第二五章 感歎幽明〔一八九三〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
篇:第3篇 玉藻霊山
よみ(新仮名遣い):たまもれいざん
章:第25章 感歎幽明
よみ(新仮名遣い):かんたんゆうめい
通し章番号:1893
口述日:1933(昭和8)年10月31日(旧09月13日)
口述場所:水明閣
筆録者:森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年1月5日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:主の大神は、玉野森にご降臨したが、神々がまだ悟りを得ていなかったので、やむを得ず本津真言の神の姿を借りて、国造りの神業を助けていた。
神々は主の大神であるとまったく気づかなかったが、力充男の神がついに気づき歌に明かしたため、再び天津高宮にお帰りになったのであった。
玉野比女は、八十比女神に選ばれたものの、御子生みの資格が得られるほど悟りが深くなかった。そのため、神生みの神業はせず、国土生みの神業に仕えるように定められたのであった。
また、顕津男の神は神業のはじめにあたって、周りの神々たちに遠慮したことが勇猛心を欠き、神業の期を逃してしまった。
一方、真鶴山の御魂・生代比女は、八十比女神には入れなかったのだが、知恵と悟りに優れた賢女であったため、神生みの業をなすことを、大神はあえて許したのであった。生代比女の積極的な行動が、国生み・神生みの神策にかなったからである。
あえて生代比女の小さな過ちよりも大きな功を取ったのも、時代相応の処置であったと思われる。
本津真言の神が天に帰って行ったのを見て、神々はそれぞれ述懐の歌を歌い、国生みの神業への誓いを新たにする。
すると最後に、力充男の神は、実は自分は紫微天界の高鋒の神であり、主の大神の霊(チ)と体(カラ)が結合して生まれた神である、と明かす。
力充男の神は、国生みに従事する神々がそろった今、自分の役割は終わったと歌い、光となってあたりを照らしながら、紫の雲を呼び起こして天津高宮に帰って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7425
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 275頁
修補版:
校定版:429頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 主の大神は天津高宮より、002玉野森に天降りましつれど、003神々の智慧証覚未だ全からざれば、004止むを得ず和光同塵の神策を立て給ひて、005本津真言の神となり、006国土造りの神業を助け給ひつつありけるが、007玉野比女の神を初め其他の神々も其化身たるを知らず、008うかうかとして同僚の神の如くに扱ひたりけるが、009力充男の神の賢き目に名乗り明されて、010本津真言の神は直に諾ひ給ひ、011二首の御歌を詠ませ給ひて、012久方の御空高く紫紺の雲に乗りて、013天津高宮に帰らせ給ひしこそ畏けれ。
014 又玉野比女の神は、015八十比女神の一柱に選まれ給ひ、016玉野森に年永く時の到るを待たせ給へども、017未だ国魂神としての貴き御子を生まさむ資格備はらず、018智慧証覚全からざりせば、019惟神的に神生みの神業を止められ、020茲に国土生みの神業に仕ふべく余儀なくされ給ひしなり。
021 次に太元顕津男の神は、022百神等の種々の囁きに深く心を配り、023主の大神の御言葉をためらひつつ、024永き年月を経給ひければ、025神生みの神業の自ら後れさせ給ひしこそ是非なけれ。026顕津男の神は瑞の御霊なれば仁慈の心深く、027且つ神々の和親を旨として勇猛心を欠き給ひしかば、028終に神業の期を逸し給ひしこそ、029返す返すも惜むべき事にこそあれ。
030 真鶴山の御魂と生れます生代比女の神は、031八十柱の比女神の選に漏れ給ひし神なれども、032智慧証覚に勝れたる細女賢女にいませば、033国津柱と世に立てられ、034御子生ますべきに叶ひたれば、035主の大神は黙許し給ひ、036茲に大神業は遂げられたるなり。037生代比女の神の積極的行動は、038国土生み神生みの神策に叶ひ奉れば、039大功を採りて小瑾を顧みざる神策を採り給ひしも、040時代相応の処置とこそ窺はるるなり。
041 嗚呼顕津男の神、042玉野比女の神は、043何れも至善至美至仁至愛にして賢しき心を欠き給ひ、044且つ勇猛心薄かりしかば、045主の神の、046眼前に化身として現れ給ふ本津真言の神の真相を知り給はざりしに反し、047生代比女の神は賢くも其化身なる事を朧気に覚り居給ひし程の細女なりければ、048貴の御子を孕ませ給ひしも宜なりと諾かるるなり。049嗚呼惟神霊幸倍坐世。
050 茲に顕津男の神等は、051本津真言の神の御本体を現して、052天津高宮に帰らせ給ひしを遠く拝ませ給ひて、053御歌詠ませ給ふ。
