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第二四章 会者(ゑしや)定離(じやうり)〔一九五六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第77巻 天祥地瑞 辰の巻 篇:第4篇 歓天喜地 よみ(新仮名遣い):かんてんきち
章:第24章 会者定離 よみ(新仮名遣い):えしゃじょうり 通し章番号:1956
口述日:1933(昭和8)年12月17日(旧11月1日) 口述場所:大阪分院蒼雲閣 筆録者:内崎照代 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
七日七夜の宴の後、生き物たちはそれぞれ帰り行き、今は御樋代神の御聖所は静寂に包まれていた。
そこへ、白馬ケ岳の背後の夕暮れ空が、一種異様の光に包まれ、田族比女は驚いて高殿に立ってこの様を見るに、たちまち尊い御樋代神の降臨であると悟った。そして、輪守比古、若春比古を遣わして、来臨した御樋代神を迎えにやらせた。(第6章からの続き)
使いの二柱の神々は、田族比女の神言のままに、白馬ケ岳西方の御来矢の浜辺に駆けつけた。すると、常盤の森で憩う神々に出会った。一行を案内して万里ケ丘の聖所にたどり着いたのは、翌日の黄昏時になってからであった。
使いの二柱の神は、御来矢の浜辺で朝香比女の神一行に出会い、案内して、無事に帰り着いたことを奏上した。
田族比女の神は、早速朝香比女の神を高殿へ招いた。二柱の御樋代神は互いに挨拶の歌を交わした。朝香比女の神は、田族比女の神が、まだ若く曲津神の猛る万里ケ島を拓いたいさおしをたたえた。答えて田族比女の神は、朝香比女のねぎらいと称えの言葉に感激し感謝を述べ、ただまだ顕津男の神に巡り合って神生みの神業をなすことができないでいる思いを歌った。
ここに、顕津男の神への思いを同じくする二柱の御樋代神は、百年の知己のように心から打ち解け、互いに同情の涙にくれつつ、日を重ねることとなった。
田族比女の神は、曲津神征伐の戦利品として持ち帰った数多のダイヤモンドを、朝香比女の神に贈り物として送った。朝香比女の神は、珍しいものとして、快く受け取ったが、その返礼として、懐中から燧石(ひうちいし)を取り出し、あたりの枯れ芝を集めて火を燃やし出した。
万里ケ島の神々は、初めて天の真火が燃えるのを見て、感嘆の声をあげた。この燧石を、朝香比女は、田族比女への返礼として送ったのである。
田族比女は、天の真火の功徳を称え、朝香比女は、鋭敏鳴出(うなりづ)の神の賜ったこの燧石を、国の鎮めとして送るのだ、と歌い交わした。
それぞれの御樋代神に仕える従者神たちは、この出来事の述懐歌をおのおの歌い、国土の前途を祝した。しかし、朝香比女の神は、ここに長くとどまることはできず、万里ケ島の神々に別れを告げると、再び御来矢の浜辺から、岩楠舟に乗って、万里の海原を東南さして静かに静かに進んでいった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-08-16 23:19:29 OBC :rm7724
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 698頁 修補版: 校定版:413頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 万里(まで)(しま)天地(てんち)(ふさ)ぎたる邪神(まがかみ)(ひそ)みし雲霧(くもきり)はくまなく()れて、002日月(じつげつ)(きよ)(ひかり)地上(ちじやう)()万物(ばんぶつ)蘇生(そせい)(おも)ひして、003(ここ)(あたら)しく国名(こくめい)万里(まで)神国(みくに)(とな)へ、004(すべ)ての基礎(きそ)万世(よろづよ)(かた)(たま)ひ、005()きとし()けるものを(ことごと)万里(まで)(しま)聖所(すがど)(あつ)めて、006寿(ことほ)ぎの(むしろ)(ひら)(たま)ひしが、007七日(なぬか)七夜(ななよ)(のち)008(すべ)ての()きとし()けるものは各自(おのもおのも)常住(じやうぢう)()(かへ)り、009(みづ)()ちたる(ごと)く、010御樋代(みひしろ)(がみ)御舎(みあらか)静寂(せいじやく)()したり。
011 かかる(ところ)西(にし)(そび)ゆる白馬(はくば)(だけ)背後(はいご)にあたれる夕暮(ゆふぐれ)(そら)は、012一種(いつしゆ)異様(いやう)(ひかり)()ちぬれば、013田族(たから)比女(ひめ)(かみ)高殿(たかどの)()ちて、014この(さま)(みそな)はし、015(たふと)御樋代(みひしろ)(がみ)降臨(かうりん)なりとして、016(ただち)輪守(わもり)比古(ひこ)(かみ)017若春(わかはる)比古(ひこ)(かみ)をして御樋代(みひしろ)(がみ)(むか)(たてまつ)るべく、018黄昏(たそがれ)月下(げつか)(むち)うたせ(たま)ひける。
