霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 雑草(ざつさう)原野(げんや)〔九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第1篇 幽界の探険 よみ(新仮名遣い):ゆうかいのたんけん
章:第9章 雑草の原野 よみ(新仮名遣い):ざっそうのげんや 通し章番号:9
口述日: 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
雑草の原野で、ふたたび自分は一人になっていた。ザラザラと怪しい音がすると、自分の両岸に焼け砂のようなものが飛び込み、目が焼けるような痛さで開くこともできなくなった。
頭上からは冷たい氷の刃が降ってきて、梨割りにされる。一生懸命、「アマテラスオホミカミ」を唱えると、目の痛みがなおり、自分は女神の姿に化していた。
舟木がはるか遠方から、比礼を振りつつこちらへ向かってきた。再開の歓喜にしばし休息していると、後から悪鬼がやってきて、氷の刃で切ってかかった。舟木が比礼を振り、自分は神号を唱えると、悪鬼は退散した。
どこからともなく、「北へ北へ」という声が呼ばわり、自分の体が自然に進んでいった。「坤」という字のついた王冠をかぶった女神と、小松林という白髪の老人から筆を託され、自分は五百六十七冊の半紙を書いた。すると、「中」という鬼が現れて書いたものを槍で突き刺し、空に散乱させてしまった。
他にも鬼がやってきて、自分の書いたものを焼いてしまった。「西」という男が、自分の書いたものを抜き出して、もって来る。鬼たちは「西」を追いかけるが、自分が比礼を振ると、逃げてしまった。「西」は書いたものを抱えて南の空高く姿を隠してしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:焚書 データ凡例: データ最終更新日:2021-10-19 02:00:53 OBC :rm0109
愛善世界社版:44頁 八幡書店版:第1輯 61頁 修補版: 校定版:43頁 普及版:23頁 初版: ページ備考:
001 雑草(ざつさう)原野(げんや)状況(じやうきやう)は、002(じつ)殺風景(さつぷうけい)であつた。003自分(じぶん)は、004いつしか(また)一人(ひとり)となつてゐた。005(あたま)(うへ)からザラザラと(あや)しい(おと)がする。006何心(なにごころ)なく仰向(あふむ)くとたんに両眼(りやうがん)焼砂(やけすな)のやうなものが()()み、007()(ひら)くこともできず、008第一(だいいち)()(たま)()けるやうな(いた)さを(かん)ずるとともに四面(しめん)暗黒(あんこく)になつたと(おも)ふと、009何物(なにもの)とも()らず自分(じぶん)左右(さいう)()()けんばかりに()くものがある。010また両脚(りやうあし)左右(さいう)()()かうとする。011なんとも形容(けいよう)のできぬ(くる)しさである。012頭上(づじやう)からは(つめ)たい(つめ)たい(こほり)(やいば)梨割(なしわ)りにされる。013百雷(ひやくらい)(いち)()(とどろ)くやうな(おと)がして、014地上(ちじやう)(なみ)のやうに上下(じやうげ)左右(さいう)激動(げきどう)する。015(あや)しい、016いやらしい、017(かな)しい(こゑ)(きこ)える。018自分(じぶん)一生(いつしやう)懸命(けんめい)になつて、019(れい)の「アマテラスオホミカミ」を、020()れぎれに()つと口唱(こうしやう)するとたんに、021天地(てんち)開明(かいめい)心地(ここち)して()(いたみ)もなほり、022不思議(ふしぎ)自分(じぶん)女神(めがみ)姿(すがた)(くわ)してゐた。
023 舟木(ふなき)ははるかの遠方(ゑんぱう)から、024比礼(ひれ)()りつつ此方(こつち)へむかつて(かへ)つてくる。025その姿(すがた)()たときの(うれ)しさ、026二人(ふたり)再会(さいくわい)歓喜(くわんき)()ち、027暫時(ざんじ)休息(きうそく)してゐると、028(あと)より「(まつ)」といふ悪鬼(あくき)(あら)はれ、029(ひかり)すさまじき(こほり)(やいば)()つてかかる。030舟木(ふなき)はただちに比礼(ひれ)()る、031自分(じぶん)神名(しんめい)(とな)へる。032悪鬼(あくき)二三(にさん)同類(どうるゐ)とともに足早(あしばや)南方(なんぱう)さして()げてゆく。
