第一七章 天任地命〔一九七三〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第78巻 天祥地瑞 巳の巻
篇:第3篇 葦原新国
よみ(新仮名遣い):あしはらしんこく
章:第17章 天任地命
よみ(新仮名遣い):てんにんちめい
通し章番号:1973
口述日:1933(昭和8)年12月22日(旧11月6日)
口述場所:大阪分院蒼雲閣
筆録者:白石恵子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年5月5日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:葦原比女の神は、天体に現れた月星の奇現象に、三千年の天地の刻が至ったことを証覚し、大勇猛心を発揮して、天津神たちを残らず地に降し、また地に潜んでいた御魂の清い国津神を抜擢して国土の政治一切を統括した。
この英断に朝香比女の神は感激し、諸神に向かって新しい国土の誕生に、宣示の歌を詠んだ。葦原比女の神は、忍ケ丘に国土の司を定めると宣言すると、ここに主の大神の祭壇を作らせ、神々の神任式の祭典を盛大に執り行った。
野槌比古の神を始め、国津神より選ばれた五柱の神々は、葦原比女の神の前に進み出ると、任の重さに身を引き締め、国土に尽くす覚悟と抱負の歌を歌った。
葦原比女の神は続いて、もと天津神として仕えていた従者神たちそれぞれに、地上の任務を言い渡した。真以比古は西の国土、成山比古は南の国原、霊生(たまなり)比古は東の国原、栄春比女は北の国土、八栄比女は、野槌比古がもと司っていた忍ケ丘を、それぞれ任命された。
こうして朝香比女の神一行の立会いのもと、神任式は無事に終了し、天津神は国津神となり、国津神は天津神を任命され、葦原の国土は新しい生命に輝きはじめた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7817
愛善世界社版:
八幡書店版:第14輯 108頁
修補版:
校定版:301頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 茲に葦原の国土の守り神と生れませる葦原比女の神は、002天体に現はれし月星の奇現象に三千年の天地の時到れることを、003鋭敏なる頭脳より証覚し給ひ、004大勇猛心を発揮して、005天津神等を一柱も残さず地に降し、006また地に潜みたる神魂の清き国津神を抜擢して、007天津神の位置につらね、008国土の政治一切を統括せしめ給ふ大英断に、009朝香比女の神は感激し給ひ、010諸神に向つて宣示的御歌を詠ませ給ふ。011その御歌、
012『天地の開けし時ゆためしなき
013今日の動きの大いなるかも
014天地も一度に動く心地かな
015国土の司の昇り降りは
016荒金の地を拓きて御日光は
017天津御空に昇りましける
018天渡る星は御空の高きより
019降りて地にひそむ夜半なり
020葦原比女神の神言の英断を
021主の大神も嘉しますらむ
022二十年の曇り汚れも今日よりは
023隈なく晴れて月日は照らむ
024神々の水火の曇りの強ければ
025天津御空に黒雲立つも
026新しき国土の生れし今日よりは
027葦原の国土はゆたに栄えむ』
028 葦原比女の神は御歌詠ませ給ふ。
029『御光の神の現れます忍ケ丘に
030国土の司を定めけるかな
031国津神を天津神とし天津神を
032国津神とし稚国土生まむ
033国津神を言向け和すと此丘に
034神を祈りて千代を祝はむ』
035 かく宣り終へ給ひて、036国津神もろもろに命じ、037忍ケ丘の聖所に主の大神の斎壇を造らせ、038祝詞の声も恭しく、039天津神、040国津神、041十柱神の神任式の祭典を盛大に行はせ給ひける。
