第八章 征魔の出陣〔一九四〇〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第77巻 天祥地瑞 辰の巻
篇:第2篇 十一神将
よみ(新仮名遣い):じゅういちしんしょう
章:第8章 征魔の出陣
よみ(新仮名遣い):せいまのしゅつじん
通し章番号:1940
口述日:1933(昭和8)年12月13日(旧10月26日)
口述場所:大阪分院蒼雲閣
筆録者:森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:田族比女と十柱の神の降臨によって、万里の島はようやく治まってきたが、まだ白馬ケ岳の谷間には、しばしば黒雲が立ち上り、天を塞いで光を隠し、暴風雨を起こして国土を荒らしていた。田族比女はまずこの曲津見を征服しようと、十柱の神々を率い、竜神が住む白馬ケ岳の深谷を目指した
田族比女は出陣の決意を歌に歌うと、従者神たちは、それぞれ魔神を征して万里の島に平和をもたらそうと決意を述懐歌に歌った。
一行は田族比女をはじめ四柱の女神と七柱の男神。その陣立ては、輪守(わもり)比古の神を先頭に、霊山(たまやま)比古の神、若春比古の神、保宗(もちむね)比古の神、直道比古の神を先触れとし、田族比女の神を正中に、その他五柱の神が後を守っていた。そして白馬ケ岳の魔棲ケ谷(ますみがやつ)を目指して進んでいった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7708
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 621頁
修補版:
校定版:127頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 田族比女の神及び十柱の神の降臨に依りて万里の島ケ根は治まりつれども、002未だ白馬ケ岳の谷間には、003非時黒雲立ち昇り折々天に塞がり、004日月の光を隠し暴風雨を起して国土を荒すこと再三再四なりければ、005先づ此の曲津見を征服せむと、006田族比女の神は十柱の神を率ゐて万里の丘を立出で、007白馬ケ岳の竜神のすめる深谷を指して出で立たさむとして、008御歌詠ませ給ふ。
009『主の神の御稜威に清く治まりし
010万里ケ島根に曲津の潜めるか
011白馬ケ岳谷間に立ちたつ黒雲は
012曲津見の水火か天を包める
013雨風を折々起して万里の島の
014木草を艱むる曲津滅さむ
015十柱の神を従へ今よりは
016曲の砦に吾進むべし
017主の神の依さし給ひし万里の島を
019 輪守比古の神は御供に仕へむとして御歌詠ませ給ふ。
020『比女神の神言畏し吾こそは
021十柱神の御尾前守らむ
022谷深く潜める曲津は竜神か
023大蛇か非時毒気吐くかも
024毒気非時吐きてこの島に
025災を為す神を譴責めむ』
026 霊山比古の神は御歌詠ませ給ふ。
027『果しなき此神国に潜み居る
028魔神の在処を攻め滅さむ
029久方の御空の月日を隠しつつ
030邪気漲らす醜の曲神よ
031御樋代の神の天降りし此島に
032曲神潜むとは吾心得ず
033さりながら朝な夕なに毒気を
034吐きつつ空に黒雲起すも
035黒雲は天に塞がり地を這ひて
036この食国を朝夕汚すも』
037 若春比古の神は御歌詠ませ給ふ。
038『八千草の花も曲津見の毒気に
039艱まされつつ咲き萎むなり
040非時に実りし島の木の実さへ
041虫に食はれて実らず落ちつつ
042此島は常春の国と聞きつれど
043曲津の荒びに冬心地すも
044黒雲の中に紛れて丹頂の
045鶴は御空に迷ひ飛ぶなり』
046 保宗比古の神は御歌詠ませ給ふ。
