第九章 馬上征誦〔一九四一〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第77巻 天祥地瑞 辰の巻
篇:第2篇 十一神将
よみ(新仮名遣い):じゅういちしんしょう
章:第9章 馬上征誦
よみ(新仮名遣い):ばじょうせいしょう
通し章番号:1941
口述日:1933(昭和8)年12月13日(旧10月26日)
口述場所:大阪分院蒼雲閣
筆録者:谷前清子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:一行の先頭に使える輪守比古の神は、馬上に出陣の門出歌を豊かに歌った。
万里の島の猛獣を制し、蛙と鼠がうらやすく穀物を作る世となったが、いまだ曲津見は消え去ってはいない。
白馬ケ岳の谷に潜む竜神・大蛇が毒気を吐いて禍を重ねている。その様子をいたんで、今田族比女は一行を引き連れ、魔棲ケ谷をさして勇ましくも進んでいく。
生言霊の幸わいに、曲津の神は影をひそめ、天地にふさがる雲霧は晴れ渡る。地上のもらみなに光を与え、永遠に守らせ給えと願い奉る。
たとえ魔棲ケ谷がどれほど深くとも、竜のすさびが猛くとも、恐れずに言霊の剣を抜き持ちて、曲津を残らず斬りはふりつつ掃き清め、この天界を神の楽園と生かせ守ろう。
雲霧迷う山麓も、我等は勇んで進み行く。
この歌を受けて、先陣の霊山比古、若春比古、保宗比古、そして後詰の正道比古がそれぞれ行進歌を歌った。最後に、田族比女が征途の決意を歌を歌いつつ、一行は白馬ケ岳の山麓を進んでいった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7709
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 624頁
修補版:
校定版:140頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 田族比女の神一行十一柱の神の先頭に仕へます輪守比古の神は、002馬上ゆたかに出陣の首途を祝しながら、003御歌詠ませ給ふ。
004『久方の天津高宮に永久に
005紫微天界を領有ぎ給ふ
006主の大神の神言もて
007泥の海より湧き出でし
008万里の島根は神の国
010栄えはてなき神の国に
011群り棲める悪しき鷲や
013言向けやはすと御樋代の
014田族の比女神降しまし
015吾等十柱神等も
016比女に従ひ天降り来ぬ
021朝な夕なを野に出でて
025天にそびゆる白馬ケ岳の
026千峡八百峡にひそみたる
027醜の曲津見太刀膚の
028竜神大蛇は今もなほ
029日に夜に毒気吐きて
033重なり合ひて常闇の
034神世は再びこの地に
036憐れみ給ひて御樋代の
037神と現れます田族比女の神は
038吾等を伴ひ竜神の
040進ませ給ふぞ雄々しけれ
043醜の曲津は影ひそめ
048生きとし生けるもの等皆
050与へ給ひて永久に
051守らせ給へと願ぎ奉る
052魔棲ケ谷は深くとも
054吾は恐れじ言霊の
057曲津をのこらず掃き清め
058神の依さしの楽園と
062雲霧迷ふ山麓を
063吾等は勇みて進むなり
064吾等は勇みて進むなり』
065 霊山比古の神は駒にゆられながら、066静かに御歌詠ませ給ふ。
067『御樋代の神の御前に仕へつつ
068白馬ケ岳の谷間に
071天津日の光曇るとも
074雲霧行手を包むとも
076主の大神の御水火より
077分れて生れし吾身なり
079水火より生れし国土なれば
082進めよ進めよ十柱の
083生言霊の神等よ
084吾はヲ声の言霊の
086霊山比古の神ぞかし
087白馬ケ岳も言霊に
089霊の神山と化せしめむ
091醜の竜神大蛇さへ
092言向けやはし或は斬り
093或はほろぼし万里の島を
094洗ひ清めて白馬ケ岳も
095東にそびゆる牛頭ケ峰も
