勝
(
まさ
)
る
村肝
(
むらきも
)
の
116
身魂
(
みたま
)
も
清
(
きよ
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
117
珍山峠
(
うづやまたうげ
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
118
千引
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
に
夜
(
よ
)
を
明
(
あか
)
し
119
仰
(
あふ
)
ぐも
高
(
たか
)
き
天雲山
(
てんうんざん
)
の
120
峠
(
たうげ
)
を
越
(
こ
)
えて
五柱
(
いつはしら
)
121
大蛇
(
をろち
)
の
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
せられて
122
漸
(
やうや
)
うここに
月
(
つき
)
の
空
(
そら
)
123
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
鎮
(
しづ
)
まりし
124
この
高砂
(
たかさご
)
の
神島
(
かみしま
)
は
125
神
(
かみ
)
の
選
(
えら
)
みしうづの
国
(
くに
)
126
花
(
はな
)
の
都
(
みやこ
)
も
近
(
ちか
)
づきて
127
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
は
勇
(
いさ
)
むなり
128
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
129
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわけ
)
る
130
この
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
131
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
132
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
を
右左
(
みぎひだり
)
133
眺
(
なが
)
めて
通
(
とほ
)
る
心地
(
ここち
)
よさ
134
向
(
むか
)
ふに
見
(
み
)
ゆる
白壁
(
しらかべ
)
は
135
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
のわが
住家
(
すみか
)
136
ただ
何
(
なに
)
ごとも
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
137
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
せ
138
蚊々虎
(
かがとら
)
さまの
名前
(
なまへ
)
さへ
139
珍山彦
(
うづやまひこ
)
と
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
し
140
天津
(
あまつ
)
御神
(
みかみ
)
の
貴
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
141
大御宝
(
おほみたから
)
と
現
(
あら
)
はれて
142
世界
(
せかい
)
を
開
(
ひら
)
く
宣伝使
(
せんでんし
)
143
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
や
五月姫
(
さつきひめ
)
144
勇
(
いさ
)
む
心
(
こころ
)
の
駒山彦
(
こまやまひこ
)
や
145
夏
(
なつ
)
の
真盛
(
まさか
)
り
正鹿山
(
まさかやま
)
146
津見
(
づみ
)
の
命
(
みこと
)
の
五人
(
ごにん
)
連
(
づ
)
れ
147
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
に
救
(
すく
)
はれて
148
漸
(
やうや
)
う
都
(
みやこ
)
へ
着
(
つ
)
きにけり
149
やうやう
都
(
みやこ
)
へ
着
(
つ
)
きにけり
150
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
151
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
152
たとへ
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
153
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をし
)
へたる
154
三五教
(
あななひけう
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
155
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
と
現
(
あら
)
はれし
156
厳
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
五柱
(
いつはしら
)
157
瑞
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
月
(
つき
)
の
影
(
かげ
)
158
尽
(
つ
)
きぬは
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
ぞ
