第三〇章 日向の河波〔一八六一〕
インフォメーション
著者：出口王仁三郎
巻：霊界物語 第73巻 天祥地瑞 子の巻
篇：第3篇 東雲神国
よみ（新仮名遣い）：しののめしんこく
章：第30章 日向の河波
よみ（新仮名遣い）：ひむかのかわなみ
通し章番号：1861
口述日：1933（昭和8）年10月17日（旧08月28日）
口述場所：水明閣
筆録者：白石恵子
校正日：
校正場所：
初版発行日：1933（昭和8）年11月22日
概要：
舞台：
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です（一部加筆訂正してあります）。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]：顕津男の神は、大物主の神、真澄の神、明晴の神、近見男の神、照男の神の五柱を伴い、東の国への途上、日向（ひむか）河の流れにさえぎられ、一行はどうやって渡ろうかと思案にくれている。
すると、日向河を左右に割って、白馬にまたがり現れた女神があった。河守の女神は一行に敬意を表し、六頭の天の白駒を献上した。
一同がそれぞれ感謝の歌を詠うと、女神は自分は河守比女であり、顕津男の神が河を渡ると聞いて、馬を用意して待っていた、と明かす。
一行は河守比女が割った河を渡り、森の中にある比女の館に招かれた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]：
備考：
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データ凡例：
データ最終更新日：
OBC ：rm7330
愛善世界社版：
八幡書店版：第13輯 118頁
修補版：
校定版：318頁
普及版：
初版：
ページ備考：
002太元顕津男の神は 003真澄の神の空清く 004東の空も明晴の 007高照山の聖場に 008別れを告げて出で給ふ 009天津日は照る月は冴ゆ 011高く紫雲をぬき出でで 012天国浄土のありさまを 013紫微天界の遠近に
015 ここに顕津男の神は、016五柱の神と共に高照山を西に眺めつつ、017東の国を治め、018国魂神を生まむと、019心いそいそ出で給へば、020日向河の流は前途に横はり、021一行の神々は如何にして此の広河を渡らむかと、022暫し思案にくれながら、023各も各もに御歌詠まし給ふ。
024 顕津男の神の御歌、
025『見渡せば限りしられぬ広河の
027高照の峰より落つる日向河
028春をたたへて青く流るる
029高照山あとふりかへり眺むれば
030紫の雲尾根に湧き立つ
031主の神の稜威も清く澄みきらふ
032高日の宮を我出でにけり
033日向河水瀬はいかに強くとも
034瑞の言霊宣りて渡らむ
035言霊の幸ひ助くる神国なれば
036この激流も何のものかは』
037 大物主の神はまた御歌詠ませ給ふ。
038『天を摩す高照山の木々の露
040日向河水の勢ながめつつ
041滝の大蛇を思ひ出づるも
042月も日も清く流るる日向河を
043われ渡らばや言霊の舟に
044青々と底ひもしらぬこの流
045月を浮べつ日を沈めつつ
046この水は四方に流れて国原の
047百の草木を生かしこそすれ
048瑞御霊恵みの露の集りて
049この日向河は生り出でにけむ
050せせらぎの音たかだかと響くなり
051高照山ゆ落つるながれは
052瑞御霊ここにいませば底深き
053日向の河も安く渡らむ』
054 真澄の神はまた謡ひ給ふ。
055『澄みきらふ天地の中にすみすみて
056流るる日向の河は清しも
057わが眼路の届かぬまでに広々と
058流れはげしき日向河はも
059この河の瀬々の流れは澄みきらふ
061われは今瑞の御霊に従ひて
062神業の為来りけるかも
063神業の道に横ふ日向河
064深きは神の心なるらむ
065高照の山の霊気の滴るか
066この河水は真澄みたるかも』
067 明晴の神は御歌詠まし給ふ。
068『滔々と流るる水のはてしなきは
069神の稜威の現はれなるらむ
070渡らはむ橋さへもなきこの河を
071見つつ岸辺に吾は立ち居り
072久方の天津神たち聞召し
073わが通るべく河水干させよ
074如何にして吾はこの河渡らむと
076月も日も波間に浮ぶこの河を
077渡らむ術のなきぞ悔しき
078国魂の神を生ませる神業ぞ
079心しあらば河よ退け
080清きあかき正しき真の言霊も
081この河神は聞召さずや』
082 近見男の神は御歌詠ませ給ふ。
083『岸を洗ふ水の流れは高くとも
084神の恵みに渡らむとぞ思ふ
085よしやよし水の藻屑と消ゆるとも
086何か恐れむ神の身われは
087国魂の神生みまする旅立に
089今しばし生言霊を宣り上げて