019 (ここ)二柱(ふたはしら)(かみ)神言(みこと)のまにまに、020白馬(はくば)(だけ)西(にし)(あた)御来矢(みくりや)浜辺(はまべ)()けつけ(たま)へば、021常磐(ときは)(もり)(いこ)はせ(たま)五柱(いつはしら)天津神(あまつかみ)(たち)出会(であ)ひまし、022(うやうや)しく言葉(ことば)(かは)第6章からの続き023万里(まで)(をか)聖所(すがど)神々(かみがみ)(みちび)きつつ、024翌日(あくるひ)黄昏頃(たそがれごろ)やうやくに復命(かへりごと)(まを)(たま)ひける。025輪守(わもり)比古(ひこ)(かみ)八柱(やはしら)(たふと)御樋代(みひしろ)(がみ)一行(いつかう)(みちび)き、026無事(ぶじ)(かへ)りたることを田族(たから)比女(ひめ)(かみ)大前(おほまへ)奏上(そうじやう)(たま)ひぬ。
027『わが(きみ)神言(みこと)(かしこ)二柱(ふたはしら)
028御来矢(みくりや)(はま)(いそ)()きけり
029御来矢(みくりや)浜辺(はまべ)()けば森蔭(もりかげ)
030朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)(やす)らひ(たま)ひぬ
031(おそ)(おそ)(われ)御前(みまへ)(ひざまづ)きて
032(きみ)真言(まこと)()(つた)へける
033御樋代(みひしろ)(がみ)朝香(あさか)比女(ひめ)(うなづ)きて
034諸神(しよしん)(したが)此処(ここ)()ませり』
035 田族(たから)比女(ひめ)(かみ)はこれに(こた)へて御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
036久方(ひさかた)高地秀(たかちほ)(やま)より(くだ)りましし
037御樋代(みひしろ)(がみ)をよくも(むか)()しよ
038()(かく)もこれの高殿(たかどの)(みちび)けよ
039(われ)階段(みはし)()りて(むか)へむ』
040 (ここ)輪守(わもり)比古(ひこ)(かみ)041若春(わかはる)比古(ひこ)(かみ)二柱(ふたはしら)は「オー」と一声(ひとこゑ)(かしこ)まりつつ、042御庭(みには)()たせ(たま)へる朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)一行(いつかう)(まへ)言葉(ことば)(うやうや)しく、
043『いざさらば御樋代(みひしろ)(がみ)朝香(あさか)比女(ひめ)
044(すす)ませ(たま)へこれの高殿(たかどの)
045四柱(よはしら)(かみ)(あと)よりつづきませ
046(われ)御後(みあと)(したが)ひまつらむ』
047 朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)(かる)目礼(もくれい)しながら、048静々(しづしづ)高殿(たかどの)さして(すす)みたまふ。049(ここ)田族(たから)比女(ひめ)(かみ)高殿(たかどの)階段(かいだん)()りて(うやうや)しく朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)一行(いつかう)()たせ(たま)ひけるが、050比女(ひめ)御姿(みすがた)目前(もくぜん)(せま)りけるより、
051『あらたふと御樋代(みひしろ)(がみ)天降(あも)りましし
052(たふと)さに(われ)(むか)(まつ)るも
053いざさらばこの高殿(たかどの)案内(あない)せむ
054のぼらせ(たま)五柱(いつはしら)(かみ)
055 (ここ)朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
056(おと)()田族(たから)比女(ひめ)御樋代(みひしろ)
057(なれ)なりしかも(めぐ)しと(おも)ふ』
058 ()(うた)(をは)り、059悠然(いうぜん)として田族(たから)比女(ひめ)(かみ)(しりへ)より、060朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)高殿(たかどの)さしてのぼらせ(たま)ひける。061朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
062所々(ところどころ)御樋代(みひしろ)(がみ)八十柱(やそはしら)
063いますと()きしを今日(けふ)()ひにけり
064(つち)(わか)国土(くに)(かた)むる御樋代(みひしろ)(がみ)
