第一〇章 二段目の水獄〔一〇〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻
篇:第1篇 幽界の探険
よみ(新仮名遣い):ゆうかいのたんけん
章:第10章 二段目の水獄
よみ(新仮名遣い):にだんめのすいごく
通し章番号:10
口述日:
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:自分は寒さと寂しさに、「天照大神」の神号を唱えると、にわかに全身暖かくなり、芙蓉仙人が現れた。うれしくなって仙人に近寄ろうとすると、仙人は厳しい顔をなし、自分は第二の門を開くために来たのであり、近づかないようにと諭した。
ギィーという音がしたせつな、自分は第二の門内に投げ込まれていた。氷結した暗い道を地の底へと滑り込んでいった。前後左右に苦悶の声が聞こえる。たちまち足元がすべり、深い地底へ急転直落した。
全身を岩角に打って血みどろとなったが、神名を奉唱すると、自分の四辺だけが明るくなってきた。御神号を唱えて手に息をかけ、全身を撫でさすると、神徳たちまち現れて傷も痛みも全部回復した。
再び上の方でギィーと音がすると、十二三人の男女が転落して自分の足元に現れ、助けを求めた。比礼を振るとたちまち起き上がり、「三ツ葉様」と叫んで、泣きたてた。一同は氷の道をとぼとぼと自分の背後から着いてきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm0110
愛善世界社版:48頁
八幡書店版:第1輯 62頁
修補版:
校定版:47頁
普及版:25頁
初版:
ページ備考:
001 自分は寒さと寂しさにただ一人、002「天照大神」の神号を唱へ奉ると、003にはかに全身暖かくなり、004空中に神光輝きわたる間もなく、005芙蓉仙人が眼前に現はれた。006あまりの嬉しさに近寄り抱付かうとすれば、007仙人はつひに見たこともない険悪な顔色をして、
008『いけませぬ。009大王の命なれば、010三ツ葉殿、011吾に近寄つては今までの修業は水泡に帰すべし。012これにて一段目は大略探険されしならむ。013第二段の門扉を開くために来たれり』
014と言ひも終らぬに、015早くもギイーと怪しい音がした一刹那、016自分は門内に投込まれてゐた。017仙人の影はそこらに無い。
018 ヒヤヒヤとする氷結した暗い途を倒つ転びつ、019地の底へ地の底へとすべりこんだ。020暗黒で何一つ見えぬが、021前後左右に何とも言へぬ苦悶の声がする。022はるか前方に、023女の苦しさうな叫び声が聞える。024血醒さい臭気が鼻を衝いて、025胸が悪くて嘔吐を催してくる。026たちまち脚元がすべつて、027何百間とも知れぬやうな深い地底へ急転直落した。028腰も足も頭も顔も岩角に打たれて血塗になつた。029神名を奉唱すると、030自分の四辺数十間ばかりがやや明るくなつてきた。031自分は身体一面の傷を見て大いに驚き「惟神霊幸倍坐世」を二度繰返して、032手に息をかけ全身を撫でさすつてみた。033神徳たちまち現はれ、034傷も痛みも全部恢復した。035ただちに大神様に拍手し感謝した。036言霊の神力で四辺遠く暗は晴れわたり、037にはかに陽気づいてきた。
038 再び上の方で、039ギイーと音がした瞬間に、040十二三人の男女が転落して自分の脚下に現はれ、041「助けて助けて」としきりに合掌する。042自分は比礼をその頭上目がけて振つてやると、043たちまち起きあがり「三ツ葉様」と叫んで、044一同声を合して泣きたてる。045一同の中には宗教家、046教育家、047思想家、048新聞雑誌記者、049薬種商、050医業者も混つてゐた。051一同は氷の途をとぼとぼと自分の背後からついてくる。