第二四章 誠の化身〔一八九二〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
篇:第3篇 玉藻霊山
よみ(新仮名遣い):たまもれいざん
章:第24章 誠の化身
よみ(新仮名遣い):まことのけしん
通し章番号:1892
口述日:1933(昭和8)年10月30日(旧09月12日)
口述場所:水明閣
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年1月5日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:本津真言の神が大幣を打ち振りながら先頭にたち、宮の階段を登っていった。顕津男の神はその後に従い、階段の最上段にうずくまって神言をあげ、大神のご託宣を願った。
しかし、大神からの神宣はいつまでたってもこなかった。
次に、玉野比女が宣旨の願いを歌に込めて歌ったが、何も起こらなかった。
続いて、生代比女が祈りの歌を歌ったが、やはり何も起こらない。
待合比古の神の後、最後に力充男の神が歌った。力充男の神は、本津真言の神こそが、主の神の御化身であったのだ、と悟りの歌を歌う。
この歌に、顕津男の神・玉野比女の神・生代比女の神・待合比古の神は驚いて、まず力充男の神へ敬拝し、そして本津真言の神の前にひざまずいて不礼を謝った。
神々が主神である本津真言の神に歌を歌う間、本津真言の神は厳然としていたが、その顔はますます輝いた。その間、不思議にも一言も言葉を発することはなかった。
最後に、力充男の神が、瑞御霊の御神業を助けて国造りをしようと誓いの歌を歌うと、主の神の化身である本津真言の神は、望みどおり国造りを助けよう、と歌うと、たちまち天から迎え来た紫紺の雲に包まれて、天空へと帰って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:言霊の活字の方向が異なるものが3行ある。a147「ウーウーウーウウアーアーアーアアアア」、a149「ウーウーウーアーアーアーアアー」、a151「スースースー」。第75巻8章にも同様の行がある。
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データ凡例:
データ最終更新日:2021-07-14 23:01:03
OBC :rm7424
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 269頁
修補版:
校定版:407頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 本津真言の神は、002時到れりと先頭に立ち大幣を打ちふり、003庭の面を清めながら、004宮の階段をしづしづ登り給へば、005顕津男の神も御後に従ひ、006階段の最上段に蹲りて神言を宣らせ給ふ。
007『掛け巻も綾に畏き、008主の大神の天降らせ給ふ玉藻ケ丘の聖所に、009大宮柱太知り立て、010高天原に千木高知れる此の聖宮に、011今日の吉き日の吉き時を、012天降り給ひし、013大御神の神言請ひのみまつりて、014まだ国土稚き真鶴の荒野原を拓き固めむとす。015仰ぎ願はくは主の大御神の生言霊の御稜威幸ひ給ひて、016太元顕津男の神に依さし給へる神業を、017𪫧怜に委曲に守り助け、018紫微天界の南の国の国津柱を生ましめ給へ。019畏くも紫微の宮居を立ち出でて、020四方の荒野原に国土生み神生みの業仕へまつるとすれど、021我はもとより言霊の力全からねば思ふに任せず、022御依さしの業もはかどりまつらず、023恐れ謹み朝な夕なに我身を省みつつ仕へまつる事のよしを、024平けく安らけく聞し召して、025わが願言を諾ひ給へ、026国土造る神業につきても、027わが足はぬ処を確に教へ導き給ひて、028夜の守り日の守りに守り幸へ給へ、029大御神の大神言を宣り聞かし給へと、030謹み敬ひ畏み畏みも申す』
031 顕津男の神は大御前に平れ伏して、032祝詞畏み申上げ給へども、033主の大神の御心如何にましますか、034何の神宣も下し給はず、035寂然として松吹くそよ風の音もなく、036静まりかへれるぞ不思議なれ。037茲に顕津男の神は恐れみ謹み、038御歌詠ませ給ふ。
