霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二九章 無花果(いちじゆく)〔一八六〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第73巻 天祥地瑞 子の巻 篇:第3篇 東雲神国 よみ(新仮名遣い):しののめしんこく
章:第29章 無花果 よみ(新仮名遣い):いちじく 通し章番号:1860
口述日:1933(昭和8)年10月17日(旧08月28日) 口述場所:水明閣 筆録者:内崎照代 校正日: 校正場所: 初版発行日:1933(昭和8)年11月22日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
顕津男の神は、大御母の神、眼知男の神、味豊の神、輝夫の神を高日の宮の神司と定めた。
一方、大物主の神、近見男の神、真澄の神、照男の神を伴って(次の章では明晴の神も加えて五柱になっている)、天の白駒にまたがって旅立った。
大御母の神は、美玉姫の命を主の大神の御霊と崇め奉り、その成人を待っていた。大御母の神は、眼知男の神、味豊の神を伴い、花の咲きにおう野原に美玉姫の命と野辺遊びをはじめた。
味豊の神は、無花果の実を腕いっぱいにもいで、美玉姫の命の前に捧げ置いた。姫はその中の一つをとって口に入れると、たちまち背は高く伸び上がり、成人してしまった。
大御母の神、味豊の神は感嘆のあまり、喜びの歌を詠った。
美玉姫の命は詠った:自分は月の世界より生まれたので、成長が早いのだ。また、月の露を浴びて育った無花果が自分の体を生かす食べ物である。これより、高日の宮の司となろう、と。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7329
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 113頁 修補版: 校定版:300頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 (ここ)高日(たかひ)(みや)神司(かむづかさ)太元(おほもと)顕津男(あきつを)(かみ)は、002()(かみ)(いづ)言霊(ことたま)かかぶりて(たけ)(こころ)(こま)()(なほ)し、003大御母(おほみはは)(かみ)004眼知男(まなこしりを)(かみ)005味豊(あぢとよ)(かみ)006輝夫(てるを)(かみ)高照山(たかてるやま)(ふもと)007高日(たかひ)(みや)神司(かむつかさ)(さだ)()きて、008大物主(おほものぬし)(かみ)009近見男(ちかみを)(かみ)010真澄(ますみ)(かみ)011照男(てるを)(かみ)(ともな)ひ、012(あめ)白駒(しろこま)(また)がり、013国魂神(くにたまがみ)()まばやと、014(こころ)いそいそ()(たま)ふ。
015 (ここ)大御母(おほみはは)(かみ)美玉姫(みたまひめ)(みこと)を、016()大神(おほかみ)御霊(みたま)(あが)(まつ)り、017(あさ)(ゆふ)なに(こころ)をこめて(そだ)てはぐくみ(つか)(まつ)り、018()成人(せいじん)()(たま)ひける。019大御母(おほみはは)(かみ)大御前(おほみまへ)(かしこ)まり(うづ)言霊(ことたま)(とな)(たま)ひて、020八尋殿(やひろどの)清庭(すがには)()り、021(たま)御池(みいけ)(みそぎ)(しう)(たま)ひ、022(こころ)(きよ)(ほがら)かに(うた)(たま)ふ。023その御歌(みうた)
024久方(ひさかた)(そら)(あふ)げばかぎりなく
025(たか)(ひろ)しも(かみ)のまにまに
026(かぎ)りなき(ひろ)天地(てんち)(かみ)()りて
027われは(ちひ)さき(こと)をおもはめ
028高照(たかてる)(やま)はいかほど(たか)くとも
029(てん)(たか)さに(およ)ばざるべし
030高照(たかてる)(やま)非時(ときじく)(くも)()きて
031水火(すゐくわ)呼吸(いき)(かぜ)(ひか)るなり
032ときじくに(はな)()(みの)高照(たかてる)
033(やま)姿(すがた)雄々(をを)しきろかも
