第二一章 玉野清庭〔一八八九〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
篇:第3篇 玉藻霊山
よみ(新仮名遣い):たまもれいざん
章:第21章 玉野清庭
よみ(新仮名遣い):たまもすがにわ
通し章番号:1889
口述日:1933(昭和8)年10月29日(旧09月11日)
口述場所:水明閣
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年1月5日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:天界にも栄枯盛衰があり、神々にも若境と老境がある。神々は若返り甦りつつ、永遠に若さを保って各々の職掌に生きるのである。
玉野比女は、主の神の宣旨を受けて長い年月、神生みの業を待っていたが、適齢を過ごしてしまった。そこに再び主の神の宣旨あり、より大きな国生みの神業を任されたのであった。
顕津男の神を迎えた玉野比女は、ともに真鶴国の国生みをし、造り固めようと歌いかける。
顕津男の神は、凡神の目を恐れて神業を始めるのが遅れたことを悔い、玉野比女に詫びるが、玉野比女、本津真言の神、待合比古の神は、これからの国生みに希望を託す歌を歌う。
一同は主の神に面会するため、白砂を敷き詰めた玉野丘の庭を歩んで行く。玉野比女は、年老いた松の影に顕津男の神を導いた。
そこに、鏡のように木漏れ日を映した、深く青く輝く清泉があった。
玉野比女は清泉の傍らに立って、この泉は主の神の御霊が現れたものであり、主の神にご面会する前には、必ずここで禊をする場所だと説明する。
顕津男の神は泉の清清しさをたたえる歌を歌い、七度禊をした。そして玉野比女に手をひかれ、本津真言の神を先頭に、待合比古の神を殿にして、白砂の庭をそっと歩いて玉の宮の聖殿をさして進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7421
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 256頁
修補版:
校定版:359頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 天人の五衰ありとは仏典の示す所である。002宜なり、003神々の永久に住み給ふ天界にも、004亦栄枯盛衰あり、005若境あり老境あり。006故に天界の神々は若がへり若がへり甦りつつ、007永遠に其若さを保ちて、008各も各もの職掌に生き栄え給ふなり。009茲に玉野比女の神は神生みの神業を勤むべく、010主の神の御宣示をうけて、011長き年月を待たせ給ひけるが、012可惜其適齢を過ごし給ひたれば、013神生みの神事に相応ず、014再び主の神の御宣示により、015層一層大なる国土生みの神業を任けられ給ひたれば、016玉野山の清丘に永久の住所を定め、017時を待たせつつありける。
018 顕津男の神は漸くにして、019玉野森に着かせ給ひければ、020永の年月待ち佇び給ひし玉野比女の神は、021折から降臨し給ひし主の大神に謹み待りつつ、022御許しを得て寸間を窺ひ、023丘の麓まで本津真言の神、024待合比古の神の二神と共に出迎へ、025待ち佗びたる瑞の御霊との初対面を悦び給ひつつ、026聖所に導き給ひける。
027玉野比女の神『岐美待ちて気永くなりぬ吾は今
028神生みの業に仕へむすべなし
029さりながら主の大神の神言もて
030岐美と生まなむこの国原を
031真鶴の国土はまだ稚し玉野森の
032聖所に立ちて造り固めむか』
033 顕津男の神は御歌詠ませ給ふ。
034『高地秀の山を立ち出ではろばろと
035我は国土生むと此処に来つるも
036御依さしの神生みの業仕へつる
037今日より公と国土生まむかも
038果しなき稚国原に立ちのぼる
039狭霧深しもほの暗きかも
040主の神の天降りますと聞きて我は今
041神業をへぬを恐れみ思ふ
042ためらひの心に我は年を経て
043神生みの神業に後れけるかも
044主の神の御心うけて凡神の
045言葉に心をかけしを悔ゆるも
046本と末上と下との差別をば
047守りて国土生み神生みは成るを
048主の神の神言畏み凡神の
049囁き外にいざや尽さな』
050 玉野比女の神は御歌詠ませ給ふ。
051『何も彼も主の大神の御水火より
052現れし御魂ぞ謹しみ仕へむ