047『此島に久しく棲みし百蛙の
048日に日に影を潜むる憐れさ
049荒金の土を耕す鼠蛙は
050曲神の水火に滅び失せつつ
051猪も犬も月日重ねて其数の
052少くなりしも曲津見の為なり
053曲津見の害を除きて万里の島の
054百の蛙を助けたく思ふ
055御樋代の神に従ひ白馬ケ岳の
056谷間の大蛇を言向けてみむ』
057 直道比古の神は御歌詠ませ給ふ。
058『主の神の定め給ひし天地の
059正しき道に刃向ふ曲津なし
060言霊の真言の剣振り翳し
061斬りはふりてむ醜の曲津見を
062言霊の功に生りし天地よ
063生言霊を恐れぬ曲津は無き
064仰ぎ見れば白馬ケ岳の谷間より
065天に冲する八重の黒雲』
066 山跡比女の神は御歌詠ませ給ふ。
067『御樋代の神の真言に従ひて
068白馬ケ岳の谷間に進まむ
069吾はしも女神なれども言霊の
070剣の光に曲津を照らさむ
071久方の月日を隠して荒び狂ふ
072醜の曲津を斬り放るべし
073十柱の神と雄々しく駒並べて
074白馬の谷に進む楽しさ
075常世行く暗を晴らして天日を
076終日仰ぐ神世となさばや
077夕されば月朗かに大空に
078輝き給ふ神世とひらかむ』
079 千貝比女の神は御歌詠ませ給ふ。
080『白馬ケ岳千峡八百峡に潜みたる
081醜の曲神の砦に向はむ
082七男四女の神の一行堂々と
083進むも楽し白馬の谷間に
084吾伊行く道にさやらむ曲神は
085躊躇もなく斬りて放らむ
086山路行く道の傍への草叢に
087鳴く虫の音も悲しかりける
088百鳥よ虫よ獣よ安くあれ
089今に曲津見の影滅ぶべし
090久方の天津高宮ゆ降りたる
091神ある限り安き国原
092曲神を生言霊に斬り払ひ
093清め澄まして国土を拓かむ』
094 湯結比女の神は御歌詠ませ給ふ。
095『山も野も神の霊気に充たさるる
096此食国に潜む曲津はも
097曲津見は黒雲となり霧となり
098嵐となりて荒び狂ふも
099万里の島に作り育つる穀物も
100曲津の水火に生ひ立ち悪し
101谷深く潜める曲津を言向けて
102心安国土と造り固めむ
103神々も生きとし生ける森羅万象も
104心安国土に栄えしむべし』
105 正道比古の神は御歌詠ませ給ふ。
106『天地の神の生みてし言霊の
107真言の道に逆らふものなし
108谷深く八十の曲津見潜むとも
109生言霊に斬り放りてむ
110言霊の幸に生れし吾にして
111言霊戦の門出なすも
112わが魂に少しの曇りある時は
113生言霊も光らざるべきを
114谷川の清き清水に禊して
115吾は進まむ言霊戦に
116御樋代の神の光を恐れずに
117潜める曲津は強ものなる
118雲となり雨風となり霧となりて
119神世を曇らす曲津見憎しも
120万里河の源遠し白馬ケ岳の
121峰に湧き立つ雲に続けば
122行き行けど白馬ケ岳は遥かなり
123駒の脚並速めて進まむ』
124 雲川比古の神は御歌詠ませ給ふ。
125『御樋代の神に仕へし十柱の
126神は言霊戦の司よ
127十柱の神の轡を並べつつ
128進まむ道にさやる曲津なし
129曲津見の醜の司を言霊の
130剣に斬りて神世を照らさむ
131御樋代神の稜威の光に照らされて
132曲津の征途に上る楽しさ』
133 斯く神々は曲津見の征途に上らむとして、134御歌詠ませつつ各自駒に跨り、135輪守比古の神を先頭に霊山比古の神、136若春比古の神、137保宗比古の神、138直道比古の神を前供として、139田族比女の神を正中に其他の五柱の神、140御後辺を守りつつ、141黒雲立ち昇る白馬ケ岳の魔棲ケ谷を目指して進ませ給ふぞ雄々しけれ。
142(昭和八・一二・一三 旧一〇・二六 於大阪分院蒼雲閣 森良仁謹録)