第四七章 エデン城塞陥落〔四七〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻
篇:第5篇 御玉の争奪
よみ(新仮名遣い):みたまのそうだつ
章:第47章 エデン城塞陥落
よみ(新仮名遣い):えでんじょうさいかんらく
通し章番号:47
口述日:1921(大正10)年10月26日(旧09月26日)
口述場所:
筆録者:谷口正治
校正日:
校正場所:
初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:高杉別、森鷹彦が重用されるようになったことを、武熊別は面白からず思っていた。そして高杉別、森鷹彦を滅ぼそうと、ひそかにウラル山の鬼熊と通じた。
鬼熊は妻の鬼姫に策を授けて竜宮城に潜入させた。鬼姫は稚姫君命、大八洲彦命の信任を得るようになり、その結果、鬼熊は竜宮上への出入りを許されるようになった。
ところで、鬼熊夫婦には月彦という心の麗しい息子がいた。邪神夫婦にも、このような清らかな子が生まれることがあるのである。月彦は稚姫君命のお気に入りとなった。
稚姫君命は国常立尊の神命によって月彦、真倉彦を伴って沓島に渡り、魔軍鎮定の神業を行った。このとき秋津島根に邪竜・邪神軍が攻め寄せたが、神軍によって邪竜は殲滅された。
しかし地上にはびこる邪神軍は勢いが激しく、鎮定の目処が立たないままであった。地上の邪神軍は、実は鬼熊の部下のウラル山の悪霊たちであった。
竜宮城には、稚姫君命の留守として、大八洲彦命をはじめ、竹熊、高杉別、森鷹彦らも守りを固めていた。武熊別はこの好機に竹熊、高杉別、森鷹彦を滅ぼそうと、鬼熊夫婦に、大八洲彦命と竹熊が、ウラル山に侵攻して鬼熊を滅ぼす計画を練っている、と嘘の情報を流して、けしかけた。
鬼熊は怒って、まず邪神軍を竹熊のエデン城に向けて駆り、襲撃した。竹熊は竜宮城の守備についていたため、エデン城は簡単に鬼熊の手に落ちた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2022-10-25 23:18:45
OBC :rm0147
愛善世界社版:251頁
八幡書店版:第1輯 135頁
修補版:
校定版:251頁
普及版:130頁
初版:
ページ備考:
001 竹熊は大小十二の各色の玉を得て意気天を衝き、002虚勢を張つて横暴の極を尽した。003さうして高杉別、004森鷹彦を深く信任し、005高杉別をして武熊別の地位にかはらしめた。006武熊別は竹熊の態度に憤怨やるかたなく、007ここに一計をめぐらし、008ウラル山に割拠する鬼熊に款を通じ、009竹熊、010高杉別、011森鷹彦を滅ぼさむとした。012鬼熊はその妻鬼姫に計を授けて竜宮城の奥深く忍ばしめ、013遂には稚姫君命、014大八洲彦命のやや信任を得るにいたつた。015鬼熊は鬼姫の苦心により、016つひに竜宮城に出入を許さるるとこまで漕ぎつけた。017さうして鬼熊の子に月彦といふ心の麗しき者があつた。018この者は稚姫君命の大変なお気にいりであつた。019悪霊夫婦の子に、020かくのごとき善人の生れ出でたるは、021あたかも泥中より咲く蓮華のやうなものである。022ここに稚姫君命は、023ふたたび世界の各所に群がりおこる悪霊の騒動を鎮定すべく、024国常立尊の神命を奉じ、025月彦、026真倉彦を伴ひ、027目無堅間の御船にのり、028真澄の珠を秘めおかれたる沓島にわたり、029諸善神を集めて、030魔軍鎮定の神業を奉仕されたのである。031この時秋津島根に攻めよせきたる数万の黒竜は、032竜宮の守り神および沓島の守り神、033国の御柱命の率ゐる神軍のために、034真奈井の海においてもろくも全滅した。035しかるに陸上の曲津らは、036勢力猖獗にして容易に鎮定の模様も見えなかつた。037これは、038ウラル山に割拠する鬼熊の部下の悪霊らの、039権力争奪の悪魔戦であつた。040鬼熊は部下の者共の統一力なきを憂へ、041ここに一計をめぐらし、042竜宮城に出入して根本的権力を得、043部下の悪霊を鎮定し、044すすんで地の高天原を占領せむとする企画をたててゐた。
045 稚姫君命一行の沓島に出馬されし後の竜宮城は、046大八洲彦命、047真澄姫をはじめ、048竹熊、049高杉別、050森鷹彦、051竜世姫、052小島別等のあまたの神司が堅く守つてゐた。053武熊別は如何にもして、054竹熊、055高杉別を亡ぼさむとし、056鬼熊、057鬼姫に対し、
058『大八洲彦命、059竹熊等は神軍を整へ、060大挙してウラル山を攻落し、061貴下を討滅せむと種々画策の最中なり。062われは探女を放ちてその詳細を探知せり』
063と種々の虚偽を並べ、064鬼熊、065鬼姫の心を動かさむとした。066ここに鬼熊、067鬼姫の憤怒は心頭に達し、
068『大八洲彦命、069竹熊一派らを亡ぼすは今を措いて好機はなし。070今吾、071彼らを滅ぼさずんば、072吾は彼に早晩亡ぼされむ。073機先を制するはこの時なり』
074と鬼熊、075鬼姫は武熊別を部将として、076ウラル山の鬼神毒蛇を引率し、077まづ竹熊の屯せるエデンの城を襲ひ、078ついで竜宮城を襲撃せむとした。079鬼熊の魔軍は驀地にすすんで、080八方よりエデンの城塞に迫つた。081時しも竹熊は、082竜宮城の留守役として不在中なりしかば、083エデン城は戦はずしてもろくも鬼熊の手に落ちた。
084(大正一〇・一〇・二六 旧九・二六 谷口正治録)