065(くる)しき神業(みわざ)(おも)ひやらるる
066国土(くに)()(さだ)まらずして曲津見(まがつみ)
067(たけ)国原(くにはら)(ひら)くは(くる)しき
068諸々(もろもろ)(なや)みに()へて万里(まで)(しま)
069(ひら)(たま)ひし(きみ)(いさを)(おも)
070(われ)(いま)西方(にしかた)国土(くに)(すす)まむと
071その(みち)すがらを()()りしはや
072この(しま)八十(やそ)比女神(ひめがみ)のましますと
073かねて()きしゆ()()りて()
074まめやかに(おは)せる(きみ)御姿(みすがた)
075(われ)(うれ)しさ()へやらぬかも
076永久(とこしへ)(いのち)(たも)ちて若々(わかわか)しく
077国魂神(くにたまがみ)()ませ(たま)はれ』
078 田族(たから)比女(ひめ)(かみ)感激(かんげき)()へず、079御歌(みうた)もて(こた)(たま)ふ。
080『ありがたし(たふと)朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)
081(やさ)しき言葉(ことば)(よみがへ)りける
082八柱神(やはしらがみ)(たふと)比女(ひめ)御自(みみづか)
083(われ)()はせし今日(けふ)(かしこ)
084顕津男(あきつを)(かみ)()でまし()ちまちて
085(いま)はやうやく(とし)さびにけり
086(なが)めよきこの高殿(たかどの)(やす)らかに
087(ひかり)(はな)ちて(おは)しましませ』
088 朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
089(われ)もまた(おな)(おも)ひの御樋代(みひしろ)
090()岐美(きみ)()ふと()ぎて(きた)れり
091()岐美(きみ)西方(にしかた)あたり曲津見(まがつみ)
092(もも)(いくさ)(たたか)(たま)はむ
093一水火(ひといき)(ちぎり)なれども()(かみ)
094()さしなりせば(わす)(がた)(おも)ふ』
095 田族(たから)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
096(いつ)くしき朝香(あさか)比女(ひめ)(こと)()
097(われ)はおもはず(なみだ)しにけり
098()岐美(きみ)()ふる(こころ)(くる)しさを
099(あぢは)はひ(たま)女神(めがみ)いとしも』
100 (ここ)二柱(ふたはしら)御樋代(みひしろ)(がみ)(ひやく)(ねん)知己(ちき)(ごと)く、101(たがひ)(こころ)(そこ)より()()ひ、102同情(どうじやう)(なみだ)にくれ(たま)ひつつ(おも)はず()らず()(かさ)(たま)ひける。103田族(たから)比女(ひめ)(かみ)は、104白馬(はくば)(だけ)魔棲(ますみ)(やつ)にて神々(かみがみ)戦利品(せんりひん)として()(かへ)りたる数多(あまた)のダイヤモンドを取出(とりいだ)し、105朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)(たてまつ)りければ、106()(めづら)しき(もの)よと()(たた)へながら、107田族(たから)比女(ひめ)(かみ)(たてまつ)るままに、108こころよく()()らせ(たま)ひぬ。109田族(たから)比女(ひめ)(かみ)(たてまつ)りたる宝石(はうせき)は、110(もつと)(ひか)(まばゆ)く、111(もつと)(おほ)いなるダイヤモンドにして(まれ)なる(めづら)しき(もの)なりける。
112 朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)()謝礼(しやれい)として、113懐中(くわいちう)より燧石(ひうちいし)取出(とりいだ)し、114()()()四辺(あたり)枯芝(かれしば)(あつ)めて()(もや)(たま)ひければ、115田族(たから)比女(ひめ)(かみ)(はじ)めとし十柱(とはしら)神々(かみがみ)(はじ)めて真火(まひ)()ゆるを見給(みたま)ひしこととて、116(いづ)れも感嘆(かんたん)(こゑ)(はな)(たま)ひけるが、117朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)宝石(ほうせき)謝礼(しやれい)として()づからのこの燧石(ひうち)田族(たから)比女(ひめ)(かみ)(おく)(たま)ひける。
118 田族(たから)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
119『あら(たふと)(あか)るき(あつ)()()えぬ
