霊界には、天界・地獄界・中有界の三大境域がある。
天界は正しい神々や正しい人々の霊魂が安住する国である。
地獄界は邪神が集まり、罪悪者が堕ちていく国である。
天界、地獄界の中でもそれぞれ上下二界に分かれており、程度に区別がある。さらにその中に三段の区画が定まっている。それぞれ神徳、罪悪の違いによって、行く世界が違っている。
霊界:
天界(=神界)
天の神界(三段に分かれている)
地の神界(三段に分かれている)
中有界(浄罪界、また精霊界)
地獄界(幽界)
根の国(三段)
底の国(三段)
自分が芙蓉仙人の先導で霊界探検をしたのは、身は高熊山に端座しており、ただ霊魂のみが行ったのである。
数百千里を大速力で空中飛行を続けた後、大変な大きな河のほとりで立ち止まり、仙人は『いよいよ是からが霊界の関門である』と言った。
河は渡ってみると深くなく、自分が着ていた紺色の着物は不思議にもたちまち純白に変じた。対岸へ渡ってから振り向くと、河の水が大蛇となって火焔の舌を吐いていたのには驚いた。
多くの旅人がいずれも河を渡ってくるのが見えたが、やはり服の色が種々変化していた。そして渡りきると、どこからともなく、五六人の恐い顔をした男が、旅人の姓名をいちいち呼び止めて、一人一人の衣服に切符のようなものを付けていた。
河から一里ばかり行くと、役所のようなものが建っており、番卒が現れて旅人の衣服に付いた切符を剥ぎ取り、また衣服の変色模様によって、衣服を剥ぎ取ったり、重ねて着させたりしていた。そして、一人一人、番卒が付き添って規定の場所に送られていった。