042 野槌比古の神は葦原比女の神の御前に、043恐る畏る進み出で、044歌もて答へ給ふ。
045『葦原の国土の守りと天降ります
046御樋代神の御前畏し
047卑しかる吾国津神選まれて
048今日より仕へむ御側近くを
049天も地も醜の黒雲ふさがりし
050この国原は明け放れたり
051真心の限りをつくし主の神を
052朝夕斎きて公に仕へむ
053荒金の地をはひ出で久方の
054御空に昇るわれ畏しも
055卑しけれど御言葉なりせば慎みて
056仕へ奉らむ国土の柱と
057四柱の国津神たちもろともに
058御前を近く清めて仕へむ』
059 高比古の神は御歌詠ませ給ふ。
060『御樋代の神の依さしの言霊を
061畏み奉り今日より仕へむ
062天津神国津神等のなやみをも
063真言の力に払ひ奉らむ
064われは野に久しくありて天津神の
065日々に務むる神業に疎し
066われはただ真心もちて朝夕に
067百の神たちの為につくさむ
068葦原の国土は稚しもはしばしは
069まだ曲津見の雄猛び強し
070今日よりは清けき明き心もて
071公と国土とに神魂捧げむ』
072 照比古の神は御歌詠ませ給ふ。
073『思ひきや天津御神の位置に入りて
074公に親しく仕へ奉るとは
075駿馬の使にわれは驚きて
076急ぎ御前にかしこみ来るも
077主の神の生ませ給ひし葦原の
078国土を生かして永久に守らむ
079御樋代神の例もあらぬ英断に
080吾は畏み馳せまゐりけり
081天津神の務むるわざは知らねども
082神任のままに仕へ奉らむ
083朝夕に禊の神事を修めつつ
084此稚国土の為に尽さむ
085月も日も神庭に清く照比古の
086神は功を永久に立てむ
087これの世を忍ケ丘に年さびて
088世を歎きましし野槌の神はや
089吾もまた忍ケ丘に往来して
090野槌の神の教うけをり
091曇りはて乱れはてたる国原を
092治めむとして道を求ぎける
093野槌比古神の教は天地の
094神の真言の教なりけり
095国津神の水火安かれと朝夕に
096神を祈りし野槌の神なり
097野槌比古神の教に従ひて
098永き年月を神斎きけり
099今日となりて野槌の神の畏さを
100悟りけらしな愚なる身も
101畏けれど御樋代神の御前に
102仕へて神国を安く生かさむ』
103 清比古の神は御歌詠ませ給ふ。
104『御樋代の神の真言に召されつつ
105忍ケ丘にわが来つるかも
106吾もまた野槌の神の御教を
107朝な夕なに守りてしはや
108久方の御空曇らひ水火汚れ
110天の時漸く来りて御光の
111神の力に神世晴れにける
112葦原比女神の御心なやめてし
113国津神等の罪を許せよ
114国津神の穢き水火の固まりて
115天津御神に及びけるかも
116荒金の地の司と降りましし
117天津神等をいとしく思ふも
118吾もまた望む位置にはあらねども
119公の言葉に背く由なし
120貴身と小身の道を正して天地の
121神の御心なごめ奉らむ
122今日よりは野槌の神に従ひて
123此稚国土の為に尽さむ
124たまきはる命のはつる夕べまで
125吾は尽さむ神国の為に
126貴身と小身田身の真道明らかに
127明して御前に真心尽さむ』
128 晴比古の神は御歌詠ませ給ふ。
129『かかる日のありとは予て知りながら
130今日のよき日に驚きけるかも
131愛善の紫微天界に生き生きて
133鳥獣魚虫螻蛄にいたるまで
134神の恵に浸し守らむ
135新しき国土の司と任けられて
136吾魂線の戦き止まずも
137主の神の水火の力を身に浴びて
138葦原の国土に力を尽さむ
139御樋代神の御稜威畏み葦原の
140国土の隈々拓き進まむ
141足引の鷹巣の山の雲をぬく