054『主の神は厳の言霊宣り終へて
055雲に乗らせつ天かへりますも
056久方の空を紫紺に染めながら
057主の大神は帰りますかも
058おろかなるわが霊線を今更に
059悔ゆるも詮なし神業遅れて
060ためらひし心の罪を許しませ
061天に帰らす主の大御神よ
062進み進み拓き拓きて仕へ行く
063神の大道をおろそかにせるも
064百神に心配りて主の神の
065生言霊にそむきしを悔ゆ
066主の神にそむく心は持たねども
067ためらひ心に神業遅れし
068今となりて弱き心を悔いにけり
069いざや勇みの駒立直さむ
070玉野比女心を思へば我は今
072 玉野比女の神の御歌。
073『主の神の化身と知らず朝夕を
074吾従神と思ひけるかも
075斯くの如わが愚しき心もて
076如何で御子生み仕へ得べきや
077智慧証覚未だ足らねば主の神は
078生代比女神に依さし給ひしか
079真鶴の国津柱を孕みます
080生代比女神貴くありける
081この丘に岐美を待ちつつ年経りし
083主の神の宮に朝夕仕へつつ
084真言の神を知らざりにけり
085そよと吹く風にも神声あるものを
086側に坐す神知らざる恥づかしさよ
087今日よりは生代比女神を神柱と
088仰ぎ奉りて国土生みなさばや』
089 生代比女の神の御歌。
090『八十柱比女神とおはす公なれば
091わが腹の御子奉るべし
092今日よりは玉野の比女にまつろひて
093御子を育み日足しまつらむ
094玉野比女神の下女と吾なりて
095御子を育み朝夕仕へむ
096吾は只瑞の御霊にこがれたる
098主の神の直の依さしにあらざれば
099吾ははしため御子育つるのみよ
100瑞御霊神と諸共に玉野比女
101神は真鶴国拓きませよ
102ちり程のねたみうらみを持たぬ吾を
103安く思され国土造りませ
104わが腹の御子生ひ立たすそれまでは
105心清めて近く仕へむ』
106 顕津男の神の御歌。
107『健気なる生代比女神の言霊よ
108我は感謝の涙に咽ぶも
109比女神の清き心に諾ひて
110御子は宿らせ給ひけむかも
111今更に比女の心の清きをば
112深くさとりて涙に暮るるも
113その清き正しき明るき魂線を
114主の大神は愛でましにけむ
115公と我水火を合せし御子ながら
116主の大神の御魂なりける』
117 玉野比女の神の御歌。
118『生代比女神の心の清しさに
120曇りたるわが魂線の如何にして
121貴き御子を孕み得べきや
122主の神の深き経綸を今更に
123覚りて吾は慄きにけり
124何事も神の依さしの神業と
125思へば怨みの雲霧もなし
126生代比女吾にさきだち御子孕むと
127聞きてねたみし心の恥づかし
128常磐樹の松永久に色変へぬ
129翠の心に吾仕へばや
130そよと吹く松の梢の風にさへ
131日に幾度の訪れあるを
132八十年を待ちあぐみたる魂線の
134清き赤き真言の恋にあらずして
135真言の御子を如何で孕み得べきや
136瑞御霊気永く待ちし甲斐もなく
137神業に遅れしわがおろかさよ
138今よりは心を改めひたすらに
139岐美に従ひ国土生み助けむ』
140 待合比古の神の御歌。
141『幾年を待合せたる玉野比女の
142今日の心を計りて泣くも
143気永くも瑞の御霊を待たせつつ
144あはれ御子生みの神業ならずも
145主の神の深き神心今更に
146畏み畏み心をののく
147天界は愛と善との神国なれば
148毛筋の汚れもゆるさざりけむ
149よしあしの行交ふ世にも国土造る
150神業に塵の止まるべきやは
151地稚き真鶴の国土の国柱
152清き真言に孕み給ひぬ
153生代比女神の貴き功績を
154主の大神も褒め給ひけむ
155さまざまの神代の出来事朝夕に
156見つつ吾はも迷ひけるかな
157主の神の化身と知らず本津真言の
158神を従神よと扱ひしはや
159愚かなるわが魂線よ主の神の
160化身を軽く扱ひにけり
161久方の御空を高く帰りましし
162真言の神を仰ぎて泣きぬ
163本津真言の神の功を今ぞ知る
164天津高宮に帰らす光に
165日をおひて光いや増せし神柱を
166化身と知らずに居たる愚さ
167兎も角も真鶴の国は目出度けれ
168主の大神の御子宿りませば
169スの水火を合せてここに瑞御霊
170生代比女神御子孕みましぬ
171大空は広く高しも真鶴の
172稚き国原を照す御子はも』
173 力充男の神の御歌。
174『霊と体の力充ちぬる天界は
176吾は今主の大神の霊と体を
177給びて生れし力充男の神なり
178吾も亦本津真言の神と共に
180吾こそは紫微天界に鎮まれる
181高鋒の神よいざ帰らむとすも
182三柱の神現れませし今日よりは
183吾に用なしいざ帰りなむ
184百神よまめやかにまして真鶴の
185国土生み御子を生ましましませ』
186 斯く御歌詠ませ給ひつつ、187再び光となり四辺を照らしながら、188力充男の神は紫の雲を呼び起し、189悠々として天津高宮に向ひ帰らせ給ふぞ尊けれ。
190(昭和八・一〇・三一 旧九・一三 於水明閣 森良仁謹録)