第一一章 紫微の宮司〔一八四二〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第73巻 天祥地瑞 子の巻
篇:第1篇 紫微天界
よみ(新仮名遣い):しびてんかい
章:第11章 紫微の宮司
よみ(新仮名遣い):しびのみやつかさ
通し章番号:1842
口述日:1933(昭和8)年10月10日(旧08月21日)
口述場所:水明閣
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1933(昭和8)年11月22日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:天之道立の神は、主の大神の命によって紫天界の西の宮居の神司となった。そして、あまねく神人の強化に専念し、天津誠の教えを説き諭した。
一方、太元顕津男の神は、東の高地秀の宮の神司となり、右手に剣、左手に鏡をかざし、霊界における霊魂・物質両面の守護に任じられた。
天之道立の神は個別の神々の誠について教え、太元顕津男の神は宇宙万有に対しての教化をつかさどっていた。天之道立の教えは平易にして耳に入りやすいものであったが、太元顕津男の教えは、範囲が広大で小事に関わらないため理解しがたく、結果、配下の神々の中からも反抗者が現れてきた。
この状況を顕津男の神は嘆いて三十一文字の歌を歌った。
曰く、厳霊である西の宮(天之道立)の教えは凡神の耳に入りやすく、東の宮(顕津男)の教えは悟り難い。
自分が八十柱の比女神を従えていることを、国魂神の神業を理解しない凡神たちは非難している。
それどころか、自分の身近にいる八柱の比女神の中にも、主の神の経綸を知らない者がいる。
罪汚れのないと思われた天国にも、怪しいことに醜神が現れ出した。私は惟神真言の道を行き、邪神の荒ぶる世に勝とう。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:天之道立の神(天の道立の神、天の道立男の神)
データ凡例:
データ最終更新日:2018-10-28 17:48:32
OBC :rm7311
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 51頁
修補版:
校定版:73頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 天の道立の神は茲に主の神の大神言をもちて、002紫天界の西の宮居の神司となり、003遍く神人の教化に専念し給ひ、004天津誠の御教を𪫧怜に委曲に説き給ひ、005太元顕津男の神は東の国なる高地秀の宮に神司として日夜奉仕し給ひ、006右手に御剣をもたし左手に鏡をかざしつつ、007霊界に於ける霊魂、008物質両面の守護に任じ給ひたれば、009其神業に於て大なる相違のおはす事はもとよりなり。010如何に紫微天界と雖も清浄無垢にして至賢至明なる神人数多おはさざれば、011其統制につきては、012いたく神慮を難ませ給ひたり。
013 天の道立の神は個神々々についての誠を教へ給ひ、014太元顕津男の神は宇宙万有に対しての教化を司り給ひけるが、015西の宮の教は意外に凡神の耳に入り易く、016且つ誠を誠として認め得るに反して、017東の宮の御教は範囲広大にして小事に関はらず、018万有修理固成の守護なれば、019いづれも凡神の耳に入り難く、020遂には配下の神々の中よりも反抗者現れ来りて、021顕津男の神をなやまし奉る事一再ならざりける。022顕津男の神は表に個神の悟り得べき西の宮の教を唱導し、023聰明なる神人に対しては天下経綸の大業を説き明したまへば、024其苦心又一方ならざりき。
025 顕津男の神は高地秀の峰に上り御代を歎きつつ、026御声さへも湿らせて三十一文字の言霊を宣らせたまふ。027其御歌。
028『東の空より輝く天津陽も
029西に傾く神代なりにけり
030ふき荒ぶ醜の嵐をなごめむと
032大神の神旨にそむくよしもなく
034よしあしの真言のもとを白浪の
035漂ふ世こそ淋しかりけり
036厳御霊西の宮居の御教は
037凡神達の耳に入るなり
038東の宮の教は凡神の
039悟り難きぞ惟神なる
040大宇宙現れ出でし昔より
041今に苦しき我なりにけり
042長き世を経綸の為めに苦しみて
043泣きいさちつつ今に及べり
044八十比女を我持たせれば凡神は
045経綸を知らず言挙げなすも
046八十比女の御樋代なくば如何にして
047此天界をひらき得べきや
048主の神の神言かしこみ凡神の
049嘲り譏りに忍びつつ居る
050永久に神国を立つる礎は
051国魂神を生むより外なし
052ももさらふ蟹の横さの道もある
053神代に我は正道をゆく
054大なる真言の道は凡神の
055目に入り難く諾ひ難し
056千万に心くだきて高地秀の
057宮に朝夕仕へまつるも
058万世の末の末までわが魂は
059若返りつつ世の為めいそしむ
060凡神には西の道説き賢神に
061東の道を説くはせわしも
062わが身近く侍る妻さへ主の神の
063真言の経綸知らぬ淋しさ
064わが近く仕ふる八人の比女神の
065中にも我を悟らぬ神あり
066凡神の心の暗に乗じつつ
067醜の曲霊はかき廻すなり
068一日だも祓ひの言葉宣らざれば
069忽ち乱れむ此天界は
070さしのぼる天津日光も時折は
071黒雲つつむと思ひて忍ぶも
072経緯の神の経綸も知らずして
073さわぎ廻るも凡神の群
074成し遂ぐるまでは心をゆるめじと
075思ひつ辛き我身なりけり
076果しなき此天界を治めむと
077心矢竹にはやる我なり
078まことにも大中小の差別あり
079凡神大なる真言を知らず
080上根の御魂の神に非ざれば
081わが説く真言はみとめ得られじ
082中根の神はわが身の経綸をば
083言葉喧しくさやぎ廻るも
084さりながら諭せば諾ふ中根の
086上根の御魂少く中根の
087御魂もあまり多からぬ神代
090うるさしと言ひて捨てなば凡神の
091安きを守る道は立たなく
092愛善の真言の心ふりおこし
094玉の緒の命死せむと思ふまで
095幾度我は心をなやめし
096曲津みたまを真言の魂に甦し
097授けむとする我は苦しも
098主の神の至純至粋の言霊に
100朝夕に妖邪の空気払はねば
101この天国は暗世とならむ
102大神の神言かしこみ大宮を
103玉と鉾との光に守らむ
104わが身には左守右守の神もなく
105独り淋しく世を開くなり
106比女神は数多あれども今すぐに
108御祭に仕へまつらむ暇もなく
109我は神国をかけ廻りつつ
110神まつる司の神は沢あれど
111わが神業を助くる術なし
112直接のわが神業を助け守る
113神の出でまし待つぞ久しき
114鬼大蛇醜女探女も日に月に
116果しなき紫微天界の神業に
117仕へて朝夕身魂砕きつ
118久方の天の道立男の神の
119教生かしてなやむ我なり
120此国に真言の道を知る神の
122主の神に朝夕を祈れども
124高地秀の尾上は如何に高くとも
126主の神の造りたまひし天国の
127司よ今日より我は歎かじ』
128 斯くの如く顕津男の神は肝むかふ心の鉾をとり直し、129大勇猛心を発揮し、130国向けの鉾をとらし給ひ、131大善の道に進ませ給ひぬ。
132『罪汚れ無しと思へる天国も
133醜の仇雲たつぞ怪しき
134惟神真言の道をふみしめて
135邪神の荒ぶ世に我勝たむ』
136(昭和八・一〇・一〇 旧八・二一 於水明閣 加藤明子謹録)