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第66巻(巳の巻)
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第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
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第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
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第78巻(巳の巻)
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第73巻(子の巻)
序文
総説
第1篇 紫微天界
01 天之峯火夫の神
〔1832〕
02 高天原
〔1833〕
03 天之高火男の神
〔1834〕
04 ⦿の神声
〔1835〕
05 言幸比古の神
〔1836〕
06 言幸比女の神
〔1837〕
07 太祓
〔1838〕
08 国生み神生みの段
〔1839〕
09 香具の木の実
〔1840〕
10 婚ぎの御歌
〔1841〕
11 紫微の宮司
〔1842〕
12 水火の活動
〔1843〕
13 神の述懐歌(一)
〔1844〕
14 神の述懐歌(二)
〔1845〕
第2篇 高照神風
15 国生みの旅
〔1846〕
16 八洲の河
〔1847〕
17 駒の嘶き
〔1848〕
18 佐田の辻
〔1849〕
19 高日の宮
〔1850〕
20 廻り逢ひ
〔1851〕
21 禊の段
〔1852〕
22 御子生みの段
〔1853〕
23 中の高滝
〔1854〕
24 天国の旅
〔1855〕
25 言霊の滝
〔1856〕
第3篇 東雲神国
26 主神の降臨
〔1857〕
27 神秘の扉
〔1858〕
28 心内大蛇
〔1859〕
29 無花果
〔1860〕
30 日向の河波
〔1861〕
31 夕暮の館
〔1862〕
32 玉泉の月
〔1863〕
33 四馬の遠乗
〔1864〕
34 国魂の発生
〔1865〕
35 四鳥の別れ
〔1866〕
36 荒野の駿馬
〔1867〕
37 玉手の清宮
〔1868〕
余白歌
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第二一章
禊
(
みそぎ
)
の
段
(
だん
)
〔一八五二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第73巻 天祥地瑞 子の巻
篇:
第2篇 高照神風
よみ(新仮名遣い):
たかてるしんぷう
章:
第21章 禊の段
よみ(新仮名遣い):
みそぎのだん
通し章番号:
1852
口述日:
1933(昭和8)年10月13日(旧08月24日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
内崎照代
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1933(昭和8)年11月22日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
顕津男の神、如衣比女の神は、高照山の滝にて禊をしようと館を出、滝の下にやってきてみると、水音は轟々として千丈の高さから落ちくだり、あたりは滝しぶきの霧で真っ白く、近づきがたい荘厳さであった。
如衣比女の神はその様子に呆然とし、驚きの歌を歌った。顕津男の神は、滝の荘厳さに神の心を見、己を戒める歌を歌った。
大御母の神、明晴の神、近見男の神は両神を追ってやってきた。そして、滝のすばらしさをたたえる歌を歌った。
如衣比女の神、続いて顕津男の神は滝の下に進んで禊をなした。
明晴の神、近見男の神が禊の様子をたたえる歌を歌う間に、顕津男の神は滝壺から出、滝壺の深さから主の神のふかい心をたたえた。また、如衣比女の神も滝壺から浮かび上がり、滝壺の底をくぐって主の神の清き心をたたえる歌を歌った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7321
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 83頁
修補版:
校定版:
195頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
高照山
(
たかてるやま
)
の
大峡
(
おほがい
)
小峡
(
をがい
)
より
滴
(
したた
)
り
落
(
お
)
つる
真清水
(
ましみづ
)
は、
002
茲
(
ここ
)
に
集
(
あつま
)
りて
滔々
(
たうたう
)
と
落
(
お
)
つる
滝
(
たき
)
となり、
003
淵
(
ふち
)
となりつつ、
004
高日
(
たかひ
)
の
宮
(
みや
)
の
清庭
(
すがには
)
を
右左
(
みぎひだり
)
に
廻
(
めぐ
)
りて
流
(
なが
)
れ
居
(
ゐ
)
る。
005