159
尽
(
つ
)
きぬは
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
ぞ』
160
と
節
(
ふし
)
面白
(
おもしろ
)
く
歌
(
うた
)
ひながら、
161
漸
(
やうや
)
く
一行
(
いつかう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
の
館
(
やかた
)
に
着
(
つ
)
きにける。
162
駒山彦
(
こまやまひこ
)
は、
163
駒山彦
『ヤア、
164
宣伝使
(
せんでんし
)
の
住居
(
ぢうきよ
)
にしては
贅沢
(
ぜいたく
)
な
構
(
かま
)
へだね』
165
珍山彦
(
うづやまひこ
)
(蚊々虎)
『
決
(
きま
)
つたことだよ。
166
珍
(
うづ
)
一国
(
いつこく
)
の
守護職
(
しゆごしよく
)
だもの、
167
当然
(
あたりまへ
)
だ』
168
門内
(
もんない
)
よりは、
169
数多
(
あまた
)
の
下僕
(
しもべ
)
蒼惶
(
あわただ
)
しく
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
170
下僕
『これはこれは
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
、
171
ようこそお
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さいました。
172
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
が、
173
もう
今日
(
けふ
)
はお
帰
(
かへ
)
りか
明日
(
あす
)
はお
帰
(
かへ
)
りかと、
174
首
(
くび
)
を
伸
(
の
)
ばしてお
待
(
ま
)
ち
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
りました。
175
サアサアお
疲労
(
くたび
)
れでせう、
176
早
(
はや
)
くお
休
(
やす
)
み
下
(
くだ
)
さいませ。
177
ヤア、
178
これはこれは、
179
何
(
いづ
)
れの
方
(
かた
)
か
知
(
し
)
りませぬが、
180
よく
送
(
おく
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
181
何卒
(
どうぞ
)
悠
(
ゆつ
)
くりと
湯
(
ゆ
)
でも
飲
(
あが
)
つて、
182
寛
(
くつろ
)
いで
下
(
くだ
)
さいますやうに』
183
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
は、
184
正鹿山津見
『オー、
185
国彦
(
くにひこ
)
か、
186
よくまあ
留守
(
るす
)
を
仕
(
し
)
て
呉
(
く
)
れた。
187
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
であつたな。
188
イヤ、
189
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
、
190
見苦
(
みぐる
)
しき
荒屋
(
あばらや
)
で
御座
(
ござ
)
いますが、
191
どうぞ
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
なくお
上
(
あが
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
192
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
も、
193
淤縢山津見
『
仰
(
あふ
)
せに
従
(
したが
)
ひ
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
休
(
やす
)
まして
貰
(
もら
)
ひませう』
194
と、
195
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
の
後
(
あと
)
に
随
(
つ
)
いて、
196
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
にドツカと
安坐
(
あんざ
)
したり。
197
国彦
(
くにひこ
)
は
恭
(
うやうや
)
しく
湯
(
ゆ
)
を
沸
(
わ
)
かして
持
(
も
)
ち
来
(
きた
)
り、
198
国彦
『ヤー、
199
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
、
200
山道
(
やまみち
)
と
云
(
い
)
ひ、
201
この
頃
(
ごろ
)
の
暑
(
あつ
)
さと
云
(
い
)
ひ、
202
嘸
(
さぞ
)
お
疲労
(
つかれ
)
でせう。
203
承
(
うけたま
)
はれば、
204
主人
(
しゆじん
)
も
偉
(
えら
)
いお
世話
(
せわ
)
になられたさうで
御座
(
ござ
)
います。
205
よくまあ
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてあげて
下
(
くだ
)
さいました。
206
今
(
いま
)
お
湯
(
ゆ
)
がすぐに
沸
(
わ
)
きますから、
207
どうぞ
悠
(
ゆつ
)
くりと
湯浴
(
ゆあみ
)
でもして、
208
お
寛
(
くつろ
)
ぎ
下
(
くだ
)
さいませ』
209
と、
210
挨拶
(
あいさつ
)
を
終
(
をは
)
つて、
211
