霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四五章 黄玉(わうぎよく)行衛(ゆくへ)〔四五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第5篇 御玉の争奪 よみ(新仮名遣い):みたまのそうだつ
章:第45章 黄玉の行衛 よみ(新仮名遣い):おうぎょくのゆくえ 通し章番号:45
口述日:1921(大正10)年10月25日(旧09月25日) 口述場所: 筆録者:桜井重雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
時彦は黄金水の十二の玉が次々と邪神の手に落ちていくさまをみて、自ら所有する黄金の玉を保護しようと、ヒマラヤ山に立て籠もった。そして岩窟を掘って地中深くに玉を隠し、その上に神殿を建てて守っていた。
数年後、山中にときの声がするのを怪しんでみれば、大八洲彦命ら諸将が、軍勢を率いてデカタン高原に進軍中であった。山上より見れば、十二の輿に宝玉を乗せて進軍している。
時彦が部下に様子を見に行かせると、部下たちは大八洲彦命の軍容の壮大さを復命した。時彦はみろく神政の成就に遅れてはならじと、ただちにデカタン高原にはせ参じた。
するとおりしも、荘厳な宿営地にて、大八洲彦命は演説をしていた。曰く、みろく神政成就のために、ここデカタン高原を地の高天原と選定した。ついては、時彦の持っている黄金の玉が神政成就に必須の神宝である。もし時彦があってこの玉を奉納するならば、神界の殊勲者として天神に奏上し、我が地位を譲ろう、と。
これを聞いた時彦は名誉欲にかられて群神の中から名乗り出で、黄金の玉を献上した。大八洲彦命は黄金の玉を輿に納め、十二個の玉すべてが揃った祝いに、荘厳な祭典が催された。
すると天の一方に妖雲が起こり、雨が滝のように降り注いだ。神司たちは争って神輿の中から玉を取り出し、解散してしまった。荘厳な宿営地の宮殿は、いつしか荒涼たる原野と化していた。
時彦が驚いて輿の中に残っていた黄金の玉を取り出すと、見た目はまったく変わらなかったが、重量が軽い偽物にすりかえられていた。このとき天から『大馬鹿者!』というお叱りの叫びが聞こえた。
大八洲彦命の軍勢と見えたのは、邪神・武熊別の変身であった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-03-22 22:28:48 OBC :rm0145
愛善世界社版:242頁 八幡書店版:第1輯 132頁 修補版: 校定版:241頁 普及版:125頁 初版: ページ備考:
001 時彦(ときひこ)黄金(わうごん)(たま)生命(いのち)にかへても、002神政(しんせい)成就(じやうじゆ)(あかつき)まで(これ)保護(ほご)(たてまつ)らねばならぬと決心(けつしん)し、003(すで)竜宮神(りゆうぐうしん)不覚(ふかく)不注意(ふちうい)より九個(きうこ)(たま)竹熊(たけくま)(うば)はれ、004無念(むねん)やるかたなく、005せめてはこの(たま)をわれ一人(ひとり)になるとも保護(ほご)せむとて竜宮城(りゆうぐうじやう)にいたり、006言霊別(ことたまわけの)(みこと)言霊彦命は第2巻から登場するので、ここにある言霊彦命は大八洲彦命または美山彦命(言霊彦命の旧名)の間違いか?(ゆる)しをえて諸方(しよはう)逍遥(せうえう)し、007つひにヒマラヤ(さん)()(こも)つた。008そしてヒマラヤ(さん)巌窟(がんくつ)()り、009巌中(がんちゆう)(ふか)(これ)()め、010その(うへ)神殿(しんでん)()時節(とき)のいたるを()ちつつあつた。011()ること数年(すうねん)たちまち山下(さんか)におこる(とき)(こゑ)012不審(ふしん)にたへず殿(との)()ちいで(こゑ)するかたを(なが)むれば、013豈計(あにはか)らむや、014大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)大足彦(おほだるひこ)015玉照彦(たまてるひこ)両翼(りやうよく)となし数多(あまた)天津(あまつ)(かみ)竜宮(りゆうぐう)神司(かみがみ)(とも)に、016デカタン高原(かうげん)にむかつて錦旗(きんき)幾百(いくひやく)ともなく(かぜ)(なび)かせ、017種々(しゆじゆ)音楽(おんがく)(そう)しつつ旗鼓(きこ)堂々(だうだう)として進行中(しんかうちゆう)である。
018 時彦(ときひこ)山上(さんじやう)より(とほ)くこれを見渡(みわた)せば、019十二個(じふにこ)同型(どうけい)同色(どうしよく)神輿(しんよ)をあまたの徒歩(とほ)神司(かみがみ)(かつ)いで(すす)みくるのである。020時彦(ときひこ)(ただ)ちに(あま)鳥船(とりふね)取出(とりいだ)し、021従臣(じゆうしん)をして地上(ちじやう)(くだ)一行(いつかう)動静(どうせい)(うかが)はしめた。022従臣(じゆうしん)はその荘厳(さうごん)なる行列(ぎやうれつ)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)盛装(せいさう)()(きも)(つぶ)し、023あはただしく鳥船(とりふね)(じやう)じてヒマラヤ(さん)にその詳細(しやうさい)復命(ふくめい)したのである。
