第四九章 バイカル湖の出現〔四九〕
インフォメーション
著者:
巻:
篇:
よみ(新仮名遣い):
章:
よみ(新仮名遣い):
通し章番号:
口述日:
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm0149
愛善世界社版:
八幡書店版:
修補版:
校定版:
普及版:
初版:
ページ備考:
001 大八洲彦命の仁慈に充てる犠牲的至誠より、002竹熊の罪は赦された。003しかしながら衆神の手前もあり、004竹熊も竜宮城に出入せしむることを禁ぜざるを得ない立場になつた。005竹熊はやむを得ず、006もとのエデンの城塞に帰らうとした。007この時エデンの城塞は既に鬼熊に占領されてゐた。008そして鬼熊の滅亡後鬼姫は、009牛熊、010武熊別を部将とし、011あまたの魔軍を集めてこれを死守してゐた。012竹熊は高杉別、013森鷹彦の心中を少しも知らず、014全く自分の無二の味方であると信じてゐた。
015 竹熊は高杉別、016森鷹彦に命じてエデンの城塞を前後より襲撃し回復せむとした。017されどもふたりは言を左右に託して竹熊の命に従はず、018かへつて竹熊の暴悪不道の行為を責め門内よりこれを突出し、019門扉を固く鎖して、020再び竹熊の出入し得ざるやう、021きびしく警護した。
022 竜宮城の出入を禁ぜられた竹熊は、023鬼城山に城塞を構へ数多の魔軍をしたがへ割拠する、024木常姫の陣営にむかひ救援を求めた。025木常姫は何条否むべき、026同志の竹熊にして亡ぼされなば吾が大望を達する望みなしと、027ここに魔鬼彦、028鷹姫等とともに軍容を整へ、029エデンの城塞にむかつて短兵急に攻めいつた。030鬼姫は牛熊、031牛姫に命じて敵のヨルダン河を渡るを拒止せしめた。032木常姫は雲を呼び、033風を起し、034雨を降らし、035死力をつくして争うた。036河水はたちまち氾濫し、037水量おひおひに増して、038エデンの城塞はほとんど水中に没するばかりである。039ここに鬼姫は進退谷まり、040竹熊より奉れる真贋十二の玉を抱き、041従者とともに黒雲に乗じ天空はるかに逃げゆく。042天日暗澹として常暗のごとく、043鬼姫一行の邪神隊はウラルの山上目がけて一目散に姿を隠した。
044 たちまち前方より奇晴彦、045村雲別は国常立尊の命を奉じ、046火竜となつて中空に現はれ、047鬼姫の前後左右より焔を噴きだし攻めきたる。048鬼姫の一隊は苦みにたへず、049少時は死物狂ひとなつて応戦せしが、050つひに力尽きて地上に落下した途端に、051大地は大震動とともに陥落し、052長大なる湖水を現じた。053これをバイカル湖といふ。054そして鬼姫は茲に終焉を告げバイカル湖の黒竜となり、055再び変じて杵築姫となり、056執念深く竜宮城を附け狙うたのである。057エデンの城塞はかくして再び竹熊の手に還つた。
058(大正一〇・一〇・二六 旧九・二六 加藤明子録)