霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四八章 鬼熊(おにくま)終焉(しゆうえん)〔四八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第5篇 御玉の争奪 よみ(新仮名遣い):みたまのそうだつ
章:第48章 鬼熊の終焉 よみ(新仮名遣い):おにくまのしゅうえん 通し章番号:48
口述日:1921(大正10)年10月26日(旧09月26日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
エデン城を奪取した鬼熊夫婦は、竜宮城の裏口からひそかに潜入した。そして、今度は病に伏せっている大八洲彦命を二人で襲撃した。
鬼熊夫婦が大八洲彦命の籠もる部屋を打ち破ろうとしているとき、竜宮城の諸神司が駆けつけて、二人を取り押さえた。そこへ竹熊が現れて、鬼熊に鉄槌を打ち下した。また、真澄姫と竜代姫は、鬼熊を茨の鞭で打ちすえた。
大八洲彦命は驚いて病床より立ち上がって部屋を出ると、この惨状に出くわした。そして怒って、鬼熊を打った無法者は誰だ、と詰問した。
鬼熊は自分を打った者が竹熊だとはわからなかったので、竜世姫、高杉別、虎彦の名を挙げたが、事件の目撃者である小島別が、竹熊の仕業であると証言した。
稚姫君命はそれを聞くと怒って、竹熊を根の国底の国に下そうとした。大八洲彦命は、このような不祥事が生じたのも、自分の不注意のせいであるので、代わりに自分を根底の国に落とすよう、涙ながらに嘆願した。稚姫君命は大八洲彦命の真心に感じ、この場はお咎めなしとした。
しかし鬼熊はこの負傷が原因で落命してしまった。鬼姫は竹熊の仕打ちを恨んで、武熊別と組んで弔い合戦を計画していた。また、鬼熊の怨霊は凝って、ウラル山の黒竜となった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2019-07-07 18:39:13 OBC :rm0148
愛善世界社版:254頁 八幡書店版:第1輯 136頁 修補版: 校定版:254頁 普及版:131頁 初版: ページ備考:
001 ここに鬼熊(おにくま)はエデンの城塞(じやうさい)奪取(だつしゆ)し、002牛熊(うしくま)003牛姫(うしひめ)をして数多(あまた)魔軍(まぐん)()べて(これ)(まも)らしめ、004鬼熊(おにくま)005鬼姫(おにひめ)のふたりは竜宮城(りゆうぐうじやう)裏門(うらもん)より(ひそ)かに(しの)()つた。006鬼熊(おにくま)巨大(きよだい)なる鉄棒(てつぼう)(ひつさ)げ、007鬼姫(おにひめ)都牟苅(つむがり)太刀(たち)(ふところ)()め、008奥殿(おくでん)(ふか)(すす)みいり、009大音声(だいおんじやう)(さけ)んで(いは)く、
010鬼熊(おにくま)011鬼姫(おにひめ)これに()り、012大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)何処(いづこ)()るぞ、013見参(けんざん)せむ』
014とますます奥深(おくふか)獅子(しし)奮迅(ふんじん)(いきほひ)をもつて、015ふたりは(おそ)ひいつた。
016 このとき大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)(やまひ)()して、017()(かた)閉鎖(とざ)差籠(さしこ)もつてをられた。018鬼熊(おにくま)019鬼姫(おにひめ)満身(まんしん)(ちから)をこめて、020その(しつ)(とびら)(たた)(やぶ)らむとした。021その(こゑ)(おどろ)いて馳集(はせあつ)まりしは竜世姫(たつよひめ)022高杉別(たかすぎわけ)であつた。023たちまち彼我(ひが)のあひだに大格闘(だいかくとう)がはじまつた。024高杉別(たかすぎわけ)(いま)鬼熊(おにくま)のために(ほろ)ぼされむとする(とき)025小島別(こじまわけ)(かけ)(きた)つて、026忠臣蔵(ちゆうしんぐら)加古川(かこがは)本蔵(ほんざう)塩谷(えんや)判官(はんぐわん)抱止(だきと)めたやうに背後(はいご)より無手(むず)()みついた。027()神司(かみがみ)鬼熊(おにくま)()(あし)()みついた。028鬼熊(おにくま)進退(しんたい)(きは)まつて、029鬼姫(おにひめ)(たす)けを(さけ)んだ。030鬼姫(おにひめ)鬼熊(おにくま)(すく)はむとして(はし)りゆかむとするを、031ここに菊姫(きくひめ)(あら)はれて(うしろ)より八尋縄(やひろなわ)(くび)()ちかけ仰向(あふむ)けに(たふ)した。032あまたの女性(じよせい)(むら)がりたかつて鬼姫(おにひめ)(ばく)しあげた。033(とき)しも竹熊(たけくま)中殿(ちゆうでん)より(あら)はれ(きた)りて、034進退(しんたい)(きは)まり身動(みうご)きのままならぬ鬼熊(おにくま)面上(めんじやう)()がけて、035鉄鎚(てつつゐ)打下(うちくだ)した。036()(なが)れて(いづみ)のごとく、037惨状(さんじやう)()もあてられぬ有様(ありさま)である。038かかるところへ(あら)はれ()でたる真澄姫(ますみひめ)039竜世姫(たつよひめ)は、040()ごろの鬱憤(うつぷん)()らし悪心(あくしん)(こら)すは(いま)この(とき)なりと、041女性(をんな)浅果敢(あさはか)にも(よわ)りきつたる鬼熊(おにくま)(いばら)(むち)にてやみくもに乱打(らんだ)打擲(ちやうちやく)する。042一同(いちどう)(たけ)(くる)(さけ)(こゑ)四辺(しへん)洪水(こうずゐ)のごとく(ひび)きわたる。