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
、
006
如衣
(
ゆくえ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
007
高照山
(
たかてるやま
)
の
滝津瀬
(
たきつせ
)
に
禊
(
みそぎ
)
せむとて
館
(
やかた
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で、
008
下滝
(
しづたき
)
のかたへに
立
(
た
)
ち
寄
(
よ
)
り
給
(
たま
)
へば、
009
水音
(
みなおと
)
轟々
(
がうがう
)
として
千丈
(
せんぢやう
)
の
高
(
たか
)
きより
落
(
お
)
ちくだち、
010
四辺
(
あたり
)
は
滝
(
たき
)
のしぶき
狭霧
(
さぎり
)
となりて
真白
(
ましろ
)
く、
011
容易
(
ようい
)
に
近
(
ちか
)
づくべからざるの
荘厳
(
さうごん
)
さなり。
012
如衣
(
ゆくえ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
下滝
(
しづたき
)
の
落
(
お
)
つる
水音
(
みなおと
)
にやや
驚
(
おどろ
)
き
給
(
たま
)
ひ、
013
茫然
(
ばうぜん
)
として
空
(
そら
)
を
仰
(
あふ
)
ぎ
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
はく、
014
『
久方
(
ひさかた
)
の
天津空
(
あまつそら
)
よりくだつかと
015
思
(
おも
)
ふばかりのこの
滝津瀬
(
たきつせ
)
は
016
滔々
(
たうたう
)
と
落
(
お
)
つる
水秀
(
みづほ
)
の
滝壺
(
たきつぼ
)
に
017
ちらばひくだけ
霧
(
きり
)
となりぬる
018
立
(
た
)
ちのぼる
滝
(
たき
)
の
狭霧
(
さぎり
)
に
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
は
019
いろいろいろに
映
(
は
)
ゆる
清
(
すが
)
しさ
020
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
のくだり
給
(
たま
)
ひし
心地
(
ここち
)
して
021
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
と
共
(
とも
)
に
見
(
み
)
るかな
022
この
滝
(
たき
)
の
雄々
(
をを
)
しく
落
(
お
)
つる
状
(
さま
)
を
見
(
み
)
て
023
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
功績
(
いさを
)
をおもふ
024
下滝
(
しづたき
)
は
高
(
たか
)
く
清
(
すが
)
しも
常磐木
(
ときはぎ
)
の
025
狭間
(
はざま
)
すかして
落
(
お
)
つる
水音
(
みなおと
)
026
この
滝
(
たき
)
の
貴
(
うづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
よく
聞
(
き
)
けば
027
タタターと
鳴
(
な
)
る
音
(
おと
)
の
尊
(
たふと
)
き
028
ターターと
落
(
お
)
ちたきちつつ
滔々
(
たうたう
)
と
029
滝壺
(
たきつぼ
)
深
(
ふか
)
くなり
響
(
ひび
)
くなり
030
鳴
(
な
)
り
鳴
(
な
)
りて
鳴
(
な
)
りも
止
(
や
)
まざる
滝津瀬
(
たきつせ
)
は
031
生言霊
(
いくことたま
)
のあらはれなるらむ
032
高
(
たか
)
きより
低
(
ひく
)
きに
落
(
お
)
つる
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
033
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
たち
清
(
きよ
)
めまつらむ
034
言霊
(
ことたま
)
の
幸
(
さち
)
はふこれの
神国
(
かみくに
)
に
035
生
(
うま
)
れて
タカ
の
言霊
(
ことたま
)
聞
(
き
)
くも
036
この
滝
(
たき
)
は
高天原
(
たかあまはら
)
と
響
(
ひび
)
くなり
037
吾
(
われ
)
みそぎせむ
瑞
(
みづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
038
此
(
この
)
滝
(
たき
)
は
天津
(
あまつ
)
神国
(
みくに
)
に
懸
(
かか
)
りあれば
039
水
(
みづ
)
の
響
(
ひび
)
きは
四方
(
よも
)
にわたらむ』
040
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
041
『
滔々
(
たうたう
)
とみなぎり
落
(
お
