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第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
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特別編 入蒙記
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第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第74巻(丑の巻)
序文
総説
第1篇 渺茫千里
01 科戸の風
〔1869〕
02 野路の草枕
〔1870〕
03 篠の笹原
〔1871〕
04 朝露の光
〔1872〕
05 言霊神橋
〔1873〕
06 真鶴山霊
〔1874〕
07 相聞の闇
〔1875〕
08 黒雲晴明
〔1876〕
09 真鶴鳴動
〔1877〕
第2篇 真鶴新国
10 心の手綱
〔1878〕
11 万代の誓
〔1879〕
12 森の遠望
〔1880〕
13 水上の月
〔1881〕
14 真心の曇らひ
〔1882〕
15 晴天澄潮
〔1883〕
16 真言の力(一)
〔1884〕
17 真言の力(二)
〔1885〕
18 玉野の森
〔1886〕
19 玉野の神丘
〔1887〕
20 松下の述懐
〔1888〕
第3篇 玉藻霊山
21 玉野清庭
〔1889〕
22 天地は曇る
〔1890〕
23 意想の外
〔1891〕
24 誠の化身
〔1892〕
25 感歎幽明
〔1893〕
26 総神登丘
〔1894〕
余白歌
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> 第1篇 渺茫千里 > 第3章 篠の笹原
<<< 野路の草枕
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第三章
篠
(
しの
)
の
笹原
(
ささはら
)
〔一八七一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
篇:
第1篇 渺茫千里
よみ(新仮名遣い):
びょうぼうせんり
章:
第3章 篠の笹原
よみ(新仮名遣い):
しののささはら
通し章番号:
1871
口述日:
1933(昭和8)年10月20日(旧09月2日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
谷前清子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年1月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
国中比古の神は、一行の先頭に立って道案内をする。
国中比古は目的地の真鶴山に、一足先に行って一行を迎えることとなった。
しばらく行くと、激しい濁流の河が一行をさえぎった。
顕津男の神は厳然として水を清める歌を歌うと、濁りはうすらぎ、河の砂利も見えるほどに澄み切った。
一行は河をわたったところで休息を取り、眠った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7403
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 172頁
修補版:
校定版:
41頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
国中
(
くになか
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
一行
(
いつかう
)
の
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
ち、
002
道
(
みち
)
の
案内
(
あない
)
をなさばやと、
003
馬上
(
ばじやう
)
より
声
(
こゑ
)
も
清
(
すが
)
しく
御歌
(
みうた
)
うたひつつ
進
(
すす
)
み
給
(
たま
)
ふ。
004
『
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
の
国中
(
くになか
)
に
005
百
(
もも
)
の
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
ましませど
006
殊
(
こと
)
に
目出度
(
めでた
)
き
瑞御霊
(
みづみたま
)
007
すべてのものの
種
(
たね
)
となり
008
山川
(
やまかは
)
草木
(
くさき
)
の
果
(
はて
)
迄
(
まで
)
も
009
生命
(
いのち
)
の
水
(
みづ
)
をあたへつつ
010
神国
(
みくに
)
を
開
(
ひら
)
き
神
(
かみ
)
を
生
(
う
)
み
011
貴
(
うづ
)
の
神業
(
かむわざ
)
依
(
よ
)
さしまし
012
果
(
はて
)
しも
知
(
し
)
らぬ
国原
(
くにばら
)
を
013
遠
(
とほ
)
き
近
(
ちか
)
きのへだてなく
014
貴
(
うづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
生
(
な
)
り
出
(
い
)
でて
015
真言
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
生
(
い
)
かせつつ
016
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ふぞ
畏
(
かしこ
)
けれ
017
吾
(
われ
)
は
国中
(
くになか
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
018
今日
(
けふ
)
の
御供
(
みとも
)
に
仕
(
つか
)
へつつ
019
道
(
みち
)
の
隈手
(
くまで
)
も
白雲
(
しらくも
)
の
020
あなたの
遠
(
とほ
)
き
大空
(
おほぞら
)
を
021
目
(
め
)
あてに
進
(
すす
)
む
野路
(
のぢ
