第一章 高宮参拝〔一九一八〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻
篇:第1篇 春風駘蕩
よみ(新仮名遣い):しゅんぷうたいとう
章:第1章 高宮参拝
よみ(新仮名遣い):たかみやさんぱい
通し章番号:1918
口述日:1933(昭和8)年12月05日(旧10月18日)
口述場所:水明閣
筆録者:森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年3月23日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:太元顕津男の神が、国生み御子生みの御神業のために、高地秀(たかちほ)の宮(東の宮)をただ一人出立したそのあと(八年後)、残された八柱の御樋代神たちは、天津高宮に詣でて宮の司となる神の降臨を願い出た。主の大神はそれに応えて、鋭敏鳴出(うなりづ)の神、天津女雄(あまつめを)の神、二柱を降して宮仕えを命じた。
顕津男の神の妻神・高野比女は天津高宮の大前に、感謝の歌をささげた。それに対して、鋭敏鳴出の神、天津女雄の神の二神は、顕津男の神の後任として高地秀の宮司として仕える抱負を歌った。
高野比女に仕える侍女神たちは、宮司の神の降臨に、祝いの神楽を催すように進言する。高野比女は喜んで、鋭敏鳴出・天津女雄の二神に、白幣(しろにぎて)・青幣(あおにぎて)、そして二振りの五百鳴(いほなり)の鈴を授けた。
二柱の宮司神は大地を踏み鳴らし、五百鳴の鈴をさやさやと響かせて、右手に持った白幣・青幣を打ち振りながら舞い踊った。
それを見た天津高宮に仕える百の神たちは、天地が一度に開けたような心地がして、喜び勇んだ。鳥たちは微妙の声で御神楽の拍子に合わせて歌い、天と人が和楽する境界を現した。主の大神も、天津高宮の扉を内側から押し開け、この光景をご覧になった。
侍女神たちはこの様を喜び、御神楽をたたえ、主の神への感謝と喜びを歌った。神々はそれぞれ歌を歌い、大御前に祝詞を奏上すると、天津高宮に仕える神々に別れを告げて、高地秀の宮に帰っていった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7601
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 491頁
修補版:
校定版:135頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 紫微天界に於ける神政樹立の根元地なる高地秀の山の山麓に、002宮柱太敷立て高天原に千木高知りて、003四方に輝きたまふ高地秀の宮一名東の宮を後にして、004思し召すことありとて、005太元顕津男の神は、006八柱の御樋代神を後に残し、007一柱の供神をも連れ給はず立出で給ひければ、008茲に八柱の御樋代神は天津高宮に詣で給ひて、009主の大神の神宣を乞ひ給ひ、010宮の司たるべき神を降し給へと祈らせ給へば、011主の大神は、012その願事を諾ひ給ひて、013茲に鋭敏鳴出の神、014天津女雄の神の二柱を降し給ひて、015朝な夕なの宮仕へを言依さし給ひしこそ畏けれ。
016 高野比女の神は天津高宮の大前に願事白し給ふ、017その御言葉。
018『久方の天津高宮に詣で来て
020禊してはろばろ此処に八柱の
021女神は真心ささげて祈るも
022久方の天の高地秀の宮司
023顕津男の神を守らせたまへ
024朝夕に高地秀の宮居に仕へつつ
025なほ真心の足らぬを悔ゆるも
026国土を生み国魂神を生まさむと
027出でます岐美に恙あらすな
028天地の中に一人の岐美ゆゑに
030わが岐美は何れの果にましますか
031こころ許なく朝夕いのるも
032主の神の恵かしこし二柱の
034鋭敏鳴出の神はかしこき宮司
035高地秀の宮居は今より栄えむ
036天津女雄の神の面ざし眺むれば
037瑞の御霊に似ましつるかも』
038 鋭敏鳴出の神は答の御歌詠ませ給ふ。
039『高野比女神の神言の御歌聞きて
040足らはぬ吾を恥かしみおもふ
041わが力及ばざれども村肝の
043東の宮居に今より仕へむと
045顕津男の神の力に比ぶれば
046天と地との差別ありけり
047力なき吾にはあれど真心の
048あらむ限りを仕へむと思ふ
049八柱の御樋代神を守りつつ
050東の宮居を守りまつらむ
051八柱の御樋代神を主とし
052仕へむとおもふ朝な夕なを
053天地のあらむ限りは主の神の
054御樋代なりと思へばかしこし
055国土未だ稚かる紫微の天界に
056為すべき神業は限りなく多し