部屋
(
へや
)
の
方
(
はう
)
へ
姿
(
すがた
)
を
消
(
け
)
す。
212
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
打
(
う
)
ち
解
(
と
)
けて、
213
岩上
(
がんじやう
)
に
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あ
)
かし、
214
悪戯
(
いたづら
)
をされた
事
(
こと
)
やら、
215
大蛇
(
をろち
)
に
出会
(
でつくは
)
した
時
(
とき
)
の
感想
(
かんさう
)
を
語
(
かた
)
り、
216
面白
(
おもしろ
)
可笑
(
をか
)
しく
さざめ
き
居
(
ゐ
)
たり。
217
襖
(
ふすま
)
を
開
(
あ
)
けて、
218
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
は、
219
正鹿山津見
『どうやらお
湯
(
ゆ
)
が
沸
(
わ
)
きました
様
(
やう
)
です。
220
皆
(
みな
)
さま
何
(
ど
)
うでせう。
221
一緒
(
いつしよ
)
に
這入
(
はい
)
りませうか』
222
珍山彦
(
うづやまひこ
)
『そら
面白
(
おもしろ
)
からう、
223
一緒
(
いつしよ
)
に
願
(
ねが
)
はうかい』
224
正鹿山津見
『どうかこちらへ』
225
と、
226
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
227
一同
(
いちどう
)
は
浴槽
(
ゆぶね
)
の
側
(
そば
)
に
衣服
(
いふく
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
捨
(
す
)
て、
228
バサバサと
一度
(
いちど
)
に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
みぬ。
229
珍山彦
(
うづやまひこ
)
は、
230
珍山彦(蚊々虎)
『ヤアヤア、
231
湯
(
ゆ
)
に
入
(
い
)
つた
気分
(
きぶん
)
はまた
格別
(
かくべつ
)
だね。
232
湯々
(
ゆうゆう
)
自適
(
じてき
)
とはこのことだ。
233
ゆ
はぬは
ゆ
ふにいや
勝
(
まさ
)
る。
234
ゆ
うて
見
(
み
)
ようか
ゆ
はずにおこか。
235
ゆ
はな
矢張
(
やつぱ
)
り
虫
(
むし
)
が
ゆ
ふ』
236
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『そら
貴様
(
きさま
)
何
(
なに
)
を
ゆ
ふのだ。
237
湯快
(
ゆ
くわい
)
さうに
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
はしやい
で』
238
珍山彦(蚊々虎)
『それでも
湯快
(
ゆ
くわい
)
だよ。
239
湯
(
ゆ
)
ぐらゐ
結構
(
けつこう
)
なものは
無
(
な
)
いぢやないか。
240
お
前
(
まへ
)
は
何
(
なん
)
と
ゆ
ふことを
ゆ
ふのだ』
241
と
珍山彦
(
うづやまひこ
)
、
242
駒山彦
(
こまやまひこ
)
の
二人
(
ふたり
)
は
湯
(
ゆ
)
の
中
(
なか
)
で
揶揄
(
からか
)
ひながら、
243
やや
暫
(
しば
)
し
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
して、
244
一同
(
いちどう
)
と
共
(
とも
)
に
湯
(
ゆ
)
を
上
(
あが
)
り、
245
元
(
もと
)
の
間
(
ま
)
に
引
(
ひ
)
き
返
(
かへ
)
し
見
(
み
)
れば、
246
山野
(
さんや
)
河海
(
かかい
)
の
珍味
(
ちんみ
)
佳肴
(
かかう
)
が
並
(
なら
)
べられてゐたり。
247
一同
(
いちどう
)
はその
厚意
(
こうい
)
を
感謝
(
かんしや
)
しながら、
248
漸
(
やうや
)
く
夕餉
(
ゆふげ
)
を
済
(
す
)
ませける。
249
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
を
中心
(
ちうしん
)
に、
250
国魂
(
くにたま
)
の
神
(
かみ
)
を
祀
(
まつ
)
れる
神前
(
しんぜん
)
に
向
(
むか
)
つて、
251
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
252
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
了
(
をは
)
つて
楽
(
たの
)
しみ
話
(
ばなし
)
に
耽
(
ふけ
)
り、
253
その
夜
(
よ
)
は
疲労
(
くたび
)
れはて、
254
何
(
いづ
)
れもよく
熟睡
(
じゆくすゐ
)
し、
255
明
(
あく
)
る
日
(
ひ
)
の
八
(
や
)
つ
時
(
どき
)
に
各自
(
かくじ
)
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まし、
256
又
(
また
)
もや
四方山
(
よもやま
)
の
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
り
居
(
ゐ
)
たり。
257
(
大正一一・二・一〇
旧一・一四
東尾吉雄
録)
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