第一〇章 地異天変〔一九六六〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第78巻 天祥地瑞 巳の巻
篇:第2篇 焼野ケ原
よみ(新仮名遣い):やけのがはら
章:第10章 地異天変
よみ(新仮名遣い):ちいてんぺん
通し章番号:1966
口述日:1933(昭和8)年12月21日(旧11月5日)
口述場所:大阪分院蒼雲閣
筆録者:林弥生
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年5月5日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:一行は忍ケ丘を後にし、鷹巣の山の麓に葦原比女の神が守るという聖所に急ぎ進んでいく。
中野河の濁流がいたく濁っていることに朝香比女は驚くが、初頭比古の神は天の数歌を歌い、言霊歌を歌い始めた。すると、中野河の濁流も次第次第に色あせ始めた。
朝香比女はさらに、初頭比古の言霊によって、中野河を陸にしようと歌い、御樋代の葦原比女の神が、自分たちを迎えに出立したのがわかる、と歌った。
起立比古は、葦原比女の姿が見えないのに、朝香比女の歌を不思議に思うが、朝香比女は、葦原比女が共を伴って確かにやってくる、と歌った。そして、中野河の水が引き始め、川底が陸地となって向こう岸に渡るときに、葦原比女はやってくるだろう、と予言した。
立世比女は中野河の河水が引くように歌を歌い、天晴比女は河水が引いた後の魚の命を心配する歌を歌った。
朝香比女は、魚たちは上流に逃げて広い清沼に行くように歌を歌った。そして天の数歌と言霊歌を歌うと、河底は大音響とともに地底からふくれあがり、少しの高低もない平地と変わってしまった。
一行は新しく生まれた河跡の陸地を、駒を進めて渡ろうとすると、萱草の野に見え隠れしつつ、駒に乗って現れた神々があった。これは、朝香比女の神一行を迎えに鷹巣山の麓の鷹巣宮居からやってきた、御樋代神・葦原比女の神一行であった。
葦原比女の神を先頭に、真以(まさもち)比古の神、成山(なりやま)比古の神、栄春(さかはる)比女の神、八栄(やさか)比女の神、霊生(たまなり)比古の神の三男三女の天津神々であった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7810
愛善世界社版:
八幡書店版:第14輯 73頁
修補版:
校定版:170頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001御樋代神と生れませる 002朝香の比女神諸神を
003従へ給ひ松茂る
005鷹巣の山の麓なる 006葦原比女の神います
007聖所に急ぎ進まむと
011彼方此方の野の面は 012春風薫り鳥うたひ
013陽炎燃えたつ長閑さを
016中野の河の河岸に
017黄昏るる頃着き給ふ。
018 国津神野槌彦は河の流れを指さしながら、
019『上つ瀬は瀬速し下つ瀬は
020ぬるくて深し中津瀬ゆきませ
021河水はひた濁りつつ水底は
022いや深くして渡るに難し
023向つ岸に渡らふ術も無きままに
024御樋代神の御姿知らずも』
025 朝香比女の神は馬上より、026中野河の濁流を打見やりながら、027御歌詠ませ給ふ。
028『曲津見の息の雫のしたたりか
030駒の脚入るるもきたなきこの河を
032 初頭比古の神は御歌詠ませ給ふ。
033『東の河の流れに比ぶれば
034濁りたれども河幅狭し
035朝香比女神の神言の言霊に
036天馬となして渡らまほしけれ
037大いなる翼はやして東の
038河を渡りし吾駒なるも
039駒よ駒生言霊の幸はひに
040二つの翼を直に生やせよ。
041一二三四五六七八九十
042百千万千万の
048主の大神の賜ひてし
051帰順ひ来べき国土なるよ
052地稚く未だ国土稚く定まらぬ
055光に総ては固まりて
056紫微天界の真秀良場と
057茂れよ栄えよ永久に
058御樋代神は二柱まで
059この島ケ根に天降りましぬ
