第一二章 森の遠望〔一八八〇〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
篇:第2篇 真鶴新国
よみ(新仮名遣い):まなづるしんこく
章:第12章 森の遠望
よみ(新仮名遣い):もりのえんぼう
通し章番号:1880
口述日:1933(昭和8)年10月23日(旧09月5日)
口述場所:水明閣
筆録者:内崎照代
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年1月5日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:一行は、はるか西の玉野湖に進んでいく。
真鶴山は遠くに見えなくなり、次第に玉野湖の湖水が見えてくるにつれ、一同はその景色の様子と、玉野比女と顕津男の神の国生み神生みの無事、真鶴国の固成の成功を祈る歌を、それぞれ歌った。
そうするうちに、一行はようやく玉野湖畔につき、休息を取った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7412
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 205頁
修補版:
校定版:166頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001⦿の言霊に澄みきりし
004百神等は立たせつつ
005遥かに遠き西の国 006輝き澄める玉野湖の
008光は鏡の如くなる
009其の光景を打ち眺め 010美しき国よと宣らしつつ
011瑞の御霊を先頭に
013緩勾配の坂道を 014下らせ給ふぞ勇ましき
015駒の嘶き蹄の音
017風に頭髪梳り
019 顕津男の神は、020馬上ゆたかに歌ひ給ふ。
021『月日は天に輝きつ
022国原隈なく照しまし
025進むも楽しき玉野森
027神国をひらき神を生み
029百神等に送られて
030大野ケ原を進むなり
031葭葦茂るこの国土は
032まだ地稚し言霊の
034神の神業に仕ふべし。
035見渡せば大野の奥に鏡なす
036玉野湖水に月日浮べり
037こんもりと老樹の森の繁りたる
038清庭に行かむ比女神いませば
039生代比女心の曇り晴れにけむ
040わがゆく道は空晴れにつつ
041わが駒の蹄の音も勇ましく
042美波志の神の幸に進むも
043主の神の依さしの言葉そむかじと
044国の八十国廻る旅なり』
045 遠見男の神は御歌うたひ給ふ。
046『瑞御霊神の御供の清しさよ
047玉野の鏡行手に横ふ
048月も日も浮びて清き玉野湖は
049岐美を待たせる比女神の心か
050道遠み駒ははやれどすくすくに
051進まぬ旅をもどかしみ思ふ
052いざさらば駒の手綱を引きしめて
053一鞭あてて駆け出さむかな
054瑞御霊岐美の姿の雄々しさは
056真鶴の山は後にかすみたり
057国中比古の神如何ますらむ
058黒雲に包まれなやみし真鶴の
059山に学びし言霊の幸を』
060 圓屋比古の神は御歌詠ませ給ふ。
061『月も日も圓屋の比古のまるまると
062高く照らせり真鶴国原
063進み行く玉野の森は遠けれど
064駒の力に安くいたらむ
065月も日も波間に浮ぶ玉野湖の
066清きは岐美の姿なるかも
067久方の月日のかげを浮べたる
068湖水は瑞の御霊なるらむ
069白梅の薫ゆかしき国原を
070駒たて並べ進むたのしさ
071真鶴の山はつぎつぎ影遠み
073真鶴山遠くかすみて玉野森
075瑞御霊進ます道に幸あれと
076吾は祈りぬ後姿拝みつ
077駿馬の蹄の音も勇ましく
078進む今日こそ国土生みの旅
079国土生みの旅の門出を天地は
080寿ぎ給ふか澄みきらひつつ
081玉野比女見合ひます日の近づきて
082吾も勇みぬ駒も勇みぬ
083野辺を吹く風やはらかに瑞御霊
084御髪を撫でて薫りゆくかも
085葭葦の生い茂るなる国原を
086出で立つ今日の旅はさやけし
087さらさらと葉末に渡る風の音も
088岐美の旅立ち寿ぐがに聞ゆ
089見の限り墜居向伏す白雲の
090果さへ神の言霊生くるも』
091 多々久美の神は御歌うたひ給ふ。
092『天地にタタの言霊組み合ひて
093生り出でにけむ玉野の森は
094わが駒は勇みに勇みわが魂は
095清みに清み心安き今日
096瑞御霊旅に立たする今日の日は
097天地清しく晴れ渡りぬる
098清きあかき正しき神の言霊に
099晴れ渡りけむこれの天地は
100つぎつぎに国土生み神を生ましつつ
101荒野を拓かす岐美ぞ畏き
102気永くも岐美を待たせし玉野比女は
103今日の生日を寿ぎますらむ
104吾は今駿馬の背に跨りて
105葭葦茂る大野を走るも
106わが駒は言霊の水火に生れし駒
107永久に疲れず進み行くなり』
108 宇礼志穂の神は御歌詠ませ給ふ。
109『玉野森いやつぎつぎに近まりて
110嬉しも吾は心浮き立つ
111玉野湖に清く浮べる夕月は
112わが魂線を洗ひ清むる
113日ならべて岐美の御供に仕へつつ
115天地に如何なる曲のさやるとも
116吾はくやまず宇礼志穂の神
117歓びの天津国なり愛善の
