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第2巻(丑の巻)
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第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
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第25巻(子の巻)
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第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第78巻(巳の巻)
序文
第1篇 波濤の神光
01 浜辺の訣別
〔1957〕
02 波上の追懐
〔1958〕
03 グロスの島
〔1959〕
04 焼野の行進
〔1960〕
05 忍ケ丘
〔1961〕
06 焼野の月
〔1962〕
第2篇 焼野ケ原
07 四神出陣
〔1963〕
08 鏡の沼
〔1964〕
09 邪神征服
〔1965〕
10 地異天変
〔1966〕
11 初対面
〔1967〕
12 月下の宿り
〔1968〕
第3篇 葦原新国
13 春野の進行
〔1969〕
14 花見の宴
〔1970〕
15 聖地惜別
〔1971〕
16 天降地上
〔1972〕
17 天任地命
〔1973〕
18 神嘉言
〔1974〕
19 春野の御行
〔1975〕
20 静波の音
〔1976〕
第4篇 神戦妖敗
21 怪体の島
〔1977〕
22 歎声仄聞
〔1978〕
23 天の蒼雲河
〔1979〕
24 国津神島彦
〔1980〕
25 歓の島根
〔1981〕
余白歌
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第一一章
初対面
(
しよたいめん
)
〔一九六七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第78巻 天祥地瑞 巳の巻
篇:
第2篇 焼野ケ原
よみ(新仮名遣い):
やけのがはら
章:
第11章 初対面
よみ(新仮名遣い):
しょたいめん
通し章番号:
1967
口述日:
1933(昭和8)年12月21日(旧11月5日)
口述場所:
大阪分院蒼雲閣
筆録者:
白石恵子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年5月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
島の守り神である葦原比女の神は、三男二女の従者神を従えて朝香比女の神を迎えにやってきた。
葦原比女の神は、邪神の力が強く、この島を拓くことができなかったことを語り、朝香比女の神に感謝を表した。朝香比女の神は、グロノスの島という名を改めて、葦原の国、と名乗るよう歌った。
真以比古の神は、鷹巣の山に逃げ込んだ邪神が再び襲い来ることを心配し、国土の宝として、真火の燧石(ひうちいし)を賜るよう、朝香比女に頼んだ。朝香比女の神は燧石を贈ることを約束し、真以比古の神は感謝の歌を歌った。
従者神たちは、これまでの経緯を述懐の歌に歌い、また互いの出会いを喜び合う歌を歌った。ここに、十二柱の女男の神々は、野中の常盤樹の森かげを指して、黄昏の野路を急ぎ進んでいった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7811
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 77頁
修補版:
校定版:
186頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
002
中野河
(
なかのがは
)
の
忽
(
たちま
)
ち
大地
(
だいち
)
と
変
(
へん
)
じたる
新
(
あたら
)
しき
地
(
ち
)
を
踏
(
ふ
)
みわたらむとし
給
(
たま
)
ふ
折
(
をり
)
もあれ、
003
この
島
(
しま
)
の
守
(
まも
)
り
神
(
がみ
)
とかねてより
天降
(
あも
)
りましし
八十
(
やそ
)
比女神
(
ひめがみ
)
の
一柱
(
ひとはしら
)
なる
葦原
(
あしはら
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
004
三男
(
さんなん
)
二女
(
にぢよ
)
の
従神
(
じうしん
)
を
従
(
したが
)
へ、
005
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
を
迎
(
むか
)
へ
奉
(
たてまつ
)
るべく、
006
漸
(
やうや
)
くにしてこれの
河岸
(
かはぎし
)
に
着
(
つ
)
かせ
給
(
たま
)
ひ、
007
『
八十柱
(
やそはしら
)
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
と
選
(
えら
)
まれし
008
吾
(
われ
)
は
葦原
(
あしはら
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
なり
009
醜神
(
しこがみ
)
の
醜
(
しこ
)
の
曲業
(
まがわざ
)
うちはらひ
010
光
(
ひかり
)
の
公
(
きみ
)
は
天降
(
あも
)