062如何なる曲津も山河も
065わが駒の翼生えずば止むを得ず
067土と固めつ向つ岸に
068雄々しく進まむわが首途
069守らせ給へと主の神の
070御前に謹み願ぎまつる
071天津日は照る月は盈
073百草千草は花開き
074小鳥は歌ひ蝶は舞ふ
077濁りも深き広河は
078八十曲神の雄猛びか
079醜の曲津の奸計か
080引けよ引け引け中野河
082高地秀山より天降りませし
083御樋代神の出でましよ
085公の光に怖ぢ恐れ
086雲を霞と逃げ去りぬ
088御行に障る広河を
090陸地と為して進むべし
095今日のよき日のよき時は
098朝香の比女の御行ぞや
099河よ引け引け陸となれ
100吾は神の子神の宮
104悟れよ悟れ言霊の
105生きの生命の功績を
106生きの生命の御光を』
107 かく歌はせ給ふや、108さしもに広き濁流漲る中野河も次第々々に水あせ始めける。
109 朝香比女の神はこの有様を御覧して御歌詠ませ給ふ。
110『初頭比古神の言霊幸はひて
111広河の水はあせ初めにけり
112わが伊行く道にさやれる広河を
113生言霊に陸と為さばや
114初頭比古の神の宣らせし言霊に
115中野の河は陸となるべし
116駿馬に翼生やせと今宣りし
117生言霊に光あらずも
118一度は翼を得れど二度の
119功績なきぞ駒の性なる
120わが駒は荒金の土をわたりゆく
121真言の貴の駒となりける
122御樋代の葦原比女の神司は
123吾迎へむと出で立たしける』
124 起立比古の神は御歌詠ませ給ふ。
125『目路の限り吾眺むれど葦原比女の
126神の御姿見えず怪しも
127遠の野に春霞たちて吹く風も
129 朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。
130『汝が目にたしに見えねど葦原比女の
131神は御供を従へ来ませる
132時経れば此の河岸に葦原比女の
133神の御姿輝き給はむ
134さりながら中野の河の河水は
136河底を陸地ちとなして向つ岸に
137渡らむ時ゆ比女神来まさむ
138葦原比女貴の聖所は道遠み
139思はず知らず時移るべし
140駿馬の蹄急がせ給へども
141遠き広野はたどたどしもよ』
142 立世比女の神は御歌詠ませ給ふ。
143『初頭比古神の宣らせる言霊に
144中野の河水あせにけらしな
145河水よ速に引けよ御樋代の
146光の神の御行なるぞや
147国土稚きこの浮島を照らさむと
148光の神は此処に立たせり
149醜神の水火よりなりし中野河は
151 天晴比女の神は御歌詠ませ給ふ。
152『次々に河水引きぬ河底の
153百津石村も姿現はしつ
154河底に数多棲まへる魚類の
155生きの生命を吾如何にせむ』
156 朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。
157『河底に数多棲みてし魚類は
158上津瀬指して逃げ失せにけり
159上津瀬を辿りて広き清沼に
160総ての魚類逃げ入りにけり
161河底は真白く乾き果つるとも
163一二三四五六七八九十
164百千万八千万の
165神の御水火を凝らしつつ
166安く渡らむこの河瀬
170 かく歌はせ給ふ折しも、171河底は百雷の一時に轟く如き大音響とともに地底よりふくれ上り、172少しの高低もなき平面地となり変りけるぞ不思議なれ。
173 ここに、174朝香比女の神の一行は、175新しく生れたる河跡の陸地を駒並めて渡り給はむとする折しもあれ、176萱草の野に見えつかくれつ、177駒に乗りて現はれ給ふ神々おはしけり。178この神々は、179朝香比女の神一行を迎へ奉るべく鷹巣山の麓なる鷹巣の宮居を立ち出で、180ここにやうやう着かせ給ひたる八十比女神の一柱なる葦原比女の神を先頭に真以比古の神、181成山比古の神、182栄春比女の神、183八栄比女の神、184霊生比古の神の三男三女の天津神に在しましける。
185(昭和八・一二・二一 旧一一・五 於大阪分院蒼雲閣 林弥生録)