太元顕津男の神は、大御母の神をはじめとする諸神に見送られて、神生み国生みの旅に出発した。
東北に向かって進んでいくと、前途にはるかに高くそびえる美しい山があった。山頂より紫の雲気が立ち上り、まばゆいばかりに輝いている。
顕津男の神が霊山を望む歌を歌うと、大御母の神は、あの高照の山は我が住処である、と歌った。
顕津男の神は威儀を正し、もろ手を打ち合わせ、タカの言霊を鳴り出でて礼拝をした。
続けて、足元を流れる天の八洲河の清泉を褒め称えた歌を歌った。
大御母の神に続いて、諸神たちは天の八洲河を越えて東の岸に着いた。
大御母の神は麒麟にまたがったまま、声さわやかに歌った。
天の八洲河をやすやすと渡った顕津男の神の雄雄しき姿かな。
この河を流れる真清水は、遠き宇宙の初めより、紫微天界の「司の河」といわれており、恵みの露を流し、世の雲霧を払い、百の罪とがを洗うもの。
この真清水は、主の神が、瑞の御霊に与えた生命の水である。
顕津男の神よ、この真清水を心とし、この清流を教えとして、四方の神々をもれなく救え。
いざこれよりは、高照山の尾の上に駆け上り、宮居を建てて、主の大神の経綸に仕えよう。諸神よ、急げ。
こうして、大御母の神は真っ先に山を指して急ぎ行く。