034屹然(きつぜん)(てん)(そび)ゆる高照(たかてる)
035(やま)のいかしき(こころ)もたばや
036瑞御霊(みづみたま)これの聖地(せいち)()()でで
037いづれの(くに)(かみ)()ますらむ
038(つつし)みて美玉姫(みたまひめ)(みこと)(そだ)てむと
039(あさ)(ゆふ)なをおもへば(たの)しき
040瑞御霊(みづみたま)(ひめ)(みこと)をあとにして
041(たび)にたたせるその雄々(をを)しさよ
042瑞御霊(みづみたま)いまさぬこれの大宮(おほみや)
043われは(かは)りて朝夕(あさゆふ)(まも)らむ
044(こま)()めて(みづ)御霊(みたま)()でましぬ
045(そら)(つき)()(わた)()
046大前(おほまへ)祝詞(のりと)(まを)せば(すが)しけれ
047()大神(おほかみ)にまみゆる心地(ここち)
048(くに)()(かみ)()ませる神業(かむわざ)
049(うづ)のはたらきおもへば(かしこ)
050われは(いま)(こころ)(こま)()(なほ)
051(みづ)御霊(みたま)(かみ)をうべなふ』
052 眼知男(まなこしりを)(かみ)清庭(すがには)()ち、053(みそ)(をは)りて(うた)(たま)ふ。
054玉池(たまいけ)(きよ)(かがみ)(うつ)りたる
055(つき)をし()れば岐美(きみ)(しの)ばゆ
056(あま)わたる(つき)(うつ)せし(たま)(いけ)
057(みづ)御霊(みたま)(かがみ)なるらむ
058朝夕(あさゆふ)(つか)(まつ)りし瑞御霊(みづみたま)
059(いま)はいづくの(はて)にますらむ
060大御母(おほみはは)(かみ)(いさを)(いま)ぞしる
061(ひめ)(みこと)(はぐく)みましつつ
062みいさをも高日(たかひ)(みや)神司(かむつかさ)
063大御母(おほみはは)(かみ)(つか)へまつらむ
064大御母(おほみはは)(かみ)高日(たかひ)大宮(おほみや)
065(うづ)三柱(みはしら)けがさじとおもふ
066厳御霊(いづみたま)いづの(をしへ)にかたよりて
067(みづ)御霊(みたま)無視(なみ)せしを()
068今日(けふ)よりは(こころ)のくもり()(はら)
069あしたゆふべを神言(かみごと)()らむ
070言霊(ことたま)(さちは)(かみ)(くに)なれば
071われ一日(ひとひ)だも(おこた)るべけむや
072(つき)()高照山(たかてるやま)神奈備(かむなび)
073(つか)へて(こころ)くもらふべきやは
074高照(たかてる)(やま)()()(むらさき)
075(くも)こそ(かみ)(こころ)なるらむ
076朝夕(あさゆふ)月日(つきひ)(ひかり)あび(なが)
077高照山(たかてるやま)紫雲(しうん)たち()つ』
078 輝夫(てるを)(かみ)(うた)(たま)ふ。
079朝夕(あさゆふ)をみたま輝夫(てるを)(かみ)ながら
080いつか(こころ)のくもらひを()
081瑞御霊(みづみたま)いまさぬ今日(けふ)(つつし)みて
082この大宮(おほみや)(つか)(まつ)らむ
083(きよ)きあかき(まこと)(こころ)をみがきつつ
084(つか)(まつ)らむ(かみ)のみ(まへ)
085一日(ひとひ)だに厳言霊(いづことたま)をおこたらば
086この国原(くにはら)はくもらひ(みだ)れむ
087言霊(ことたま)(ちから)によりて()れし(くに)
088(あした)(ゆふ)べの(いの)りわすれじ』
089 味豊(あぢとよ)(かみ)はまた(うた)(たま)ふ。
090足曳(あしびき)山野(やまぬ)()()味豊(あぢとよ)
091(かみ)のみ()こそめでたかりける
092言霊(ことたま)(ひかり)によりて()れませる
093天津国(あまつくに)なり天津(あまつ)(かみ)なり
094(われ)もまた()(かみ)うしはぐ高天(たかあま)
095アの言霊(ことたま)()れし(かみ)なり
096天界(てんかい)(はじ)めて(みこと)()れましぬ
097(みづ)御霊(みたま)比女神(ひめがみ)のなかに
098美玉姫(みたまひめ)(かみ)(みこと)はめづらしも
099この天界(てんかい)身体(からたま)もたせば