120闇夜(やみよ)()らす(かみ)なるよ真火(まひ)
121この国土(くに)真火(まひ)(いさを)のある(かぎ)
122曲津見(まがつ)(かみ)(すさ)ばざるべし
123曲神(まがかみ)(ひそ)山野(やまぬ)()(はら)
124(きよ)むるによき真火(まひ)なりにける
125朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)(たま)ひし燧石(ひうちいし)
126万里(まで)神国(みくに)(うづ)(たから)
127(いし)()ちて真火(まひ)()づるとは今日(けふ)()まで
128(おろか)しき(われ)はさとらざりけり
129この(たから)(たま)ひし(うへ)万里(まで)国土(くに)
130(すべ)ての曲津(まが)()(ほろ)ぼさむ』
131 朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
132鋭敏鳴出(うなりづ)(かみ)(たま)ひし燧石(ひうち)なれば
133国土(くに)(しづ)めと(きみ)(おく)るも
134この燧石(ひうち)(ひと)つありせば稚国土(わかぐに)
135(たちま)(かた)らに(さか)えゆくべし
136穀物(たなつもの)その(ほか)すべての食物(をしもの)
137真火(まひ)にてあぶれば(あぢ)はひよろしも
138真清水(ましみづ)真火(まひ)(ちから)()となりて
139(かみ)(ささ)ぐる(しろ)となるべし』
140 田族(たから)比女(ひめ)(かみ)(また)もや御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
141朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)(ささ)げし宝石(はうせき)
142(ひかり)あれども(あつ)からず()えず
143(いのち)なき(ひかり)(きみ)(たてまつ)
144(いのち)ある(ひかり)(たま)はりしはや』
145 (ここ)二柱(ふたはしら)(かみ)はダイヤモンド、146燧石(ひうちいし)贈答(ぞうたふ)(をは)り、147(ふたた)(くつろ)ぎて歓談(くわんだん)()けらせ(たま)ふ。
148 初頭(うぶがみ)比古(ひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
149(なみ)()(わた)りて万里(まで)神国(かみくに)
150()ぎて()つるも(きみ)(まも)りて
151(めづら)しく(かがや)(たま)()たりけり
152この新国土(にひくに)()きし()もなく』
153 起立(おきたつ)比古(ひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
154高山(たかやま)高山(たかやま)(なか)()くの(ごと)
155聖所(すがど)のあるは(めづら)しきかな
156御樋代(みひしろ)(がみ)御樋代(みひしろ)(がみ)出会(であ)ひませる
157この神国(かみくに)永久(とは)(さか)えむ』
158 立世(たつよ)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
159『わが(きみ)(したが)(まつ)りて万里(まで)国土(くに)
160夜光(やくわう)(たま)(をが)みけるかも
161夜光(やくわう)(たま)(うるは)しかれども(いのち)なし
162燧石(ひうち)真火(まひ)真言(まこと)にしかざり』
163 天晴(あめはれ)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
164諸々(もろもろ)曲津(まが)をやらひし燧石(ひうちいし)
165(おく)らせ(たま)ひしわが(きみ)(かしこ)
166貴宝(うづたから)数多(あまた)あれども真火(まひ)()づる
167燧石(ひうち)にまさる(たから)なきかな』
168 輪守(わもり)比古(ひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
169朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)(たま)ひし燧石(ひうち)こそ
170この新国土(にひくに)()ける(たから)
171宝石(はうせき)(ひかり)如何(いか)(かがや)くも
172邪神(まがみ)()ちし(たから)なりける』
173 霊山(たまやま)比古(ひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
174(かしこ)しや天降(あも)りましたる八柱(やはしら)
175比女神(ひめがみ)言葉(ことば)(ただ)()(われ)