142高き功を立てむと思ふ
143曲津見はかげを潜めむ忍ケ丘の
144今日の喜び耳にしつれば
145御光の神は現れまし葦原比女の
146神は光らす目出度き神世かな
147年長く国土のなやみを歎ちてし
149主の神の生ませ給ひし貴の島を
150汚す曲津見を憎みつ年経つ
151久方の天の時こそ迫り来て
152吾世に出でし今宵ぞ嬉しき
153力なく光なけれど吾はただ
154野槌の神に添ひて仕へむ
155主の神の御水火に現れます御樋代神を
156吾公として仰ぐ今日かも
157葦原の国土の守りの司神と
158光らせ給へ万世までも』
159 かく各自神任式の挨拶や抱負を、160御歌もて国土の大神柱なる葦原比女の神の御前に、161言挙げし、162英気をその面に充し給ひけるぞ畏けれ。
163 茲に御樋代の神は、164天津神の神任式を目出度く終らせ給ひ、165ついで国津神の任所を定め給はむとして、166宣示的御歌を詠ませ給ふ。
167『真以比古神の神言は西の国土の
168司となりて神を治めよ
169葦原の西の国辺は国津神
170数多住むとふとく出で立たせよ』
171 真以比古の神は感激しながら御歌もて答へ奉る。
172『御樋代神の恵かしこし謹みて
173西国土拓くと勇み進まむ
174今日よりは西の国土なる国津神の
175司となりて貴身に仕へむ』
176 葦原比女の神は成山比古の神に向ひ、177宣示的御歌詠ませ給ふ。
178『成山比古神は南の国原に
179進みて国土の長と仕へよ
180南の国土に住まへる国津神を
181朝な夕なに労り守れ』
182 成山比古の神は畏る畏る御歌詠ませ給ふ。
183『汚れたる神魂の吾も捨てまさぬ
184貴身の言葉に涙しにけり
185力なき吾なりながら御心に
186背かじものと朝夕仕へむ』
187 葦原比女の神は霊生比古の神に向ひ、188宣示的御歌詠ませ給ふ。
189『霊生比古神は東の国原に
190司となりて進み行きませ
191鷹巣山の東に当る国土なれば
192曲津の猛びを心して行け』
193 霊生比古の神は感謝しながら御歌奉る。
194『許々多久の罪も汚れも許しまし
195東の国主に任け給ひけるはや
196国主てふ尊きわざを任けられて
198 葦原比女の神は栄春比女の神に向ひて、199宣示的御歌を与へ給ふ。
200『栄春比女神はこれより北の国土の
201司となりて永久に栄えよ
202北の国土はまだ稚ければ国津神も
203数多住まなく曲津見多し
204曲津見に心して行け栄春比女よ
205汝が功を吾守るべし』
206 栄春比女の神は嗚咽涕泣しながら神恩を忝なみ、207御歌を奉る。
208『吾もまた穢き弱き神なるを
209恵の貴身は捨て給はぬを
210よしやよし魂の命は失するとも
211貴身の恵に報はで置くべき
212北の国土を春の弥生の花の如
213𪫧怜に委曲に拓き奉らむ
214いざさらば北の神国に進むべし
215まめやかにませよ御樋代の神』
216 葦原比女の神は八栄比女の神に向ひて、217御歌を与へ給ふ。
218『八栄比女は野槌の神の後をつぎ
219忍ケ丘の国津神守らへ
220葦原の国土の真秀良場よ忍ケ丘は
221光の神の天降らしし丘よ』
222 八栄比女の神は嬉しさに堪へず、223歌もて答へ奉る。
224『吾貴身の厚き心に包まれて
225忍ケ丘の涙忍びぬ
226御光の神の天降りし此聖所の
227司となりし吾幸思ふ
228今日よりは心の限り身の限り
229貴身の依さしに報い奉らむ』
230 茲に朝香比女の神一行の神々の立会のもとに、231葦原比女の神の英断的神任式は無事終了をつげ、232天津神は国津神となり、233国津神は天津神と任けられて、234いよいよ葦原の国土の新生命は輝き初めにけるぞ畏けれ。
235(昭和八・一二・二二 旧一一・六 於大阪分院蒼雲閣 白石恵子謹録)