100想念(さうねん)世界(せかい)もつぎつぎ物質(ぶつしつ)
101(くわ)して(さか)えむ言霊(ことたま)(さち)に』
102 天界(てんかい)現象(げんしやう)意志(いし)想念(さうねん)世界(せかい)にして、103(あい)情動(じやうどう)()ちたれば、104(あまね)国土(こくど)(きよ)くすがしく(うるは)しく、105七色(しちしよく)光彩(くわうさい)四方(よも)()ち、106(やま)(あを)()(たひ)らかに、107所々(しよしよ)(はな)爛漫(らんまん)()(にほ)小山(こやま)散在(さんざい)し、108()()(かぜ)(きよ)く、109やはらかく、110()()みやすき境界(きやうかい)なり。111大御母(おほみはは)(かみ)は、112眼知男(まなこしりを)(かみ)113味豊(あぢとよ)(かみ)(ともな)ひて、114百花(ももばな)(にほ)野辺(のべ)(あそ)びを(はじ)(たま)ひ、115美玉姫(みたまひめ)(みこと)(たの)しく(あそ)ばせ(たま)ひぬ。116美玉姫(みたまひめ)(みこと)()性質(せいしつ)怜悧(れいり)温厚(をんこう)にして、117(つや)(うるは)しく(はだ)(こま)やかに、118あだかも(とり)玉子(たまご)(ごと)し。119百神(ももがみ)(たち)はこの(ひめ)(みこと)()(うへ)なく(いつく)しみ()(うやま)(まつ)りて、120種々(いろいろ)(はな)など()御手(みて)(にぎ)らせ(まつ)り、121(ひめ)(みこと)(よろこ)(たま)笑顔(ゐがほ)()(たの)しみ()りき。
122 味豊(あぢとよ)(かみ)は、123野辺(のべ)(みの)れる無花果(いちじゆく)()を、124(うで)もたわわに(むし)(きた)りて、125(ひめ)(みこと)御前(みまへ)横山(よこやま)(ごと)()(たら)はし、126(ささ)(まつ)れば、127(ひめ)(みこと)(ほそ)(しろ)御手(みて)()ばさせ(たま)ひ、128その(なか)(ひと)つを(つか)みて(たちま)(くち)()(たま)ひしに、129()()(おん)()(なが)()びあがり、130(おん)身体(からたま)弥太(いやふと)りに(ふと)り、131(いま)までの(をさな)かりし(ひめ)(みこと)(にはか)成人(せいじん)してその言霊(ことたま)さへも大人(おとな)びつつ、132(かたはら)にある三柱(みはしら)(かみ)(たち)(おどろ)かせ(たま)ひしぞ不思議(ふしぎ)なれ。133(ここ)大御母(おほみはは)(かみ)は、134美玉姫(みたまひめ)(みこと)の、135()()成人(せいじん)(たま)ひし御姿(みすがた)(おどろ)(たま)ひて、136感嘆(かんたん)のあまり御歌(みうた)()まし(たま)はく、
137天晴(あはれ)々々(あはれ)(ひめ)(みこと)無花果(いちじゆく)
138(あぢ)(ゆた)かさに(いか)くなりましぬ
139味豊(あぢとよ)(かみ)のいさをに無花果(いちじゆく)
140()()(きよ)()()でにけり
141()くならば高日(たかひ)(みや)神司(かむつかさ)
142(ひめ)(みこと)よわれはゆづらむ
143()(かみ)(めぐ)(しる)けし()のあたり
144(ひめ)(みこと)()()ちませり
145(よろこ)びのかぎりなるかも美玉姫(みたまひめ)
146(みこと)()くまで()ひたたすとは』
147 味豊(あぢとよ)(かみ)(よろこ)びのあまり()()ち、148足拍子(あしびやうし)をとり、149花野(はなの)(なか)(をど)(くる)ひつつ(うた)(たま)ふ。
150天晴(あはれ)々々(あはれ)
151()言霊(ことたま)()れませる
152美玉(みたま)(ひめ)(みこと)はや
153高日(たかひ)(みや)今日(けふ)()
154はじめとなして弥栄(いやさか)
155(さか)(まつ)らむ(うれ)しさに
156()()(あし)()みどさへ
157()らずに(われ)(をど)るなり
158この神国(かみくに)にただ一人(ひとり)
159からたま()たす(ひめ)(みこと)
160天降(あも)りまししは言霊(ことたま)
161(いづ)(ちから)物質(もの)(くわ)
162(ひろ)世界(せかい)神々(かみがみ)
163(やす)(すま)はせ(たま)はむと