)
つる
下滝
(
しづたき
)
の
042
勢
(
いきほひ
)
みれば
我
(
われ
)
はづかしき
043
一滴
(
いつてき
)
も
滞
(
とどこほ
)
りなく
落
(
お
)
ちくだつ
044
滝
(
たき
)
はさながら
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
よ
045
下滝
(
しづたき
)
の
落
(
お
)
つるが
如
(
ごと
)
くさらさらに
046
心
(
こころ
)
のくもり
祓
(
はら
)
ひたくおもふ
047
千丈
(
せんぢやう
)
の
高
(
たか
)
きゆ
落
(
お
)
つる
滝水
(
たきみづ
)
の
048
言霊
(
ことたま
)
高
(
たか
)
し
地
(
ち
)
をゆすりつつ
049
言霊
(
ことたま
)
の
助
(
たす
)
け
幸
(
さち
)
はふ
神国
(
かみくに
)
の
050
厳
(
いづ
)
の
力
(
ちから
)
を
目
(
ま
)
のあたり
見
(
み
)
し
051
この
淵
(
ふち
)
の
深
(
ふか
)
きが
如
(
ごと
)
くこの
滝
(
たき
)
の
052
高
(
たか
)
きにならふ
心
(
こころ
)
持
(
も
)
たばや
053
落
(
お
)
ち
降
(
くだ
)
ち
鳴
(
な
)
り
鳴
(
な
)
り
止
(
や
)
まぬ
下滝
(
しづたき
)
の
054
水瀬
(
みなせ
)
の
音
(
おと
)
に
神
(
かみ
)
の
声
(
こゑ
)
あり
055
澄
(
す
)
みきらふ
貴
(
うづ
)
の
真清水
(
ましみづ
)
朝夕
(
あさゆふ
)
に
056
鳴
(
な
)
り
鳴
(
な
)
り
止
(
や
)
まぬ
言霊
(
ことたま
)
清
(
すが
)
しも
057
常磐木
(
ときはぎ
)
の
松
(
まつ
)
は
春風
(
はるかぜ
)
にそよぎつつ
058
滝
(
たき
)
の
響
(
ひび
)
きをささせ
居
(
ゐ
)
るらし
059
非時
(
ときじく
)
に
鳴
(
な
)
る
音
(
おと
)
高
(
たか
)
き
下滝
(
しづたき
)
の
060
かたへに
立
(
た
)
てば
魂
(
たま
)
冷
(
ひ
)
えわたる
061
わが
魂
(
たま
)
の
冷
(
ひ
)
えわたるまで
佇
(
たたず
)
みて
062
瑞
(
みづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
楽
(
たの
)
しみ
聞
(
き
)
かむ』
063
かかる
処
(
ところ
)
へ
大御母
(
おほみはは
)
の
神
(
かみ
)
、
064
明晴
(
あけはる
)
の
神
(
かみ
)
、
065
近見男
(
ちかみを
)
の
神
(
かみ
)
の
三柱
(
みはしら
)
、
066
両神
(
りやうしん
)
の
御後
(
みあと
)
を
追
(
お
)
ひて
茲
(
ここ
)
に
静々
(
しづしづ
)
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
りまし、
067
天
(
てん
)
に
懸
(
かか
)
れる
下滝
(
しづたき
)
の
荘厳
(
さうごん
)
さに
打
(
う
)
たれつつ、
068
大御母
(
おほみはは
)
の
神
(
かみ
)
は
先
(
ま
)
づ
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
069
『
下滝
(
しづたき
)
の
高
(
たか
)
きは
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
かも
070
終日
(
ひねもす
)
流
(
なが
)
れて
国
(
くに
)
をうるほす
071
瑞御霊
(
みづみたま
)
月
(
つき
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
神霊
(
みたま
)
ぞと
072
朝夕
(
あさゆふ
)
われは
称
(
たた
)
へまつるも
073
鳴
(
な
)
り
鳴
(
な
)
りて
朝夕
(
あしたゆふべ
)
を
轟
(
とどろ
)
ける
074
滝
(
たき
)
の
言霊
(
ことたま
)
吾
(
われ
)
を
教
(
をし
)
ゆる
075
山
(
やま
)
高
(
たか
)
く
谿
(
たに
)
また
深
(
ふか
)
く
広
(
ひろ
)
くして
076
この
下滝
(
しづたき
)
はなり
出
(
い
)
でにけむ
077
見上
(
みあ
)
ぐればみ
空
(
そら
)
の
雲
(
くも
)
の
狭間
(
はざま
)
より
078
落
(
お
)
つるが
如
(
ごと
)
し
高滝
(
たかたき
)
の
水
(
みづ
)
は
079
下滝
(
しづたき
)
の
水瀬
(
みなせ
)
はゆくゑ
白浪
(
しらなみ
)
の
080
竜
(
たつ
)
の
宮居
(
みやゐ
)
の
海
(
うみ
)
に
入
(
い
)
るらむ』
081
如衣
(
ゆくえ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
はまた