024 時彦(ときひこ)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)一行(いつかう)()きて(こころ)(こころ)ならず、025(われ)(いたづら)深山(みやま)にかくれて、026ミロク神政(しんせい)神業(しんげふ)参加(さんか)(おく)れたるかと大地(だいち)()んで残念(ざんねん)がり、027ただちに(あま)鳥船(とりふね)打乗(うちの)りて地上(ちじやう)(くだ)り、028大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)一行(いつかう)(あと)()でて(おそ)るおそる扈従(こじゆう)した。029されども時彦(ときひこ)()()神業(しんげふ)(おく)れたるを()ぢて、030花々(はなばな)しく名乗(なのり)()せず、031デカタン高原(かうげん)()いたのである。
032 デカタン高原(かうげん)には荘厳(さうごん)なる殿堂(でんだう)幾十(いくじふ)とも(かぎ)りなく()(なら)べられ、033八百万(やほよろづ)神司(かみがみ)喜々(きき)として神務(しんむ)奉仕(ほうし)してゐる。034四辺(あたり)()もいはれぬ香気(かうき)をはなてる種々(しゆじゆ)花木(くわぼく)(めぐ)らされ、035天人(てんにん)天女(てんによ)(よろこ)(くる)有様(ありさま)は、036(じつ)天国(てんごく)037浄土(じやうど)038()高天原(たかあまはら)光景(くわうけい)であつた。
039 大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)中央(ちゆうあう)荘厳(さうごん)なる殿堂(でんだう)()ち、040八百万(やほよろづ)神司(かみ)らにむかつて(せん)して(いわ)く、
041『ミロクの()(いま)時期(じき)尚早(しやうそう)なれども、042国常立(くにとこたちの)(みこと)(てん)嘆願(たんぐわん)されし結果(けつくわ)043地上(ちじやう)神人(しんじん)(すく)ふため、044末法(まつぱふ)()(ちぢ)めて(あま)岩戸(いはと)(ひら)き、045完全(くわんぜん)なる神代(かみよ)現出(げんしゆつ)せしめ、046このデカタンの()()高天原(たかあまはら)(さだ)めたまへり。047されど(かな)しむべし、048黄金水(わうごんすゐ)より()たる十二個(じふにこ)宝玉(ほうぎよく)はもはや十一個(じふいつこ)まで悪神(あくがみ)()占領(せんりやう)されたるを、049大神(おほかみ)神力(しんりき)によりてこれを(てき)より()(かへ)し、050ここに十二(じふに)神輿(しんよ)(つく)りて、051この()高天原(たかあまはら)治政(ちせい)重要(ぢゆうえう)なる神器(しんき)として、052永遠(ゑいゑん)保存(ほぞん)すべしとの神命(しんめい)なり。053されど一個(いつこ)黄色(わうしよく)(たま)行衛(ゆくへ)(いま)判明(はんめい)せず、054この(たま)なきときは折角(せつかく)のミロクの()(ふたた)瓦壊(ぐわくわい)するの(おそ)れあり、055かの黄玉(わうぎよく)(たづさ)へたる竜宮城(りゆうぐうじやう)従臣(じゆうしん)たりし時彦(ときひこ)は、056(いま)いづこに()るや、057(かれ)()てる一個(いつこ)宝玉(ほうぎよく)は、058この十一個(じふいつこ)(たま)匹敵(ひつてき)するものなり。059もし時彦(ときひこ)にして(おく)()せながらも、060いづれよりか()(たま)()ちきたらば、061神界(しんかい)殊勲者(しゆくんしや)として(われ)(これ)天神(てんしん)奏上(そうじやう)し、062わが地位(ちゐ)(ゆづ)らむ』
063大声(おほごゑ)()ばはりたまうた。
064 このとき、065時彦(ときひこ)(おも)へらく、066「われ多年(たねん)苦心(くしん)惨憺(さんたん)して()(たま)保護(ほご)す。067しかるに(いま)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)教示(けうじ)()(よろこ)びに()へず、068この(とき)こそ(われ)花々(はなばな)しく名乗(なの)りを()げ、069もつて神界(しんかい)(はな)(うた)はれむ」と()みを満面(まんめん)にたたへ、070(おそ)るおそる大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)御前(ごぜん)()九首(きうしゆ)三拝(さんぱい)して、
071時彦(ときひこ)ここに()り、072黄色(わうしよく)(たま)持参(ぢさん)(つかまつ)(さふらふ)