053瑞御霊おくれ給ひし神業の
054悔しけれども今は是非なし
055吾は今年老いにけりさりながら
056国土生みの業を難しと思はず
057岐美在さばまだ地稚き真鶴の
058国土も𪫧怜によみがへるべし』
059 本津真言の神は御歌詠ませ給ふ。
060『玉野比女に吾は仕へて気永くも
061岐美待ち佗びし本津真言の神よ
062いでませし岐美の姿を拝みて
064嬉しさの涙は滝と迸しり
065恵の露と輝きにけり
066百日日はあれども今日の生日こそ
067神国を生ます目出度き日なるよ
068朝夕に主の大神を祈りてし
069功は今日の喜びにあひぬ
070久方の冴えたる月を仰ぎつつ
071岐美の出でまし幾年待ちしよ
072この丘は主の大神の御手づから
073水火を固めて生ませる聖所よ
074未だ稚き国土なりながらこの森に
075千歳の松は繁りあひたり
076想念の天界なれば千年の
077常磐の松も生れ出でにける』
078 待合比古の神は御歌詠ませ給ふ。
079『年月を忍び忍びて岐美待ちし
080吾いつの間にか老いにけらしな
081玉野比女の神の心を押しはかり
082月を仰ぎて涙せしはや
083盈ち虧くる月読のかげ夜な夜なに
084仰ぎて吾は心痛めし
085盈つる日は岐美の幸思ひ虧くる日は
086岐美の御身を思ひなやみし
087待ち待ちて今日のよき日をこの丘に
088迎へし岐美ぞ夢かとぞ思ふ
089主の神の生ませ給へるこの丘に
090鎮まりまして国土造りませ
091玉野比女如何に雄々しくいますとも
092一柱神にてせむすべなからむ
093女男の水火合せ給ひて真鶴の
094稚き国原生かしましませ』
095 顕津男の神は御歌詠ませ給ふ。
096『主の神の生ませ給へる玉野丘に
097のぼりて我は心栄えぬ
098村肝の心栄えつ生き生きつ
099畏み思ふ主の神の降臨を
100智慧証覚未だ足らねど願くは
101主の大神を仰ぎ度く思ふ』
102 玉野比女の神は御歌詠ませ給ふ。
103『瑞御霊此処に来ますと主の神は
104先に天降らす今日のかしこさ
105いざさらばこの丘の上の清泉に
106御魂清めて拝みまつらむ』
107 比女神はいとも淑かに、108玉野丘の広庭の白砂を刻みながら、109老松の影に導き給へば、110鏡の如き清泉は樹漏陽の影をうつして、111広く深く青く輝けるあり。112玉野比女の神は、113清泉の汀に立ちて、
114『主の神の御霊とあれし玉泉の
115水面の光尊からずや
116朝夕にこの真清水に魂線を
117洗ひて吾は年を経にけり
118主の神に見えまつらむ吾にして
119この玉泉のぞまぬ日はなし』
120 顕津男の神は御歌詠ませ給ふ。
121『畏しや玉野の比女の御言葉
122我諾ひて禊つかへむ』
123 折から吹き来る涼風に、124玉泉の青き水面は魚鱗の波を湛へ、125樹漏陽にあひて金銀色に映えながら、126涼味深々として身に迫り来る。127顕津男の神は、128生けるが如き水面の波のそよぎを見やりつつ、129威儀を正して御歌詠ませ給ふ。
130『清々しこの真清水は玉野比女の
131清き心と拝みまつるも
132青々と底ひも見えず湛へたる
133深き真水は公の心よ
134澄みきりて底ひもわかず深き水は
135公の雄々しき真心なりけり
136主の神の恵の露かこの水は
137一目見るさへ心よみがへる
138常磐樹の松の繁みに鎖されし
139玉の清水の青くもあるかな
140この水の精より出でし比女神なれば
141その御姿の清しきも宜よ』
142 玉野比女の神は御歌詠ませ給ふ。
143『この泉玉野の池と称へられ
144朝夕吾は鏡と拝みぬ
145真鶴の国土をつくると朝夕に
147 本津真言の神は御歌詠ませ給ふ。
148『玉野丘玉の泉に月も日も
149浮びて清しき朝夕なりけり
150百度の禊をなして主の神の
151宮に朝夕御饌奉る吾
152瑞の御霊岐美は七度禊して
153主の大神を拝ませ給へ』
154 顕津男の神は御歌詠ませ給ふ。
155『有難し本津真言の神言を
156我諾ひて禊につかへむ』
157 待合比古の神は御歌詠ませ給ふ。
158『七度の岐美の禊を待ち合せ
159御供に仕へむ大宮居まで』
160 茲に顕津男の神は七度の禊を修し給ひ、161玉野比女の神に御手を曳かれながら、162本津真言の神を先頭に、163待合比古の神を殿に、164白砂の庭を蹐しながら、165除ろに玉の宮の聖殿をさして進ませ給ふぞ畏けれ。
166(昭和八・一〇・二九 旧九・一一 於水明閣 加藤明子謹録)