039『かけまくも畏きこれの大神の
040神言たまはれ国土造るため
041御依さしの国土生み神生み朝夕に
043わがなさむ業悉く主の神の
045真鶴の国土稚ければ主の神の
046御水火の助けに固めむと思ふ
047願くは厳の言霊垂れたまひ
049玉野比女の神の神言は神生みの
050業後れましわが罪にして
051ためらへる間に年月うつりつつ
052神業怠りし我を悔いまつる
053大神の御心曇らせ奉る
055力なき我にしあれば大神の
056任けの半もならぬを畏る
057一言の生言霊をたまへかし
058膝折り伏せて請ひのみまつるも
059鹿児自物膝折りふせて宇自物我
060頸根突貫き請ひのみまつる
061小雄鹿の耳振り立てて聞し召せ
062わが国土生みの太祝詞を』
063 斯く真心をこめて顕津男の神は種々願言を申し給へども、064主の大神の御心いかに面白からず思し召しけむ、065只一言の神宣さへも賜はらねば、066神々は御神慮の程をはかりかね階段に平れ伏して、067畏み戦き給ふのみ。068茲に玉野比女の神は頭を擡げ、069拍手の音も爽かに願言申し給はく、
070『久方の天津高宮ゆ遥けくも
071天降りし神の功畏し
072年月を玉野の宮に仕へ来て
073今日の天降りに遇ふぞ嬉しき
074神生みの神業に反きし過を
075ゆるさせ給へ主の大御神
076そよと吹く風さへもなき今日の日の
078真鶴の翼の音も止まりて
079松の梢に陽の光鈍し
080主の神の神心如何になごめむと
081吾は心を千々に砕きつ
082顕津男の神をゆるさせたまへかし
083神生みの神業止むなく後れしを
084ためらひの心は遂に神生みの
085神業に外れ罪となりぬる
086皇神の依さし言葉をためらひて
087世に習ひたる罪許しませ
088朝夕に謹み御前につかへつつ
089なほ神業の後るるを恐れつ
090一言の主の大神の神宣言
091聞かま欲しやと泣きつつ祈るも』
092 斯く玉野比女の神の生言霊の祈りにも何の御言葉もなく、093四辺はますます静まりかへるのみ。094生代比女の神は御前に、095畏み祈りの御歌詠ませ給ふ。
096『真鶴の山の御魂と現れし
097吾は生代比女神あはれみたまへ
098生代比女畏れ多くも瑞御霊の
099神生みの業に仕へまつりし
100罪ならばきためたまひてわが魂を
101みがかせたまへ主の大御神
102主の神の御水火のこもるわが腹に
103宿らせたまふ貴の御子かも
104おそるおそるこれの聖所に詣でけり
105恋に溺れしことを悔いつつ
106真心の凝り固まりて貴の神子は
108真鶴の国土稚ければ貴御子を
110玉野比女の年さびませるをあななひて
111吾仕へたる神生みの神業よ
112大神の依さしなけれど貴の御子
114天地はそよ風の音もなきままに
115静まりかへる今日の不思議さ
116言霊の水火なかりせばもろもろの
117神も草木もしなび果つべし
118願くは主の大神の御水火より
119生り成りませよ国土生かすべく
120主の神の御水火止まらば天地も
121神も草木も尽き果つるべし
122真心を凝らして祈れど主の神の
123御水火かからぬ今日の淋しさ
124村肝の心あせれど如何にせむ
125主の大神の言葉なければ
126玉野森の常磐の松も真鶴も
128真鶴の声も聞えずなりにけり
129主の大神の御水火とまりて
130常磐樹の松さへ緑の色あせて
131四辺淋しくなりにけらしな』
132 斯く御歌詠ませ祈り給へども、133恰も岩石に向つて語るが如く、134何の反響もなかりける。135茲に待合比古の神は御歌詠ませ給ふ。
136『月と日を重ねて待ちし今日の日の
137淋しさ思へば吾は悲しも
138年月を玉野の比女に仕へ来て
139今日の淋しき清庭にあふかな
140主の神の黙したまへるたまゆらに
142国土を生み神を生ますと瑞御霊
143現れます今日ぞ守らせたまへ』
144 力充男の神は御歌詠ませ給ふ。
145『言霊のス声の水火はとまりたれど
146われはウ声の言霊活かさむ
148久方のス声にかへれわが言霊よ
150力充男神はス声によみがへりてむ
151スースースー静に宮の御扉を
152開きて出でませ元つ親神
153サソスセシ神の伊吹の言霊に
155生き生きて生きの果なき天界ぞ
156如何にス声のとどまるべきやは
157かくまでにわが言霊を宣りつれど