073言葉(ことば)すずしく言上(ごんじやう)した。074あまたの神司(かみがみ)は、075突如(とつじよ)として名告(なの)(いで)たる時彦(ときひこ)様子(やうす)()(かん)()たれたもののごとく、076時彦(ときひこ)神司(かみがみ)らの羨望(せんばう)(まと)となつた。
077 大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)(おほ)いに(よろこ)び、078かつ時彦(ときひこ)(まね)殿内(でんない)(ふか)()りたまうた。079殿内(でんない)には十二(じふに)同色(どうしよく)同型(どうけい)立派(りつぱ)神輿(みこし)奉安(ほうあん)されてある。080大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)正中(せいちゆう)にある一個(いつこ)神輿(みこし)(とびら)(ひら)き、
081十一個(じふいつこ)各色(かくしよく)(たま)をもつて()たされあり、082されど()らるる(ごと)くこの神輿(みこし)空虚(くうきよ)なり。083(すみ)やかに(なれ)(たま)(これ)奉安(ほうあん)し、084ミロクの()のために(つく)されよ』
085厳命(げんめい)した。086この(とき)087時彦(ときひこ)歓天(くわんてん)喜地(きち)()のおくところを()らず、088ただちに(たま)取出(とりだ)神輿(みこし)(なか)(ふか)くこれを(をさ)めた。089そこでいよいよ十二(じふに)神輿(みこし)種々(しゆじゆ)(そな)(もの)(けん)じ、090荘厳(さうごん)なる祭典(さいてん)がおこなはれた。091ついで十二(じふに)神輿(みこし)はデカタン(こく)(うるは)しき原野(げんや)神司(かみがみ)らによつて(かつ)ぎまはされた。092(じつ)(にぎは)しき()もいはれぬ爽快(さうくわい)祭典(さいてん)であつた。093原野(げんや)中心(ちゆうしん)各自(かくじ)神輿(みこし)(おろ)神司(かみがみ)らの休憩(きうけい)(めい)じたまうた。
094 (をり)から(てん)一方(いつぱう)妖雲(えううん)おこり、095たちまち雲中(うんちゆう)より種々(しゆじゆ)鮮光(せんくわう)があらはれた。096その光景(くわうけい)はあたかも花火(はなび)数百千(すうひやくせん)ともなく一度(いちど)()るやうな壮観(さうくわん)であつた。097神司(かみがみ)らは、098(みな)(てん)一方(いつぱう)(こころ)()かれて()つめてゐた。099そのあひだに大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)100大足彦(おほだるひこ)神輿(みこし)位置(ゐち)変更(へんかう)しておいた。101いづれの神輿(みこし)同型(どうけい)同色(どうしよく)のものである。
102 にはかに(てん)一方(いつぱう)より黒雲(くろくも)おこり(あめ)地上(ちじやう)(たき)のごとく(ふり)そそいだ。103あまたの神司(かみがみ)狂気(きやうき)のごとく神輿(みこし)(なか)より各自(かくじ)黄色(わうしよく)(たま)()りだし四方(しはう)解散(かいさん)した。104時彦(ときひこ)(おどろ)いて()(たてまつ)れる(たま)保護(ほご)すべく神輿(みこし)(ちか)づき、105その(たま)懐中(ふところ)()れむとした。106いづれの(もの)四方(しはう)八方(はつぱう)四散(しさん)して、107宮殿(きうでん)はいつしか荒涼(くわうりやう)たる原野(げんや)(くわ)してゐた。
108 時彦(ときひこ)(ゆめ)夢見(ゆめみ)心地(ここち)してその(たま)()りだし点検(てんけん)した。109こはそも如何(いか)に、110容積(ようせき)において光沢(くわうたく)において、111(すこ)しも変化(へんくわ)はない。112されど重量(ぢゆうりやう)のはなはだ(かる)きを(いぶ)かり、113混雑(こんざつ)(まぎ)れて()(たま)取換(とりかへ)られしやと()がみをなして口惜(くちを)しがつた。
114 このとき空中(くうちゆう)(こゑ)あり、
115(おほ)馬鹿者(ばかもの)!』
116(さけ)ぶ。117(いま)まで、118大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)()えしは武熊別(たけくまわけ)変身(へんしん)であり、119大足彦(おほだるひこ)以下(いか)正神(せいしん)()えしは(かれ)部下(ぶか)邪神(じやしん)であつた。120アゝいかに信仰(しんかう)(あつ)く、121(せつ)(まも)るとも、122時彦(ときひこ)のごとく(すこ)しにても野心(やしん)(いだ)(とき)は、123ただちに邪神(じやしん)のために(たぶ)らかされ、124呑臍(どんぜい)(くい)(のこ)すことあり。125注意(ちうい)すべきは、126執着心(しふちやくしん)功名心(こうみようしん)である。
 
127  (はな)()()たであらうか火取虫(ひとりむし)
 
128大正一〇・一〇・二五 旧九・二五 桜井重雄録)
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