りましぬる
011
天晴
(
あは
)
れ
天晴
(
あは
)
れ
光
(
ひかり
)
の
神
(
かみ
)
の
御功
(
みいさを
)
に
012
グロスの
島
(
しま
)
は
明
(
あ
)
け
放
(
はな
)
れたり
013
二十年
(
はたとせ
)
の
昔
(
むかし
)
妾
(
わらは
)
は
此
(
こ
)
の
島
(
しま
)
に
014
天降
(
あも
)
りて
国土
(
くに
)
を
拓
(
ひら
)
かむとせし
015
さりながら
曲津見
(
まがみ
)
の
猛
(
たけ
)
び
強
(
つよ
)
ければ
016
中野
(
なかの
)
の
河
(
かは
)
の
外
(
と
)
に
出
(
い
)
でざりき
017
よしあしのむた
茂
(
しげ
)
りたる
大野原
(
おほのはら
)
を
018
拓
(
ひら
)
き
給
(
たま
)
ひし
光
(
ひかり
)
の
公
(
きみ
)
はも
019
いや
尊
(
たか
)
き
光
(
ひかり
)
の
神
(
かみ
)
の
御功
(
みいさを
)
を
020
伏
(
ふ
)
し
拝
(
をが
)
みつつ
涙
(
なみだ
)
しにけり
021
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮
(
みや
)
ゆ
天降
(
あも
)
りし
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
022
光
(
ひかり
)
に
四方
(
よも
)
の
雲霧
(
くもきり
)
晴
(
は
)
れたる
023
グロノスやゴロスの
曲津見
(
まがみ
)
は
河
(
かは
)
を
越
(
こ
)
えて
024
鷹巣
(
たかし
)
の
山
(
やま
)
にかくろひにけり
025
今日
(
けふ
)
よりは
光
(
ひかり
)
の
神
(
かみ
)
の
功績
(
いさをし
)
に
026
グロノス、ゴロスの
曲津
(
まが
)
言向
(
ことむ
)
けむ』
027
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
028
『
八十柱
(
やそはしら
)
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
にあはむとて
029
吾
(
われ
)
は
荒野
(
あらの
)
をわけて
来
(
き
)
つるも
030
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
の
出
(
い
)
でまし
日長
(
けなが
)
くも
031
待
(
ま
)
たせ
給
(
たま
)
ひし
公
(
きみ
)
の
雄々
(
をを
)
しさ
032
吾
(
われ
)
もまた
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
に
見合
(
みあ
)
はむと
033
はろばろ
此処
(
ここ
)
に
進
(
すす
)
み
来
(
き
)
つるも
034
グロノスの
島
(
しま
)
を
今日
(
けふ
)
より
改
(
あらた
)
めて
035
葦原
(
あしはら
)
の
国
(
くに
)
と
名乗
(
なの
)
らせ
給
(
たま
)
へ
036
目路
(
めぢ
)
の
限
(
かぎ
)
り
陽炎
(
かげろふ
)
もゆる
春
(
はる
)
の
野
(
の
)
に
037
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
とあひにけるかも
038
はろばろと
吾
(
わが
)
たづね
来
(
こ
)
し
比女神
(
ひめがみ
)
は
039
いとまめやかにおはしましける』
040
真以
(
まさもち
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
041
『
葦原
(
あしはら
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へて
二十年
(
はたとせ
)
を
042
この
国原
(
くにはら
)
にいきつきしはや
043
力
(
ちから
)
なき
吾
(
われ
)
にしあれば
曲津見
(
まがつみ
)
を
044
よそに
見
(
み
)
るより
他
(
ほか
)
なかりけり
045
久方
(
ひさかた
)
のよき
日
(
ひ
)
めぐりて
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
046
貴
(
うづ
)
の
光
(
ひかり
)
を
拝
(
をが
)
み
奉
(
まつ
)
るも
047
真火
(
まひ
)
をもて
荒野
(
あらの
)
を
焼
(
や
)
かせ
給
(
たま
)
ひたる
048
その
功績
(
いさをし
)
に
曲津
(
まが
)
は
逃
(
に
)
げたり
049
曲神
(
まがかみ
)
は
暫
(
しば
)
し
姿
(
すがた
)
をかくせども
050
時
(
とき
)
経
(
へ
)
て
再
(
ふたた
)
び
猛
(
たけ
)
び
来
(
きた
)
らむ
051
公
(
きみ
)
こそは
光
(
ひかり
)
の
神
(
かみ
)
にましまさば
052
国土
(
くに
)
の
宝
(
たから
)
と
燧石
(
ひうち
)
をたまはれ』
053
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
054
『
真以
(
まさもち
)
比古
(
ひこ
)
神
(