033 どこからともなく「(きた)(きた)へ」と()ばはる(こゑ)に、034機械(きかい)のごとく自分(じぶん)身体(からだ)自然(しぜん)(すす)んで()く。035そこへ「(ひつじさる)」といふ()のついた、036王冠(わうくわん)をいただいた女神(めがみ)が、037小松林(こまつばやし)といふ白髪(はくはつ)老人(らうじん)とともに(あら)はれて、038一本(いつぽん)(ふと)(なが)(ふで)自分(じぶん)(わた)して姿(すがた)(かく)された。039()るまに不思議(ふしぎ)やその(ふで)(つつ)から(すずり)()る、040(すみ)()る、041半紙(はんし)(やま)ほど()てくる。042そして姿(すがた)(すこ)しも()えぬが、043(あたま)(うへ)から「(ふで)()て」といふ(こゑ)がする。044二三(にさん)(にん)童子(どうじ)(あら)はれて(すずり)(みづ)()(すみ)()つたまま、045これも姿(すがた)をかくした。
046 自分(じぶん)立派(りつぱ)女神(めがみ)姿(すがた)変化(へんくわ)したままで、047一生(いつしやう)懸命(けんめい)半紙(はんし)にむかつて機械(きかい)(てき)(ふで)をはしらす。048ずゐぶん(なが)時間(じかん)であつたが、049冊数(さつすう)はたしかに五百(ごひやく)六十七(ろくじふしち)であつたやうに(おも)ふ。050そこへにはかに何物(なにもの)かの足音(あしおと)(きこ)えたと(おも)ふまもなく、051(まへ)の「(なか)」といふ(おに)(あら)はれ、052(やり)(さき)数十冊(すうじつさつ)づつ()()し、053をりからの暴風(ばうふう)()がけ中空(ちゆうくう)散乱(さんらん)させてしまうた。054さうすると、055(また)もや数十(すうじつ)冊分(さつぶん)(おな)容積(ようせき)半紙(はんし)が、056自分(じぶん)(まへ)にどこからともなく()いてくる。057また(これ)(ふで)をはしらさねばならぬやうな()がするので、058寒風(かんぷう)()きすさぶ野原(のはら)枯草(かれくさ)(うへ)(すわ)つて、059凹凸(あふとつ)のはなはだしい(いし)(つくゑ)(かみ)()べ、060左手(ゆんで)()さへては、061セツセと何事(なにごと)かを()いてゐた。062そこへ今度(こんど)眼球(めだま)(よつ)ツある怪物(くわいぶつ)先導(せんだう)に、063(ひら)だの、064(なか)だの、065()だの、066()だの、067()だの、068(たけ)だの、069(むら)だの、070()だの、071(とう)だの、072()だの(しるし)()つた法被(はつぴ)()(おに)がやつてきて、073(のこ)らず(ひき)さらへ、074二三丁(にさんちやう)(さき)(くさ)(なか)()(かさ)ねて、075これに()をかけて()く。
076 そこへ、077西(にし)」といふ(いろ)蒼白(あをじろ)(をとこ)()てきて、078一抱(ひとかか)()きだして自分(じぶん)(まへ)()つてくる。079(おに)どもは一生(いつしやう)懸命(けんめい)に「西(にし)」を()ひかけてくる。080自分(じぶん)比礼(ひれ)をふると(おどろ)いて(みな)()げてゆく。081()大変(たいへん)(いきほひ)自分(じぶん)()いたものを(はひ)にしてゐる。082(くろ)(けむり)(りゆう)姿(すがた)()つて天上(てんじやう)(のぼ)つてゆく。083天上(てんじやう)では電光(でんくわう)のやうに(ひか)つて、084(かず)(かぎ)りなき(ほし)(くわ)してしまうた。085その星明(ほしあか)りに「西(にし)」は書類(しよるゐ)(かか)へて、086(みなみ)(そら)(たか)姿(すがた)(くも)(かく)した。087女神(めがみ)自分(じぶん)姿(すがた)は、088いつとはなしに(また)(もと)囚人(しうじん)(ころも)(かへ)つてをつた。089俄然(がぜん)寒風(かんぷう)()(すさ)み、090()はガチガチと(ふる)うてきた。091そして(なん)だかおそろしいものに、092(おそ)はれたやうな(さび)しい心持(こころもち)がしだした。
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