第二七章 竜宮城の死守〔二七〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻
篇:第4篇 竜宮占領戦
よみ(新仮名遣い):りゅうぐうせんりょうせん
章:第27章 竜宮城の死守
よみ(新仮名遣い):りゅうぐうじょうのししゅ
通し章番号:27
口述日:1921(大正10)年10月22日(旧09月22日)
口述場所:
筆録者:外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:竹熊、魔子彦、熊彦の同盟は内部分裂により統制を失って離散した。竹熊は厳の御魂の信任を得る作戦に出た。厳の御魂は竹熊が改心したものと思い、安堵をしていた。
竹熊は厳の御魂の系統である木常姫と力を合わせて、竜宮城を内部から瓦解させようとしていた。そのために、自分の妻・菊姫を離縁して、猿飛彦の妻であった木常姫を奪おうとした。
猿飛彦は木常姫の陰謀を知ると、怒ってこれを追い出した。竹熊と木常姫はこれ幸いと猿飛彦と菊姫を讒言した。厳の御魂は竹熊と木常姫を信任していたので、両者の結婚をやむを得ず承諾した。
金勝要神は猿飛彦と菊姫の陳情によって、竹熊・木常姫の悪事を知った。また大八洲彦命は彼らの陰謀を見破っていたので、金勝要神とともに、厳の御魂に彼らの悪事を知らせて、二人の結婚を破棄するようにと諫言した。
竹熊と木常姫は怒って魔軍を駆り、大八洲彦命と金勝要神を攻撃した。竜宮城の戦闘は激烈を極め、地の高天原も竜宮城も暗雲に包まれてしまった。
厳の御魂は驚いて竜宮城を立ち去り、シナイ山に避難した。竜宮城は金勝要神がわずかな武将とともに死守していたが、ほとんど全滅に近い打撃を受けていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm0127
愛善世界社版:159頁
八幡書店版:第1輯 103頁
修補版:
校定版:160頁
普及版:84頁
初版:
ページ備考:
001 竹熊、002魔子彦、003熊彦の三角同盟軍は、004前述のごとく内部の暗闘より統制力を失ひ、005一時は諸処に潰走した。006そのため暫時の間は、007地の高天原もやや小康を得てゐた。
008 以前の失敗に懲りた竹熊は攻撃の方法を一変し、009こんどは千辛万苦の結果、010厳の御魂の信任を得ることに努力した。011厳の御魂はやや安堵され、012彼らはほとんど改心の実を挙げたものと思はれ、013少しく油断があつた。014そこで竹熊は策の当れるを心ひそかに喜びつつ、015厳の御魂の系統なる木常姫と力を協せ、016心を一にし内部より竜宮城を瓦解し、017両神は竜宮城の王たらむとの手筈を定めた。018竹熊は自分の妻なる菊姫にワザと汚点をつけこれを離縁し、019猿飛彦の妻なる木常姫を奪はむとした。
020 ここに猿飛彦は竹熊の謀計を覚り、021怒つて木常姫を追ひ出した。022竹熊と木常姫は謀計の図に当れるを喜び、023竜宮城に参上り言葉たくみに猿飛彦や、024菊姫の乱倫悪行の数々を捏造して、025これを厳の御魂に進言した。
026 ほとんど信任した竹熊、027木常姫の言に耳を傾け、028厳の御魂は竹熊と木常姫の結婚を事情やむを得ずとして、029許されることになつた。030ここに大八洲彦命と金勝要神は、031猿飛彦と菊姫の詳細なる陳情によつて彼らの陰謀を知悉された。032竹熊が木常姫と結婚せむとした真の目的は、033木常姫が、034厳の御魂の肉身の系統であるから、035自分の権勢力を増しておき、036徐に時を待つて竜宮城を占領せむとしたのである。037また木常姫は夫なる猿飛彦の頑迷にして、038かつ強硬なる態度に、039やや嫌忌の情を発してゐた際であるから、040表面温良にして多くの者の信任厚き竹熊と夫婦になり、041金勝要神や、042大八洲彦命の地位に取つて代らむと考へたからである。
043 竹熊らの陰謀を知悉したる大八洲彦命は、044金勝要神と共に面を冒して厳の御魂に諫言し、045かつ速かに竹熊と木常姫の結婚を、046破棄せむことを道理の上より強請した。047この様子を窺ひ知つたる竹熊と木常姫は、048大いに怒つて大八洲彦命に打つてかかつた。049しかして一方木常姫はあまたの魔軍の応援を得て、050金勝要神を八方より挟撃し、051ほとんど窮地に陥れむとした。052ここに小島別は、053仲裁の労を執らむとして少数の軍を引率し、054急いで竜宮城に馳せ参じ百方手を尽した。055しかるに戦闘はますます激烈となつた。056しかして竹熊はエデンの園に陣を取り、057木純姫、058足長彦らを参謀として陣営を構へた。
059 このとき地の高天原も、060竜宮城も暗雲に包まれ、061天地は惨憺として咫尺を弁ぜざる光景である。062さうして天の一方よりは、063数万の魔軍が竹熊にむかつて応援する。064その時の大将は大森別、065加津彦、066杉森彦の面々である。067にはかに雷鳴天地にとどろきわたり、068雨は盆を覆へすごとく、069東北の風は、070地上一切のものを天上に捲き上げむとするの惨状であつた。
071 ここに厳の御魂は驚きおそれて竜宮城を立ちいで、072高杉彦、073安熊らの部将を引率れ、074シナイ山に避難された。075しかして後には金勝要神主宰の下に小島別、076元彦、077高杉別を部将として、078竜宮城を死守した。079この時地の高天原も、080竜宮城も惨憺たる光景で、081殆ど全滅に近かつたのである。
082(大正一〇・一〇・二二 旧九・二二 外山豊二録)