第二六章 総神登丘〔一八九四〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
篇:第3篇 玉藻霊山
よみ(新仮名遣い):たまもれいざん
章:第26章 総神登丘
よみ(新仮名遣い):そうしんときゅう
通し章番号:1894
口述日:1933(昭和8)年10月31日(旧09月13日)
口述場所:水明閣
筆録者:林弥生
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年1月5日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:一同は、本津真言の神だけでなく、力充男の神もが紫微天宮から下ってきた神であることに驚き、それに気づかなかった自分たちの不明を恥じながら、玉の宮居で歌を歌った。
一方、顕津男の神の従者神たちは、泉で禊をしたあと、顕津男の神たちを待ちながら、禊もしないで玉野丘に登ろうとした自分たちの不明を恥じ、述懐歌を歌っていた。
すると、顕津男の神たちが丘を降りて従者神たちを迎え、あらためて一同揃って丘に登り、諸神力を合わせて、国土生みの神業に従事することとなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7426
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 279頁
修補版:
校定版:444頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 顕津男の神、002玉野比女の神等は、003本津真言の神の化身に驚き給ひしが、004又もや力充男の神の天の高鋒の神の天降りませる化身に驚きを新しくし給ひ、005わが霊線のいたく曇りたるを恥ぢらひながら、006玉の宮居の聖所にうづくまりつつ、007御歌詠ませ給ふ。
008 顕津男の神の御歌。
009『天晴れ天晴れ真鶴国を固めむと
010二柱神天降りましぬる
011わが霊は曇らひにけるか二柱の
013毛筋程の隙間もあらぬ天界の
014神の神業ぞ畏かりける
015地稚きこの国原を固めむと
016主の大神の天降りませしよ
017有難し辱なしと申すより
018わが言の葉は出でざりにける
019月も日も清く照らへる玉野丘に
021かくの如曇れる霊を持ち乍ら
022国土生みの業をおぼつかなみ思ふ
023主の神の功によりて真鶴の
024国土固めばや霊を清めて
025かくまでも尊き神の経綸とは
026悟らざりけり愚なる我は
027今よりはわが霊線を練り直し
028勇み進まむ国土生み神生みに
029果てしなきこの国原を詳細に
030固めむ業の難きをおもふ
031畏しや本津真言の大神は
033高鋒の神は聖所に天降りまして
034わが霊線を照らさせ給ひぬ
035久方の御空は清く輝けり
036仰げばわが霊恥づかしきかも
037遠見男の神を見捨てて玉野丘に
038登りし我の霊は曇れり
039神々を丘の麓に残し置きし
041今よりは心を清め身を清め
042麓の神を導き来らむ』
043 玉野比女の神の御歌。
044『本津真言の神の言葉を諾ひて
045吾は百神を残し置きしはや
046瑞御霊神の罪にはあらざらめ
047本津真言の神の御心
048二柱天津高空ゆ降りまして
049これの聖所を照らさせ給ひぬ
050常磐樹の松にかかれる月光も
052天渡る日光も清く月光も
053冴えにさえたり今日のいく日は
054二柱神の神言を畏みて
055われ百神と国土造らばや
056迦陵頻伽ときじくうたひ聖所の
057鶴は神代を寿ぐ今日かも
058白梅の薫り床しくそよ風に
059送られ清し玉の宮居は
060白梅は玉の宮居を封じつつ
061松の樹蔭に神代を薫れり
062草の蔭に虫の声々さえさえて
063常世の春を迎はしむるも
064この丘に瑞の御霊の生れまして
065輝き給ふ国土生み嬉しも』
066 生代比女の神は御歌詠ませ給ふ。
067『生代比女いくよの末も常磐樹の
068松に誓ひて世を守るべし
069底深き玉野湖水の心をば
070岐美に捧げて御子を守らむ
071真鶴の山は雲間に聳ゆれど
072岐美の功に及ばざるらむ
073瑞御霊生言霊に生り出でし
074真鶴山に生れし吾はも
075吾こそは瑞の御霊の言霊の
076水火に生れし比女神なるぞや
077国魂の御子を詳細に生み了へて
078又真鶴の神となるべし
079白砂を踏みさくみつつ白駒に
080跨りて来し玉野森清し
081玉野丘黄金の真砂踏みしめて
082尊き神の御声聞きたり
083主の神の深き恵にうるほひて
084吾貴の御子孕みたるかも
085目路の限り白雲霞む真鶴の
086国をひろらに拓きませ岐美よ
087わが魂は真鶴山に鎮りて
088この神国を永遠に守らむ
089吾は今気体なれども御子生まば
090又霊体となりて仕へむ
091御子生むと吾は気体の身と変じ
092岐美を恋ひつつ仕へ来しはや
093吾恋は幾万年の後までも
094天地とともに亡びざるべし
095愛善の紫微天界に生くる身も
096恋故心の曇りこそすれ
097恋故に心は光り恋故に
098心曇るぞ浅ましの世や』
099 待合比古の神は御歌詠ませ給ふ。
100『神々の生言霊を清らかに
101聞く今日の日は楽しかりける
102久方の天津御空の神の声を
103居ながらに聞きし幸をおもふも
104智慧証覚足らはぬ吾も天津神の
105神言ほのかに聞きし嬉しさ
106三柱の女男の神等に従ひて