)
の
旅
(
たび
)
022
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
023
生言霊
(
いくことたま
)
の
幸
(
さちは
)
ひて
024
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御依
(
みよ
)
さしの
025
神業
(
みわざ
)
もれなく
落
(
おち
)
もなく
026
𪫧怜
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
永久
(
とことは
)
に
027
仕
(
つか
)
はせ
給
(
たま
)
へ
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
028
遠
(
とほ
)
の
大野
(
おほの
)
に
霞
(
かす
)
みたる
029
真鶴山
(
まなづるやま
)
を
目
(
め
)
ざしつつ
030
草野
(
くさの
)
を
分
(
わ
)
けて
進
(
すす
)
むなり
031
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
に
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
032
日
(
ひ
)
は
明
(
あき
)
らけく
天
(
あま
)
つとふ
033
月
(
つき
)
は
清
(
すが
)
しく
真昼間
(
まひるま
)
を
034
真白
(
ましろ
)
に
冴
(
さ
)
えて
守
(
まも
)
りまし
035
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
はほどほどに
036
我
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
の
神々
(
かみがみ
)
の
037
面
(
おもて
)
をなでて
香
(
かを
)
るなり
038
百草
(
ももぐさ
)
千草
(
ちぐさ
)
生
(
お
)
ひ
茂
(
しげ
)
る
039
中
(
なか
)
より
見
(
み
)
ゆる
紅
(
くれなゐ
)
の
040
花
(
はな
)
の
姿
(
すがた
)
のやさしさは
041
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
を
歌
(
うた
)
ふなり
042
虫
(
むし
)
の
声々
(
こゑごゑ
)
冴
(
さ
)
えにつつ
043
わが
行
(
ゆ
)
く
旅
(
たび
)
の
草枕
(
くさまくら
)
044
げにも
楽
(
たの
)
しき
次第
(
しだい
)
なり
045
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
046
恩頼
(
みたまのふゆ
)
ぞたふとけれ。
047
見
(
み
)
の
限
(
かぎ
)
り
遠
(
とほ
)
き
大野
(
おほの
)
の
果
(
はて
)
にして
048
ぼんやり
霞
(
かす
)
むは
真鶴山
(
まなづるやま
)
かも
049
真鶴
(
まなづる
)
の
山
(
やま
)
に
百神
(
ももがみ
)
集
(
つど
)
ひますと
050
吾
(
われ
)
は
聞
(
き
)
き
居
(
を
)
り
御供
(
みとも
)
に
仕
(
つか
)
へむ
051
いざさらば
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むち
)
うち
脚
(
あし
)
早
(
はや
)
め
052
夕暮
(
ゆふぐれ
)
までに
吾
(
われ
)
着
(
つ
)
かむかな
053
瑞御霊
(
みづみたま
)
よ
吾
(
われ
)
は
一足
(
ひとあし
)
御
(
おん
)
先
(
さき
)
に
054
真鶴山
(
まなづるやま
)
をさして
進
(
すす
)
まな』
055
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
はこれに
答
(
こた
)
えて、
056
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
057
『
国中
(
くになか
)
比古
(
ひこ
)
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
の
言挙
(
ことあ
)
げを
058
うべなひ
我
(
われ
)
は
公
(
きみ
)
を
立
(
た
)
たさむ
059
真鶴
(
まなづる
)
の
山
(
やま
)
ははろけし
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むち
)
060
うちて
急
(
いそ
)
がせ
夕
(
ゆふ
)
告
(
つ
)
ぐる
迄
(
まで
)
に』
061
国中
(
くになか
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
『いざさらば
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
よ
百神
(
ももがみ
)
よ
062
吾
(
われ
)
は
進
(
すす
)
まむ
真鶴
(
まなづる
)
の
山
(
やま
)
に
063
百神
(
ももがみ
)
よ
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
を
守
(
まも
)
りつつ
064
安
(
やす
)
く
来
(
き
)
まさね
真鶴
(
まなづる
)
の
山
(
やま
)
に』
065
と
歌
(
うた
)
ひのこし、
066
一鞭
(
ひとむち
)
あてて
驀地
(
まつしぐら
)
に
草野
(
くさの
)
を
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
し
給
(
たま
)
ふ。
067
その
勇
(
いさ
)
ましき
後姿
(
うしろで
)
を
見
(
み
)
やり
乍
(
なが
)
ら、
068
近見男
(
ちかみを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
