第三三章 四馬の遠乗〔一八六四〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第73巻 天祥地瑞 子の巻
篇:第3篇 東雲神国
よみ(新仮名遣い):しののめしんこく
章:第33章 四馬の遠乗
よみ(新仮名遣い):しばのとおのり
通し章番号:1864
口述日:1933(昭和8)年10月18日(旧08月29日)
口述場所:水明閣
筆録者:森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:1933(昭和8)年11月22日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:顕津男の神にしたがってきた五柱の神々は、それぞれ、顕津男の神の言葉(神言=みこと)によって、東雲の国での役割を与えられる。
大物主神は館に留まって顕津男の神を補佐する。
明晴の神は東、照男の神は西、真澄の神は北、近見男の神は南を廻って国を治めるよう、任命される。
神々はそれぞれ、顕津男の神の意に応えようと、旅立ちの前に決意の歌を歌う。そして、館に残る顕津男の神、世司比女の神、大物主の神、河守比女の神が見送りの歌を歌う。
四柱の神々は白馬にまたがり、勇ましく四方に旅立っていく。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7333
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 132頁
修補版:
校定版:369頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 茲に大物主の神は顕津男の神の御側近く仕へ、002玉泉郷に留り給ひ、003近見男の神、004真澄の神、005照男の神、006明晴の神は各も各も東雲国の東西南北を受持ち、007国造りの神業に仕へ給ひぬ。
008 顕津男の神は五柱の神を御側近く招きて依さし給はく、
009『大物主神は館に留りて
010わが神業を補ひ奉らへ
011明晴の神は東に出でまして
012神の御子等を導き給へ
013照男の神は西の国をば経廻りて
014神を生かせよ国を照せよ
015北の国を拓かせ給へ天も地も
016真澄の神の貴の功績に
017高照の山の姿も明らけく
018近見男の神は南方を守らへ』
019 茲に顕津男の神の神言畏みて、020五柱の神は各々依さしの方に向はむとして御歌詠み給ふ。
021『大物主神の神言は比古神の
022神言かしこみ近く仕へむ
023美し御子生れます迄は動かじと
024こころ定めし大物主よ
025瑞御霊月の満干はありとても
026吾は変らじ道に仕へて
027東雲の国は爽けし吹く風も
028やはく清しく木の実はみのる
029国原に生ひ立つ大物主の神
030栄え守らむ幾世の末まで』
031と大物主の神は御歌もて答へ給ひぬ。
032 茲に明晴の神は御歌詠まし給ふ。
033『東の御空はここに明晴の
034神は進みて国造りせむ
035東雲の神の御国の東を
036拓けと宣りし畏き神はや
037いざさらば東をさして上るべし
038吾行く旅に神の幸あれ
039比古神の依さしに報い奉らむと
041玉泉これの館にかがやける
042瑞の御霊よ安くましませ
043高照の山は雲井に隠るべし
044遠く東の国に向へば
045日向河清き流を伝ひつつ
046吾は進まむ東の国へ
047河守比女賜ひし白き駿馬に
048跨り行かむ旅路はるけく』
049 顕津男の神は謡ひ給ふ。
050『明晴の神の雄々しき言の葉よ
051主の大神も勇み給はむ
052駿馬の背に跨り出で立たす
053明晴の神の姿雄々しも』
054 世司比女の神は謡ひ給ふ。
055『玉泉館を後に駒の背に
056鞭ち給ふ神ぞ雄々しき
057明晴の神はいそいそ駿馬に
058跨り荒野を鞭たすらむ』
059 大物主の神は、060明晴の神の出立ち給ふ御姿を遥に打眺めつつ謡ひ給ふ。
061『駿馬の足並速し明晴の
062神の御姿野辺に霞みつ
063駿馬に鞭たしつつ出でましぬ
064すがた勇し明晴の神
065明晴の神の東に廻りませば
066天地ますます晴れ渡るべし
067比古神の神言畏み出で立たす
068神の心に吾涙湧きぬ
069勇しく出で立ち給ふ御姿に
070称への言葉吾無かりける』
071 近見男の神は依さしの儘に南の国を拓かむとして、072白馬に跨り声勇しく謡ひ給ふ。
073『顕津男の神比女神よいざさらば
074吾は南に鹿島立ちせむ
075比古神の依さしの言葉片時も
076吾は忘れず国を拓かむ
077春風に送られながら南の
078国に向はむ吾ぞ勇し
079玉泉写らす月も今日よりは
080拝むよしなし名残惜しくも
081月と月見逢ひて御子を孕ませる
082これの館を吾は去り行く
083二柱初め大物主の神
084河守比女よ健かに坐せ
085南の国原遠くさかるとも
086岐美は忘れじ束の間さへも
087いざさらば大物主よ朝夕を