176顕津男(あきつを)(かみ)出会(であ)ふと数万(すまん)()
177海山(うみやま)(わた)らす比女(ひめ)雄々(をを)しき』
178 若春(わかはる)比古(ひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
179『やうやくに雲霧(くもきり)()れし万里(まで)国土(くに)
180二柱(ふたはしら)御樋代(みひしろ)(かみ)天降(あも)らせり
181わが(きみ)(たふと)しされど八柱(やはしら)
182比女(ひめ)(いさを)はひとしほ(たか)し』
183 保宗(もちむね)比古(ひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
184(めづら)しや御樋代(みひしろ)(がみ)二柱(ふたはしら)まで
185この神国(かみくに)天降(あも)(たま)ひぬ
186西方(にしかた)国土(くに)()でます朝香(あさか)比女(ひめ)
187(かみ)(こころ)雄々(をを)しとおもふ』
188 直道(なほみち)比古(ひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
189一柱(ひとはしら)(みづ)御霊(みたま)()()ひて
190ねたみ(たま)はぬ御樋代神(みひしろがみ)(たち)
191惟神(かむながら)(かみ)()さしの御樋代(みひしろ)なれば
192(きよ)くすがしく(おは)しましけるよ』
193 山跡(やまと)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
194御樋代(みひしろ)二柱(ふたはしら)(かみ)御面(みおもて)
195月日(つきひ)(ごと)くかがよひませり
196(をろが)むもまばゆきばかり御樋代(みひしろ)
197(かみ)のおもざし(かがや)(つよ)し』
198 千貝(ちかひ)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
199『はろばろと(みづ)御霊(みたま)(した)ひまして
200()でます朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)雄々(をを)しも
201雲霧(くもきり)をいぶきわたりて海原(うなばら)
202(なみ)()ふみて()ませし(きみ)はも』
203 湯結(ゆむすび)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
204『ためしなき雄々(をを)しき御樋代神(みひしろがみ)(たち)
205(あか)(こころ)()らされしはや
206(かへ)りまさむ()(ちか)づきぬ(うるは)しき
207(かみ)(わか)るとおもへばかなしも』
208 正道(まさみち)比古(ひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
209御樋代(みひしろ)(がみ)これの神国(みくに)(たま)ひたる
210燧石(ひうち)千代(ちよ)(たから)(あふ)がむ
211()くの(ごと)(たふと)()ける(ちから)あらば
212万里(まで)神国(みくに)におそるるものなし』
213 雲川(くもかは)比古(ひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
214(あたら)しく国土(くに)(うま)れぬ(あたら)しき
215真火(まひ)(かがや)きぬ(かみ)(めぐみ)
216()(きよ)(こころ)(きよ)めて燧石(ひうちいし)
217神霊(みたま)永久(とは)(いつ)かむとおもふ』
218 ()神々(かみがみ)各自(おのもおのも)御歌(みうた)()ませつつ、219朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)訪問(はうもん)や、220燧石(ひうちいし)国宝(こくはう)として(たま)ひしことなどの(うれ)しさに国土(くに)前途(ぜんと)(しゆく)(たま)ひけるが、221御樋代(みひしろ)(がみ)朝香(あさか)比女(ひめ)(かみ)(なが)らくこの国土(くに)(とど)まるを()ず、222以前(いぜん)四柱(よはしら)(かみ)(したが)へまし諸神(ももがみ)(わか)れを()げ、223御来矢(みくりや)浜辺(はまべ)より磐楠舟(いはくすぶね)()万里(まで)海原(うなばら)東南(とうなん)(そら)さして(しづ)かに(しづ)かに(すす)ませ(たま)ひける。
224昭和八・一二・一七 旧一一・一 於大阪分院蒼雲閣 内崎照代謹録)
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