043 病床(びやうしやう)にありし大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)は、044スワこそ一大事(いちだいじ)勃発(ぼつぱつ)せりと(やまひ)(とこ)をはね()き、045現場(げんば)馳着(はせつ)け、046小島別(こじまわけ)047高杉別(たかすぎわけ)(なだ)め、048かつ鬼熊(おにくま)負傷(ふしやう)懇切(こんせつ)見舞(みま)ふた。049まことに智仁勇(ちじんゆう)兼備(けんび)神将(しんしやう)である。
050 稚姫君(わかひめぎみの)(みこと)沓島(くつじま)神業(しんげふ)()へ、051二柱(ふたはしら)従臣(じゆうしん)(とも)帰城(きじやう)され、052この()光景(くわうけい)(なが)めて(おほ)いに(いか)らせたまひ、053(まゆ)をひそめて、
054鬼熊(おにくま)()ちし無法(むはふ)のものはたれぞ』
055(いろ)をなして詰問(きつもん)された。056このとき鬼熊(おにくま)狼狽(らうばい)のあまり、057その下手人(げしゆにん)(たれ)なるかを()らなかつた。058されど(かれ)邪推(じやすい)(めぐ)らし、
059『わが面体(めんてい)()ちしは(たしか)竜世姫(たつよひめ)060高杉別(たかすぎわけ)061虎彦(とらひこ)「虎彦」ではなく「竹熊」の誤記の可能性もある。この章に「虎彦」という人物は出ず、鬼熊を打ったのは他に竹熊がいる。少し前に次のように書いてある。「時しも竹熊は中殿より現はれ来りて、進退谷まり身動きのままならぬ鬼熊の面上目がけて、鉄鎚を打下した。血は流れて泉のごとく、惨状目もあてられぬ有様である」ならむ』
062血泥(ちみどろ)物凄(ものすご)(かほ)()りたてて奏上(そうじやう)した。063小島別(こじまわけ)鬼熊(おにくま)言葉(ことば)(さへぎ)り、
064(いな)(しか)らず、065小臣(せうしん)はその現場(げんば)目撃(もくげき)せる証神(しようしん)なり。066鉄棒(てつぼう)をもつて()ちしことは竹熊(たけくま)所為(しよゐ)なり』
067と、068言葉(ことば)(ちから)をこめて言明(げんめい)した。
069 稚姫君(わかひめぎみの)(みこと)竹熊(たけくま)(むか)ひ、
070(なんぢ)行動(かうどう)はなはだ暴逆(ばうぎやく)無道(むだう)なり、071(わらは)はいまだ心底(しんてい)より(なんぢ)改心(かいしん)実証(じつしよう)(みと)むる(あた)はず。072(いま)はもはや是非(ぜひ)なし、073神界(しんかい)規定(きてい)にしたがひ(すみやか)()(くに)(そこ)(くに)(くだ)るべし』
074厳命(げんめい)された。075竹熊(たけくま)(くび)左右(さいう)()り、
076否々(いないな)077下手人(げしゆにん)はわれに(あら)ず、078高杉別(たかすぎわけ)以下(いか)所為(しよゐ)なり』
079強弁(きやうべん)した。080小島別(こじまわけ)以下(いか)現場(げんば)実状(じつじやう)目撃(もくげき)せるをもつて、081あくまで竹熊(たけくま)所為(しよゐ)なりと主張(しゆちやう)した。
082 大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)は、
083大神(おほかみ)神業(しんげふ)出嶋(しゆつたう)されし不在中(ふざいちゆう)にかくのごとく不祥事(ふしやうじ)惹起(じやくき)せしめたるは、084(まつた)(わが)不注意(ふちうい)(つみ)なり。085(なに)とぞ(われ)()(くに)086(そこ)(くに)追放(おひや)りて竹熊(たけくま)(つみ)(ゆる)したまへ』
087(なみだ)とともに言上(ごんじやう)された。
088 稚姫君(わかひめぎみの)(みこと)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)慈愛(じあい)(あつ)真心(まごころ)(かん)じ、089諸神(しよしん)にむかつて今後(こんご)(いまし)め、090この()(こと)()事済(ことず)みとなつた。091鬼熊(おにくま)はこの負傷(ふしやう)原因(げんいん)となり、092運命(うんめい)()きて(つひ)落命(らくめい)するにいたつた。093(つま)鬼姫(おにひめ)竹熊(たけくま)非道(ひだう)(いか)り、094(あだ)(はう)ぜむとし、095武熊別(たけくまわけ)とともに(とむら)合戦(がつせん)計画(けいくわく)した。096しかして鬼熊(おにくま)怨霊(おんりやう)()つて、097(つひ)にウラル(ざん)黒竜(こくりゆう)となつた。
098大正一〇・一〇・二六 旧九・二六 外山豊二録)
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