第七章 四神出陣〔一九六三〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第78巻 天祥地瑞 巳の巻
篇:第2篇 焼野ケ原
よみ(新仮名遣い):やけのがはら
章:第7章 四神出陣
よみ(新仮名遣い):ししんしゅつじん
通し章番号:1963
口述日:1933(昭和8)年12月21日(旧11月5日)
口述場所:大阪分院蒼雲閣
筆録者:森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年5月5日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:朝香比女の神は、忍ケ丘のもっとも高い場所に陣を作って悪魔征伐の大本営と定めた。
野槌比古を側において観戦場とし、一方、初頭比古(うぶがみひこ)、起立比古、立世比女、天晴比女の四柱の神々を、沼の大蛇の征伐に向かわせた。
このグロス沼に、グロノス、ゴロスの邪神は永遠の住処として天地をかく乱していたのである。
出陣した四柱の神々は、駿馬にまたがり、進軍歌を歌いながら勇気凛々として進んでいった。
すると、原野の真中に大きな老松が傘を開いたように枝を伸ばしていた。四柱の神々は、ここに休息を取り、作戦計画を練った。
そして、おのおの門出の歌を歌うと、駒の背にまたがり、再び出発して進んでいった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7807
愛善世界社版:
八幡書店版:第14輯 60頁
修補版:
校定版:121頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 東の空は漸く東雲の陽気漂ひ、002忍ケ丘の森林に囀る小鳥の声も賑しく、003常世の春をうたふ。004茲に朝香比女の神は忍ケ丘の最高所に幄舎を造り、005悪魔征伐の大本営と定め、006野槌彦を傍に侍らせ観戦場と定め給ひ、007新進気鋭の英雄神初頭比古の神、008起立比古の神、009立世比女の神、010天晴比女の神の四柱をして、011沼の大蛇の征服に向はしめ給ふ。012此沼の名はグロス沼と古来称へられ、013グロノス、014ゴロスの邪神は永遠の棲処としてグロス島の天地を攪乱し、015暴威を振ふに至りし邪神の根拠地なりける。
016 朝香比女の神は生言霊の御稜威と真火の力にて、017大蛇の深く潜める大野原は拭ひし如く焼払はれたれども、018邪神どもは此沼に潜入して何時又其暴威を振ふやも計り難ければ、019其不安を一掃してグロス島の平和を永遠に維持せむが為の征服戦なりけるぞ畏けれ。
020 朝日に輝く沼の面は仄かに眼界に入るとは雖も、021忍ケ丘の高所よりの眺めなれば里程は余り近からず、022茲に四柱の神は駿馬に鞭うち、023即戦即勝を期しながら勇気凛々として、024御歌うたはせながら一直線に進ませ給ひける。
025『朝日は照るとも曇るとも
027真言の力は世を救ふ
029善神邪神を立て別ける
030紫微天界を生まします
031主の大神の神言もて
032百八十国や八十の島
035聞かざる曲津は討ち罰め
036荒野を渉り山を越え
037河の瀬渡り荒金の
038此地の上に一塵の
039穢れも残さじものと惟神
040神の任に任に御樋代の
041貴の神等彼方此方に
043吾等仕ふる神柱
044朝香の比女の御樋代は
045高地秀の宮を立ち出でて
047恐れ給はず山渉り
048広河越えて漸くに
049万里の沼路を渡りまし
050狭野の島根の曲神を
051言向け和し国土造り
052造り終りて天津神
053国津神等を司とし
054永遠の礎定めつつ
057浪の秀分けて進みます
061渡らせ給ひつ八十比女の
062田族の比女の知食す
063万里ケ丘なる聖所に
064言向け給ひ万世の
065国土の宝と燧石
066贈らせ給ひつ神々に
068再び海原乗り切りて
072真火の力に追ひ払ひ
073祓ひ清めて大野原
075忍ケ丘に着き給ひ
076野中の沼の醜神を
077言向け和し稚国土の