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
082
『
天
(
あま
)
わたる
月
(
つき
)
大神
(
おほかみ
)
の
御恵
(
みめぐ
)
みの
083
露
(
つゆ
)
の
雫
(
しづく
)
かこの
高滝
(
たかたき
)
は
084
天
(
あま
)
わたる
月
(
つき
)
にみたまを
寄
(
よ
)
せ
給
(
たま
)
ふ
085
わが
背
(
せ
)
の
岐美
(
きみ
)
の
稜威
(
みいづ
)
尊
(
たふと
)
き
086
滝津瀬
(
たきつせ
)
の
清
(
きよ
)
きを
見
(
み
)
つつ
思
(
おも
)
ふかな
087
とどこほりなき
岐美
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
を
088
鳴
(
な
)
り
鳴
(
な
)
りて
幾千代
(
いくちよ
)
までも
響
(
ひび
)
くらむ
089
月
(
つき
)
大神
(
おほかみ
)
のいます
限
(
かぎ
)
りは
090
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
る
霧
(
きり
)
を
照
(
てら
)
して
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
091
かげ
紫
(
むらさき
)
に
耀
(
かがよ
)
ひますも
092
この
霧
(
きり
)
は
昇
(
のぼ
)
り
昇
(
のぼ
)
りて
雲
(
くも
)
となり
093
高照山
(
たかてるやま
)
を
紫
(
むらさき
)
に
染
(
そ
)
むるか
094
紫
(
むらさき
)
の
雲
(
くも
)
よりくだつ
滝
(
たき
)
なれば
095
吾
(
われ
)
はこれより
身
(
み
)
を
滌
(
そそ
)
ぐべし』
096
と
謡
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り、
097
悠然
(
いうぜん
)
として
滝壺
(
たきつぼ
)
近
(
ちか
)
く
寄
(
よ
)
り
給
(
たま
)
ひ、
098
滔々
(
たうたう
)
と
落
(
お
)
つる
水
(
みづ
)
の
秀
(
ほ
)
に
身
(
み
)
を
打
(
う
)
たせ、
099
生言霊
(
いくことたま
)
を
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
げ
給
(
たま
)
ふぞ
雄々
(
をを
)
しけれ。
100
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
もまた、
101
滝
(
たき
)
の下に
進
(
すす
)
み
給
(
たま
)
ひて、
102
強
(
つよ
)
き
水
(
みづ
)
の
秀
(
ほ
)
を
浴
(
あ
)
みて
禊
(
みそぎ
)
の
業
(
わざ
)
につかせ
給
(
たま
)
ふ。
103
明晴
(
あけはる
)
の
神
(
かみ
)
はこの
様
(
さま
)
を
拝
(
はい
)
し
奉
(
まつ
)
りて
謡
(
うた
)
ふ。
104
『
勇
(
いさ
)
ましき
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
心
(
こころ
)
かな
105
滝
(
たき
)
に
打
(
う
)
たせる
二柱
(
ふたはしら
)
の
神
(
かみ
)
106
滔々
(
たうたう
)
と
雲
(
くも
)
より
落
(
お
)
つる
下滝
(
しづたき
)
の
107
鳴音
(
なりおと
)
聞
(
き
)
きても
震
(
ふる
)
はるるものを
108
神国
(
かみくに
)
を
清
(
きよ
)
め
給
(
たま
)
ふと
二柱
(
ふたはしら
)
109
滝
(
たき
)
にかからすさまの
尊
(
たふと
)
き
110
この
滝
(
たき
)
の
清
(
きよ
)
きが
如
(
ごと
)
くこの
淵
(
ふち
)
の
111
ふかき
心
(
こころ
)
を
神
(
かみ
)
は
知
(
し
)
るらむ
112
この
滝
(
たき
)
は
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
この
淵
(
ふち
)
は
113
如衣
(
ゆくえ
)
の
比女神
(
ひめがみ
)
永久
(
とは
)
に
清
(
すが
)
しも』
114
近見男
(
ちかみを
)
の
神
(
かみ
)
はまたも
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
115
『
天国
(
てんごく
)
の
世
(
よ
)
は
近
(
ちか
)
みつつ
高照
(
たかてる
)
の
116
山
(
やま
)
の
下滝
(
しづたき
)
鳴
(
な
)
り
響
(
ひび
)
くなり
117
近
(
ちか
)
く
見
(
み
)
れば
雲
(
くも
)
より
降
(
くだ
)
ち
遠
(
とほ
)
く
見
(
み
)
れば
118
松
(
まつ
)
の
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
