第二章 天地七柱〔一九三四〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第77巻 天祥地瑞 辰の巻
篇:第1篇 万里の海原
よみ(新仮名遣い):までのうなばら
章:第2章 天地七柱
よみ(新仮名遣い):てんちななはしら
通し章番号:1934
口述日:1933(昭和8)年12月12日(旧10月25日)
口述場所:大阪分院蒼雲閣
筆録者:森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:狭野彦は朝香比女の神の言霊と鋭敏鳴出の神の守りの功徳をたたえる歌を歌い、朝香比女はそれに答える歌を歌いつつ進んでいた。
一行は、八十曲津神の住処である霧の海(第5章以降では「万里の海」と呼ばれる)の岸辺に到着した。するとそこには、主の大神の神命により比女の征途を守りたすけるべく、待ち迎える五柱の神があった。初頭比古(うぶがみひこ)の神、起立比古(おきたつひこ)の神、立世比女(たつよひめ)の神、天中比古(あめなかひこ)の神、天晴比女(あめはれひめ)の神である。
一行は、霧の海の曲津神たちは数多く、比女を守り助けるためにやってきたと名乗った。朝香比女は、神々のいさめを踏みにじって飛び出してきた自分を助けにやってきた神々に感謝の歌を歌った。
神々はそれぞれ自己紹介の歌を交し合い、朝香比女をはじめとする六柱の天津神に、狭野彦の一柱の国津神を加えて、一同霧の海の岸辺に生言霊をおのおの奏上した。すると、たちまちあたりの巌は大きな舟となって、岸辺に浮かんだ。
神々は駒とともに舟に乗り移り、よもやまの話に一夜を語り明かした。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7702
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 592頁
修補版:
校定版:22頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001朝香比女等が乗らせます 002天馬は地馬と還元し
004未だ国土稚き青野原を
006吹き来る風は初夏ながら
007曲津の水火の混じ交りて 008心地は余り良からねど
009太元顕津男の神の 010御許に到る楽しさに
011勇気益々加はりて
013進ませ給ふぞ勇ましき。
014 狭野彦は馬上より歌ふ。
015『高地秀山の聖場ゆ
016此処に朝香の比女神は
018稚き国原固めむと
019女神ながらも唯一騎
020天降り給ひし雄々しさよ
021曲津の沼を言向けて
023真賀の湖水を固めまし
024国津神等年普く
025生命の食餌を与へまし
026火食の道を教へつつ
029進ませ給ふ健気さに
030感じて吾は御供となり
031千里の荒野を渉り来て
032東の河の河岸に
033漸く空は黄昏れぬ
034御空を渡る月舟は
035鋭き光を地の上に
036投げ給ひつつ大河の
038曲津の大蛇の鱗まで
040恵は深し月読の
044神の言霊幸ひて
045天地も割れよと響きまし
046曲津の大蛇は忽ちに
047怪しの姿消え失せて
050流れ果てなき東河
052比女神吾を止めまし
055宣らせ給ひつ言霊を
056清しく浄く鳴り出でて
058わが駒諸共天空を
059翔りて難なく大河を
060南の岸に渡り終へ
062二つの駒は一時に
063翼収めて元の如
065嗚呼惟神々々
066神の御稜威の尊さよ
068今目の前り拝みけり
069嗚呼惟神々々
070神の功ぞ畏けれ。
071見渡せば果しも知らぬ野の奥に
072小黒き雲の峰は立ちたつ
073雲の峰湧きたつ辺りは霧の海の
074中に浮べる魔島なるらむ
075霧の海に曲津見数多棲むと聞く
076吾比女神の案内せむかも
077霧の海の魔神のすさぶ世の中は
078国津神等おびやかされつつ
079心安く住まむ望みは無かりけり
080曲津の荒びの絶えぬ限りは
081比女神に従ひ曲津を言向けて
082国津神等の安きを守らむ』
083 朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。
084『主の神と鋭敏鳴出の神の守りあれば
085如何なる曲津も吾は恐れじ
086狭野彦よ心安けくあれよかし
087生言霊にさやる曲津なければ
088主の神の清き御水火に生れたる
090曲神は光を恐れ常闇を
091永久の棲処と猛り狂ふも
092曲神の籠れる島に打ち渡り
093この天界を清めむとぞ思ふ
094月も日も曲津神の水火に閉されて
095地上に光の届かぬ世なり
096真つ先に醜の雲霧吹き払ひ
097月日の光を地上に照らさむ
098面白き天界の旅を重ねつつ
099楽しみ深き吾なりにけり
100八十曲津力限りに刃向ふも
102鋭敏鳴出の神の守りに吾伊行く
103道の隈手は安けかるべし
104上も下も右も左も雲湧きて
105薄ら寒かり初夏の空は』