078曲津の災除かむと
080吾等を遣はせ給ふなり
082主の大神の賜ひたる
084醜の曲津を悉く
085言向け和し或は斬り
086此国原を安国と
087治めむ為の首途ぞや
088勇めよ勇め諸の神
089進めよ進め曲神の
090永遠に潜める野中の沼へ
092刃向ふ敵は世にあらじ
093勇めよ勇め進めよ進め
094吾等は神と倶にあり
097吾言霊に幸あれよ。
098地稚きグロスの島に潜みたる
099曲津を罰むと吾は進むも
100限りなき広き大野の真中に
101沼を造りて大蛇は潜むか
102葭葦の茂れる野辺は焼きつれど
103沼の底ひを乾す由もなし
104天津日は御空に清く輝きて
105沼の表面を伊照らし給へり
106今日こそは御樋代神の神言以て
107征途に上る初陣なりけり
108振返り見れば忍ケ丘ははや
109霞の幕に包まれにけり
110陽炎の燃ゆる野中の沼底に
111潜む大蛇の身の果なるも
112目に一つさやるものなく焼かれたる
113大野の中に照れる醜の沼よ
114いざさらば四柱力を一にして
115生言霊の征矢を射むかも
116次々に沼の面近く見えにつつ
117吾駿馬の息づかひ高し
118常磐樹の松の一本そそり立つ
119樹蔭に駒を休めて進まむ』
120 斯く歌ひつつ進ませ給へば、121原野の真中に屹然として立てる老松は、122何ものの制縛も受けざるが如く四方八方に枝を伸し、123恰も大なる傘を開きたる如き姿にて天を封じ、124太陽の光も地に届かぬばかり枝細やかに栄えゐたるを見たりければ、125これ幸ひと四柱の神は駒を乗り降り、126暫し休らひながら、127いろいろと作戦計画に神力を集注し給ひける。
128 初頭比古の神は御歌詠ませ給ふ。
129『野の中に御空を封じて聳り立つ
130傘松の蔭は心安しも
131吾々は今や曲津の征服に
132向はむとして元気を養ふ
133曲神も百の奸計の穴掘りて
134待迎へ居らむ心し行かばや
135八千尋の底ひも深き沼底に
136潜む曲神の罰めは難し
137さりながら生言霊の力にて
138水底の曲津を浮ばせてみむ
139面白しああ勇ましし曲津見の
140罰めの戦の首途と思へば
141駿馬の息を休ませ吾々も
142英気を養ひ敵に向はむ』
143 起立比古の神は御歌詠ませ給ふ。
144『醜神の伊吹にやあらむ遠の野に
145かすかに醜の黒雲涌くも
146数限りなき曲津見は彼方此方に
147吾等を待ち伏せ射向ひ来らむ
148幾万の曲津の軍攻め来とも
149言霊剣に斬り放りてむ
150天津日の豊栄昇らす大空に
151真鶴の声清く聞ゆる
152松が枝に鶯までも止まりて
153吾首途を言祝ぎ啼けるも
154迦陵頻伽の啼く声聞けば吾軍
156目に一つさやるものなき焼野ケ原に
157一本松の影はしるきも
158常磐樹の松の操を心とし
159ひたに進まむ野中の沼に
160御樋代の神は忍ケ丘の上に
161吾戦ひを守りますらむ』
162 立世比女の神は御歌詠ませ給ふ。
163『天津日の光さやけき地の上に
164如何で曲津の射向ふべきやは
165吾々は面勝神と雄々しくも
166曲の棲処に伊向ひ進まむ
167進み進み退く事を知らざれば
168必ず戦は勝つものぞかし
169さりながら吾勢に乗じつつ
170軽く進まむ事のあやふき
171村肝の心落付け静々と
172曲津の軍に伊向ひ進まむ』
173 天晴比女の神は御歌詠ませ給ふ。
174『神々の稜威の雄健び聞きながら
175心の駒の逸り立つ吾は
176駿馬は足掻きしながら嘶けり
177曲津の征途を駒も勇むか
178陽炎の燃え立つ野辺の奥にして
179醜の曲津の棲むとも覚えず
180平和なる此天地の中にして
181グロノス、ゴロスと戦ふ今日かな
182いざさらば諸の神々出でませよ
183野中の沼はまだ遠ければ
184天津日の輝き給ふ日の中に
185言向け和さむ醜の魔神を』
186 斯くの如く神々は首途の御歌を詠ませつつ、187再び駒の背にひらりと跨り、188意気揚々として進ませ給ひける。
189(昭和八・一二・二一 旧一一・五 於大阪分院蒼雲閣 森良仁謹録)