第二〇章 女神の復命〔一九五二〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第77巻 天祥地瑞 辰の巻
篇:第3篇 善戦善闘
よみ(新仮名遣い):ぜんせんぜんとう
章:第20章 女神の復命
よみ(新仮名遣い):めがみのふくめい
通し章番号:1952
口述日:1933(昭和8)年12月16日(旧10月29日)
口述場所:大阪分院蒼雲閣
筆録者:森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:御樋代神は、五男三女の神々の成功を祈って、従者神とともに夜も眠らず、西南の空に向かって生言霊を発していた。いよいよ、神々が無事に曲津神を掃討したことを覚り、喜びのあまり、泉の森の清庭に立って、祝いの歌を歌った。そこには、いよいよこれから国造りに携わっていくことの喜びが歌われていた。
従者神たちもそれぞれ祝いの歌を歌ううちに、三柱の比女神たちは、鷲に乗って泉の森に舞い下りた。山跡比女が神歌を歌うと、たちまち鷲は元の白馬に変じた。三柱の比女神たちは、それぞれ歌で戦勝報告を述べた。
御樋代神は、比女神たちの復命に喜び、従者神の輪守比古、若春比古は、感謝の歌を歌った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7720
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 678頁
修補版:
校定版:340頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 御樋代の神は、002曲津の征途に遣はせし五男三女の神々等の成功を祈りつつ夜も眠り給はず、003侍神なる輪守比古の神、004若春比古の神と共に、005西南の空に向つて生言霊を間断なく宣り上げ給ひつつ、006いよいよ神々の無事曲津見を掃蕩し給ひたることを覚らせ給ひ、007喜びの余り月照り耀ふ泉の森の清庭に立ちて、008御声さはやかに言祝の御歌詠ませ給ふ。009其大御歌、
010『白馬ケ岳魔棲ケ谷に向ひたる
011諸神の軍勝ち了せたるよ
012谷々の巌を渡り百千々の
013艱みを越えて勝ちし神はや
014今日よりは此稚国土も心安く
015弥栄えまさむ神の御稜威に
016主の神の貴の恵の言霊に
017万里の島根は治まりしはや
018曲津見は非時濁れる水火を吐きて
020未だ稚き地の面より湧き立つる
021霧の艱みも今日より晴れむ
022楠の葉の葉末の露に輝ける
023月の光の神々しさよ
024天渡る月の光は一入に
025冴え渡りたり青澄める空に
026真砂みな黄金白銀色なして
027月の光に耀ひはゆるも
028いや広き八千方里の島ケ根も
029蘇へるべし曲津見亡びて
030主の神の依さしの神業吾も亦
031仕へ奉りし嬉しさに居り
032非時に雲湧き立ちし魔棲ケ谷も
033今日より晴れむ水火清らかに
034牛も馬も兎鼠も百蛙も
035生きの生命を安く保たむ
036此国土は地肥えたれば穀物も
038国津神を此国原に移し植ゑて
039弥永久の栄え見むかな
040常磐樹の松に巣ぐへる真鶴の
041声も今日より冴え渡るらむ
042大空をはばたきなして隼の
043群がり舞へる月夜は清しも
044円々と盈ち足らひたる月光の
045さやかなる夜を曲津は亡びし
046三柱の比女神等の健気さよ
047御空翔りて仇に向へり』
048 輪守比古の神は御歌詠ませ給ふ。
049『月冴ゆる庭にし立てばそよそよと
050梅花を撫で来し風の香るも
051白梅は月下の露に綻びて
052奇しき香りを公に捧ぐる
053吾公の功著けく魔棲ケ谷の
054戦を居ながら助けたまひぬ
055吾公の生言霊の水火照らひ
056光となりて御空翔りし
057公が放つ光の玉にあてられて
058醜の曲津は亡びたりけむ
059斯くなれば万里の島根は固まらむ
060生きとし生けるもの等勇みて
061黒雲の立ち塞ぎたる稚国原も
062永遠の月日を仰ぐ嬉しさ
063御側近く仕へ奉れる吾にして
064公の尊き功知らざりき
065御側近く長き月日を仕へつつ
066御稜威の高きに驚きしはや
067斯の如尊き神とは知らずして
069吾公よ許し給はれ輪守比古の
070暗き心を見直し給ひて
071大空の月は冴えつつ吾公の
072貴の光を愛でさせ給へり
073月見れば笑ませる如し地見れば
074百花千花輝きつよし
075天地の中に光の公まして
076稚国原を固め給ひぬ』
077 若春比古の神は御歌詠ませ給ふ。
078『御側に近く侍らふ吾にして
079著き功の公を知らざり
080言霊の生きの生命は大いなる
081火光となりて飛び去りしはや
082吾宣りし生言霊の螢火に
083比べて強き赤き公なり
084やがて今三柱比女神帰りまさば
085戦の状況委曲に聞かむ
086束の間も早く聞きたし魔棲ケ谷の