かみ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
を
諾
(
うべな
)
ひて
055
国土
(
くに
)
の
宝
(
たから
)
と
燧石
(
ひうち
)
を
贈
(
おく
)
らむ
056
光
(
ひかり
)
強
(
つよ
)
き
夜光
(
やくわう
)
の
玉
(
たま
)
も
何
(
なに
)
かあらむ
057
生
(
い
)
きたる
真火
(
まひ
)
の
力
(
ちから
)
に
及
(
およ
)
ばず』
058
真以
(
まさもち
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
059
『
有難
(
ありがた
)
し
光
(
ひかり
)
の
神
(
かみ
)
の
神宣
(
みことのり
)
060
吾
(
われ
)
は
頸
(
うなじ
)
にうけて
忘
(
わす
)
れじ
061
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
賜
(
たま
)
ひし
燧石
(
ひうちいし
)
は
062
曲津
(
まが
)
を
征伐
(
きため
)
の
宝
(
たから
)
なるかも
063
萱草
(
かやくさ
)
の
生
(
お
)
ひ
茂
(
しげ
)
りたる
鷹巣
(
たかし
)
の
山
(
やま
)
に
064
真火
(
まひ
)
を
放
(
はな
)
ちて
曲津
(
まが
)
を
退
(
やら
)
はむ
065
かくならば
葦原
(
あしはら
)
の
国土
(
くに
)
は
永久
(
とことは
)
に
066
安
(
やす
)
く
栄
(
さか
)
えむ
神
(
かみ
)
のまにまに』
067
初頭
(
うぶがみ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
068
『わが
公
(
きみ
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
りて
中野河
(
なかのがは
)
に
069
生言霊
(
いくことたま
)
の
奇瑞
(
いさを
)
見
(
み
)
しかな
070
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
にあはむと
焼野原
(
やけのはら
)
を
071
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
につぎて
駈
(
かけ
)
り
来
(
こ
)
しはや
072
千早振
(
ちはやぶ
)
る
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
は
073
八十
(
やそ
)
比女
(
ひめ
)
ながらも
光
(
ひか
)
らせ
給
(
たま
)
へる
074
八柱
(
やはしら
)
の
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
に
仕
(
つか
)
へつつ
075
八十
(
やそ
)
柱
(
はしら
)
比女
(
ひめ
)
にあひにけるかも』
076
成山
(
なりやま
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
077
『はろばろと
来
(
き
)
ませる
公
(
きみ
)
を
犒
(
ねぎ
)
らはむ
078
術
(
すべ
)
もなきかな
荒野
(
あらの
)
の
中
(
なか
)
にて
079
ともかくも
葦原
(
あしはら
)
の
宮居
(
みや
)
に
急
(
いそ
)
ぎませ
080
真言
(
まこと
)
の
限
(
かぎ
)
り
仕
(
つか
)
へまつらむ
081
漸
(
やうや
)
くに
春
(
はる
)
の
陽気
(
やうき
)
の
漂
(
ただよ
)
へる
082
大野
(
おほの
)
に
立
(
た
)
ちて
楽
(
たの
)
しき
吾
(
われ
)
なり
083
真鶴
(
まなづる
)
は
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
に
列
(
れつ
)
をなし
084
輪
(
わ
)
を
描
(
ゑが
)
きつつ
公
(
きみ
)
を
迎
(
むか
)
ふも
085
百鳥
(
ももとり
)
の
声
(
こゑ
)
もさやけくなりにけり
086
光
(
ひかり
)
の
神
(
かみ
)
の
出
(
い
)
でまししより
087
今日
(
けふ
)
よりは
此
(
こ
)
の
葦原
(
あしはら
)
の
国中
(
くになか
)
に
088
醜
(
しこ
)
の
黒雲
(
くろくも
)
立
(
た
)
たじと
思
(
おも
)
ふ
089
今日
(
けふ
)
までは
狭霧
(
さぎり
)
立
(
た
)
ちこめ
黒雲
(
くろくも
)
は
090
御空
(
みそら
)
覆
(
おほ
)
ひて
冬心地
(
ふゆごこち
)
せり
091
血腥
(
ちなまぐさ
)
き
風
(
かぜ
)
の
覆
(
おほ
)
ひし
大野原
(
おほのはら
)
も
092
春日
(
はるひ
)
かをりて
梅
(
うめ
)
の
香
(
か
)
ただよふ
093
迦陵
(
かりよう
)
頻伽
(
びんが
)
終日
(
ひねもす
)
うたへど
今日
(
けふ
)
までは
094
しめりがちなる
醜
(
しこ
)
の
草原
(
くさはら
)
』
095
栄春
(
さかはる
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