164()大神(おほかみ)神言(みこと)もて
165()()(たま)ひし(うれ)しさよ
166(われ)味豊(あぢとよ)(かみ)にして
167(もも)果物(くだもの)五穀(たなつもの)
168(あま)(あぢ)はひもたさむと
169朝夕(あしたゆふべ)のけぢめなく
170(うづ)忌鋤(いむすき)忌鍬(いむくは)
171この天界(てんかい)をひらきつつ
172(うづ)()()はややややに
173(みの)らひ()ちて(はて)もなく
174(もも)(かみ)(たち)朝夕(あさゆふ)
175御饌(みけ)たてまつる(うれ)しさよ
176とりわけ今日(けふ)(ひめ)(みこと)
177わが()()でし無花果(いちじゆく)
178()()をとらせ(たま)ひてゆ
179にはかに身丈(みたけ)()(たま)
180その(かんばせ)大人(おとな)びて
181いよいよ(みや)神柱(みはしら)
182たたせ(たま)はむ目出度(めでた)さよ
183得耐(えた)へぬ(まま)()()ちて
184(われ)(くる)ひつ(をど)るなり
185嗚呼(ああ)惟神(かむながら)々々(かむながら)
186恩頼(みたまのふゆ)(さちは)ひし
187今日(けふ)花野(はなの)(うれ)しさよ
188(あめ)御空(みそら)(くだ)ります
189()言霊(ことたま)()()でし
190美玉(みたま)(ひめ)(みこと)こそ
191これの神国(みくに)(はしら)なれ
192嗚呼(ああ)惟神(かむながら)々々(かむながら)
193御霊(みたま)(さちは)ひましませよ』
194 眼知男(まなこしりを)(かみ)195御歌(みうた)うたはせ(たま)ふ。
196『おもひきや(ひめ)(みこと)(たちま)ちに
197無花果(いちじゆく)()して()()(たま)へり
198無花果(いちじゆく)香具(かぐ)()()のいさをしを
199われ今更(いまさら)にさとりけるかも
200()(かみ)(めぐ)みの(つゆ)のかたまりか
201この無花果(いちじゆく)(ふと)(たま)ひぬ
202(てん)(たか)野辺(のべ)また(ひろ)(はな)(なか)
203(あそ)ばす(ひめ)(みこと)(うるは)し』
204 (ここ)美玉姫(みたまひめ)(みこと)異様(いやう)(ひかり)(はな)ちながら、205花野(はなの)(なか)儼然(げんぜん)として()(あが)(たま)ひ、206御歌(みうた)()らせ(たま)はく、
207(われ)はしも(つき)世界(せかい)()れましし
208神霊(みたま)なりせば()ひたち(はや)しも
209(つき)(つゆ)あみて(ふと)りし無花果(いちじゆく)
210わが身体(からたま)()かす御饌(みけ)なり
211(いま)よりは高日(たかひ)(みや)(つかさ)とし
212天津(あまつ)神国(みくに)(やす)(まも)らむ
213大御母(おほみはは)(かみ)のいさをは天渡(あまわた)
214(つき)稜威(みいづ)(ひと)しかるべし
215味豊(あぢとよ)(かみ)のいさをぞ(かしこ)けれ
216わがからたまを(はぐく)(たま)へば
217あら(たふ)眼知男(まなこしりを)(かみ)なれば
218これの清庭(すがには)見立(みた)(たま)ひし』
219 大御母(おほみはは)(かみ)(ふたた)(うた)(たま)ふ。
220(ひめ)(みこと)()らす言葉(ことば)のかしこさに
221(うれ)しき(なみだ)(とど)めあへぬも
222(うれ)しさに(くち)ごもりつつ(こと)()
223()でざるままに(もだ)()につつ』
224 味豊(あぢとよ)(かみ)はまた(うた)(たま)ふ。
225今日(けふ)よりは(これ)神国(みくに)(やす)らけく
226ひらけゆかなむ(みこと)稜威(いづ)に』
227 眼知男(まなこしりを)(かみ)(うた)(たま)ふ。
228『あら(たふ)眼知男(まなこしりを)(かみ)(われ)
229(いら)への言葉(ことば)()でざりにけり
230いざさらば高日(たかひ)(みや)(かへ)らむと
231(さき)()たせる(ひめ)(みこと)よ』
232昭和八・一〇・一七 旧八・二八 於水明閣 内崎照代謹録)
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