158御扉あかぬは不思議なるかも
159主の神は吾等の身魂をみがかむと
160本津真言の神とあれますか
161愚なるわが魂線よ主の神は
162本津真言の神なりしはや』
163 この御歌に驚きて、164太元顕津男の神、165玉野比女の神、166生代比女の神、167待合比古の神はまづ力充男の神へ敬拝し、168本津真言の神の御前に拝跪して不礼を謝し、169言霊歌を宣らせ給ふ。
170 顕津男の神の御歌。
171『愚なる我霊線よ主の神の
173かくのごと曇りし霊の如何にして
174国土生み神生みの神業なるべき
175主の神と我悟りたるたまゆらに
176本津真言の神を畏れし
177本津真言の神とわが前に現れますを
178知らぬわが身の愚さを悔ゆ
179天地の真言はとほきに非ずして
180わが目の前に光らせにけり
181本津真言の神を知らずにうつろなる
182宮に祈りし我恥づかしも
183本津真言の神とあれます主の神よ
184許させたまへ礼なき我を
185今日よりは霊を洗ひて言霊を
186清め澄ませつ国土生みに仕へむ
187一言の依さし言葉を聞かずして
188我はますます心許なき』
189 本津真言の神は儼然としてますます御面輝かせ給ひ、190一言も宣らせ給はぬぞ不思議なる。191玉野比女の神は御歌詠ませ給ふ。
192『朝夕に親しく御姿拝みつつ
193主の大神と悟らざりしよ
194今迄の礼なき罪をゆるせかし
195本津真言は主の神なりしよ
196ウアの水火神と現れまし今ここに
197本津真言の神を生せり
198玉の宮きづきまつると朝夕に
199本津真言の神はつとめし
200主の神の深き経綸を知らずして
201宮司とのみ思ひけるかな
202神生みの業をつぶさに果し得ざるも
204今となり神生みの業仕へずて
206若くても智慧証覚の足らずして
207国津柱の御子生るべき
208生代比女神の神言はすがすがし
209御子孕ませるを宜よと思ふ
210主の神の依さしの神生み業さへも
211魂の曇れば仕ふるすべなし
212主の神はわが言霊のくもれるを
213悟らせ生代にかへたまひしか
214愚なるわが魂線よ濁りたる
215わが言霊よ悲し恥づかし
216瑞御霊後れしわけもわが魂の
217年経りしよしも悟り得し今日よ』
218 生代比女の神は御歌詠ませ給ふ。
219『瑞御霊わがあこがれしたまゆらの
220真言に御子は孕みたまひし
221恋雲に包まれし吾も主の神の
222天津真言によみがへりたり
223主の神の水火の真言によみがへる
225今日よりは御子育むと村肝の
226心くばりて恋を忘れむ
227主の神の経綸の糸にしばられて
229今となりて心開きぬわが魂は
231真鶴の国の国魂神なれば
232朝夕御子をつつしみ守らむ
233いやしかるわが体内に主の神の
234御霊やどらす畏さ尊さ
235本津真言の神の御側に近く仕へ
237この丘に吾登りてゆ主の神は
238本津真言の神と悟りぬ
239兎も角も瑞の御霊に従ひて
240吾はつつしみ黙し居たりぬ
241本津真言の神の御身は光なりき
242わが眼にうつるは月光のみにて
243真寸鏡かかりし如き心地して
244吾恥づかしく照らされて居し
245今日よりは玉野湖水あせむ
246わが曇りたる心晴るれば
247一片の雲霧もなしわが魂は
248すみきらひたり月日の如くに』
249 力充男の神は御歌詠ませ給ふ。
250『この丘の玉の泉に朝夕を
251みそぎて真の神知らざりき
252本津真言神はまさしく主の神の
253化身なりしか吾恥づかしも
254主の神の御霊になりし玉野丘に
255仕へて真の神知らざりしよ
256瑞御霊清しく雄々しくましまして
257玉野湖畔に御子孕ませり
258今日よりは吾つつしみて瑞御霊の
259神業助けて国土造りせむ
260遠見男の神の一行は山麓に
261禊したまへば迎へ来らむ』
262 茲にはじめて本津真言の神は、263言霊朗かに御歌詠ませ給ふ。
264『畏しや力充男の神の言葉
265我うべなひて国土生み助けむ
266いざさらば天津高宮にかへるべし
267百神等よ健かにあれ』
268 斯く歌ひ給ひて、269主の神の化身なる本津真言の神は、270忽ち天上より降り来る紫紺の雲に包まれて、271久方の空高く帰らせ給ひしぞ尊けれ。
272(昭和八・一〇・三〇 旧九・一二 於水明閣 加藤明子謹録)