106 漸くにして朝香比女の神は、107非時深霧の籠むる八十曲津見の永久の棲処なる、108霧の海の岸辺に着かせ給へば、109主の大神の大神言以て、110比女神の征途を守り補くべく待ち構へ居たる五柱の神は、111比女神の出でましを今や遅しと待構へ居給ひける。112其神々の御名は初頭比古の神、113起立比古の神、114立世比女の神、115天中比古の神、116天晴比女の神にましましける。
117 初頭比古の神は御歌詠ませ給ふ。
118『久方の高地秀山ゆ降ります
119比女神迎ふと待ち居たるはや
120主の神の神言畏み比女神を
121守り補くとわれは待ちつつ
122われこそは初頭比古の神司
123朝香比女神の御前に仕へむ
124霧の海の曲神の数は五月蠅なして
125言向け和さむ神業の難かし』
126 朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。
127『神々の真言の諫め踏みにじり
128来りしわれを守らす神はも
129主の神の恵みの深さ今となりて
131初頭比古の神々等よ聞し召せ
132われは顕津男神の御樋代よ
133大野原駒に跨り曲神の
134艱み払ひて此処に来しはや』
135 起立比古の神は御歌詠ませ給ふ。
136『健気なる朝香比女の神の雄心に
137主の大神の御言葉くだりぬ
138力なき吾にはあれど朝香比女の
139神よ御供に仕はせ給へ
140何事も吾起立の神なれば
141比女に艱みをかけじと思ふ
142主の神のオ声に生れし吾なれば
143心許して御供に召しませ
144起立比古神は朝々起き立ちて
145天津日の光によみがへるなり』
146 朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。
147『起立比古の神いますとは聞ながら
148珍しき国土に逢ひにけらしな
149起立比古神の功はかねてより
150高地秀の宮居にありて聞き居し
151起立比古の神の守りのある上は
152われは勇みて進み行くべし
153未だ稚き国土を包みし雲霧も
154起立比古とともに払はむ
155あらたふと主の大神は吾為に
156かかる尊き神を生ませり』
157 立世比女の神は御歌詠ませ給ふ。
158『吾こそは栄城の宮居に仕へたる
159立世比女の神恵ませたまへ
160朝香比女神の御供に側近く
161侍りて神業に仕へまつらむ
162朝夕に四方に雲霧立世比女の
163神の力に払ふ術なき
164朝香比女神の現れます今日よりは
165四方に塞がる雲霧晴れなむ
166主の神のエ声の言霊に生り出でし
167われは愛を守る神はや
168朝香比女神の神言の顔を
169清く守りて永久に尽さむ
170いつまでも其顔の若々しさを
171守り仕へむ愛神われは
172顕津男の神に見合はせ給ふ折は
173一入清く美しく守らむ
174御子生みの神業に仕ふる比女神の
175清き尊き御姿守りてむ』
176 朝香比女の神は再び御歌詠ませ給ふ。
177『立世比女神の現れます今日よりは
178吾は一入若やぎ生きむ
179願はくは吾のみならず神々の
180眉目容姿まで清く守りませ』
181 天中比古の神は御歌詠ませ給ふ。
182『吾こそは主の大神の御依さしに
183筑紫の宮居をはろばろ出で来し
184幾万里の荒野を渉り先立ちて
185比女神守ると此処に来しはや
186朝夕を霧立ち昇る霧の海の
187曲津を退ふと此処に来つるも
188朝香比女神の言霊補ひて
189霧の海原を清め澄まさむ
190果しなきこの海原に浮びたる
191島の悉魔神の棲処よ』
192 朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。
193『天中比古神の御名はかねて聞けど
194今日を初めて見えけるはや
195雄々しくて優しくいます汝神の
196進まむ道に曲津なかるべし
197吾は今力の神を得たりけり
198八十曲津見を言向け和すと』
199 天晴比女の神は御歌詠ませ給ふ。
200『朝香比女神の神言の出でましと
201聞きつつ吾は勇みて待てる
202主の神のパ声の言霊鳴り鳴りて
203筑紫の宮居に生れし吾なり
204魔の海に叢る雲霧吹き払ひ
205此処に天晴比女神とならむ
206朝香比女神の神言の草枕
207旅なる空を晴らし仕へむ』
208 朝香比女の神は笑を湛へて御歌詠ませ給ふ。
209『さやけおけ天晴比女の神なれば
210吾旅守らす神にましける
211吾伊行く旅の先々塞がれる
212雲霧晴らせよ天晴比女の神
213明日されば霧の海原晴らしつつ
214曲津見の砦に打寄せ進まむ
215言霊の水火を凝らして御舟造り
216明日は渡らむ魔の棲む島へ』
218『稜威高き朝香の比女に仕へ来て
219力の神にまたも逢ひぬる
220国津神狭野彦吾は身も魂も
222此処に現れし五柱の神よ国津神の
223狭野彦吾を恵ませ給へ』
224 天津神六柱と一柱の国津神は、225霧の海の岸辺に生言霊を各自に奏上し給へば、226忽ち四辺の巌は大なる御舟となりて、227岸辺に軽く浮びける。
228 茲に神々は駒諸共に此の御舟に乗り移らせ給ひ、229四方八方の話に時の移るも知らで一夜を明し給ひける。
230(昭和八・一二・一二 旧一〇・二五 於大阪分院蒼雲閣 森良仁謹録)