ゆおつる
下滝
(
しづたき
)
119
白銀
(
しろがね
)
の
柱
(
はしら
)
を
立
(
た
)
てし
如
(
ごと
)
くなり
120
遠
(
とほ
)
く
離
(
さか
)
りて
見
(
み
)
る
下滝
(
しづたき
)
は
121
常磐木
(
ときはぎ
)
の
松
(
まつ
)
に
交
(
まじ
)
らひ
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ふ
122
百花
(
ももばな
)
千花
(
ちばな
)
を
分
(
わ
)
け
落
(
お
)
つる
滝
(
たき
)
よ
123
白梅
(
しらうめ
)
の
花
(
はな
)
の
香
(
か
)
清
(
きよ
)
く
匂
(
にほ
)
ふなり
124
この
滝水
(
たきみづ
)
を
掬
(
すく
)
ひて
見
(
み
)
れば
125
白梅
(
しらうめ
)
の
清
(
きよ
)
き
教
(
をしへ
)
を
世
(
よ
)
に
流
(
なが
)
す
126
薫
(
かを
)
りも
高
(
たか
)
きこれの
下滝
(
しづたき
)
』
127
斯
(
か
)
く
謡
(
うた
)
ふ
折
(
をり
)
しも
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は、
128
滝壺
(
たきつぼ
)
を
静々
(
しづしづ
)
と
出
(
い
)
で
給
(
たま
)
ひ、
129
『
思
(
おも
)
ひきやこの
滝壺
(
たきつぼ
)
は
八千尋
(
やちひろ
)
の
130
底
(
そこ
)
をさぐれど
果
(
はて
)
しなかりき
131
滝
(
たき
)
高
(
たか
)
く
滝壺
(
たきつぼ
)
深
(
ふか
)
きは
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
132
ふかき
心
(
こころ
)
とさとらひにけり
133
からたまも
御魂
(
みたま
)
も
頓
(
とみ
)
に
清
(
きよ
)
まりぬ
134
めぐみの
露
(
つゆ
)
の
滝津瀬
(
たきつせ
)
あみて
135
この
滝
(
たき
)
の
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
を
我
(
われ
)
もちて
136
この
神国
(
かみくに
)
をうるほすべけむか』
137
大御母
(
おほみはは
)
の
神
(
かみ
)
は、
138
また
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
139
『
滝壺
(
たきつぼ
)
の
底
(
そこ
)
を
極
(
きは
)
めし
岐美
(
きみ
)
こそは
140
げにや
真
(
まこと
)
の
瑞御霊
(
みづみたま
)
なる
141
比女神
(
ひめがみ
)
の
姿
(
すがた
)
は
何
(
いづ
)
れにましますか
142
心
(
こころ
)
もとなし
早
(
はや
)
現
(
あ
)
れませよ』
143
斯
(
か
)
く
謡
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
へば、
144
如衣
(
ゆくえ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
白
(
しろ
)
き
御姿
(
みすがた
)
は、
145
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
にぽかりと
浮
(
う
)
き
上
(
あが
)
り
給
(
たま
)
ひ、
146
しづしづとのぼり
来
(
きた
)
りて、
147
『
背
(
せ
)
の
岐美
(
きみ
)
のみあと
慕
(
した
)
ひて
八千尋
(
やちひろ
)
の
148
われは
底
(
そこ
)
ひをくぐりみしはや
149
八千尋
(
やちひろ
)
の
底
(
そこ
)
をくぐりて
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
150
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
をかたじけなみけり
151
朝夕
(
あさゆふ
)
にみたまからたまを
清
(
きよ
)
むべき
152
この
滝津瀬
(
たきつせ
)
は
吾
(
わが
)
師
(
し
)
なりけり』
153
茲
(
ここ
)
に
五柱
(
いつはしら
)
の
神
(
かみ
)
は
常磐
(
ときは
)
の
木蔭
(
こかげ
)
に
整列
(
せいれつ
)
して、
154
一斉
(
いつせい
)
に
生言霊
(
いくことたま
)
の
神祝言
(
かむほぎごと
)
を
唱
(
とな
)
へ、
155
しづしづとして、
156
高日
(
たかひ
)
の
宮
(
みや
)
の
八尋殿
(
やひろどの
)
に
帰
(
かへ
)
らせ
給
(
たま
)
ひける。
157
(
昭和八・一〇・一三
旧八・二四
於水明閣
内崎照代
謹録)
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