118紫微天界よ何を歎かむ
119わが駒は鬢振ひ勇むなり
120嗚呼雄々しかる姿よ嬉しき
121歓びの満ちあふれたる天界に
122生れし幸を吾は嬉しむ
123楽しみと喜びの果てぬ神の国に
124吾は勇みて神業に仕へむ
125大空は蒼く澄みきり国原は
126花匂ひつつ吹く風涼しき
127駿馬の脚早けれど出づる汗の
128風にはらはれ清しく行くも
129こんもりと大野の奥に青みたる
130玉野の森の眺めさやけし』
131 美波志比古の神は御歌うたひ給ふ。
132『浮脂なすただよへる真鶴の
133山を生ませる御稜威畏し
134真鶴の山は離りて見えずなりぬ
135道の隈手も遠く来にけむ
136見はるかす国土の大野に鏡なして
137光れる水は玉野湖はも
138吾は今瑞の御霊に従ひて
139心清しく進み行くなり
140大野吹く風も穏いに薫りつつ
141今日の旅路は楽しかりけり
142久方の天清らけく澄みきらひ
143わが行く国土は風も清しき
144叢に鳴き立つ虫の声聞けば
145岐美の出で立ち寿ぎにつつ
146真鶴は翼を天にうちながら
147わが行く頭上をかけめぐるかも
148葭葦の狭間に白き鷺の群
149わが駒の音に驚きて立つも
150並び行く駒の脚並勇ましき
151揃ひも揃ふ十一柱神よ
152国土つくり神を生ますと出でませる
153今日の御供は心清しも
154村肝の心正しく清く持ちて
155岐美に真言を捧げ奉らむ
156大河をいくつ渡らひ荒野越え
157今日は清しき森かげを見つ
158月も日も星の光も冴えに冴え
159澄みに澄みきる真鶴の国よ』
160 産玉の神は御歌うたひ給ふ。
161『御子生みの神業助けむ産玉の
162神の神言のあらむ限りは
163国土を生み御子を生ませる神業を
164産玉の神あななひ奉らむ
165見渡せば四方の大野は清らけく
166美しく広く限り知られじ
167ひろびろと果しも知らぬ稚き国土を
168つくらす岐美の功尊し
169青雲の壁立つ極み白雲の
170墜居向伏す限りは神国
171天界の国魂神を生み給ふ
172神に従ひわが来つるかも
173神業は広し遥けし天界の
174弥果までも御供仕へむ
175顕津男の神の神姿後より
176拝み奉れば光なりけり
177この稚き真鶴国の花となり
178光となりて出でます岐美はも
179国遠み荒ぶる神のささやきは
180野の末までも響かひにけり
181瑞御霊貴の言霊宣りまして
182百の醜神まつろひ給へ
183吾も亦瑞の御霊の御尾前に
184仕へて瑞の言霊宣らむか
185わが駒は鬣高く振り乱し
186これの大野を勇み行くかも
187百神も勇み給ひて言霊の
188御歌詠ませる今日ぞ目出度き』
189 魂機張の神は御歌詠ませ給ふ。
190『たまきはる生命保ちて今日の日の
191御供に仕ふと思へば楽しも
192永久の生命保ちて国土を生み
193神生み給ふ神業守らむ
194言霊の水火の命の幸ひて
195紫微天界は永久に栄えむ
196魂機張神の神言は玉野湖の
197神を言向け和さむと思ふ
198真鶴の山の黒雲晴らしつつ
199生代の比女は湖水にひそめり
200生代比女の潜める湖水も波凪ぎて
201鏡の如く月日浮べり
202常磐樹の空を封じてそそり立つ
203玉野の森はいよいよ近し
204玉野比女瑞の御霊の出でましを
205湖畔に立ちて待たせ給はむ
206駒の脚にはかに早くなりにけり
207神の神業のいそぎけるにや』
208 結比合の神は御歌詠ませ給ふ。
209『天地の神の御水火の結び合せ
210みもとに仕ふる今日ぞ嬉しき
211玉野比女の清き御魂とわが岐美の
212御霊を結び合せ守らむ
213玉野湖の水底深く潜みたる
214神を神国にのぼらせ救はむ
215一きれの雲片も無き今日の空を
216進む大野は風も清しき
217勇ましき瑞の御霊の出でましに
218わが駿馬も勇み立つなり
219わが駒の蹄の音もかつかつと
220聖所に進む今日の旅立ち
221茅草の露をあびつつ一夜さを
222いねし思へば楽しき今日なり
223夕されば玉野の森に宮柱
224建たせる館に進まむ嬉しさ』
225 美味素の神は御歌詠ませ給ふ。
226『黄昏にはや近づきてわが駒は
227行手急ぐか勇み出でけり
228玉野湖に写れる月日のかげさへも
230そよそよと科戸の風はわが面を
231清しく吹きて黄昏れむとすも
232夕近み草葉にすだく虫の音も
233一入高く聞え来にけり
234愛善の天津神国に生れあひて
235永久に生く身は楽しかりけり』
236 真言厳の神は馬上より御歌うたひ給ふ。
237『山鳥の尾のながながと野路越えて
239目路近く玉野湖横はり
240水の面に浮く白鳥の影
241白鳥は清しき影をさかしまに
242写して遊ぶ夕暮の湖
243空蒼く水また青きこの湖に
244染まず浮べる白鳥のかげ
245この広き玉野湖水を渡り給ひて
246進み行かむか玉野森まで
247黄昏となれども御空の月かげは
248弥ますますも輝き給へり』
249 茲に顕津男の神の一行は、250長途の旅を続けたる夕、251玉野湖畔にやうやく着き、252息を休め、253駒を休ませ、254彼岸に青き森影を打ち見やり乍ら、255清しく佇ませ給ふ。
256(昭和八・一〇・二三 旧九・五 於水明閣 内崎照代謹録)