第八章 国生み神生みの段〔一八三九〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第73巻 天祥地瑞 子の巻
篇:第1篇 紫微天界
よみ(新仮名遣い):しびてんかい
章:第8章 国生み神生みの段
よみ(新仮名遣い):くにうみかみうみのだん
通し章番号:1839
口述日:1933(昭和8)年10月10日(旧08月21日)
口述場所:水明閣
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1933(昭和8)年11月22日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:天之道立の神が大幣を振っていると、紫微天界の西南より、一柱の神がやってきた。その姿は、百有余旬の大鰻の姿であり、肌は滑らかで青水晶のようであった。
この神は、太元顕津男の神であり、紫微圏界創造の初めより、大虚空の西南で神業を行っていたのであった。
太元顕津男の神は、西南の空の修理固成を終え、次なる神業を紫微宮の前に額づいて問うた。
すると、高鉾の神、神鉾の神が命じて言うのに、「東北万里の国土に高地秀の峯という、主の神出生の聖地がある。ここにいって紫天界の経綸に従事するように」とのことであった。
善悪美醜が分かれるにつれて妖邪の気が群がり起こっていく現状に、太元顕津男の神は、高地秀の大宮で百日百夜祈ったところ、主の神の託宣があった。
曰く、「汝はこれから、国生み・神生みの神業に仕え、その御樋代として八十の比女神を従わせよう」
この神業は、汚れのない太元顕津男の神に国魂の神々を生ましめて、純粋なる神の種を広めることによって、国の守りとしよう、という主の神の御心だったのである。
記者注:御樋代とは、伊勢神宮において御神体の鏡を奉安する台のことであるが、ここでは太元顕津男の神の種を宿し、また国魂神として各地に奉安するという、比女神の役目を指していると思われる。もちろん、ここで使われている言葉が、もともとの意味であろうが、我々は現在使われている言葉の意味から、元の意味を推測することしかできない。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7308
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 44頁
修補版:
校定版:49頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 天の道立の神は、002紫微の大宮の清庭に立ちて布留辺由良、003布留辺由良と大幣を振り給へば、004紫微天界の西南の空を焦して入り来る神あり。005其の御姿は百有余旬の大鰻の姿にして、006肌滑らけく青水晶の如く、007長大身ながらも拝しまつりて権威の心を起さず、008寧ろ敬慕の念に満たされつつ、009天之道立の神は紫微の大宮に鰭伏して、
010『来ります神は何神なりや』
011と神慮を伺ひまつりけるに、
012『天之峯火夫の神言もちて、013今より来る神は太元顕津男の神』
014と宣らせ給ひぬ。015太元顕津男の神は紫微圏界の成出でし最初にあたり、016大虚空の西南に位置を定め、017百の神業を司り給ひしが、018やうやく大神業を仕へ終へ給ひし折もあれ、019天之道立の神の生言霊の祓ひの神業に感じ給ひて、020此処に寄り来ませるなりき。021太元顕津男の神は横目立鼻の神人と化し給ひ、022大宮の御前に額づきて宣り給はく、
023『我は主の神の神言もちて、024西南の空を修理固成し終れり。025我この後は如何にして神業に仕へまつらむや、026𪫧怜に委曲に事依さし給へ』
027と、028天津誠の言霊をもて祈らせ給へば、029紫微の宮居の扉は再び静に開かれて、030茲に高鉾の神、031神鉾の神、032四辺を紫金色に照させながら、033儼然として宣りたまはく、
034『宜なり宜なり太元顕津男の神よ。035我主の神の神言もちて汝に宣り聞かす事あり、036慎み畏み神業に仕へまつれよ。037是より東北万里の国土に於て天界経綸の聖場あり、038称して高地秀の峯といふ。039この高地秀の峯こそ我主の神の出でませし清所なれば、040汝は一時も早く高地秀の峯に下りて紫天界の経綸に仕へまつれ。041八百万の神を汝に従へて其の神業を助けしめむ』
042と、043右手に大幣を打ちふり、044左手に百成の鈴を打ちふり給ひつつ、045殿内深く隠れ給ひぬ。046茲に太元顕津男の神は天之道立の神に深く感謝の意をのべながら、047時遅れじと再び長大身に還元しつつ、048光線の速さよりも速く、049見る見る姿を隠させ給へり。
050 太元顕津男の神は、051天の高地秀の山に下り給ひつつ、052茲に造化の三神を斎ひ祭り、053朝な夕に誠心の極みを尽し、054言霊の限りを竭して、055天界の平和幸福を祈らせ給ふ。056紫微圏界に坐す主の大神の御稜威によりて、057平らけく安らけく清く明けく治まりたれども、058百万里東方の国土は未だ神徳に潤はず、059漸く妖薜の気群がり起り、060神々は水火の呼吸の凝結より漸く愛情の心を起し、061神生みの業は日々に盛になりたれども、062善悪相混じ美醜互に交はる惟神の摂理によりて、063遂に混濁の気国内に満ち、064万の禍群れおきむとせしを甚く歎かせ給ひ、065高地秀の大宮に百日百夜間断なく祈り給へば、066主の神はここにも再び現れまして神言厳かにのたまはく、
067『汝是より国生み、068神生みの神業に仕へまつれ。069其の御樋代として八十の比女神を汝に従はしめむ』
070と宣り給へば、071太元顕津男の神は主の神の神宣のあまりの畏さに、072応へまつる言葉もなく、073宮の清庭に鰭伏して直ひたすらに驚き打ち慄ひ給ひける。
074 主の神より太元顕津男の神に対し八十比女神を授け給ひしは、075神界経綸につきて深き広き大御心のおはしますことなりけり。076天界に於ても漸く茲に横目立鼻の神人現れ、077愛欲に心乱されて至善至美至愛の天界も濁り曇らひければ、078其汚れを払はむとして至善、079至美、080至粋、081至純、082至仁、083至愛、084至厳、085至重の神霊を宿し給ふ太元顕津男の神に対して、086国魂の神を生ましめむとの御心なりける。087譬へば醜草の種は生え安く茂り安くして世に寸効もなく、088道を塞ぎ悪虫を生じ足を容るる処なきまでに至るを憂ひ給ひて、089至粋至純なる白梅の種を植ゑ広めしめむと、090八十比女神を御樋代に、091国の守りと国魂神を生ませ給はむ御心なりける。092曇り乱れの種を天界に蒔き広むる時は益々曇り乱れ、093遂には神明の光も知らざるに至るものなり。
094(昭和八・一〇・一〇 旧八・二一 於水明閣 加藤明子謹録)