096
『
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
出
(
い
)
でましただに
迎
(
むか
)
へむと
097
葦原
(
あしはら
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
いそがせり
098
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
あせれど
黒雲
(
くろくも
)
の
099
闇
(
やみ
)
深
(
ふか
)
ければなやみてしはや
100
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
放
(
はな
)
たせ
給
(
たま
)
ひたる
101
真火
(
まひ
)
の
力
(
ちから
)
に
野
(
の
)
は
開
(
ひら
)
けたり
102
よしあしの
風
(
かぜ
)
に
煽
(
あふ
)
られ
燃
(
も
)
えさかる
103
さまをし
見
(
み
)
れば
火
(
ひ
)
の
海
(
うみ
)
なりけり
104
疾風
(
はやかぜ
)
に
焼
(
や
)
け
過
(
す
)
ぎにける
大野原
(
おほのはら
)
は
105
ただ
一塵
(
いちぢん
)
も
止
(
とど
)
めざりける
106
葦原
(
あしはら
)
の
宮居
(
みやゐ
)
に
進
(
すす
)
む
道
(
みち
)
遠
(
とほ
)
み
107
黄昏
(
たそがれ
)
せまるを
淋
(
さび
)
しむ
吾
(
われ
)
なり
108
願
(
ねが
)
はくはこれの
荒野
(
あらの
)
の
松
(
まつ
)
かげに
109
今宵
(
こよひ
)
一夜
(
ひとよ
)
を
宿
(
やど
)
らせ
給
(
たま
)
へ
110
明日
(
あす
)
されば
駒
(
こま
)
の
轡
(
くつわ
)
を
並
(
なら
)
べつつ
111
貴
(
うづ
)
の
聖所
(
すがど
)
に
導
(
みちび
)
き
奉
(
まつ
)
らむ』
112
起立
(
おきたつ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
113
『
神々
(
かみがみ
)
の
厚
(
あつ
)
き
心
(
こころ
)
に
動
(
うご
)
かされ
114
吾
(
われ
)
は
進
(
すす
)
むも
葦原
(
あしはら
)
の
宮居
(
みや
)
へ
115
さりながら
今宵
(
こよひ
)
は
松
(
まつ
)
の
下
(
した
)
かげに
116
わが
公
(
きみ
)
と
共
(
とも
)
に
雨宿
(
あまやど
)
りせむ』
117
八栄比女
(
やさかひめ
)
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
118
『
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
は
海
(
うみ
)
の
彼方
(
かなた
)
に
傾
(
かたむ
)
きて
119
御空
(
みそら
)
に
白
(
しろ
)
き
昼月
(
ひるづき
)
のかげ
120
昼月
(
ひるづき
)
の
淡
(
あは
)
き
真下
(
ました
)
に
一
(
ひと
)
つ
星
(
ぼし
)
の
121
かげは
伊添
(
いそ
)
ひて
輝
(
かがや
)
けるかも
122
月舟
(
つきふね
)
の
右上方
(
みぎかみかた
)
にやや
薄
(
うす
)
き
123
星
(
ほし
)
一
(
ひと
)
つあり
何
(
なん
)
のしるしか
124
つくづくと
思
(
おも
)
へば
嬉
(
うれ
)
し
顕津男
(
あきつを
)
の
125
神
(
かみ
)
の
出
(
い
)
でまし
近
(
ちか
)
づきにけむ
126
月
(
つき
)
の
下
(
した
)
に
輝
(
かがや
)
き
給
(
たま
)
ふ
一
(
ひと
)
つ
星
(
ぼし
)
は
127
朝香
(
あさか
)
の
比女
(
ひめ
)
の
御姿
(
みすがた
)
なるらむ
128
月
(
つき
)
の
上
(
うへ
)
に
薄
(
うす
)
く
光
(
ひか
)
れる
星
(
ほし
)
かげは
129
葦原
(
あしはら
)
比女
(
ひめ
)
の
御魂
(
みたま
)
なるべし
130
夕
(
ゆふ
)
されば
天津
(
あまつ
)
日光
(
ひかげ
)
はなけれども
131
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
るらむ
月舟
(
つきふね
)
のかげも』
132
立世
(
たつよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
133
『
国土
(
くに
)
稚
(
わか
)
く
浮脂
(
うきあぶら
)
なす
島ケ根
(
しまがね
)
を
134
永久
(
とは
)
に
固
(
かた
)
むと
吾
(
わが
)
渡
(
わた
)
り
来
(
こ
)
し
135
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
にあはむと
出
(
い
)
でたたす
136
朝香
(
あさか
)
の
比女
(
ひめ
)
の
御供
(
みとも
)
仕
(
つか
)
へつ
137
曲神
(
まがかみ
)
の
伊猛
(
いたけ
)
り
狂
(
くる
)
ひしグロス
島
(
じま
)
も
138
今日
(
けふ
)
はめでたし
葦原