057大宮居を守りまつりて主の神の
058神業に仕ふとおもへば楽し
059今日よりは吾をいたはり給ひつつ
060仕はせたまへ御樋代女神よ』
061 天津女雄の神は御歌詠ませ給ふ。
062『鋭敏鳴出の神の司の添柱と
063選まれし吾の今日のうれしさ
064幾万里東の国土の高地秀の
065宮居に仕ふと思へばいさまし
066御樋代の神の御供に仕へつつ
068国土稚き紫微天界の大宮居に
069仕ふるわが身の魂は栄えつ
070永久の栄えと喜び満たせつつ
071進みて行かむ高地秀の宮居に
072八柱の御樋代神ははろばろと
073これの聖所に来ませる尊さ
074優しくて雄々しくいます八柱の
075御樋代神は御魂ひかれり
076顕津男の神は光明と現はれて
077四方の雲霧別け明したまふ
078顕津男の神の仕へし貴の宮居に
080光明なき吾身ながらも主の神の
081神言なりせばかしこみ仕へむ
082鋭敏鳴出の神を補けて八柱の
083御樋代神に仕へむとおもふ
084八柱の御樋代比女神今日よりは
085わが足らはぬを補ひ給はれ』
086 梅咲比女の神は御歌詠ませ給ふ。
087『白梅の花咲きにほふ天界に
088生れしわれは御樋代神ぞや
089非時に梅咲比女の神なれば
090宮居の庭を清め仕へむ
091主の神の恵み畏し二柱
092東の宮居の司たまひぬ
093果しなき稚国原を旅立たす
094わが岐美の上に災あらすな
095吾岐美は光明の神にましませば
097岐美立ちし日より八年を経につれど
098雁の便りだにも聞かなく
099吾岐美よ何処の果にお在すらむ
100こころ許なく朝夕をおもふ
101久方の天津高宮の清庭に
102宣る言霊は澄みきらひたり
103言霊に森羅万象は生るなり
104唯ままならぬは岐美の水火なり
105凡神の誹りあざけり思ひはかり
107国魂の神を生まむと朝夕に
108祈れど甲斐なし水火合はねば
109徒に若き月日を経ぬるかと
110おもひて朝夕われは泣くなり
111いざさらば此の宮居に感謝言
112白して東の宮居に帰らむ』
113 香具比女の神は御歌詠ませ給ふ。
114『八柱の御樋代神はいたづらに
115東の宮居に年を経にけり
116主の神の御前に復命白すべき
117功績なき吾をかなしみ思ふも
118雄心の大和心を奮り起し
119想像妊娠む岐美の御水火を
120天高く地また広く定まりて
121この天界は栄え初めたり
122非時の香具の木の実より生れしてふ
123御樋代のわれ世に生きて淋しも
124水火の限り高地秀山の神霊に
125仕へて天界を照らさむと思ふ
126吾岐美の光明を御魂に充たしつつ
127紫微天界を明し行くべし
128神に仕へ岐美を偲びて朝夕を
129高地秀の峰に年経りにけり
130掛巻も畏き天津高宮に
131別れて言葉慎み宣らむ
132宮司二柱神を得し今日は
133天地開けし心地するかも
134東の宮居に帰らむ御樋代神よ
135これの清庭に神楽をかなでよ』
136 茲に高野比女の神は、137各比女神の神言の提言を甚く悦び諾ひたまひ、138鋭敏鳴出の神、139天津女雄の神二柱神に、140白幣青幣及び二振の五百鳴の鈴を授け給へば、141二神は天津高宮の聖所に地踏み鳴らし、142白衣長袖しとやかに踊らせ給へば、143八柱の御樋代比女神を始め、144天津高宮に仕へ奉る百の神達も異口同音に祝ひの御歌詠ませ給ふ。
146『天晴れ天晴れ目出度き言のかぎりかも
147タータータラリ タラリーラー アガリララーリトー チリーヤ タラリ ララリトー』
148 茲に二柱の宮司神は大地を踏みならし、149五百鳴の鈴をさやさやに響かせ、150右手に白幣青幣を打振り給ひつつ舞ひ踊り給へば、151百の神等は天地一度に開けし心地して、152歓ぎ喜び勇み給ふ。153百鳥は微妙の声を放ちて、154御神楽の拍子に和して、155弥々茲に天人和楽の境を現出せり。156主の大神は天津高宮の扉を内より押し開け給ひ、157此の光景を御覧はすこそ畏けれ。
158 茲に寿々子比女の神は御歌詠ませ給ふ。
159『主の神の光明に吾は照らされて
161次々に吾眼界は光りつつ
162今日の祝ひの神楽見しはや
163二柱神の仕ふる神楽の舞の
164清しき姿にとけ入りにける
165主の神も諾ひ給ふか御扉を
166細目に開きて覗かせ給へり
167今日よりは東の宮居も賑しく
168かがやきわたらむ宮司を得て
169わが岐美のいまさぬ宮居の淋しさも
170わすれて御苑の神楽見しかや
171御樋代の神と依さし給ひし八柱の
172女神もいまだ神業つかへず
173朝夕を高地秀の宮の清庭に
174立ちて御空の月を仰ぎつ
175天渡る月の鏡を仰ぎつつ
