第三四章 国魂の発生〔一八六五〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第73巻 天祥地瑞 子の巻
篇:第3篇 東雲神国
よみ(新仮名遣い):しののめしんこく
章:第34章 国魂の発生
よみ(新仮名遣い):くにたまのはっせい
通し章番号:1865
口述日:1933(昭和8)年10月18日(旧08月29日)
口述場所:水明閣
筆録者:谷前清子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1933(昭和8)年11月22日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:顕津男の神は、世司比女との別れのときが迫り、比女やこれから生まれてくる御子の無事を祈って朝夕に禊をしていた。
世司比女は、せめて御子の誕生までとどまるよう、顕津男の神に歌いかけるが、顕津男の神はただ二人の安全を祈る歌を返すのみだった。
すると、世司比女は突然産気づき、姫御子を生んだ。顕津男の神をはじめ、王泉郷の神々は喜び、祝歌を歌った。
顕津男の神は、御子に日向(ひむか)の姫と名づけた。
顕津男の神は、大物主の神に王泉郷の一切をまかせ、世司比女に別れを告げて、ふたたび神生みの旅に出た。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7334
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 137頁
修補版:
校定版:388頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001太元顕津男の神は 002五柱の神従へて
003日向の早瀬を打渡り 004玉泉郷に出でまして
005八十比女神のその中に
007世司比女に廻りあひ 008右り左の神業に
009水火と水火とは固まりて 010月の雫は比女神の
011体内深く止まりぬ 012之より比女は日に月に
013御身重らせ給ひつつ 014御子の生れます吉き日をば
016御供に侍りし五柱
017中に大物主を置き 018他四柱の神々は
019西や東や北南 020四方の国原拓かむと
021顕津男の神神言もて 022貴の館を立ち給ひ
024東の空は東雲めて
025紫雲棚引く貴の国 026東雲国の真秀良場に
027世司比女の御館 028美々しく清しく建ち給ふ。
029 ここに太元顕津男の神は、030月満ちて比女神と別るる時となりぬれば、031庭の最中の真清水に、032朝夕に禊しつ、033御子に恙もあらせじと、034祈り給ふぞ畏けれ。
035 比女神の御腹は、036日を重ねつつ、037追々益々に太らせ給ひ、038呼吸も苦しげに比古遅の神の御前に恭しく坐して、039御歌詠ませ給ふ。
040『一度の契ながらも吾御腹
041月を重ねて太くなりぬる
042御腹の子恙あらせじと朝夕に
043吾は祈るも誠をこめて
044この御腹安く開けて御子生れ
045生立ち坐すまで岐美離りますな
046大神業いかに尊くおはす共
047御子生みの業は軽からず思ふ』
048 顕津男の神は謡ひ給ふ。
049『主の神の依さしの神業成り成りて
050御子生れますと聞くぞ嬉しき
051主の神の我に賜ひし御樋代よ
053御子すでに宿らすと聞けば愛恋の
055主の神の御子の宿らすこの館は
056高天原の清所なりけり
057朝夕を心安けく在しませよ
058御腹の御子を守らひにつつ』
059 世司比女の神は謡ひ給ふ。
060『朝宵に心の御綱引きしめて
061苦しけれ共御子を守らむ』
062 斯く謡はせ給ふ折しも、063俄かに御腹痛み給へば、064比古遅の神は驚かせ給ひて、
065『大物主神はいづくぞ河守比女
066神はいづらぞ疾く来りませ』
067と朗に詠ませ給ふ御歌に、068大物主の神、069河守比女の神は、070いそいそとここに現れ来り、071大物主の神は、
072『天晴々々御子の生れます時は来ぬ
073月日の神よ守らせたまへ
074安らけく生まし給はむ比女の神
075神の依さしの御子にありせば
076東雲の国は今日より神柱
077生れ出でましていや栄ゆべし』
078 河守比女の神は欣然として、
079『吾待ちし御子の生れます時は来ぬ
080天地の神守りましませ
081世司比女神よ静かにおはしませ
082御子安らかに生れますはも』
083世司比女『御子を生む業に仕へし其日より
084いとも苦しき今日なりにけり』
085河守比女『主の神の御水火のかかりし御子なれば
086安らに平らに御子生ませ給はむ』
087 斯く謡ひ給ふ折もあれ、088ウアの声をあげて玉の如き姫御子生れましぬ。089女男二神を初め、090大物主、091河守比女二神は、092歓ぎ喜び産湯等を取りて、093御子の体を洗ひ清め、094正座に据ゑ置きて謡ひ給ふ。
095『久方の空は雲なく晴れにつつ
096地も光りて御子生れましぬ
097東雲の空晴れ渡り玉の御子
098国魂神は生れましにける
099この御子や生れます上は東雲の
100国は安けく栄えますらむ』
101 顕津男の神は歓びの余り、102天を拝し地に伏して合掌し乍ら、
103『久方の天の岩戸は開けたり
104世司比女の貴の力に
105今日よりは月日も清く星清く
107主の神の稜威の恵のいや広に
108今日のよろこび齎らし給へり』
109 河守比女の神は謡ひ給ふ。
110『東雲の国原明くなりにけり
111瑞の御霊の御子生れませば
112この館に比女の神言をかばひてし
114 ここに生れませる玉の御子を、115大物主は抱き上げ祝し給ふ。
116『足引の山も大野も言霊の
117水火を合せて寿ぎまつらむ
118天地の一度に開くる思ひかな
119神の依さしの御子の出でまし
120大物主神は今日より御子の為
121あかき心を永久にささげむ』
122 太元顕津男の神は、123今日の生日に生れませる御子に、124日向の姫と申す御名を授け給ふ。
125『この御子は日向の河の真清水の
126霊なりせば日向姫とふ
127日向姫神の恵に生ひ立ちて
128これの神国を領有ぎませよ
129我御子と思へど正しく主の神の
130御子にしありせば敬ひ奉るも
131世司の比女神よ御子の生れましし
132今日より日向姫に仕へよ』
133 世司比女は御歌詠まし給ふ。
134『畏しや比古遅の神の大神宣
136主の神の御水火に成出し御子なれば
137吾はいつかむ朝な夕なを
138この御子や生ひ立ちまして東雲の
139司にならすと思へば尊き』
140 大物主の神は祝ぎ歌宣り給ふ。
141『日向姫貴の館に生れましぬ
142早や東雲の国は明けたり
143東雲の空に昇らす日の神の
144光に等し御子の姿は
145日向姫神の御名こそ畏けれ
146東雲の国に生れましぬれば
147日向河流るる清水真清水は
148御子の生ひ立ちひたしこそすれ』
149 ここに日向姫の命は、150大物主の神、151河守比女の神の日々の養育と、152世司比女の慈愛こもれる真心の乳房に、153すくすくと伸び立ち給ひたれば、154顕津男の神は、155神業の成りしを喜び給ひて又もや御子生み、156神生みの神業に仕へ奉るべく、157一切の事を大物主の神に托し置き妻神に暇を告げて、158遠く遠く神生みの旅に立たす事とはなりぬ。
159(昭和八・一〇・一八 旧八・二九 於水明閣 谷前清子謹録)