088仕へて御子を育み給へ
089河守比女神の神言よ世司の
090比女神近く守らせ給へ』
091と御謡詠ましつつ白馬の背にひらりと飛び乗り、092蹄の音もカツカツと鬣を春風に靡かせ給ふ。093其雄々しき御姿を見送り見送りつつ、094顕津男の神は御歌詠ませ給ふ。
095『勇しき出立ちなるかも近見男の
096駒にむちうち立たす国原
097南の国に渡らひ神々を
098導き給ふ神業偲ばゆ
099近見男の貴の言霊鳴り鳴りて
101 大物主の神も謡ひ給ふ。
102『近見男の神は南に出でましぬ
103白銀の駒に鞭たせつつ
104白梅の非時香る大野原
105鞭たすかも近見男の神は』
106 世司比女の神は謡ひ給ふ。
107『勇しき近見男の神の姿かな
109大野原紫にかすみ白梅は
110四方に香りて迎へ奉らむ
111勇しく雄々しくませる近見男の
112神の功績を今よりぞ知る
113この館に比古遅の神と籠り居て
114神業のなるを祈り奉らむ』
115 河守比女の神は謡ひ給ふ。
116『日向河限りに此の国原を
117今日まで吾は守りこしはや
118近見男の神は南を拓かすと
119聞けば嬉しも吾魂安し
120西東南北なる国原も
121安く拓けむ四柱の神に
122今日よりは四柱の神を力とし
123心安けく館に仕へむ』
124 茲に照男の神は依さしの儘に出で立たむとして白馬に跨り、125庭上に立ちて別れの御歌詠まし給ふ。
126『月読の御霊と生れます比古遅神に
128高照の山の麓の国々を
129拓かむとして吾は行くなり
130玉泉いや永久に清らけく
131澄みてましませ二柱の神
132大物主神の神言よいざさらば
133幸くあれませ館に仕へて
134世司の比女神心安らけく
135御子生みまして弥栄えませ
136河守比女の神の賜ひし駿馬に
137われ跨りて西に向はむ
138月も日も朝夕浮ぶ玉泉
139今日を名残と吾は行くなり』
140 斯く謡ひ終るや、141ひらりと馬背に跨り二つ三つ鞭を加へて、142トウトウと高照山の方向さして駆け出し給ふ。
143 顕津男の神は、144照男の神の勇ましき姿を遥に見送りながら、
145『駿馬の足はやみかも大野原
146靄にかくれし照男の神はも
147高照の山の麓の神々も
148安く栄えむ此の神いまさば』
149 世司比女の神は御歌謡ひ給ふ。
150『勇ましき神の姿よ駿馬の
152目路の限り霞む大野を駆けて行く
153駒の蹄の音ひびくなり
154高照の山は白雲帯にして
155白馬の神を迎へ奉らむ』
156 大物主の神は御歌謡ひ給ふ。
157『駿馬の早御姿は隠ろひぬ
158照男の神の勇ましき旅
159千万の名残を後に勇ましく
160照男の神は出で立ちにけり
161高照の山も照男の神まさば
162醜の大蛇も籠り得ざらむ』
163 河守比女の神は御歌謡ひ給ふ。
164『月も日も清く照男の神司
165西の御国に出でましにけり
166吾魂と贈りし駒に跨りて
167出でます姿雄々しかりける
168吾魂は駒にいつきて西の国を
169安く守らむ神司と共に』
170 真澄の神は北の国を拓き給はむと、171諸神に暇をつげ立出むとして駒の背に跨りながら、172左手を頭上に翳しつつ御歌詠まし給ふ。
173『かかる世に太元顕津男の神よ
174いざいざ立たむ真澄神吾
175御子生みの神業を確に終へ給ふ
176神の功績ぞ尊かりける
177貴の御子宿らせ給ふと村肝の
178心安らぎ吾は出で行く
179世司の神よ朝夕心して
180御腹の御子を守らせ給へ
181大物主神の神言よ二柱の
183河守の比女の真言に貴の御子
185日向河中に拓かむ北の国
186天地真澄の清所となさばや
187いざさらば館を守る神々よ
188吾は進まむ北方の国へ』
189と謡ひ終り駒の頭を立て直し一鞭あてて鈴の音も勇ましくシヤンコシヤンコと立ち出で給ふ。
190 顕津男の神は別れを惜しみて御歌詠まし給ふ。
191『勇ましく真澄の神は出でましぬ
192館の神に心のこしつ
193朝夕に我を守りし神々の
194其大方は出で立ちましぬる
195四柱の神は遥けく出でまして
196何か淋しき此の館かも
197北の国に真澄の神の出でまさば
198頓に栄えむ山も大野も
199駿馬に鞭ち立たす御姿は
200日向の河の早瀬に似たるも
201我言葉反き給はず四柱は
202先を争ひ出でましにける』
203 世司比女の神は御歌詠まし給ふ。
204『四柱の神の立たせし此館は
206やがて今美しき国を造り終へ
207かがやき給はむ日こそ待たるる』
208 大物主の神は御歌詠ひ給ふ。
209『比古神に従ひてこし五柱の
210神四柱は出でましにけり
211四柱の神に別れて吾は今
212近く仕へむ二柱の神に
213東雲の国は今日より弥栄に
214拓け栄えて果しなからむ』
215 河守比女の神は又謡ひ給ふ。
216『四柱の神勇ましく出でましぬ
217此の国原を拓かむとして
218此館に豊に太豊に鎮まりて
219国造りませ瑞の御霊よ』
220(昭和八・一〇・一八 旧八・二九 於水明閣 森良仁謹録)