第二二章 歓声満天(一)〔一九五四〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第77巻 天祥地瑞 辰の巻
篇:第4篇 歓天喜地
よみ(新仮名遣い):かんてんきち
章:第22章 歓声満天(一)
よみ(新仮名遣い):かんせいまんてん
通し章番号:1954
口述日:1933(昭和8)年12月16日(旧10月29日)
口述場所:大阪分院蒼雲閣
筆録者:林弥生
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:万里ケ原に凱旋した神々は、祝宴を開こうと、万里の国原の生きとし生けるものすべてに、早馬を使わして知らせを告知した。宴の日には、万里の島のすべての生き物が集まって来て、幾千万の馬、牛、羊、ねずみ、蛙が凱旋を祝う声で天地も崩れるばかりであった。
この前代未聞の慶事に、御樋代神・田族比女の神は、高殿に登って群集の喜ぶ様をご覧になり、喜びの歌を歌った。ただその中にも、太元顕津男の大神に見合って国魂神を生むことが、まだできていないことをのみ、悔やんでいた。そして、その時をひたすら相待つことを誓って、歌を終えた。
続いて、山跡比女、千貝比女、湯結比女の三柱の比女神たちが、祝いと喜びの歌を歌った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7722
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 689頁
修補版:
校定版:380頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 万里ケ丘の聖所に凱旋したる十一柱の神々は、002喜びのあまり祝宴を開くべく万里の国原の生きとし生けるものの悉くに、003駿馬使を遣はし給ひければ、004定めの日の来るを待ちつつ八千方里の国土に、005生きとし生けるもの等悉く先を争ひ雲霞の如く集り来りて、006異口同音に凱旋を寿ぎ歌ふ声は天地も崩るるばかりなりけり。007幾千万の馬も牛も羊も鼠蛙も、008先を争ひ万里ケ丘の聖所を十重二十重にとり巻き、009立錐の余地なきことこそ前代未聞の大慶事なりける。
010 ここに田族比女の神は、011新たに造り了へたる高殿に登らせ給ひて、012群衆の歓ぎ喜ぶ状を遥かにみそなはし歓喜身に溢れて、013御歌詠ませ給ふ。
014 群集せる総ての生物は、015御樋代神の御歌につれて各自手を拍ち足を踏みならし怪しく腰を振りながら踊り狂ふぞ勇ましかりける。
016 田族比女の神の御歌。
017『久方の天津御空に迷ひたる
018醜の黒雲吹き散りぬ
019天津日光は澄みきらひ
020御空を渡る月読の
021舟は冴えつつ諸々の
022星は御空に輝きぬ
023科戸の風も軟かに
024常世の春を撫でて行く
025百花千花はこの春を
026千歳の楽土と笑まひつつ
028香りを四方に散らすなり
029雲に聳ゆる牛頭ケ峰
030御空に高き白馬ケ岳も
031水火澄みきらひ紫の
034常世の春の目出度さを
036百鳥千鳥の囀りは
037伽陵頻迦の声に似て
038聞くも清しき音色なり
039御空に高舞ふ真鶴は
041万里の聖所の森の上に
042翼休めて千代うたふ
044白き黄色き胡蝶は来り
047伊寄り集ひて万世を
049白馬ケ岳の山麓に
050白雲遊び牛頭ケ峰の
052濃き紅の雲の色は
053天津日光の寝床かと
057醜の曲津を打ち払ふ
058今日の喜び永久に
059語り伝へて後の世の
061奴婆玉の黒き毛生へる真牛は
062二本の角をふり立てて
063右や左や前後
064前つ太脚ふり上げて
065直立しつつ手の如く
066踊り狂ふぞ面白き
067羊は勇み白兎は
069毬と変じつ四方八方に
071鼠は勇み百蛙は
073青き御空を眺むれば
075翼揃へて月の輪を
076描きつ消しつ歌ひ舞ふ
078八千方里の万里の島は
079宛然主の神永久に
081紫微の宮居の荘厳さも
082今日のよき日の賑はひに
085国津神等を移し植ゑ