107われ永久に守り仕へむ』
108 かく御歌うたひ給ふ折しも、109御空を封じて、110幾千万とも限りなく、111真鶴は玉野丘の空高く、112左より右りに幾度となくめぐりめぐり、113清しき声を張り上げて、114神代の創立を寿ぎ乍ら、115庭も狭きまで聖所の上に下り来つ、116各も各も頭をもたげて、117天津高宮を拝する如く見えにける。
118 玉野丘の麓には、119遠見男の神を初め、120圓屋比古の神等九柱は、121己が魂線の曇りたるを悔い給ひて、122玉の泉に身を清め、123言霊の水火を磨き澄ませつつ、124瑞の御霊の招き給ふ時を待ち給ひ、125各も各もに御歌詠ませ給ひぬ。
126 遠見男の神の御歌。
127『梅薫る玉野の丘に登りましし
128岐美の音信聞かまほしけれ
129わが魂は曇りにくもり言霊は
130濁りて神丘に登るよしなし
131恥づかしきことの限りよ玉野丘の
132麓に吾は捨てられにけむ
133遠の旅御供に仕へて今となり
134吾恥づかしき憂目に逢ひぬる
135繋ぎ置きし駒にも心恥づかしく
136なりにけらしな言霊濁りて
137玉泉に御魂ひたして洗へども
138智慧の光の暗きをおそるる
139真鶴は常磐の松の梢高く
140長閑にうたふ玉野森はや
141真鶴の翼ありせば吾も亦
142この玉野丘に登らむものを
143南方の国を治らせとわが岐美の
144よさしの言葉如何に仕へむ
145生代比女神を魔神と思ひしに
147いぶかしも生代比女神のすたすたと
148振り向きもせず登らせにける
149生代比女の曇れる魂に比ぶれば
150なほわが魂の濁り深きか
151いや広き紫微天界の中にして
152吾恥づかしく心をののく
153世をおもふ清けき胸の高鳴りに
154もだへて夜半を泣きつ戦きつ
155国土生みの御供に仕ふる道なくば
156野辺吹く風となりて亡びむか
157歎くとも詮術もなきわが身かな
158瑞の御霊に遠ざかりつつ』
159 圓屋比古の神は御歌詠ませ給ふ。
160『遠見男の神よなげかせ給ふまじ
161神の試練とわれは喜ぶ
162いと清く正しく広く真鶴の
163国の司とならむ汝が身ぞ
164汝こそは瑞の御霊のよさしたる
166真鶴の国を𪫧怜に生み了へて
167汝は永遠に鎮まるべき身よ
168主の神の天降りましたる丘なれば
170主の神の御許あれば吾は直に
171この神丘に登らむと思ふ』
172 宇礼志穂の神は御歌詠ませ給ふ。
173『とにもあれかくもあれかし玉野森に
175徳未だ全からぬを主の神を
176拝まむ事の恐しとおもふ
177月も日も御空に清く輝ける
179歓びの光に充つる玉野森を
180吾嬉しみて魂をどるかも
181嬉しさの極みなるかも玉野森の
182これの聖所に来りし幸よ』
183 美波志比古の神は御歌詠ませ給ふ。
184『瑞御霊神に別れて一夜を
185月に照らされ心ときめきぬ
186やがて今主の大神の言霊に
188みはしなき山に登らむ術もなし
189今しばらくを待たせよ百神
190国土造る神の神業よ安々と
191この神丘に登り得べきや』
192 産玉の神は御歌詠ませ給ふ。
193『やがて御子生れます日まで産玉の
195真鶴の声高々と聞ゆなり
196主の大神の帰りますにや
197迦陵頻伽白梅の梢になきたつる
198声は神代を寿ぐなるらむ
199白梅の薫り床しきこの森は
200主の大神の天降らす聖所か
201月も日も松の繁みに閉ざされて
202砂に描ける樹洩陽のかげ
203わが力未だ足らねば森かげに
204ひそみて待てとの神慮なるらめ』
205 魂機張の神は御歌詠ませ給ふ。
206『たまきはる生命の神と現れて
207われは守らむ御子の生命を
208ここに来て心清しくなりにけり
209この神丘に登り得ねども
210この森は紫微天界の写しかも
212 結比合の神は御歌詠ませ給ふ。
213『二夜の禊終りて吾は今
214結び合せの神業に仕へむ
215天と地と神と神とを睦じく
216結び合せて神代を守らむ
217いや広く常磐樹繁る玉野森に
218梅の香清し神います苑は
219玉野比女神の鎮まるこの丘の
220輝き強しわが目まばゆく
221この上は主の大神の御心に
222任せまつりて時を待つべし
223何事も神の心のままなれば
224われ一言も言挙げはせじ』
225 美味素の神は御歌詠ませ給ふ。
226『美味素の高天原より下ります
227主の大神の功尊き
228主の神の霊の光に包まれて
229夜も明るき玉野森はや
230月光は御空に高く冴えにつつ
231松を透して吾等を照らせり
232白梅の花のよそほひ見るにつけ
233玉野の比女の偲ばれにける』
234 真言厳の神は御歌詠ませ給ふ。
235『はろばろと岐美に仕へて吾は今
236玉野の森の月に照らさる
237真鶴の国土を造ると言霊の
238水火清めたり玉の泉に
239主の神の天降り給ふと聞く丘に
240真鶴の声高く聞ゆる
241主の神の生言霊を畏みて
242此処に来つるも国土造るとて
243常磐樹の松苔むして天津空
244閉せる森に歓びあれかし』
245 かく神々は述懐を歌ひ給ひ、246時を待たせる折もあれ、247太元顕津男の神は、248玉野比女の神、249生代比女の神、250待合比古の神、251其他数多の神々を従へて、252悠々と丘を下り、253諸神に敬意を表し給ひ、254再び丘の上に一柱も残らず導き給ひ、255いよいよここに国土生みの神業に、256諸神力を合せて、257従事し給ふ事とはなりぬ。258ああ惟神霊幸倍坐世。
259(昭和八・一〇・三一 旧九・一三 於水明閣 林弥生謹録)