090河守る神を言向和さむ
091久方の主の大神の神言もて
092国造ります瑞御霊ぞや
093瑞御霊めぐみの露の集りて
094日向の河の生れしを知らずや
095河守の神よ日向の河水よ
096心しあれば吾言霊を聴け』
097 照男の神は謡ひ給ふ。
098『月も日も照男の神は此処にあり
099河守の神にものを申さむ
100久方の天の高日の宮司
102天は高くまた広くして限りなし
103日向の河は帯より狭しも
104この狭き河の流れを行きなやむ
105われ神ながら恥かしみ思ふ
106広くとも天地の広さに比ぶれば
107ものの数かは日向の流は』
108 六柱の神々は、109日向河の岸辺に立ち、110御歌うたひながら、111茫然として行き悩ませ給ふ折しもあれ、112日向河の水瀬を左右に割りて、113白馬に跨り現れ給ふ女神あり。114後方に六頭の駒を従へながら、115波を押し分け此方に向かつて進み来るあり。116顕津男の神はこの体を見て喜ばせ給ひ、
117『あな尊瑞の言霊現れて
118河守の神生れましにけり
119河守の神の勲を今ぞ知る
120ひかせる駒の迅さ清さよ』
121 かく謡ひ給ふ折しも、122河守の神は忽ち岸辺に、123駒諸共駈け上り給ひ、124ひらりと飛び下り、125六柱の神の前に敬意を表しながら、
126『主の神の霊に生り出で給ひたる
127瑞の御霊にものを申さむ
128われこそは日向の河を朝夕に
129守り仕ふる比女神なるぞや
130瑞御霊国魂神を生まさむと
131今日の旅立ち待ちわびにつつ
132この駒に早く召しませ日向河の
133流も暫しせきとめて見む』
134 ここに顕津男の神は感謝しながら、
135『ありがたし忝しと申すより
136吾が言の葉は出でざりにけり
137河守の神のいさをの尊さに
139白銀の春駒の背に跨りて
140われは越えなむ日向の流を』
141 大物主の神は謡ひ給ふ。
142『河守の神のいさをぞ尊けれ
143六つの駒までひかせ給ひつ』
145『この駒は御供の神に参らする
146天の白駒安く召しませ』
147 真澄の神はまた謡ひ給ふ。
148『白駒の嘶く声を聞きしより
149日向の河の流割れつつ
150河底ゆ駒ひきつれて生れませる
151河守の神は貴の比女神』
152 近見男の神はまた謡ひ給ふ。
153『河守の比女神たちの真心に
155河守の比女のみことよ瑞霊を
156守りて彼岸に送りたまはれ』
157 明晴の神は御歌詠まし給ふ。
158『なやみてし心も今や明晴の
160河守比女神の神言のはからひに
161この速河を安く渡らむ』
162 照男の神は御歌うたひ給ふ。
163『大空に月日照男の神ながら
165主の神に瑞の言霊宣り上げて
166河守神の出でまし待ちしよ』
167と何れの神も、168感謝の意を表し給ふ。169河守の神はにこやかに、170御歌もて答へ給ふ。
171『われこそは瑞の御霊の御心の
172水火より生れし河守比女よ
173この河を岐美渡らすと聞きしより
174駒を並べて待ち居たりける
175この駒は駒野ケ原にわが飼ひし
176万里の駒よ足元迅し』
177 かく謡ひ給ひ、178真つ先に乗り来し駒に再び跨り給へば、179顕津男の神を初めとし、180五柱の神はつぎつぎ馬背に跨り、181せきとめられし広河を、182駒の蹄の音も勇ましく、183一文字に彼方の岸に着き給ひける。
184 ここに河守比女の神は、185馬上より一行の神を見返りながら、
186『日向河水あせにつつ瑞御霊
187渡しまつりぬいざ河満てよ』
188と、189宣り給ふや、190暫くせきとめられし河水は、191一度にどつと両岸を浸しつつ、192渦巻き立ちて流るるさま、193実に凄じく見えにける。194河守の神は馬上より、195遥か彼方の森林を指ざし乍ら、
196『見の限り広き大野の末にして
198いざさらば瑞の御霊よ百神よ
199わが家に来りて暫し休ませ
200言霊の神の稜威に照らされて
202と御歌うたひつつ先に立たせ、203遥か彼方の森蔭さして急ぎ給ふ。204大物主の神は馬上豊かに謡ひ給ふ。
205『高日の宮を立ち出でて 206大山小山打ち渡り 207小川の数々うち越えて 210水瀬はげしく底深く 213神々ともに岸に立ち 220河守比女の神司 221白馬に跨り悠々と 222六つの白駒引きつれて 228河守比女の後より 232日向の河の河水は 234立てつつ岸を洗ひ行く 237一入強く感じけり 239河守比女の神館 241深き経綸を諾ひつ 242瑞の御霊に従ひて 245御霊幸倍坐世よ』
246 ここに瑞の御霊顕津男の神の一行六柱は、247漸く河守比女の神館に駒を下り、248奥庭深く入り給ふ。249ああ惟神霊幸倍坐世。
250（昭和八・一〇・一七 旧八・二八 於水明閣 白石恵子謹録）
霊界物語.ネット～出口王仁三郎 大図書館～