176岐美の安否を思ひわづらふ
177曇りたる月をし見れば一入に
178思ふは岐美の上なりにけり
179瑞々しき月の鏡を仰ぐ夜は
180岐美の御幸を思ひて楽しむ
181我岐美は遠く行きませども仰ぎ見る
182月の姿に心なぐさむ』
183 宇都子比女の神は御歌詠ませ給ふ。
184『はろばろと東の宮居を立ち出でて
185主の神います宮居に詣でつ
186西東皇大神の永久に
187鎮まりいます宮居は明らけし
188八柱の御樋代比女神ははろばろと
189今日の吉日を西宮に詣でつ
190久方の天之道立神司
191今日の神姿の荘厳なるも
192道立の神永久に仕へます
193天津高宮の荘厳なるも
194四方八方に雲霧立ちし稚国土を
195固めむとして岐美は出でませり
196吾も亦高地秀の宮居に朝夕を
197仕へて神を勇めむとおもふ
198天界は愛と信との神国なれば
199真言と祈りを要と思へり
200天界に住みて尊き神業は
201厳の言霊と禊なりけり
202朝夕を玉の泉に禊して
203百神等の幸を祈らむ
204百鳥の声も爽かに響くなり
205天津高宮の庭の百樹に
206昼月の光ほのぼのと見えながら
207御空にさやる雲影もなし
208主の神の御水火に生れし天津日の
210天津日は光の限りを光りつつ
211われ等の暗き魂を照すも
212月も日も並びてかがよふ天界に
213仕へてわれは何を歎かむ
214或は盈ち或ひは虧くる大空の
215月に悟りぬ世のありさまを
216日を重ねうつろひて行く月影の
217定まらぬ世を吾悟りけるかも
218いざさらば二柱神を伴ひて
219共に帰らむ高地秀の宮居へ』
220 狭別比女の神は御歌詠ませ給ふ。
221『有難し天津高宮の清庭に
222吾は清しき神楽見しはや
223天地も一度に開く心地して
224この清庭に神楽見しはや
225鈴の音もいとさやさやに響かひつ
226紫微天界はいよよあかるし
227白梅は非時香り鶯は
229常磐樹の松の梢に巣ぐひたる
230鶴は十二の卵を産めり
231真鶴の千歳をうたふ声の色の
232すがしく響きて栄ゆる天界よ
233我岐美の行衛は今に知らねども
234御空の月を仰ぎてなぐさむ
235御空行く月の鏡の清き夜は
236岐美の栄えを思ひて楽しむ
237いざさらば高日の宮居を拝みて
238いそぎ帰らむ東の宮居に
239久方の天之道立神司
241厳御霊瑞の御霊の御教は
242世界を十字に踏みならす太元かも
243火と水と土の力に天界は
245 花子比女の神は御歌詠ませ給ふ。
246『白梅の花の粧ひ眺むれば
247瑞の御霊の岐美のここちす
248非時に匂ふ神苑の百千花も
249手折りささげむ神の御前に
250白梅の一枝を手折りて黒髪の
251簪となさばや花子比女われは
252花の香り松の響も清しけれ
253主の神います宮居の庭は
254東の宮居の司を伴ひて
255歓ぎ帰らむ日とはなりけり
256いざさらば神の御前に感謝言
258高地秀の峰ははろけしさりながら
260 小夜子比女の神は御歌詠ませ給ふ。
261『瑞御霊高地秀の宮居を出でしより
262御樋代われは淋しく年を経し
263神をあがめ岐美を恋ひつつ鶏の尾の
264長き月日を暮れにけるかな
265高地秀の山の松風朝夕に
266響けど岐美の音信はなし
267高地秀の峰の尾の上に見る月も
269小夜更けて仰ぐ月光冴え渡り
271月見れば岐美の霊よと思ひつつ
273久々にこの高宮に詣で来て
275八柱の御樋代神は朝夕を
276睦み和みて宮居に仕へつ
277怨み妬みなき真心に仕へ行く
278宮居の聖所に雲霧もなし
279いざさらば主の大神に拝礼して
280はろばろ東の宮居に帰らな』
281 朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。
282『主の神の宮居に始めて詣でけり
283高地秀の宮居にあるここちして
284真心を筑紫の宮居の清庭に
285国土の始めの神楽見しはや
286西の宮居筑紫の宮居は主の神の
287光明も一入つよかりにける
288御樋代神と選まれし吾はためらはず
290いたづらに待ちて月日を送るよりも
291すすみて行かむ御子生みの旅に
292主の神の御前に誓ひ白すべし
293われは進みて神業に仕へむ
294いざさらば筑紫の宮居を後にして
295ともに帰らむ東の宮居へ』
296 各神々は御歌詠ませ給ひつつ、297大御前に御声も爽けく祝詞を奏上し、298天津高宮に仕へます百神等に別れを告げ、299各自天の斑駒の背に跨り、300高地秀の宮居をさして急がせ給ふぞ畏けれ。
301(昭和八・一二・五 旧一〇・一八 於水明閣 森良仁謹録)