087雄々しき猛き戦の状況を
088梢吹く風の響も澄みきりて
089公の功を称へ顔なる
090滾々と果しも知らず湧き出づる
091泉に似たり公が力は
092真清水に影を浮ぶる月読の
093それにも似たる公の光よ』
094 斯く歌はせ給ふ折しもあれ、095三柱の比女神は中空を響動しながら鷲馬に跨り、096泉の森の樹立稀なる清庭に悠々と降らせ給ひて、
097『駒よ駒よ翼収めて元の如
098白馬となれなれ公の御前ぞ』
099 山跡比女の神の御歌に、100鷲馬は忽ち元の白駒と変じ、101月下の清庭に高く嘶きにける。102今帰り給ひし三柱の比女神は、103駒に水飼ひ終り、104柔かき芝生の萌え出づる清庭に駒を飼ひ放ち置き、105御樋代神の御前に進み出で給ひ、106先づ山跡比女の神より御歌以て戦の状況を復命白し給ふ。107その御歌、
108『漸くに公の御稜威に照らされて
109曲神の砦を打ち払ひけり
110駒並めて進まむ道に曲津見は
111種々の罠を造りて待てりき
112霊山比古神の計らひ畏みて
113小笹ケ原の森に待ち居し
114霊山比古貴の言霊聞きしより
115中空翔り戦に向へり
116吾公の言霊の光なかりせば
117此戦は勝たざりにけむ
118非時に貴の言霊宣りにつつ
119鷲馬に跨り戦ひしはや
120吾公の御前に今日は復命
121白すと思へば心勇みぬ
122五柱比古神はやがて帰りまさむ
123今日の戦の勝に勇みて』
124 千貝比女の神は御歌以て復命白し給ふ。
125『御樋代神貴の言霊畏みて
126力なき吾も戦ひに立ちけり
127千万の曲神悉く言霊の
128水火の力に亡び失せけり
129今日よりは魔棲ケ谷も雲晴れて
130生きとし生けるものを生かさむ
131谷々の水は暫く血の川と
132なりて流れむ曲の血潮に
133明日よりは此谷川は真清水と
134澄みきらひつつ永遠に流れむ
135真清水となりて国原ひたしつつ
136百の草木を養ひまつらむ』
137 湯結比女の神は復命白しの御歌詠ませ給ふ。
138『いや果に吾等三柱比女神は
139曲の戦に進みたりしよ
140小笹原楠の森蔭に時待ちて
141御空を高く吾進みけり
142三柱の比女神鷲馬に跨りて
143空より言霊打ち下しけり
144曲津見は雲霧となり巌となり
145荒風となり防ぎ戦へり
146折々は氷雨を降らし千引巌を
147霰の如くに降りそそぎけり
148色々と手を替へ品を替へながら
149曲神はここを先途と戦ふ
150やうやくに神の恵の御光に
151守られ曲津を亡ぼせしはや』
152 比女神は各自戦状を復命し給ひければ、153田族比女の神は満面笑を湛へて嬉し気に、154御歌詠ませ給ふ。
155『健気なる三柱比女の神業を
156吾は遥かに見つつありしよ
157優しかる比女神ながら魔軍に
158向ひし姿の雄々しかりける
159曲神の深き奸計を打ち破り
160汝比女神は能くも戦ひしよ
161今日よりは万里の島根にさやるべき
162醜神もなく月日晴れつつ
163八百万神の集へる此森に
164吾屯して手配せしはや
165神々の向はむ戦に幸あれと
166夜もすがら吾は言霊宣りつつ
167主の神の依さし給ひし言霊の
168光に曲津は苦もなく亡びぬ
169草も木も喜びの色を湛へつつ
170月下の露にきらめき渡れり
171千早振る神世も聞かぬ今の如
172目出度き神業はまたとあるまじ
173太刀膚の竜も大蛇も八十の曲津も
174汝等が進みし軍に亡びし
175主の神も嘉し給はむ三柱の
176比女神等の雄健び覧はして
177久方の空行く月も澄みきらひ
178汝が功を照らし給へり』
179 輪守比古の神は三女神に対し、180感謝の御歌詠ませ給ふ。
181『比女神の優しき身ながら恐ろしき
182曲津の征途に上らししはや
183吾も亦この清森に神言を
184非時宣りて公を守りし
185五柱比古神の功は言ふもがな
186雄々しき比女神の功尊し
187千早振る神の造りし万里の島の
188礎なるよ公の功は
189天地を永遠に包みし黒雲も
190隈なく晴れて月日は照らへり
191天津日の光地上に刺さざれば
192森羅万象は栄えざるなり』
193 若春比古の神は御歌詠ませ給ふ。
194『三柱の比女神事なく曲神を
195斬り放りつつ帰りませしはや
196白梅の花は匂へり桜木の
197梢の蕾もふくらみて祝ふ
198白梅の香るが如き艶姿を
199照らして汝は戦に臨みましぬ
200十重二十重黒雲包みし大野原を
201公は雄々しく進み給ひし
202吾公の御側に侍りて比女神の
203戦の状況隈なく見しはや
204いざさらば此清庭に安々と
205憩はせ給へ疲れ給はむ
206霊幸はふ神の御稜威に照らされて
207今日は清しき便り聞くかも』
208 斯く神々は各自御歌詠ませつつ、209月下に映ゆる楠の大樹の下蔭に狭筵を敷き、210心も清々しく朗かに憩はせ給ひける。
211(昭和八・一二・一六 旧一〇・二九 於大阪分院蒼雲閣 森良仁謹録)