069
『
勇
(
いさ
)
ましも
国中
(
くになか
)
比古
(
ひこ
)
の
神言
(
かみごと
)
に
070
吾
(
われ
)
嬉
(
うれし
)
みて
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
も
出
(
い
)
でず
071
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
ちて
進
(
すす
)
みし
国中
(
くになか
)
比古
(
ひこ
)
072
神
(
かみ
)
は
早
(
はや
)
くも
見
(
み
)
えずなりける
073
駿馬
(
はやこま
)
の
脚
(
あし
)
早
(
はや
)
みかも
御姿
(
みすがた
)
は
074
もえ
立
(
た
)
つ
霧
(
きり
)
の
中
(
なか
)
にかくれつ』
075
圓屋
(
まるや
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
076
『
今日
(
けふ
)
も
亦
(
また
)
暮
(
く
)
れむとするか
道
(
みち
)
遠
(
とほ
)
み
077
真鶴
(
まなづる
)
の
山
(
やま
)
の
影
(
かげ
)
ほのかなり
078
今宵
(
こよい
)
又
(
また
)
野辺
(
のべ
)
にいぬると
定
(
さだ
)
めつつ
079
静
(
しづか
)
に
行
(
ゆ
)
かむ
篠
(
しの
)
の
笹原
(
ささはら
)
を
080
今
(
いま
)
までは
芒
(
すすき
)
の
野辺
(
のべ
)
を
渡
(
わた
)
り
来
(
き
)
て
081
また
辿
(
たど
)
るかも
篠
(
しの
)
の
笹原
(
ささはら
)
082
さらさらと
篠
(
しの
)
の
笹原
(
ささはら
)
風
(
かぜ
)
立
(
た
)
ちて
083
ものさわがしも
心
(
こころ
)
おちゐず
084
曲神
(
まがかみ
)
のひそむがに
思
(
おも
)
ふ
笹原
(
ささはら
)
に
085
心
(
こころ
)
しませよ
百
(
もも
)
の
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
086
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
は
雲
(
くも
)
にかくれて
科戸辺
(
しなどべ
)
の
087
風
(
かぜ
)
は
俄
(
にはか
)
に
吹
(
ふ
)
きすさびつつ
088
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
よ
言霊
(
ことたま
)
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
げて
089
野辺
(
のべ
)
のあらしをやすませ
給
(
たま
)
へ』
090
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
091
『
科戸
(
しなど
)
比古
(
ひこ
)
科戸
(
しなど
)
の
比女
(
ひめ
)
にもの
白
(
まを
)
す
092
岐美
(
きみ
)
の
出
(
い
)
でまし
静
(
しづ
)
まりてゐよ
093
国土造
(
くにつく
)
り
御子生
(
みこう
)
まさむと
出
(
い
)
で
立
(
た
)
たす
094
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
のみゆきなるぞや
095
吾
(
われ
)
こそは
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
科戸辺
(
しなどべ
)
の
096
風
(
かぜ
)
司
(
つかさ
)
どる
御魂
(
みたま
)
なりける』
097
と
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
へば、
098
忽然
(
こつぜん
)
として
荒野
(
あらの
)
を
吹
(
ふ
)
きすさびし
風
(
かぜ
)
は
鳴
(
な
)
りを
鎮
(
しづ
)
め、
099
御空
(
みそら
)
の
雲
(
くも
)
は
四方
(
よも
)
に
散
(
ち
)
りて、
100
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
光
(
かげ
)
煌々
(
くわうくわう
)
と
輝
(
かがや
)
き
給
(
たま
)
ひぬ。
101
宇礼志穂
(
うれしほ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
102
『
荒野
(
あらの
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
のすさびも
止
(
とど
)
まりぬ
103
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
の
言霊
(
ことたま
)
の
水火
(
いき
)
に
104
瑞御霊
(
みづみたま
)
みゆきの
道
(
みち
)
にさやりたる
105
風
(
かぜ
)
静
(
しづ
)
まりぬ
篠
(
しの
)
の
笹原
(
ささはら
)
106
雨雲
(
あまぐも
)
の
行
(
ゆ
)
き
交
(
か
)
ふ
影
(
かげ
)
も
消
(
き
)
えうせて
107
空
(
そら
)
は
青海
(
あをみ
)
の
原
(
はら
)
となりぬる
108
青海原
(
あをみはら
)
渡
(
わた
)
らふ
月
(
つき
)
の
御光
(
みひかり
)
は
109
地
(
つち
)
の
底
(
そこ
)
まで
輝
(
かがや
)
くがに
思
(
おも
)
ふ』
110
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひつつ
笹原
(
ささはら
)
を
分
(
わ
)
けて
進
(
すす
)
み
給
(
たま
)
へば、
111
濁流
(
だくりう
)
滔々
(
たうたう
)
と
漲
(
みなぎ
)
れる
かなり
に
広
(
ひろ
)
き
河
(
かは
)