086稚国原の真秀良場を
087𪫧怜に委曲に鋤き固め
088木草の種を植ゑおふし
089稲麦豆粟黍の類
093天国浄土の楽しみに
094遊ばせ生かせ永久の
095神の御国と定むべし
097国土の司と臨むべき
099今日のよき日の喜びの
102神の依さしの時待ちて
103太元顕津男の神の
105心を洗ひ魂清め
106御空に輝く日月の
107清きを保ちて相待たむ
109万里の島根を永久に
110守らせ給へと久方の
111天津高宮に在します
112主の大神を始めとし
113従へ給ふ百千々の
114畏き神の御前に
115畏み畏み願ぎまつる
116謹み敬ひ請ひまつる』
117 山跡比女の神は御歌詠ませ給ふ。
118『天晴れ天晴れ今日の生日の目出度さよ
119総ての生物伊寄り集へば
120わが公の御稜威畏し国原は
121挙りて御前に寿ぎ言宣るも
122雲を抜く白馬ケ岳の頂に
123紫雲棚引き天津日てらふ
124昼月の光は東の大空に
125白く冴えつつ昇りましけり
126月も日も今日の慶事を寿ぐか
128千早振る神世もきかぬ今日の日の
129寿ぎ言葉国土に充ちつる
130地稚き国土とは言へどかくの如
131数多の生物あるは楽しき
132野に出でて田畑を耕す蛙まで
133この斎場に集ひて踊れる
134上も下も心合せて曲津神の
135亡びし今日を祝ふ宴なり
136山も野も皆おしなべて蘇り
137命の露を照らして果てなし
138限りなき万里の海原に浮びたる
139この稚国土の栄え果てなき
140女神われも曲津の征途に立ち向ひ
141今日の楽しき宴に会ひぬる』
142 千貝比女の神は御歌詠ませ給ふ。
143『果てしなき喜びにわれも満されて
144手の舞ひ足の踏み所を知らず
145月も日も豊に光をなげ給ひ
146百の草木の露を照らせり
147この島に生きとし生けるもの皆は
148今日のよき日を祝はぬはなし
149真鶴の永久に治めし稚国土も
150御樋代神の神世となりける
151丹頂の鶴は千歳の常磐樹の
152松を飾りて千代をうたはむ
153かくならば国魂神を生みまして
154国土の司と定めますべし
155そよと吹く風も寿ぐかさやかなる
156音色放ちて森を過ぎゆく
157高殿に御樋代神は上らして
158歌はす御歌の声朗らなる
159わが公の冴えに冴えたる言霊に
161仰ぎ見れば御空の海は限りなく
163大空の青き海原渡りゆく
164月読の舟は波きり進むも
165大空に漂ふ魚鱗の雲見れば
166宛然海の波に似しかも』
167 湯結比女の神は御歌詠ませ給ふ。
168『天地の開けし時ゆかくの如
169目出度きためしは聞かざりにけり
170もろもろを日に夜になやめ苦しめし
171曲津の滅びし今日ぞ目出度き
172みはるかす万里の丘辺のほとり皆
173伊寄り集へる喜びの声
174昨日まで歎きの声と聞えしは
176喜びの声は天地にみちみちて
177国土の栄えを物語るなり
178御樋代の神の功に地稚き
179万里の国原蘇りたり
180この島に生きとし生ける物等皆
181御樋代神の功をうたへり
182わが公は尊き御身を起しつつ
183曲津の征途に上らせ給ひぬ
184健気なる公の雄健びに励まされ
185女神のわれも征途に向ひし
186わが公の生言霊の御光に
187曲津の軍を逐ひやりにけり
188今日よりは慶事の重なりて
189栄え果てなし万里の国原は
190馬も牛も今日より初めて新しき
191水も飲むべし草も食むべし
192鳥獣虫けらまでも澄みきらふ
193水火に万世を蘇るべき
194御樋代の神に仕へてわれは今
195この喜びを目のあたり見るも』
196 かく歌ひ給ふ折しも、197群衆の歓ぎ喜ぶ声は刻々に高まり、198万里の島根の天地は覆へらむかと思ふばかりの有様を現出したるこそ目出度けれ。
199(昭和八・一二・一六 旧一〇・二九 於大阪分院蒼雲閣 林弥生謹録)
200 本巻第二十二章を口述し終りたる昭和八年十二月十六日の夕刻なりき。201冷雨は大阪分院の広庭に沛然として臻り、202時ならぬ雷鳴は深夜の二時轟き渡りて、203大地震の勃発せしかと疑ふばかり凄まじき光景を現じたりける。