098今更思ひ廻らしつ
099胸は高鳴り腕うなり
100力は全身に満ち足らふ
103如何なる猛き竜神も
104大蛇もことごと消え失せむ
105ああ楽もしき今日の旅
106ああ勇ましき公の御供よ』
107 若春比古の神は御歌詠ませ給ふ。
108『吾駒は今日の征途に勇めるか
111長尾を左右に打ちふりつ
114千里万里も何のその
116百草生ふる山裾路を
119蛙と鼠の楽土にて
120スの言霊に生り出でし
121鶴は常磐の松ケ枝に
122万里ケ島根の司とし
125守り居たりし神の国
126星移り年を閲して漸くに
127妖邪の空気は天地に
129竜神現はれその次ぎに
130醜の大蛇の群わきて
132日に夜に悪しき禍を
134猛き獣を生み給ひ
137竜蛇の神を倒すべく
138虎狼や獅子に熊
139猛き力に竜も蛇も
143日に夜に禍下すこそ
146御樋代神の田族比女に
153天地に照し給へども
154醜の曲神は執拗に
156神の御国を汚すさま
158ここにいよいよ御樋代神は
159曲の征途に向はむと
160今日の吉き日の吉き時に
161駒の轡を並め給ひ
162進ませ給ふぞ尊けれ
166守らせ給へと主の神の
167御前を遥かに拝み奉る
168御前を謹み拝み奉る』
169 保宗比古の神は御歌詠ませ給ふ。
171万里の海原に浮びたる
172万里ケ島根はいや広し
173西には白馬ケ岳聳え
174東に牛頭ケ峰立ちて
175中を流るる万里の河
176八千方里の真中に
177百樹の茂る万里ケ丘
179御樋代神の御尾前に
180仕へて吾は曲神の
181伊吹き払ひの神業に
184空飛ぶ田鶴の影さへも
185見えず淋しき国原を
187神の御稜威を柱とし
188白馬ケ岳の谷間に
189ひそめる曲津を言向けやはし
191根を絶やさむと進み行く
192今日の旅路ぞ畏けれ
193吹き来る風は腥く
196百鳥の鳴く音悲しく虫の音も
198野辺の蛙は非時に
199声を放ちて泣き叫ぶ
200その声一つに集まりて
202常世の闇は目のあたり
203万里の島根に落ちむとす
206吾言霊に生命あれ』
207 正道比古の神は御歌詠ませ給ふ。
208『千年経し常磐の松に宿りつつ
209百の蛙を永久に
210守れる田鶴の翼なへて
211悪しき獣や猛き鳥の
213今や滅びむとせし折しも
214主の大神の神言もて
215天降り給ひし田族比女の神の
217猛しき悪しき鳥獣
220鶴は恵みを悟り得ず
223遂には百の蛙等を
224虐げければ百千万の
225叫びの声は天に満ち
226再び闇の世となりしを
228翼を搏ちて攻め来り
229虎狼や獅子熊は
230海より陸より迫り来て
231犬と獅子とにわたり合ひ
233滅び失せにしぞ忌々しけれ
234さはさり乍ら御樋代神の
237御空を翔り舞ひ遊ぶ
239曇らせ濁らせ迷はせて
240地上に生ふる草や木や
242損ひ破る曲津見の
243水火を清めて安国の
245征途に上る今日こそは
246未だ初めての壮挙なり
248水火の力に幸あれよ
249吾宣り出だす言霊に
250真言の神の生命あれ』
251 田族比女の神は御歌詠ませ給ふ。
252『久方の天津高宮ゆ天降り来て
253今日初めての征途に立つも
254曲神の猛び忌々しも生きと生ける
256万里の島の司の鶴は翼なへて
258御樋代の神の出でずば曲津見を
260千年ふりし松の梢の真鶴も
261神の力を知る時来らむ
262はてしなく広く生れし万里の島を
263いかで守り得む鶴のみにては
264神々の言霊の水火なかりせば
265万里の島根は忽ち滅びむ
266真鶴の声は悲しく聞えつつも
268いざさらば駒に鞭うち進むべし
269醜の曲神のひそむ谷間へ』
270 斯く御歌詠ませつつ駒の蹄を急がせて、271白馬ケ岳の山麓を進ませ給ふぞ雄々しけれ。
272(昭和八・一二・一三 旧一〇・二六 於大阪分院蒼雲閣 谷前清子謹録)