東西
(
とうざい
)
に
流
(
なが
)
れ、
112
一行
(
いつかう
)
の
行手
(
ゆくて
)
を
横
(
よこ
)
ぎりゐたり。
113
近見男
(
ちかみを
)
の
神
(
かみ
)
は
濁流
(
だくりう
)
の
河辺
(
かはべ
)
に
立
(
た
)
ちて、
114
馬上
(
ばじやう
)
より
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
115
『
八千尋
(
やちひろ
)
の
水底
(
みなそこ
)
までも
濁
(
にご
)
りたる
116
この
泥河
(
どろがは
)
よいかに
渡
(
わた
)
らむ
117
国中
(
くになか
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
はこれの
泥河
(
どろがは
)
を
118
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むち
)
うち
渡
(
わた
)
らしませるか
119
神
(
かみ
)
の
守
(
も
)
る
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
にかくのごと
120
濁流
(
にごり
)
あるとは
思
(
おも
)
はざりしよ
121
言霊
(
ことたま
)
の
水火
(
いき
)
を
清
(
きよ
)
めてこの
河
(
かは
)
を
122
澄
(
す
)
まし
渡
(
わた
)
らむか
惟神
(
かむながら
)
吾
(
われ
)
は
123
黄昏
(
たそがれ
)
に
早
(
は
)
や
近
(
ちか
)
づきて
濁流
(
どろがは
)
を
124
前
(
まへ
)
にひかふる
旅
(
たび
)
のさびしも』
125
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は
儼然
(
げんぜん
)
として
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
126
『
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしのままに
国土
(
くに
)
造
(
つく
)
る
127
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
よとく
澄
(
す
)
みきらへ
128
我
(
われ
)
は
今
(
いま
)
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
と
現
(
あらは
)
れて
129
国土
(
くに
)
造
(
つく
)
るなり
濁
(
にご
)
りよ
去
(
さ
)
れかし
130
濁
(
にご
)
るべきもの
一
(
ひと
)
つなき
天界
(
てんかい
)
を
131
流
(
なが
)
るる
水
(
みづ
)
のあやしまれける
132
サソスセシ
水
(
みづ
)
澄
(
す
)
みきらひわが
渡
(
わた
)
る
133
河
(
かは
)
を
清
(
きよ
)
めよ
河守
(
かはもり
)
の
神
(
かみ
)
』
134
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
へば、
135
さしもの
濁流
(
だくりう
)
も
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
にうすらぎつつ
漸
(
やうや
)
く
澄
(
す
)
みきりて、
136
底
(
そこ
)
の
砂利
(
じやり
)
の
数
(
かず
)
さへ
見
(
み
)
ゆる
迄
(
まで
)
に
至
(
いた
)
れり。
137
圓屋
(
まるや
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は、
138
この
神徳
(
しんとく
)
に
驚
(
おどろ
)
き
給
(
たま
)
ひて
御歌
(
みうた
)
うたひ
給
(
たま
)
ふ。
139
『さすがにも
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
よ
泥河
(
どろがは
)
は
140
生言霊
(
いくことたま
)
に
清
(
きよ
)
まりにけり
141
神々
(
かみがみ
)
の
心
(
こころ
)
にごりてこの
河
(
かは
)
の
142
水
(
みづ
)
はかくまで
穢
(
けが
)
れたるらむ
143
国中
(
くになか
)
比古
(
ひこ
)
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
もこの
流
(
なが
)
れ
144
澄
(
す
)
ませて
渡
(
わた
)
り
給
(
たま
)
ひたりけむ
145
いざさらば
向
(
むか
)
つ
岸辺
(
きしべ
)
にうち
渡
(
わた
)
り
146
また
一夜
(
ひとよ
)
さの
草枕
(
くさまくら
)
せむ』
147
茲
(
ここ
)
に
圓屋
(
まるや
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
を
先頭
(
せんとう
)
に、
148
十一柱
(
じふいちはしら
)
の
神
(
かみ
)
は
駒
(
こま
)
の
轡
(
くつわ
)
を
並
(
なら
)
べて、
149
にごり
河
(
がは
)
の
水瀬
(
みなせ
)
をやすやす
向
(
むか
)
ふ
岸
(
ぎし
)
に
着
(
つ
)
き、
150
各々
(
おのおの
)
馬
(
うま
)
に
水
(
みづ
)
飼
(
か
)
ひ、
151
草
(
くさ
)
を
喰
(
くは
)
せ
終
(
をは
)
り、
152
各
(
おの
)
も
各
(
おの
)
もサソスセシの
言霊
(
ことたま
)
の
水火
(
いき
)
を
呼吸
(
こきふ
)
し、
153
腹
(
はら
)
をふくらせ
寝
(
しん
)
に
就
(
つ
)
き
給
(
たま
)
ひぬ。
154
(
昭和八・一〇・二〇
旧九・二
於水明閣
谷前清子
謹録)
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