(
あしはら
)
の
国土
(
くに
)
よ
139
よしあしの
生
(
お
)
ひ
茂
(
しげ
)
りたる
荒野原
(
あらのはら
)
140
辿
(
たど
)
りつ
分
(
わ
)
けつ
吾
(
われ
)
は
来
(
き
)
にけり
141
比女神
(
ひめがみ
)
の
身
(
み
)
ながら
曲津
(
まが
)
と
戦
(
たたか
)
ひつ
142
吾
(
われ
)
は
雄心
(
をごころ
)
湧
(
わ
)
き
立
(
た
)
ちにけり
143
五千
(
ごせん
)
方里
(
はうり
)
ありと
聞
(
きこ
)
ゆる
葦原
(
あしはら
)
の
144
島根
(
しまね
)
に
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
かみ
)
と
語
(
かた
)
るも
145
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
みてわが
胸
(
むね
)
の
146
高鳴
(
たかな
)
り
止
(
や
)
まず
腕
(
うで
)
はふるへり』
147
霊生
(
たまなり
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
148
『
朝夕
(
あさゆふ
)
に
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
に
仕
(
つか
)
へ
来
(
き
)
つ
149
今日
(
けふ
)
如
(
な
)
す
楽
(
たの
)
しき
日
(
ひ
)
はあらざりき
150
御樋代
(
みひしろ
)
の
光
(
ひかり
)
の
神
(
かみ
)
の
現
(
あ
)
れましに
151
吾
(
わが
)
魂線
(
たましひ
)
はうなり
出
(
い
)
でけり
152
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
宣
(
の
)
らせる
言霊
(
ことたま
)
に
153
吾
(
わが
)
葦原
(
あしはら
)
の
曲津
(
まが
)
は
失
(
う
)
せぬる
154
時
(
とき
)
じくに
御空
(
みそら
)
包
(
つつ
)
みし
黒雲
(
くろくも
)
の
155
跡形
(
あとかた
)
もなく
晴
(
は
)
れにけらしな
156
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしのままに
二十年
(
はたとせ
)
を
157
仕
(
つか
)
へて
功
(
いさを
)
なき
吾
(
われ
)
を
恥
(
は
)
づる
158
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
は
雄々
(
をを
)
しくましませど
159
御供
(
みとも
)
の
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
足
(
た
)
らざり
160
二柱
(
ふたはしら
)
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
天降
(
あも
)
りましし
161
此
(
この
)
葦原
(
あしはら
)
の
国土
(
くに
)
は
永久
(
とは
)
なれ
162
常世
(
とこよ
)
ゆく
闇
(
やみ
)
は
漸
(
やうや
)
く
晴
(
は
)
れにけり
163
光
(
ひかり
)
の
神
(
かみ
)
の
貴
(
うづ
)
の
功
(
いさを
)
に』
164
天晴
(
あめはれ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
165
『
御
(
おん
)
供
(
とも
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
りて
今日
(
けふ
)
のごと
166
勇
(
いさ
)
ましき
戦
(
いくさ
)
吾
(
われ
)
見
(
み
)
ざりけり
167
グロノスとゴロスの
曲津見
(
まがつみ
)
言霊
(
ことたま
)
に
168
うたれし
時
(
とき
)
のさまのあはれさ
169
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
賜
(
たま
)
ひし
厳
(
いづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
と
170
燧石
(
ひうち
)
しあれば
曲津
(
まが
)
はひそまむ
171
いざさらば
彼方
(
かなた
)
の
森
(
もり
)
に
進
(
すす
)
むべし
172
一夜
(
ひとよ
)
の
雨
(
あめ
)
の
宿
(
やど
)
り
求
(
もと
)
めて』
173
茲
(
ここ
)
に
十二柱
(
じふにはしら
)
の
女男
(
めを
)
の
神々
(
かみがみ
)
は、
174
野中
(
のなか
)
のこんもりとした
常磐樹
(
ときはぎ
)
の
森
(
もり
)
かげさして、
175
黄昏
(
たそがれ
)
の
野路
(
のぢ
)
を
急
(
いそ
)
ぎ
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ひける。
176
(
昭和八・一二・二一
旧一一・五
於大阪分院蒼雲閣
白石恵子
謹録)
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