第八章 黒雲晴明〔一八七六〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
篇:第1篇 渺茫千里
よみ(新仮名遣い):びょうぼうせんり
章:第8章 黒雲晴明
よみ(新仮名遣い):こくうんせいめい
通し章番号:1876
口述日:1933(昭和8)年10月21日(旧09月3日)
口述場所:水明閣
筆録者:白石恵子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年1月5日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:顕津男の神の厚い情けの歌に、生代比女の恨みはおさまり、辺りは紫微天界の様相を取り戻した。
従者神たちは、みな口々にこの奇跡をたたえる歌を歌った。そして、天津高宮に向けて恭しく神言を奏上し、七十五声の言霊を繰り返し、祈った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7408
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 191頁
修補版:
校定版:113頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 ここに真鶴山を深く包みし生代比女の神の、002恨みの炎は黒煙となりて、003一行の神々を悩めたりしが、004瑞の御霊の厚き情の言葉に、005稍心安んじたるか、006さしもに深き黒雲は、007拭ふが如く晴れ渡り、008梅ケ香四方に薫じ、009紫微天界の真相を表はしければ、010遠見男の神も喜びの余り、011御歌うたひ給ふ。
012『いたましき生代の比女神の心かな
013燃ゆる胸の火黒雲となりしか
014恐しきものは恋かも言葉かも
015闇は忽ち晴れ渡りける
016天の世に恋の黒雲ふさぐとは
018愛善の天界なれば恋ふるてふ
019心のおこるも是非なかるべし
020愛されて愛し返すは天界の
021道に叶へるものとし思ふ
022瑞御霊神のやさしき言霊に
023晴れ渡りける恋の黒雲
024愛すてふ心はめぐしわれもまた
025愛し愛され住ままく思ふ』
026 美波志比古の神はうたひ給ふ。
027『二柱神の心をみたすべく
028われ言霊の神橋かけばや
029はしかけのわれ神となりこの恋を
030𪫧怜に委曲に遂げさせ度きもの
031さりながら主の大神の御依さしに
033ことわりにあはねど恋は恋として
034聞くべき心の理ぞある
035理の外を流るる恋雲は
036神の力も及ばざりけり
037ウの声の生言霊に生れたる
039ただ恋ふるわれの心は瑞御霊
040神業の光のみなりにける』
041 国中比古の神は御歌うたひ給ふ。
042『玉の湖の汀の森にとこしへに
043います比女神の心いぢらし
044玉野比女神もこの事聞かすならば
046神の代にかかる例はあらせじと
048祈りても何の甲斐なき恋衣
049破らむ術のなきぞ悲しき
050栄えゆく豊葦原の国中に
051恋なかりせば神代は栄えじ
052よき事に曲事いつき曲事に
054鬼となり魔神となりて胸の火は
055真鶴山を雲に包みし
056恐しくまた優しきは恋すてふ
057心の炎の燃ゆるなりけり』
058 産玉の神は御歌うたひ給ふ。
059『瑞御霊神の心の苦しさを
061玉野比女生代比女神の中にたち
062心なやます岐美ぞ偲ばゆ
063ままならば岐美の悩みを救はむと
064思へど及ばじ醜面われは』
065 圓屋比古の神は再び御歌詠ませ給ふ。
066『国土造り神を生まさむ神業の
067難きをつくづく今日悟りけり
068顕津男の悲しき心今ぞ知る
069国の柱と立たすが故に
070凡神の身にしおはさば大らかに
071恋を楽しみ給はむものを
072主の神の言葉は重し生代比女
073神の心は炎とわき立つ
074燃ゆる火の中に立たせる思ひして
075なやみ給へる瑞御霊あはれ
076真鶴の国津柱と立ち給ひ
077間もなく雲に包まれ給ひぬ
078村肝の心をつつむ恋雲を
079生代の比女は晴らしまさずや
080如何にしてこの難関を瑞御霊
082生代比女燃ゆる胸の火消す術も
083なかりけらしな瑞御霊神も』
084 宇礼志穂の神は御歌詠ませ給ふ。
085『如何にして恋の縺毛とかばやと
086思ふも瑞の御霊の御為め
087生代比女神に叶へば玉野比女の
088神の心をなやまし給はむ
089上下のへだてを知らぬ恋なれば
090心のつよき霊止の勝つらし
091真鶴山黒雲ただに晴れぬれど
092まだ晴れやらぬ岐美の心よ
093われは今瑞の御霊の御胸を
094思ひて涙止めあへずも
095恋すてふ道は神代を限りとし
096末の世までも残さじと祈る
097祈るとも恋は詮術なかるらむ
098心の糸の縺れし女神に』
099 魂機張の神は歌ひ給ふ。
100『たまきはる生命をかけし恋衣
101破らむ術もあらじと思ふ
102たまきはる生命惜しまぬ比女神の
103恋の炎は鬼となりしか
104恋ゆゑに生命捨てむと思ふこそ
106瑞御霊雄々しき優しきものごしに
107比女神の心いつきたりけむ
108理の道をなみしてひた進む
109恋の闇には木戸なかりけり
110ともかくも百神たちよ真鶴の
111山の聖所に神言宣らばや』
112 この御歌に百神等は、113心を清め身を浄め、114恭しく神言を、115天津高宮の方に向つて奏上し、116七十五声の言霊を、117繰り返し繰り返し、118祈り給ふぞ久しけれ。
119(昭和八・一〇・二一 旧九・三 於水明閣 白石恵子謹録)